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近年、小学生や幼児期から英語教育を始める「英語の早期教育」が注目を集めています。一部の保護者の間では「3歳までに英語を学ばないとネイティブのような発音が身につかない」という考えが根強く、幼少期から英会話教室や英語塾に通わせるケースが増えています。
しかし、最近では英語の早期教育に対する否定的な意見も増えてきています。英語教育を早期に始めることが本当にお子さんにとってプラスになるのか、それともデメリットの方が多いのか?今回は、小学生や中学生を対象とした英語の早期教育について、メリット・デメリットを検討しながら深掘りしていきます。
英語の早期教育の現状
まずは、英語の早期教育が現在どのような状況にあるかを見ていきましょう。30年前と比べると、英語を早期に学ばせたいと考える保護者は大幅に増加しています。多くの子どもが小学校低学年、さらには幼稚園の段階から英会話教室に通うようになりました。
一方で、近年の研究や教育者の間では、「英語の早期教育の効果」に対する疑問が投げかけられています。日本語の基盤がしっかり形成されていない段階で英語を学ぶことは、かえって子どもの成長を妨げる可能性があるという指摘もあります。
英語の早期教育のメリット
発音やリスニング力の向上
幼少期は音を聞き分ける能力が高いため、発音やリスニング力が向上しやすいとされています。早期に英語の音に触れることで、ネイティブスピーカーに近い発音を身につけられる可能性があります。
英語への抵抗感を減らせる
幼い頃から英語に親しむことで、英語を「難しい」と感じることなく自然に受け入れられるようになります。これにより、将来的に英語学習をスムーズに進められると考えられます。
国際感覚の育成
英語を通じて異文化に触れることで、グローバルな視点を育むことができます。特にインターナショナルスクールに通う子どもは、国際的な環境で自然とコミュニケーション能力を高める機会が増えます。
英語の早期教育のデメリット
日本語の発達への影響
英語と日本語は文法や構造が大きく異なるため、同時に学ぶと混乱を招く可能性があります。特に幼児期では日本語の基礎がまだ確立されていないため、どちらの言語も中途半端になってしまうリスクがあります。
学習効率の低下
研究によると、日本語のような母語と英語のような第二言語を同時に学ぶことは、どちらの習得速度も遅れる結果になる場合があるとされています。特に、日本語がしっかり身についていない段階で英語を学び始めると、どちらも習熟度が低くなりがちです。
継続的なコスト
英語の早期教育には費用がかかります。英会話教室や教材費、家庭教師の料金などを考えると、長期間続けるのは経済的な負担が大きいです。無計画に始めると、途中で挫折してしまうこともあります。
目標が不明確になりがち
「とりあえず英語を早く学ばせたい」という漠然とした理由で始めるケースが多く、最終的な目標が不明確なまま進んでしまうことがあります。その結果、子どものモチベーションが低下したり、保護者が期待する成果が得られなかったりすることがあります。
日本語と英語の同時学習の難しさ
日本語と英語は、文法や発音、語彙の構造が大きく異なります。たとえば、英語では語順が非常に重要ですが、日本語では語順の自由度が高いです。また、発音面でも、日本語には存在しない音が英語には多く含まれています。
この違いが原因で、日本語と英語を同時に学ぶことは「言語の混乱」を招きやすいとされています。特に幼児期では、どちらの言語も中途半端になり、学習効率が低下してしまうことがあります。
英語教育は「タイミング」が重要
では、英語教育はいつ始めるのが適切なのでしょうか?
一部の教育者や研究者は、小学校高学年から中学生の間がベストタイミングだと提案しています。この時期は、日本語の基礎が確立されており、抽象的な思考能力も発達しているため、英語学習を効率的に進めることが可能です。
さらに、この時期であれば、学校の英語教育と家庭での英語学習を組み合わせることで、基礎から応用まで一貫した学びを実現できます。また、短期集中型の学習プランを取り入れることで、無駄なく成果を上げることが期待できます。
英語学習の最適な方法
英語教育を成功させるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
目標を明確にする
子どもがどのレベルの英語力を身につけたいのか、具体的な目標を設定しましょう。たとえば、「海外留学に備えたい」「受験対策としてTOEFLスコアを向上させたい」など、目的がはっきりしていると、学習計画が立てやすくなります。
基礎をしっかり固める
中学校で学ぶ英語の基礎が確立されていない状態で英会話に挑むのは効率が悪いです。文法や語彙をしっかりと学んでから実践的な練習に進むことで、より効果的な学びが得られます。
無理のないスケジュールを組む
英語学習にかける時間を無理なく確保することが大切です。過度に詰め込みすぎると、他の教科や日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。子どものライフスタイルに合ったバランスを保ちましょう。
- 日本語の力を大切にする
日本語の習熟度をおろそかにしないよう、バランスの取れた学習計画を立てることが重要です。特に、読解力や文章作成力は、英語学習にも役立つスキルです。
保護者が知っておくべき注意点
「早ければいい」という思い込みを捨てる
早期教育が必ずしも効果的とは限りません。特に、日本語が未発達の状態で英語を学ばせると、どちらも中途半端になるリスクがあります。まずは母語をしっかりと習得させることが重要です。
長期的な視点でプランを立てる
英語教育は短期間で成果が出るものではありません。長期的な計画を立て、お子さんが楽しみながら続けられる環境を整えることが大切です。
お子さんの意見を尊重する
無理やり英語を学ばせるのではなく、お子さんの興味や意欲を大切にしましょう。お子さんが楽しんで学べる環境を提供することで、学習効果が高まります。

まとめ
英語の早期教育には確かにメリットもありますが、それ以上にデメリットが目立つことも事実です。特に、小学生以下の子どもにとっては、日本語の基盤をしっかりと固めることが何よりも重要です。英語教育を成功させるためには、年齢やお子さんの個性を考慮し、無理のないタイミングで始めることが鍵となります。
最後に、早期教育を検討する際には、「なぜ英語を学ばせたいのか」「どのような結果を期待しているのか」を明確にすることが大切です。しっかりと計画を立て、お子さんにとって最善の学習環境を提供しましょう。
家庭教師のガンバ 今村 剛