お子さんが朝起きられなくて悩んでいる親御さんは多いです。遅刻したらどうしようかと焦る朝もあるでしょうし、もしかして何かの病気だろうかと、心配になることもありますよね。お子さんの睡眠と起床については、小さなきっかけで改善できる場合があるので、原因と対策を探りながら、お子さんにとってベストなサポートを考えましょう。

朝起きられない子は増加傾向にある

日本は世界的に見ても睡眠時間が足りていない国です。日本にいる大人の多くは毎日、寝不足の状態のまま活動していますが、近年、これは大人だけの問題ではなく子供にも影響が広がっています。世帯に必ず1台はあるテレビや、スマートフォンやゲームなどお子さんの誘惑は数多いです。朝から晩までスマホを見ているお子さんもいるでしょうし、夜遅くまでずっとゲームをしていて、次の朝に起きられなくなる子も少なくありません。結果的に生活リズムが崩れ、毎朝起きられずにお子さん自身が困ることになるのです。

良い睡眠習慣を妨げるものとは

朝起きられない子は睡眠に問題がある場合がほとんどです。睡眠習慣を悪化させる要因を考えてみましょう。

スマートフォンなどの電子デバイス

ブルーライトという言葉はここ数年で広く使われるようになりましたが、スマホやパソコンなどから発せられる光を浴びていると、人は眠りづらくなります。寝る前はスマホをさわらない方が良いと言われるのはこのためです。今の時代はお子さんでも1人1台スマホを持っていることも多く、夜更かししてまでスマホを使っているなら、眠くて朝起きられないのは当然のことです。

睡眠不足

きちんと寝ているのに起きられないときは、睡眠時間が足りていないのかもしれません。何時間寝れば十分なのかはお子さんによって様々です。運動や勉強をたくさんした日にはその分疲れもたまっていて、体と脳を休めるために、普段よりも長い睡眠が必要なこともあるでしょう。生き物には眠りが深い時間と浅い時間があるため、そのサイクルに合わせるのも重要です。深い眠りのタイミングで起きようとしても、眠気に負けやすくなってしまいます。人の睡眠は90分ごとに1つのサイクルができていると考えられているため、これに合わせ、9時間の睡眠をまずは試してみると良いでしょう。

早起きするための対策方法

朝起きられなくて困っているお子さんでも、少々の工夫で快適な目覚めを得られます。起きられない原因にもよるので、ご家庭で考えながら対処しましょう。

早く寝て早く起きる

眠くて朝起きられないという状況を防ぐためには、夜は早く寝なければなりませんが、そのためにはまず生活習慣を見直す必要があるでしょう。夕食の時間は就寝時間よりも2時間から3時間前に設定しておくことで、消化の時間を確保できるので、胃にも大きな負担がかかりません。寝る前の入浴時間も見逃せないサイクルのポイントとなるでしょう。お風呂から出てきた直後の場合、寝るには体温が高すぎますし、反対にお風呂から出たあとにダラダラと何時間も過ごすと、今度は体が冷えてしまいます。入浴後1時間から1時間半くらいたったころが、寝る時間としてのベストです。夜9時から10時までには寝られる状態にしておき、朝は6時に起きるようにすると、早寝早起きの規則性が生まれます。

積極的に朝日を浴びる

人間の体には活動するための作用と眠りにつくための作用がありますが、規則正しい習慣ができていると、朝と夜とでこの作用を自動的に切り替えられます。朝から元気に学校に行けたり、夜になると眠くなったりするのはこのためです。ところが生活習慣などが原因でバランスが崩れてしまうと、体内時計がうまく働かず、朝の目覚めは悪く、起きてから数時間たっても気力がわかないことや、日中もずっとぼんやりしているかもしれません。夜になっても眠気はやってこないので寝付けず、翌朝は起きられないといった、不規則な生活で乱れた体内時計は、このような負のサイクルを作り出します。

 

