中学生のお子様を持つ親御さんからいただくお悩みとしてとても多いのが、このようなお悩みです。

「子供が全然勉強してくれません。怒っても怒ってもやらない状況なんです。どうすれば子供が勉強に対してやる気になってくれるのか、そして、勉強のやる気にさせる方法は何かないでしょうか?」

というようなものです。

これは中学生くらいのお子様を持つ親御さんの至上命題かもしれません。

今回はこの質問にお答えするような形で、中学生の勉強をやる気にさせる三つの方法についてご紹介していきます。

なぜやる気がでないのかを考えてみよう

中学生の勉強やる気にさせる三つの方法についてご紹介する前に、まずは、背景としてなぜ中学生の勉強においてやる気が出ないのかということを考えてみましょう。

つまり、お子様がなぜ勉強についてやる気がないのかという部分を分析していくということです。

中学生ともなると、やはり第二次性徴期を迎え多感な時期でもありますし、更に様々な中学生生活、勉強もそうですし、部活もそうですし、さまざまのコミュニティに所属していることから、一口に勉強に対してやる気がないと言ってもその要因は様々です。

俯瞰的に見てみるとまず、勉強に関してやる気がないという現象を見てみると外的要因と内的な要因に分けることができます。

まずは、外的要因からみていきましょう。

外的要因としてはいわゆる家の外または、学校の外にあるような部活や遊びという部分が挙げられます。

つまり、この部活や遊びという部分が楽しくて、ついつい勉強の優先順位が下がってしまうということです。

部活であれば、かなり力を入れているところは毎日かなり遅い時間帯まで練習をして、その後で勉強となってくると、体力的にもまだ難しいというケースもあるでしょう。

遊びが楽しいということであれば、こちらも同様に遊びに全てのエネルギーを使ってしまい、結果的に勉強にまでは手が回らないと言う本末転倒な状況になってしまうということです。

前者についてはまだ体力の増強を待つという事も出来ますが、後者は少し指導が必要な領域です。

我々大人は、今まで生きてきた経験から中学生の頃の勉強が何よりも今後の生活において重要だ、ということを経験上よく理解していますが、今をときめく中学生にはそのようなことはわかりません。

私達も中学生の頃、今大人になってわかることを全て理解していたかといえば、そうでもありませんよね。

そういった部分を考えるとまずは、我々大人が中学生の気持ちに立ち返って色々考えていく必要があるわけです。

続いて内的な要因について解説していきます。

内的な要因としてはまず、自宅の環境が学習できるような状況になっていないこと、そして、学校や自宅そして、学習塾などを含めて学習環境が整っていない(あるいは、学習塾が遊びの場になってしまっているケースなど)さらに、何かしらの理由で勉強についていけていないのではないか、あるいは、何かしら体調を崩しているのではないかという部分が内的要因として挙げられます。

これらについても、分析のうえで個別に解消していくことが求められます。

解消と言っても難しいことは無く、親御さんがその状況を把握しているだけでOKです。把握さえしていれば、上手く誘導できますからね。この、把握さえ出来ていないケースが非常に多く、把握できていない事で怒ったり指導したりするピントがボケてしまい、結果として「怒っても怒っても勉強しない」という状況に陥るケースもあります。

特に中学生ぐらいのお子様で朝起きるのがとても難しく、学校にも行けておらず、かと思えば昼過ぎまたは夜から元気になってくる、というお子様がいらっしゃる場合、これは医療の介入が必要なケースがあります。

立ちくらみなどが伴う場合は、「起立性調節障害」を疑い、小児科に連れて行くことから始めましょう。(内科だと正確に診断出来ないケースがあるので、必ず小児科につれていきましょう。可能であれば、起立性調節障害に理解のある小児科に連れて行くのが理想です)

これは15年ほど前から徐々に認知され始めた症状で、体の成長に内臓や血管の成長が追いつかず、結果的に朝起きることができないような形で自律神経なども含めて症状が出るようなケースです。

今、現時点で中学生くらいのお子さんをお持ちの親御さんが現役の中学生または高校生だった頃には、サボり病などとして言われてしまい、実際小児科の先生もこの起立性調節障害についてご存知でない先生が多かったことから、現代でも親御さんがこれを見過ごしてしまうケースが後を絶ちません。

