発達障害の子をやる気にさせるためには、どのように声をかければよいのでしょうか。何を言ってもうまくいかず、悩んでいる保護者の方は少なくないはずです。特性ならではのトラブルもあり、声のかけ方に気をつかっている人も多いと思います。それでもなかなか勉強に取り組んでくれない子を見て、落ち込むこともありますよね。実は、発達障害の子をやる気にさせるためにはいくつかのコツがあります。特性によってパターンは異なるため、必要なら外部の専門機関にも相談してもいいかもしれませんね。無理のない範囲でサポートを行えば、勉強に取り組んでくれる子もいます。

 

発達障害の子の学習

 発達障害には大まかに3分類があり、それぞれに特徴が現れます。

 LDの場合は読み書きが苦手で、勉強そのものに苦手意識を持ちやすいです。ASDはコミュニケーションが苦手で、ADHDには多動や注意欠如があります。これらを原因に学校生活そのものに対して抵抗感を持つケースもあります。集中できなかったり極端な好き嫌いがあったりするのはその子に備わった特性です。

 しかし、周りからは理解されにくく、自己肯定感の低下により学習にも影響が出やすいです。厳しすぎる指導などが、やる気を損なう原因になる場合になってしまうこともあります。

 

なぜ勉強をしたくないのか

 勉強をしたくない理由は人によって様々です。勉強に対する興味が薄く、面白さが分からないから机に向かわないこともあります。学校で周りの子と自分とを比べてしまい、できない自分に落ち込むこともあるでと思います。自己肯定感が低下した結果、やる気がそがれてしまっているケースといえます。

 頑張っていても理解してもらえず先生に怒られた子は、嫌な記憶として定着します。この記憶によって勉強自体に抵抗感を覚え、やる気を出せずにいるのかもしれません。このように勉強をしない原因は多種多様であり複雑に絡まっています。ですから、やる気が出ないのを本人の意識の問題として責めるのは良くありません。本人のペースを意識しながらサポートしないと、逆効果になることもあるのです。

 

無理強いは禁物

 親御さんや先生から勉強するよう言われ、素直に取り組む子も中にはいます。指示されて勉強したことをきっかけにして、楽しくなってくることもあるかもしれませんが、勉強に強い抵抗感がある子に無理強いしても、反発されるだけで意味がありません。かえって勉強嫌いを加速させるリスクもあるでしょう。

 特性を持った子の中には衝動を抑えにくい子もいるため、暴れるケースも考えられますので、勉強するよう言うべきときは、状況やタイミングも重要です。あるときは反抗していても、あるときは素直に応じるかもしれません。ですから、本人の気持ちやタイミングを考えずに、ただ厳しく言いつけても何もならないのです。大切なのは本人の自発的な意識です。勉強しろと厳しく言うより、どうしたら意欲が出るかを考える方が大切になります。

 また、お子さんの特性がどのようなものかを大人が理解していることも必要です。苦手となりやすい物事を把握しておけば、感情的に叱りつけるリスクを減らせます。

 逆に、無理をさせたくないからといって、あなたにはできないと決めつけるのもいけません。ネガティブな感情や発言をしないようにしながら、本人のペースに合わせましょう。

 

発達障害の子をやる気にさせるには

 特性を持った子をやる気にさせるためのポイントがいくつかあります。自分のやり方を振り返りながら、適切な対応方法を考えましょう。

 

勉強は楽しいものだと教える

 つまらないことをやれと言われても誰もやりたくありません。発達障害の有無にかかわらず、これは誰でも同じはずです。そのため勉強が楽しいと思ってもらう必要があります。

 最初に気を付けたいのが、何かできないことがあっても、周りの大人は感情的に子供を否定しないこと。今はまだできないことでも、できたことを1つずつ褒めて自己肯定感を養ってください。

 まずは勉強を嫌いになってしまうリスクをできる限り避けましょう。そのうえで勉強するメリットを一緒に考え、気になる分野を見つけ出していきましょう。

 

