「うちの子、塾にも通って家でもちゃんと勉強しているのに、なぜかテストの点数が上がらない…」
このような悩みをお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。お子さんの努力が報われない状況は、保護者の方にとっても非常につらいと思います。ただ、必ずしも「勉強時間=成績向上」とは言えません。成績が上がらない背景には、勉強の質、方法、学習環境、心理的な要因など、様々な要因が複雑に絡み合っている可能性があります。
ここでは、成績が伸び悩むお子さんに見られる典型的な原因を挙げ、タイプ別の改善策と、家庭での具体的なサポート方法などをご紹介します。お子さんの可能性を最大限に引き出し、学力向上を長期的に支援するための情報としてお役に立てれば嬉しく思います。
【1. 成績が上がらない原因は?】
1-1. 学習方法の課題
- 「わかったつもり」
授業や解説を聞いただけで満足し、実際の問題演習が不足している場合、知識は定着しません。
改善策:問題集を繰り返し解き、アウトプットの機会を増やす。学んだ内容を自分の言葉で説明する練習を取り入れ、理解度を確認する。さらに、定期的に小テストを実施し、知識の定着度を測る。間違えた問題はなぜ間違えたのかを把握し、理解が曖昧な部分を特定する。
例)数学の問題を解く際、答えを出すだけでなく、解法の手順を言葉で説明できるように練習する。歴史の出来事を年表にまとめ、それぞれの出来事の因果関係を説明できるようにする。
- 「できる問題」の無限ループ
得意な問題や簡単な問題ばかり解いていると、応用力や思考力が伸びません。
改善策:間違えた問題や苦手な分野の問題を中心に復習する。定期的に苦手分野の小テストを実施し、克服状況を確認する。さらに、応用問題や発展問題にも積極的に挑戦し、思考力を鍛える。
例)英語の長文読解問題に挑戦する際、わからない単語や文法があってもすぐに答えを見るのではなく、辞書や参考書を使って自分で調べる。また、理科の実験レポートを作成する際、実験結果だけでなく、考察や今後の課題についても記述する。
- 受動的な学習態度
ただ教科書や参考書を読み、問題を解くだけでは、深い理解や思考力は育ちにくいです。
改善策:能動的に学習に取り組む姿勢を促す。例えば、学習内容について疑問を持ち、自分で調べる。学んだ知識を使って、オリジナルの問題を作成してみる。さらに、学習内容について他の人と議論したり、発表したりする機会を設ける。
例)社会科の授業で学んだ内容について、自分なりの意見や考えをまとめ、発表する。また、国語の授業で読んだ小説について、登場人物の心情や作者の意図を考え、他の人と意見交換をする。
1-2. 学習時間の課題
- 勉強時間と集中時間の乖離
長時間机に向かっていても、集中力が散漫になっている場合、学習効率は著しく低下します。
改善策:タイマーを使い、15分~25分単位で集中して学習する。スマートフォンやゲームなどの誘惑を排除し、集中できる環境を整える。さらに、集中力が途切れたら、短時間の休憩を挟む。休憩中は、軽いストレッチや深呼吸をするなど、リラックスできることをする。
例)25分間集中して勉強し、5分間休憩する「ポモドーロテクニック」を試してみる。勉強する前に、スマートフォンを別の部屋に置いたり、電源を切ったりする。
- 学習計画の欠如
場当たり的な学習では、効率が悪く、学習内容も定着しにくいです。
改善策:長期的な学習計画と短期的な学習計画を立て、計画的に学習を進める。学習計画は、お子さんと一緒に作成し、進捗状況を定期的に確認、修正する。さらに、学習計画には、予備日や復習日を設ける。計画通りに進まなかった場合でも、焦らずに計画を修正する。
例)定期テストの2週間前から、各教科の学習内容と学習時間を具体的に計画する。また、1日の学習計画を立てる際、午前中は集中力が必要な科目を、午後は暗記科目を学習するなど、時間帯によって学習内容を変える。
1-3. 学習環境の課題
- 不適切な学習環境
騒がしい場所や整理整頓されていない場所では、集中力が低下し、学習効率が悪くなります。
改善策:静かで集中できる学習スペースを確保する。学習に必要な教材や文房具を整理整頓し、すぐに取り出せるようにする。さらに、学習スペースには、観葉植物を置いたり、アロマを焚いたりするなど、リラックスできる工夫をするのも良いと思います。
例)図書館や自習室など、静かで集中できる場所で勉強する。また、学習机の上には、必要なものだけを置き、整理整頓された状態を保つ。
- 睡眠不足
睡眠不足は、集中力、記憶力、思考力を低下させ、学習効率を著しく悪化させます。
改善策:十分な睡眠時間を確保する。規則正しい生活習慣を身につけ、睡眠の質を高める。さらに、寝る前にスマートフォンやパソコンなどの使用を控え、リラックスできる時間を作る。
例)毎日同じ時間に寝起きする習慣をつける。また、寝る1時間前からは、スマートフォンやパソコンの使用を控え、読書やストレッチなど、リラックスできることをする。
1-4. 心理的な要因
- 学習意欲の低下
学習に対するモチベーションが低い場合、学習効果は期待できません。
改善策:学習目標を明確にし、達成感を味わえるようにする。お子さんの興味や関心に基づいた学習方法を取り入れる。成功体験を積み重ね、自信を持たせる。さらに、学習の意義や目的を伝え、学習意欲を高める。
例)学習目標を具体的に設定し、目標達成までの道のりを可視化する。また、学習内容に関連する映画やドキュメンタリーを一緒に見たり、博物館や美術館に行ったりする。
- 学習不安
