主に、子供の発達障害のひとつである学習障害。そのなかには、様々な傾向がありますが、ディスレクシアと呼ばれるものがあります。ディスレクシアとはどのような病気なのでしょうか?原因や、診断された場合の対処法などをご紹介していきます。
ディスレクシアとは?その原因は解明されている?
ディスレクシアとは、発達障害の一種です。発達障害と大きく分類されていますが、なかには様々な種類の症状や傾向があります。発達障害のなかのひとつである、学習障害。さらに学習障害をいくつかの症状に分けたときの一種がディスクレシアです。
ディスクレシアは、字を読む事が困難という症状があります。日本語では、難読症や、読字障害とも呼ばれます。字を読むことが難しいために、書くことも不自由な事が多く、読み書き障害とも呼ばれています。
文字が読めないというと、失読症という病気がありますがこちらは、脳梗塞などで脳がダメージを受けて、後遺症などで起こるものです。学習障害のディスレクシアは、先天性のものがほとんどとなります。知的な遅れは無いことも特徴です。
ディスレクシアの原因は生まれつきの脳の機能です。失読症のように、脳になんらかのダメージを受けたことが原因ではありません。脳のなかにある、文字の意味を理解する部分が機能しづらくなっていると考えられています。
たとえば、ひとつの言葉を見て、人はそこからイメージを持ちます。「ごはん」という言葉を見れば、白いご飯や食事をイメージするでしょう。しかし、ディスレクシアの場合、ひとつひとつの文字は読めても、「ごはん」がイメージとして浮かびません。また、実際にごはんを見ても、「ごはん」という言葉が頭の中には出てきません。
ディスレクシアの治療方法はあるの?
ディスレクシアは、生まれつきの脳の機能の問題なので、薬で症状を変えるなどの治療方法は今のところありません。日本では、特に発達障害や学習障害の認識・理解が遅れているとも言われています。
周りの理解が得られずに、対策が遅くなってしまうこともあります。薬などの治療はありませんが、文字を読むようにトレーニングなどが行われます。
症状は人それぞれもしかしたら?と思ったら
ディスレクシアの症状は人によって、違います。読む事が苦手な場合、書く事が苦手な場合、両方の特徴がある場合があります。日本では、約4.5%の人がディスレクシアだと言われていますが正確な統計は出ていません。
ディスレクシアでは、以下のような症状が見られます。
- 長い文章を読むのが苦手、読むのに時間がかかる
- 文章を読むときに、言葉や行を抜かしてしまう、同じ文を2回読むことがある
- 似ている文字を間違える。例)はし→ほし 36→63など
- 文字は読めるが、文章の意味が分らない
- 文字を書くと大きさがばらばらだったり、まっすぐ書けない
- 鏡文字を書く
- 話を聞いても、理解することが難しい
- 文章を間違った箇所で区切って読む
- 文末を勝手に変えて読む
ほかにも、人によって違う症状があることもあります。文字を読もうとしても、にじんで見えたり、ゆがんで見えたりするので、意味が分からないこともあります。学校では、授業中に先生が書いた黒板の文字が理解できない、ノートが書けない、教科書が読めないといったことも起こります。
本人はそのつもりは無くても、症状を理解していない人から見るとやる気がない、怠けていると思われてしまう可能性もあります。対人関係は、言葉でのコミュニケーションが取れるのであまり問題になることはありませんが、勉強に遅れてしまうことでクラスメイトから、からかわれてしまうという問題も起きがちです。
大人になってからも、文字を読むことができないと日常生活に影響がでます。目的地に向かうバスや電車が分からない、大切なお知らせなどの文章が理解できない、仕事での連絡が伝わらないなどがあります。また、小さな文字が読みにくいので、電話番号なども正しく理解できずに、間違ったところへかけてしまう人もいます。
自分自身でも、ディスレクシアだと気付かないままで、気をつけているつもりでもミスや間違いが多くて困っているという場合も考えられます。症状がそれほど重くない場合には、家族や本人でも分かりません。早めに専門の機関へ行くことがポイントです。
発達障害を専門とする病院もありますが、どこへ行けばいいか分からないということがほとんどです。そのような時には、地域の福祉センターや保健センターへ相談してみましょう。症状や困った事を伝えれば、近くにある専門の病院を紹介してくれるはずです。
また、発達障害には「療育」と言われる特別な教室が有効と言われています。地域で療育のクラスがあればアドバイスをもらえます。必要な手続きや、どのような内容なのかなど詳細は問い合わせてみることをおすすめします。。
最近では、発達障害の子供を対象にした療育や放課後デイサービスなどの教室も増えてきています。利用するには、病院の診断書が必要なこともあります。また、療育手帳を住んでいる地域で発行してもらうと、さまざまなサービスを受けられます。
診断されたときは周りと協力して生活環境や勉強方法を工夫しよう
ディスレクシアと診断されたときは、専門のトレーニングなどをおこないます。病院や療育センターで指導してくれますが、家庭でもできることをしていくことが大切です。また、学校の先生などにも理解をしてもらい協力してもらえるようにしましょう。
対処法としては、文字を読みやすくする工夫をしてみます。文字が小さいとそれだけ読むのも難しくなってしまいます。分かりやすい字体にしたり、拡大して大きくすることで理解できるようになります。
また、重要なポイントや、読まないといけないという場所だけに蛍光ペンで印をつけるのも有効です。情報が多すぎると混乱してしまいますが、ここだけ読めば良いと限定することで、情報の量を調整して、文字が苦手という抵抗を少なくできます。
話を聞くことに苦手意識がなければ、音読してあげるのもひとつの方法です。算数の文章問題は大人が読んであげれば理解しやすくなります。近年では、電子教科書などで文章を読み上げる機能が付いたものあります。上手に道具を利用して活用できると良いでしょう。
長すぎる文章だと、混乱してしまうこともあります。言葉ごとにスペースを空ける、句読点をつける、スラッシュをつけるなどすると読みやすくなります。
現在では、スマートフォンやタブレットを利用して勉強をする方法があります。文章の読み上げ機能、拡大機能、重要なところにマークをつける機能などさまざまな事ができます。こうした機器を利用すれば、従来の紙の教科書よりも理解がしやすくなります。
また、周りの協力も不可欠です。家族や学校にも、ディスレクシアであることを伝え、できることはしてもらいましょう。学習障害があると知られたら本人に不利になってしまうのではという不安を持つこともありますが、周囲に理解してもらい協力してもらうことが必要です。
成長していく上で、どのような学校に進んだら良いかや、進路の問題など学校や専門機関が相談に乗ってくれることもあります。
まとめ
学習障害のひとつである、ディスレクシアについて見てきました。生まれながらの脳の機能の問題なので治療はできませんが、工夫次第で、日常生活や学校生活を改善することができます。心配なことがあれば、地域の機関に相談してみましょう。