このようなケースもありますので、原因の切り分けの際にはこの内的要因の中の「体調を崩してしまっているケース」という部分も考えるようにしておきたいところです。

とにかく、この様に分析をしていくことで何が勉強に集中できない原因か、ということを理解することができるようになります。

そして、何が勉強に集中できない理由かということがわかれば、それをモチベーションのもとに変換することもできるわけです。

つまり、今楽しいと思っていることと、勉強をすることをうまく結びつけてあげれば良いのです。

あるいは、勉強をすることで今楽しいと思っていることが、今以上に打ち込めるようになるとインプットするのも有効な方法です。

その方法は、後ほどご紹介していきます。

やる気を出すための正しい勉強法を確認するにはこちら

親が勉強のやる気をなくさせていませんか?

まずは、勉強に集中できない理由を考えてみようという部分からご紹介をしてきていますが、もう一つ考えなくてはならない要因があります。

親御さんがお子様の勉強のやる気を削いでいませんか?という部分です。

少し子供の頃、出来れば今のお子様と同じ歳くらいまで記憶を戻してみましょう。

同じ頃、親御さんや学校の先生からガミガミと勉強しなさい!宿題をしなさい!と言われてとても嫌な思いをされた方いらっしゃるのではないでしょうか。

それと同じことで今お子様に同じことをしてしまってはいませんでしょうか。

ついつい親になると勉強しなさいとガミガミ言ってしまいがちですが、子供の頃にそれを言われると、どうしても勉強が脊髄反射的に遠のいてしまうということが分かるかと思います。

これは時代関係なく今のお子様もそうですが、ガミガミ言われてしまうとやっぱり勉強から遠ざかってしまいます。

どうせ勉強させるのであれば、縛り付けて勉強させるのではなく、あくまでも自発的に勉強するような方法に持って行った方が結果としては良い方向に向かいます。

それでは、まず、親御さんの在り方としてどうあればいいのか。

これはお子様に上からガミガミというのではなく、同じ目線に立ってどのように勉強すると良いか、そして、どうすれば勉強のモチベーションが上がるかということを一緒に考えてあげるのが何よりも重要となります。

ちなみに、この過程においてお子さんから話を聞かなくてはならないケースもあるかと思いますが、まるで取り調べや尋問の類のようにお子様に上から目線で全て話しなさいというような形で当たるのは絶対に避けたい部分です。

このようなことをしてしまうと勉強がどうこうの前に、お子様が親御さんに対して信頼感を失い、心を閉ざしてしまうことにもつながりかねませんし、そうでなくても反抗期の場合には関係修復が難しくなってしまうほどに反抗されてしまうケースがあります。

ほとんどの場合は、こういった反抗期に大きな反発を受けて関係が悪化したとしても15年もすればまた仲良くはなりますが、中学校から高校そして、社会人になるまでの時間はせいぜい5年程度しかありませんし、高校進学ということを考えればタイムリミットは2年です。

そんな時間がない中で関係をこじらせている場合でもありませんので、お子さんに話をする時には出来る限りフランクにそして、説教ではないという形で明るい雰囲気のまま話をするようにしましょう。

そして、話をするタイミングも出来る限りお子さんが親御さん側にきちんと心が開いている時に話をすると良いでしょう。

間違っても、定期テスト前で追い詰められているときや部活関係で何か悩みがある時にこういった話をするのはNGです。

中学生が勉強をすすんでやる気になる3つの方法

以上を踏まえて中学生が勉強を進んでやる気になる、三つの方法についてご紹介していきます。

まず、一つ目は学習環境を整えるということです。

もちろんこれはご自宅の勉強部屋やスペースの問題ではありません。

本当に集中して勉強できる子供だと、生活音が渦巻く自宅リビングで勉強して東大に現役合格されたお子さんもいらっしゃいます。

集中できる環境であれば、場所は問わないということです。

そのためまずは、集中して勉強できる環境を整えてあげるのが親御さんの役目になってくるわけですが、これはいくつかの段階を踏むとよろしいでしょう。

もし今お子さんが中学1年生男子中学2年生頃であれば、まずは、1日わずか数分でも結構です。

勉強をする、または、学業に関連したことをする時間を毎日作るようにします。

これを2週間から3週間程度継続してもらいます。

すると生活のリズムの中にこの1日2分でも勉強または学業に関連したことをする時間をなじませることができ、逆にこの行動がないと気持ち悪くて眠れないくらいの水準まで持ってくることができます。