体内時計を正すためには、朝日を浴びるのも効果的であり、朝起きて太陽の光を感じると、今は活動する時間だと体が自動的に判断します。そこで体内時計が修正できるので、夜になると今度は自動的に眠くなるでしょう。1度朝日を浴びてすぐに効果が出る人もいれば、数日かかる人もいて、個人差があるため、はじめのうちは少々つらいかもしれませんが、朝日を浴びて軌道修正できれば、生活習慣は正しいサイクルに戻ります。意志の力だけでは難しくても、体の作用を利用すれば効率的に早起きができるはずです。

スマホやゲームを手元に置かない

用がなくてもスマートフォンを確認したくなるのは誰でも同じです。スマホの通知音を聞いてしまうと、ついついその場で手に取ってしまうこともありますが、そうして寝る前に少しだけ見るつもりが、ダラダラと何時間も見続けてしまうのです。寝る前に余計なことをしないためには、デバイスに意識を向けない必要があり、スマホの通知音は切っておくと良いでしょう。ゲームやテレビのリモコンなどは、机の引き出しにしまっておき、目に付かなかったり、手に取るのが面倒な位置にあったりすることが重要です。寝ること以外にできることがなければ、夜は自然と布団に入る習慣ができます。

快適な睡眠環境をつくる

どのような状況が寝やすいかは人によります。たとえば真っ暗な方が良い場合や、常夜灯がないと寝付けない場合などです。本人にとって快適な室内空間は、質の高い睡眠にもつながり、睡眠の質が良ければ良いほど、翌朝の目覚めもすっきりしているものです。同じ理由から室温にも注意しておくべきでしょう。寒すぎても暑すぎても寝苦しくなるので翌朝に疲れが残るので、心地良いと感じる室温を確認しながら設定しておきましょう。

悩みや不安があると睡眠にも問題が出る

デジタルデバイスが眠れない原因を引き起こすことは多いですが、このような物理面以外に、精神的な要因が潜んでいることもあります。ある程度正しい生活習慣をしていて、寝る前にはスマホをさわらないお子さんもいて、それでもなお朝起きられない場合、なんらかの悩みを抱えているかもしれません。心配事があるときになかなか寝付けなくなるのは大人でも同じです。カゼでもないのに朝から体がだるく、起きられなくなってしまうこともあり、学校でのトラブルや、心身の悩みなど、不安の種はお子さんによって異なるでしょう。問いただしてしまうと逆効果ですが、不安解消のための手助けが必要な場合もあるため、学校や、必要であれば医療機関にも相談しながら、お子さんのサポートを考えましょう。

早寝早起きは子供の意識を変える

朝起きられないのは生活習慣やメンタル面の問題など様々な要因があります。そしてもう1つ念頭に置いておくべきなのが、お子さん自身の意識の問題です。小学生のうちはご両親がお子さんを起こすことも多いですが、中学生でもお母さんに起こしてもらう子は少なくありません。子供が遅刻するのはかわいそうなので、親御さんもついつい手を貸してしまうことがあるかもしれませんが、このような親心は、お子さんの自立を促すうえでデメリットになることもあります。

 

朝起きられなかったことを親のせいにする子も中にはいるでしょうが、この場合は親が子供を起こしてあげるのは当然だと思っているかもしれません。厳しい言い方になってしまいますが、これはお子さんの甘えであり、自立した大人になるためには、親に頼らず自分でなんとかする意欲が必要になります。最初は目覚まし時計を使って自分で起床するところからはじめましょう。目覚ましで起きられないなら、ベッドから出なければ届かない位置に時計を置くなど、工夫を自分で考えながら、お子さんは1歩ずつ成長していくでしょう。早寝早起きを自分で心がけることで、何でも自分でできるという自信も得られるのです。

まとめ

朝起きられない子が増えている現状と、その対策方法を解説しました。より良い目覚めのためには、お子さん自身の生活改善が第1の目標です。最初はつらいと感じるかもしれませんが、家族で協力すればリズムを正せます。中には病気が潜んでいることもあるので、しっかり見守ることが大切であり、必要なら外部の機関とも相談しながら、お子さんの生活をサポートしましょう。

不登校で勉強が遅れがちの子のための家庭教師

家庭教師のガンバ  今村 剛