中学生の進路希望先として、もっとも多く選ばれるのが全日制の高校です。
しかし、不登校の子供にとって、たくさんの生徒と一緒に毎日授業を受けるのは大きなストレスでしょう。
「毎日学校へ通うのは苦手」「集団生活に抵抗がある」という子供の進路先として注目されているのが「通信制高校」です。
今回は、通信制高校とはどんなところなのか、授業の風景、費用、メリットやデメリットなどを紹介します。

通信制高校とはどんなところ?


学校といえば、毎日通うスタイルが一般的ですが、通信制高校の基本は自宅で学習します。
もちろん高校なので、学校が定める登校日数や単位の取得をし、卒業に向けた条件をクリアしなければいけません。
通信制高校は全日制高校と違い、次のような特徴があります。

・進級は学年制ではなく単位制が一般的
・学校へ通う日は月数回
・レポートの提出は出校日または郵送など
・オンライン授業で単位取得も可能
・遠足や体験学習のようなイベントあり(学校による)

通信制高校は、学校が定めた成績や出席数を満たすと進級できる学年制ではなく、科目別に設定した単位を必要数取得すると進級できる単位制が多いです。
学年制と違い、進級の条件に満たしてなくても必要な単位を再取得できるので、留年の心配がほとんどありません。

通信制高校と定時制高校との違い


全日制でなくても高卒資格を得られる高校には「定時制高校」もあります。
こちらも、学校へ通うのを苦手な人におすすめの進学スタイルです。
通信制高校と定時制高校は同じように見えますが、2つの特徴は大きく違います。

通学方法 月に数回 毎日(1日4時間程度)
進級条件 単位制 学年制または単位制
在籍期間 3年間 4年間(3年間の学校あり)

定時制高校は、17時~18時頃から1日4時間程度、毎日授業をおこないます。
クラスの生徒と毎日顔を合わせるため、学習面だけではなく人間関係の悩みも出てくるかもしれません。
中学時代に不登校だったり毎日学校へ通うのが苦手だったりする子供は、通信制高校の方がストレスはないでしょう。

通信制高校の入学受験から卒業するまでの流れ


通信制高校の入試は、一般的に、書類審査・学力試験・作文・面接です。
学力試験や作文の筆記のない学校もあるので、中学時代は不登校で学習面が心配な子供でも入試で不合格になるケースが低いです。
面接では「なぜ通信制高校を選んだのか」を重視しているので、自分のペースで学習できる環境に適していることを全面的に伝えることが大切です。
卒業は、進級に必要な単位を取得と高校在籍の日数を満たすことでできます。

通信制高校はどんな人が通うのか?


年度途中の転入や編入はいつでも受け入れているので、さまざまな事情を抱えた生徒が卒業に向けて在籍しています。
下記のような生徒が在籍していることが多い傾向です。

・小中学時代に不登校だった
・集団生活や友達作りが苦手
・毎日学校へ通うのが辛い
・仕事をしながら高卒資格を取得したい
・全日制高校を中退した
・療養中で通常の学校生活ができない

通信制高校へ入学する生徒は、全日制高校と違い、全員が同年代とは限りません。
同じクラス、学年の人と会う機会はほとんどないため、人間関係に悩まされる心配は少ないでしょう。

通信制高校の費用はどれくらい?


通信制高校の費用は、初年度で公立が年間平均4万円、私立で平均25万円からです。
初年度は体育着や学校指定のシューズ代が必要ですが、2年度目は授業料や教科書代などで済みます。
全日制高校や定時制高校に比べて年間の必要費用が少ないため、働きながら高校卒業の資格を目指す社会人も通っています。
また、経済的に費用を捻出するのが難しい人は、高等学校等就学支援金や奨学金、優秀な学習成績やスポーツ能力の高い生徒が利用できる特待生を活用すると、学費を抑えられます。

通信制高校のメリットとデメリット


通信制高校は一般的な通学スタイルと特徴が大きく異なるため、無理のない範囲で高校卒業を目指せます。
メリットの方が大きく見えますが、デメリットもあるので確認しておきましょう。

通信制高校のメリット


通信制高校には、次のようなメリットがあります。

・仕事をしながら学校へ通える
・人付き合いの心配がない
・環境に合わせ授業スタイルが選べる
・学校以外の学びもできる

通信制高校は毎日学校へ行く必要がないため、アルバイトやパートをしながら勉強できます。
学校へ行く回数は年間10日ほどですが、インターネット授業を用意している学校を選ぶと、一切足を運ぶ必要がないこともあります。
また勉強をするだけではなく、スクールカウンセラーや先生が学校や卒業後の悩みを個別に聞いてくれるなど、サポート体制も整っています。

通信制高校のデメリット


通信制高校には、次のようなデメリットがあります。

・学習計画を自分で立てる必要がある
・友達作りの時間はほとんどない
・大学受験への不安

通信制高校の基本は自宅学習なので、スケジュール管理を自分でおこなう必要があります。
レポートをいつまでに提出する、単位取得のためにテスト勉強をするなど、全日制高校より取り組む姿勢をしっかり考えなくてはいけないでしょう。
また、大学受験を目指しているのであれば、積極的な自主勉強も必要です。
同じクラスの人たちと接する機会が少ないため、人間関係のトラブルは回避できますが、その分、わからないことは自分で解決しなくてはいけません。

まとめ|通信制高校は多様な時間を過ごし学べる


通信制高校は「毎日学校に通わず卒業できる」「人との関わりを最小限にして学習できる」など、メリットがたくさんあります。
そのため、通信制高校を選ぶ人の多くは、不登校の中学生や高校を中退した人、社会人になり高卒資格を得たい人と、さまざまな生徒がいます。
自分のペースに合わせて勉強できますが、自分でスケジュール管理しなければ単位を取得できないデメリットもあります。
通信制高校は、ライフスタイルに合わせて勉強したい、高校卒業を目指したい人にぴったりの進学先といえるでしょう。

家庭教師のガンバ  今村 剛

不登校が原因の勉強の遅れを取り戻す家庭教師