とにかく、習慣にするということが重要です。

いきなり1日何時間も勉強しなさいと言ったところで、ハードルが高すぎますから、そのような習慣は定着しません。

そしてこれに関連して、親御さんが誤解しがちなポイントがあります。

勉強に打ち込んだ時間と勉強量が比例するということです。

これは正しくありません。

だらだら7時間勉強するのと集中して1時間勉強するのであれば、まず、間違いなく後者の方がよろしいでしょう。

つまり時間をゴールにするのではなく、物理的にここまで理解が進んだら、あるいは、ここまで問題を解き終わって採点が終わり、さらにまとめまで行ければ、あとの時間は好きに使っていいというような誘導をするのです。

もう一つの方法として、中学2年生の秋口くらいにはどんなに遅くとも進路を見据えなければなりませんが、この進路を決める時が勉強に火をつけるチャンスでもあります。

進学したい高校の部活や学園祭などに見学に行き、そこでキラキラした世界を見てもらうというのも良いですし、最近ではユーチューバーという職業が人気を呼んでいますが、彼らの中にも高学歴な人がいますので、そういった人気のユーチューバーと同じ学校に行きたいよね、または、こういった世界に憧れるならこういう進学というルートがあるよ、というような形で誘導するというのもおすすめの方法です。

よく、夢は目標になり、目標は実現可能であるから、夢は実現可能である。

という名言がありますが、これは情緒を抜きにして分析すると

夢というひとつの大きな目標があり、その周辺に多数の大きな突破すべきステップがあり、それらのステップは一つ一つ細い目標を達成していくことで実現できる、という逆算が可能だということです。

つまり、将来どうなりたいかという漠然としたところから1日1日の目標まで落とし込んであげる作業を一緒にしてあげるのも一つの方法です。

よく、営業関係のお仕事をされたことがある方はご経験があるかと思いますが、一緒に上司や上席の方と、大学ノートをひらいて大きな目標から中くらいのタスクをいくつか作りだし、そこから小さなタスクやプールを作って行き、日々のタスクを立てる作業があります。あれと同じことです。

中学生ぐらいだとそういった方法も経験がありませんので、親御さんが一緒に行ってあげるというのが重要です。ちなみに、学校では指導要領にタスクの立て方なんてありませんので、当然ですがほとんど習いません。だからこそ、他と差をつけるチャンスでもあります。

そして、中学生のお子さんにもやはり様々な生活というものがありそして、生活リズムというものがあります。

大人からすればどうということはないことでも、お子さんにとっては友達と連絡を取ったり社会的な生活をするということが重要なケースもあるのです。

そこで勉強は「必ず何時間やらなければいけない」というような時間を軸にするのではなく、「ここまで終わっていれば後の時間は何をしてもいい」というような形でやるべきことを軸にする、いわゆる欧米的な指導をするというのもお子さんによってはぴったりと合うケースもあります。

お子さんからすれば親から信頼されている事で時間で縛られることがない、さらに、効率よくやることで自分の自由な時間が増えるとメリットばかりですから、勉強するということがそのメリットの中に組み込まれていくことで、より勉強に打ち込んでくれるようになるというわけです。

まとめ

今回はなかなか勉強に打ち込んでくれない中学生のお子さんを持つお父さんお母さんのために、どのようにすれば中学生がやる気を勉強に向けてくれるようになるか、ということをご紹介してきました。

従来の日本の教育方法では詰め込み型または時間で縛る方法が主流でしたが、最近のお子様にはどちらかというと効率重視で、さらに、ある程度決裁権を与えてポジティブな方向で勉強するように仕向けていく方が有効だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

合言葉は、親御さんも自分が中学生の頃思い出して同じ目線で指導をしていくということ、です。

ガンバ  今村 剛

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