大学進学を目指す中で、「指定校推薦ってうちの子に合うのかな?」と考える保護者の方は多いのではないでしょうか。一般入試と違い、早めに進路が決まる指定校推薦は魅力的に見えますが、一方でデメリットも存在します。高校生活での成績や態度が評価されるため、普段からの積み重ねが問われる制度でもあります。

この記事では、指定校推薦と一般入試の違いを整理しながら、それぞれのメリットと注意点をご紹介します。お子さんの性格や学力、希望進路に応じて、どちらがよりふさわしいのかを考えるヒントになれば幸いです。

 

1、指定校推薦とはどんな制度か?

指定校推薦とは、大学が特定の高校に対してあらかじめ推薦枠(=入学枠)を割り当て、その高校から推薦された生徒を優先的に合格させる制度です。高校側が推薦できる人数や条件は大学ごとに異なり、枠内での選考は主に校内で行われます。

選ばれた生徒は、大学からの提示条件(評定平均や生活態度など)を満たしていれば、書類選考や面接のみで入試が完結する場合が多く、学力試験を課されることはほとんどありません。合格率が非常に高いため、早めに進路を確定したい生徒には非常に魅力的な制度です。

特に私立高校では、大学とのつながりが強く、指定校推薦の枠を多く持っていることもあります。ただし、この制度には「入学辞退ができない」などの制約があり、安易に進路を決めてしまうと後悔につながる可能性もあります。

だからこそ、指定校推薦を目指す際は、成績だけでなく、自分の将来像や学びたい内容としっかり向き合った上で判断することが求められます。

 

2、指定校推薦と一般入試の主な違い

指定校推薦と一般入試では、求められる力や選考方法が大きく異なります。一般入試は、筆記試験を中心に学力重視で選抜されますが、指定校推薦は主に高校内の成績や生活態度、人物評価などが選考の基準になります。

また、指定校推薦では「合格すれば必ず進学する」ことが原則のため、進路変更の自由度が低くなります。自分の特性や希望に合わせて、慎重に選ぶことが大切です。

 

3、指定校推薦に必要な評定平均とは

指定校推薦を受けるためには、内申点とも呼ばれる「評定平均」が重要な基準になります。一般的に4.0以上が目安とされますが、人気の大学・学部では4.5以上が必要な場合もあります。

評定平均は1・2年次の成績も含まれるため、早い段階から計画的に学習に取り組む必要があります。普段の授業態度や提出物も評価に含まれるため、地道な努力が結果につながります。

 

4、学校での態度や内申が重視される理由

指定校推薦では、大学が高校を信頼して枠を与えているため、成績だけでなく「学校生活全体での評価」が重視されます。授業態度や提出物の丁寧さ、遅刻や欠席の少なさ、部活動や委員会活動への取り組みもポイントになります。

推薦は学校の「顔」として大学に送り出されるため、誠実な態度が求められます。日頃の行動が推薦に直結するという意識を持って過ごすことが重要です。

 

5、指定校推薦のメリット:早期に進路が決まる安心感

指定校推薦の最大のメリットは、早期に進路が決まる安心感です。一般入試よりも早い時期に合否がわかるため、精神的な負担が大きく軽減されます。

また、合格後は受験勉強から解放され、自分の興味関心に基づく学びや課外活動に時間を使うことができます。高校生活の終盤を穏やかに過ごせることで、心身ともに健やかな状態で大学進学に備えることが可能になります。

 

6、指定校推薦のデメリット:進路変更が難しい

指定校推薦は「合格したら必ず進学する」という約束のもとで成り立っています。そのため、合格後に他大学への受験や進路変更は原則として認められません。志望動機が曖昧なまま受験すると、後になって「他の選択肢も考えたかった」と後悔することもありえます。

推薦に応募する前には、自分の将来像や大学で学びたい内容について、よく考え確認することが大切です。

 

7、どちらが向いている?お子さんのタイプ別に考える

指定校推薦と一般入試、どちらが合っているかは、お子さんの性格や学習スタイルによって異なります。たとえば、コツコツと地道に努力を重ね、内申点をしっかり積み上げられるタイプのお子さんには、評定平均が重視される指定校推薦が向いている可能性が高いと言えると思います。出席日数や生活態度なども評価に含まれるため、普段から真面目に取り組んでいる姿勢が活かされます。

一方で、模試や実力テストで高得点を取ってきたお子さんや、本番に強く応用力に自信があるお子さんには、学力重視の一般入試の方がチャンスを広げやすいかもしれません。

どちらが「正解」かは一概に言えませんが、重要なのは、お子さん自身がその選択に納得し、モチベーションを持って受験に臨めるか、ということではないでしょうか。

保護者の方は、「推薦で確実に行ける方がいい」「一般入試の方がいい」といった一方的な価値観を押しつけず、まずはお子さんの気持ちや希望を丁寧に聞くことが大切です。そして、学校の先生の意見なども参考にしながら、お子さんにとって最も自然に力が発揮できる道を一緒に考えていければ良いと思います。

 

8、家庭で話し合っておきたいポイントと準備の進め方

指定校推薦を視野に入れるなら、学校任せにせず、ご家庭でも早い段階からしっかりと話し合いを重ねることがとても大切です。まずは「なぜその大学・学部を志望するのか」「将来どんなことをしたいのか」といった動機を親子で共有しましょう。

ただ評定平均を満たしているからという理由だけで選ぶと、入学後のモチベーションが下がる原因になる可能性があります。

ご家庭では、お子さんが普段の学校生活にどのように取り組んでいるかを見守りつつ、必要に応じて改善点をフィードバックすることも重要です。内申や生活態度が選考に影響するため、日頃の振る舞いも見逃せません。また、他の受験方法(一般入試や総合型選抜など)と比較して、どの道が最も合っているのか、親子で冷静に見極めることが必要だと思います。

推薦枠を確実に得るためには、提出書類や面接対策などの準備も早めに始めると安心です。何より、お子さんが「この道でいい」と納得して進めるよう、親が信頼し、寄り添う姿勢が最も大きな支えになります。

指定校推薦は、学校での評価が高く、コツコツ努力を続けられるタイプのお子さんに向いています。早期に進路が決まり受験のストレスを軽減できる反面、一度内定すれば他の大学へのチャレンジができないなどの制約もあります。

一方、一般入試は自分の力で志望校を目指せる自由度がありますが、精神的・体力的な負荷も大きいものです。どちらが良いかは一概に言えず、お子さんの学力や性格、将来の目標によって異なります。早めに情報を集め、ご家庭でよく話し合うことがとても大切です。

 


【参考文献】「提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜」(かんき出版/小林尚著、橋本尚記著)



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