興味のある分野からやらせる

 好き嫌いが激しい子の場合、ある特定の分野には意欲的なこともあります。少しでも興味がある教科があれば、まずはそこから学習させてみてはいかがでしょうか。

 勉強とは単一の分野で成り立つものではなく、相互的にかかわっています。たとえば歴史が好きな子が武将の本を読むなら、漢字が読めなくてはなりません。好きな武将のことを学ぶために、自発的に漢字を覚えようとすることもあると思います。好きなことから始めるのは、ハードルが低いという面でもメリットが大きいです。勉強に対する抵抗感をやわらげ、学習習慣がつきやすくなるはずです。

 

学習のサポート方法

 勉強はただやっているだけでは身に付きません。きちんと頭に入る環境を整え、集中して取り組めるようにサポートしましょう。

 

ゴールの立て方を工夫する

 無理難題を押し付けたとして、やる気を出せる人は大人でもほとんどいません。そのため目標の立て方は意外と重要なポイントになります。簡単すぎず難しすぎず、その子に最も適したゴールを決めておく必要があります。1度に大きな目標を立てなくても、少しずつ段階を経てクリアしていく方がいいと思います。1つ目の目標をクリアしたらまた次のステップに進みます。目標に届いたときは、その都度褒めてあげるようにしましょう。

 自分でゴールを作って達成できたという感覚は自己効力感を高めます。これを繰り返していくことによって、やる気が自然とわいてきやすい状態になるでしょう。

 

勉強しやすい環境を作る

 特性を持つ子によっては、音や光に敏感な反応を示す場合もあります。そのため学校の教室に入ってくる日光や、周囲の子の話し声が気になることもあります。家庭では自由な環境設計をしやすいため、学習に適した部屋を整えてあげて下さい。明るすぎないか暗すぎないか本人と相談して照明を合わせましょう。また、音はうるさいだけではなく、静かすぎても集中できないケースもあるはずです。その場合は家族のいるリビングで勉強するなど工夫しましょう。

 動いていないと落ち着かないなら、歩きながらビデオ学習。紙のテキストを使うよりも、デジタルデバイスが合っているならタブレット。というように勉強しやすいツールを使うことも有効的だと思います。

 学校では決まりを守って周りと同じ学習をするよう強いられます。自宅学習のメリットは、好きなように勉強できることです。その利点を最大限生かしましょう。

 

塾や家庭教師の利用

 コミュニケーションや衝動などの問題があると、どうしても学校は苦手になりやすいです。集団生活に馴染めず、勉強もうまくいかず、自己否定の気持ちも高まります。できる範囲で周りと馴染む訓練をするのも場合によっては必要です。

 しかし学習面を学校の外で強化しておくと、自己肯定感の高まりを望みやすくなります。ですから、個別指導塾や家庭教師で周りの目を気にせず、1対1でじっくりと勉強してアドバンテージを作っていくことも考えてみて下さい。勉強に対して少しでも自信が付けば、クラスメイトと比較して自己否定してしまう心配も低減されるでしょう。

 マンツーマンなら、得意なところをさらに伸ばしながら、苦手を克服するサポートが可能です。発達障害を抱えている場合は、1対1の個別指導や家庭教師が最適だと思います。

まとめ

 発達障害の子をやる気にさせるポイントについて解説しました。

 特性がある子との向き合い方に注意も必要ですが、大前提として無理強いはいけません。根気強くお子さんと話し合うことで、少しずつ勉強への興味を引き出せることもあります。学習の心強いサポーターとして、家庭教師などを利用することもいいと思いますが、どんな特徴があるのかしっかり相談した上で指導内容を決めていきましょう。

 不安や心配を抱えている保護者の方、悩まずに一度経験のある人や専門機関に相談して下さい。自分では見えなかった解決策が見えてくると思います。

家庭教師をお探しの方は

ガンバ  今村 剛