英検(実用英語技能検定)は、日本全国で実施されている英語の資格試験で、小学生から社会人まで幅広い年代の人が受験しています。特に近年では、小学生や中学生のうちから英検に挑戦するお子さんが増えていて、保護者の方からも「英検は受けさせた方がいいの?」という質問も多くいただきます。

学校の英語の授業は年々レベルが上がっていて、2020年度の学習指導要領の改訂により、小学校から英語が教科化されるなど、英語教育は大きく変化しています。その中で、英検を活用することは、お子さんたちの英語力を測る一つの基準になるとともに、勉強へのモチベーションを高めるツールにもなり得ます。

今回は、「小中学生が英検を受けることのメリット」について、5つの観点からご紹介していきます。英検を受けることでどんな力がつくのか、将来どんな場面で役に立つのか、具体的に見ていきたいと思います。


1、英語力を客観的に測ることができる

英検は、5級から1級までレベルが段階的に分かれていて、自分の英語力がどの程度かを客観的に確認することができます。小中学生にとって、自分の現在の力を「見える化」することは、勉強への取り組み方を変える大きなきっかけになります。

また、英検では筆記試験に加えてリスニング(聞き取り)や、3級以上では面接(スピーキング)も行われます。これにより、単なる知識ではなく「使える英語力」を測ることができます。

学年に関係なく自分の実力を確認できるのも、英検の大きな特徴です。たとえば、中学1年生が3級に合格すれば、「中学校卒業程度の英語力がある」と判断されることになります。これはお子さん本人にとって大きな自信になるのではないでしょうか。

さらに、英検のスコアは紙の証明書としても残り、長期的に自分の英語学習の履歴として活用することができます。「いつ」「どのレベルに合格したのか」が明確になっているため、進路相談の際にも役立ちます。

こうした理由から、英検を受けることは、英語力を客観的に評価するうえでとても有効な手段と言えると思います。

 

2、学習の目標が明確になる

英検を受けることで、学習の目標がはっきりします。「なんのために勉強しているのか」が明確にあることは、勉強への集中力を高めるためにとても重要です。

たとえば、「5月の英検を受けるから、それまでに単語を300個覚えよう」といった具体的な目標があると、毎日の学習にメリハリが出てきます。英検では、出題範囲が級ごとに大まかに決まっているため、対策も立てやすく、効率的に勉強を進めることができます。

また、合格・不合格がはっきりと出る試験であるため、「目標に向かって頑張る」「結果を受け止めて次につなげる」という経験もできます。これは勉強だけでなく、部活動や他の習い事にも共通する力です。目標を設定し、それに向けて努力し、結果を受け止めるという一連の流れは、お子さんたちの成長にとって非常に大きな意味があるのではないでしょうか。

また、英検は年に3回受験のチャンスがあるので、もし不合格になっても、次の試験に向けて再チャレンジすることが可能です。この「やり直しがきく仕組み」も、お子さんたちにとっては安心材料になります。「一度の失敗で終わりではない」という考え方は、健全な学習意欲を育てるうえでとても重要だと思います。

実際に指導現場でも、「英検に向けて頑張るようになってから、英語だけでなく他の教科の成績も上がった」という声をよく耳にします。目標を持って努力する経験は、他の場面でも応用できるからです。

さらに、お子さんたちが自分で「目標を立てて行動する」という習慣を身につけるきっかけにもなり得ます。これは将来、受験や社会に出たときにも活きるスキルの一つです。

このように、英検は学習の目標を具体化し、毎日の学習に目的意識を持たせることができる方法の一つとして、活用する価値があるのではないでしょうか。

 

3、英語の4技能がバランスよく身につく

英検では、リーディング(読む)、リスニング(聞く)、ライティング(書く)、スピーキング(話す)の4技能をバランスよく問う構成になっています。

小学校や中学校では、どうしても文法や単語の暗記に偏ってしまいがちですが、英検の勉強をすることで自然と「英語を使う」力が育っていきます。たとえば、3級以上ではライティングやスピーキングの試験が導入されており、自分の考えを英語で表現する練習が不可欠です。これによって、暗記型の学習では得られない「伝える力」が身につきます。

さらに、リスニングの問題も日常生活を想定した会話が多く、実際に使える英語の聞き取り練習になります。英語の音に慣れていないお子さんでも、繰り返し学習することで徐々に聞き取れるようになっていきます。市販のリスニング教材や、英検の過去問を活用して耳を慣らしていくことが効果的です。