テストや成績に対する不安が強い場合、集中力や思考力が低下し、本来の能力を発揮できません。
改善策:お子さんの不安を受け止め、共感する。不安の原因を特定し、具体的な対策を一緒に考える。リラックスできる時間を作り、ストレスを軽減する。さらに、成功体験を振り返り、自信を持たせる。
例)テスト前に不安を感じている場合、過去のテストで結果を出した経験を振り返り、自信を持たせる。また、テスト後には、結果だけでなく、努力した過程を認め、ねぎらう。
【2. タイプ別詳細改善策】
2-1. 視覚優位タイプ
特徴:図や表、グラフなど、視覚的な情報から学ぶことを得意とする。
改善策:
・教科書や参考書の内容を図解やマインドマップにまとめる。
・色分けされたノートや付箋を活用し、重要な情報を視覚的に強調する。
・学習内容に関連する動画や画像を活用する。
また、自分で図やイラストを描いて学習内容を整理したり、フラッシュカードを作成して暗記したりするのも効果的です。学習内容をプレゼンテーション資料にまとめ、発表する練習をするのもおすすめです。
例)歴史の出来事を年表にまとめ、それぞれの出来事に関連する地図や写真、イラストを添える。また、数学の公式を色分けされた図で表し、視覚的に理解を深める。
2-2. 聴覚優位タイプ
特徴:講義や説明、音読など、聴覚的な情報から学ぶことを得意とする。
改善策:
・教科書や参考書の内容を音読し、耳から情報をインプットする。
・学習内容に関連する音声教材などを活用する。
学習内容を歌やラップにしたり、他の人に説明したりするのも効果的です。また、グループで学習内容について議論したり、発表したりするのもおすすめです。
例)英語の単語や文法をリズムに乗せて歌いながら覚える。また、歴史の出来事を物語風に語り、録音して繰り返し聞く。
2-3. 体感優位タイプ
特徴:実験や体験、グループワークなど、身体的な活動を通して学ぶことを得意とする。
改善策:
・実験や体験を通して、学習内容を体感する。
・グループワークやディスカッションを通して、他の人と意見交換をする。
・学習内容に関連するゲームやシミュレーションを活用する。
学習内容を演じてみたり、学習内容を教える立場になって、他の人に説明するのもおすすめです。
例)社会科の歴史上の人物になりきって劇を演じる。
【3. 長期的な家庭でのサポート】
3-1. 学習習慣の確立
・毎日決まった時間に学習する習慣を身につける。
・学習計画を立て、計画的に学習を進める習慣を身につける。
・学習内容を振り返り、理解度を確認する習慣を身につける。
学習習慣を定着させるために、学習記録をつけたり、学習時間を計測したりするのも効果的です。また、学習習慣を継続できたときには、自分にご褒美を与えるなど、モチベーションを維持する工夫も大切です。
例)毎日同じ時間に学習を始め、学習時間を記録する。また、1週間学習習慣を継続できたときには、好きな映画を見に行くなど、自分にご褒美を与える。
3-2. 学習環境の整備
・静かで集中できる学習スペースを確保する。
・学習に必要な教材や文房具を整理整頓し、すぐに取り出せるようにする。
・十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身につける。
学習環境を快適にするために、照明や温度、湿度などにも配慮しましょう。また、学習スペースに観葉植物を置いたり、アロマを焚いたりするのもおすすめです。
例)学習スペースには、明るすぎず暗すぎない照明を選ぶ。また、学習中に眠くならないように、室温は適切に保つ。
3-3. 心理的なサポート
・お子さんの努力を認め、ねぎらう。
・お子さんの不安や悩みに耳を傾け、共感する。
・お子さんの興味や関心を尊重し、学習意欲を高める。
お子さんの良いところを見つけ、具体的にねぎらうことが大切ではないでしょうか。また、お子さんの不安や悩みを否定せず、受け止めることも重要です。
例)テストで良い点を取ったときには、「よく頑張ったね。努力が実ったね」と具体的にねぎらう。また、テスト前に不安を感じているときには、「不安な気持ちはよくわかるよ。一緒に頑張ろうね」と共感する。
3-4. 保護者自身の学び
保護者の方も、お子さんの学習をサポートするために学び続ける姿勢を持つことも大切だと思います。学習に関する書籍や記事を読んだり、セミナーや講演会に参加したりすることで、最新の情報を得ることができます。
保護者の方同士で情報交換をしたり、同じような悩みを抱える保護者と情報交換をすることで、新たな視点や解決策が見つかることがあると思います。
さらに、保護者の方が学習を楽しむ姿勢を見せることができれば、お子さんの学習意欲を高めることにつながるのではないでしょうか。
例)お子さんと一緒に博物館や美術館に行ったりする。また、保護者の方も新しい趣味に挑戦したり、資格取得を目指したりする。
おわりに
お子さんの成績向上は、一朝一夕に達成できるものではありません。長期的な視点に立ち、お子さんの努力を信じ、根気強くサポートしていくことが大切だと思います。保護者の方の温かい励ましと適切なサポートは、お子さんの可能性を最大限に引き出す力となります。
参考文献
・「できる人の勉強法」(安河内哲也著/中経出版)
・「勉強しない子に勉強しなさいと言っても、 ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋」(石田勝紀著/ダイヤモンド社)
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