スピーキングでは、オンラインの模擬面接や家族との練習などを通じて、英語を声に出す経験が積めます。学校の授業ではなかなか一人ひとりが英語を話す機会は多くないため、こうした英検対策はスピーキング力をつける貴重な時間となります。

4技能をバランスよく鍛えることで、単なるテスト対策ではなく、将来に役立つ英語力を身につけることができます。特にスピーキングやライティングは、大学入試や社会人になってからも求められる力なので、小中学生のうちから少しずつ慣れておくと安心です。

このように、英検の学習は教科書の内容を超えて、より広い視点で英語を学ぶきっかけとなり、使える英語力を育てる点で非常に価値があります。

 

4、学校の授業やテストに強くなる

英検に向けた勉強は、学校での英語の授業内容を深めるだけでなく、定期テストや入試対策としても効果的です。英検の対策では、語彙力、文法力、読解力、そして実践的な英語表現を総合的に学ぶことになるため、自然と授業内容の理解が深まります。

たとえば、英検3級の出題範囲には中学校卒業レベルの単語や文法が含まれていて、それを目標に勉強することで中学の授業内容を先取りすることができます。さらに、英検で学んだ表現やフレーズは、教科書や定期テストでも出題されるため、試験対策としても直接的に役立ちます。

また、英検の長文読解問題では、テーマが学校生活や趣味、社会問題など多岐にわたり、読解力の向上にもつながります。内容を正確に読み取る力は、国語や他の教科にも通じる学力の基礎となるため、英語の枠を超えて総合的な力を伸ばすことにもつながります。

実際に、英検の勉強を通じて「授業の内容がよくわかるようになった」「英語のテストで点が取れるようになった」といった声も多くあります。特にリスニング力が上がることで、リスニングテストへの苦手意識が減るお子さんも少なくないようです。

また、英検を受けることで「やれば出来る」という自信がつき、その後の授業への取り組み方が変わるというケースもよく見られます。英語に対する肯定的な気持ちが持てるようになることは、学習意欲の維持にも大きな効果をもたらします。

このように、英検の勉強は学校での授業内容を深め、テスト対策としても役立ち、英語学習の質を高める良いきっかけになります。

 

5、将来の進路や夢の実現に役立つ

英語力はこれからますます重要なスキルとなっていきます。その中で、英検を通して英語力を証明できることは、将来の進路選択や職業選択においても大きな意味を持ちます。

たとえば、私立中学校や高校の入試では、英検の級に応じて加点されたり、試験の一部が免除されたりする場合があります。また、大学入試においても、英検準2級や2級以上を持っていることで、外部検定利用制度の対象となることがあり、選択肢が広がる要因になります。

さらに、将来的に留学を考えている場合にも、英検の結果は出願書類として利用できることがあり、早い段階で英語資格を取得しておくことは大きなアドバンテージとなります。

社会に出てからも、英語が必要とされる仕事は数多くあります。観光業、航空業界、商社、外資系企業、IT系ベンチャーなど、英語ができる人材を求める企業は年々増えています。小中学生のうちから英語力を高めておくことで、将来の夢に向かって早めの準備ができます。

また、英検という目標に向けて努力した経験は、他の資格試験や受験、あるいは社会に出てからの挑戦にも良い影響を与えるのではないでしょうか。

このように、英検は単なるテストではなく、将来の進学・就職・自己実現に向けた土台となる力を育ててくれる存在です。

 

まとめ

この記事では、「小中学生が英検を受ける5つのメリット」を中心に解説してきました。

1つ目は、自分の英語力を客観的に知ることができるという点。2つ目は、学習の目標が明確になり、努力を積み重ねやすくなる点。3つ目は、英語の4技能をバランスよく身につけられる点。そして4つ目は、学校の授業やテストでの理解力や成績向上につながる点。最後に5つ目として、将来の進路や夢の実現にも役立つ点です。

これらを総合すると、英検は単なる試験ではなく、「英語を学ぶ意味」「勉強を続ける理由」をお子さんたちに与えてくれるものだと言えるかも知れません。もちろん、無理に受けさせる必要はありませんが、少しでも興味があれば、気軽にチャレンジしてみることをおすすめします。

 

【参考文献】

日本の英語教育(山田 雄一郎著/岩波書店)



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