受験生になって多くのご家庭で直面する問題の一つに「志望校のすれ違い」があると思います。保護者の方は将来のことを考えて志望校を選ぶ一方で、お子さんは部活動や校風、友人関係などを重視して別の学校を選びたいと思うことがあります。

逆に、お子さんが現実的には厳しいと思われる学校を志望していて、保護者の方としては家から近い高校に通って欲しい、なんてこともありますよね。

どちらも「お子さんのため」を思ってのことですが、価値観や視点の違いから、話し合いがすれ違ってしまうことも少なくありません。大切なのは、「誰の人生なのか」を一度立ち止まって考えることではないでしょうか。お子さん自身が納得して選んだ進路こそが、受験後の努力や成長につながります。この記事では、親子で意見が食い違ったときにどう向き合えばよいか、冷静に話し合うためのヒントをお伝えします。ぜひご参考になさってください。

 

1、まずはお子さんの意見を最後まで聞く

志望校の話になると、つい「その学校は無理」「もっと上を目指して」などと口を挟みたくなりますが、まずはお子さんの考えを遮らずに最後まで聞くことが大切です。お子さんがその学校を選んだ理由には、学力だけではない背景や思いがあるはずです。

たとえば、「好きな部活がある」「雰囲気が自分に合っている」といった点も、学校生活を送るうえでは大切な要素です。逆に、難易度の高い学校を志望している場合も、「どうしてその学校に行きたいのか」をじっくり聞くことで、意欲の強さや目的意識が見えてきます。まずは否定せずに受け止める姿勢が、今後の建設的な話し合いの土台になります。

 

2、志望理由を「否定」ではなく「理解」する姿勢を持つ

お子さんの志望理由が「友達が行くから」「制服がかわいいから」といった一見軽いものに聞こえても、すぐに否定するのではなく、「そう思う理由」を掘り下げて聞いてみましょう。そこから本当の動機や価値観が見えてくることがあります。

また、難易度の高い学校を目指している場合にも、ただ「厳しいから無理」と突き放すのではなく、「どう頑張れば届くと思う?」と問いかけてみることで、現実的な視点を促せます。理解しようとする姿勢があると、お子さんも「聞いてもらえた」と感じ、親子の信頼関係が深まります。話を受け止めることは、相手を変える第一歩です。

 

3、保護者の希望も正直に伝える

お子さんの意見を尊重することは大切ですが、保護者としての考えを伝えることも必要だと思います。「心配だから」「通学が負担になりそうだから」といった現実的な理由は、隠さずに丁寧に話していいと思います。ポイントは“押し付けない伝え方”です。「あなたのことを思ってこう感じている」と、感情よりも背景を説明することで、対立ではなく共有になります。

また、上位校を勧めたい場合は「今の努力を続ければ可能性があると思うよ」と前向きな言葉で伝えるのが効果的です。お互いの希望を出し合うことで、現実的かつ納得感のある選択肢が見えてきます。

 

4、両者の「優先したい価値」を整理する

親子の志望校の違いは、価値観の違いでもあります。保護者の方は「将来のこと」や「通学の安全性」を重視しやすく、一方でお子さんは「校風」や「人間関係」を重視する傾向があると思います。どちらも間違いではありません。お互いが何を大切にしているのかを言葉にし、「何を最優先にするか」を整理することが大切です。

たとえば「無理のない通学」「本人が伸び伸び過ごせる環境」など、共通の軸を見つけると話が進みやすくなります。価値観の整理は、受験のためだけでなく、お子さんが将来の選択を考える力を育てる機会にもなります。

 

5、学校見学や説明会に一緒に参加する

パンフレットや評判だけでは、学校の実際の雰囲気はわかりません。志望校が食い違っているときこそ、親子で学校見学や説明会に足を運んでみましょう。お子さんが「この学校に行きたい」と思う理由が具体的に理解できたり、逆に「思っていた雰囲気と違う」と気づくこともあります。

現地で感じる緊張感や環境を知ることは貴重な体験です。保護者の方にとっても、先生や在校生の様子を見ることで安心材料が増えます。実際に「見る」「感じる」ことが、話し合いを感情論から現実的な判断へと導いてくれます。

 

6、第三者(先生など)に意見を聞く

親子だけで話していると、感情的になりがちです。そんなときは、学校の先生や塾の先生、家庭教師など、第三者の意見を取り入れるのが効果的です。客観的な学力データや合格実績をもとに、冷静なアドバイスをもらうことで、現実的な判断がしやすくなります。

また、保護者の方が「難しい」と感じていた志望校も、先生の視点から「努力次第で届く」と評価されることもあります。反対に、厳しい場合も具体的な根拠がある説明なら、お子さんも納得しやすいのではないでしょうか。信頼できる第三者を交えることで、親子の対話に安心感と客観性が生まれます。

 

7、将来像から逆算して話し合う

志望校の選択は「今の学力」だけでなく、「将来どうなりたいか」から考えることも大切です。保護者の方は進学実績や就職を重視しがちですが、お子さんの将来像を聞くことで、進路の方向性が見えてきます。

たとえば、「将来デザイン系の仕事がしたい」「スポーツを続けたい」など、目標がわかれば、それに合う学校が見つけやすくなります。お互いの意見を「将来から逆算して考える」視点に立てば、どちらの考えも尊重しながら選択できるのではないでしょうか。

 

8、「合格できるか」だけでなく「通いたいか」も重視する

志望校選びでは、「合格できるか」という基準だけにとらわれがちです。ただ、入学後に「通いたいと思えるか」「環境が合うか」も同じくらい重要です。偏差値的に合っていても、学校生活に満足できないと、勉強への意欲が続きません。

反対に、多少レベルが高くても、強い憧れや目標がある学校なら、努力の原動力になることもあります。保護者の方は「合格可能性」と同時に「通うイメージ」をお子さんと共有し、「ここで学びたいと思えるか」を一緒に考えてみましょう。志望校選びは、点数ではなく人生の満足度を左右する大切な選択です。

 

9、最終的にはお子さんの意志を尊重する

最終的な進路の決定は、お子さん自身の意志に委ねることが理想です。もちろん、保護者の方は経験や現実的な視点からアドバイスをする役割がありますが、最終的に通うのはお子さん自身。本人が納得して選んだ学校であれば、困難があっても自分の責任として乗り越えようとします。

たとえ結果が思うようでなくても、その経験が次の挑戦への糧になります。反対に、親の意向で決めた場合は、うまくいかないときに「親のせい」と感じてしまうことも…。最終判断を任せることは、信頼と自立を育てる最良のサポートではないでしょうか。

 

まとめ

志望校の意見が合わないとき、親子のどちらかが「折れる」必要はありません。むしろ、互いの考えを言葉にして共有する過程が大切です。保護者の方が思う「安全な選択」も大切ですが、お子さんが本当に行きたい学校を選ぶことで、入学後の努力のモチベーションは変わります。

押しつけられた選択では、うまくいかないときに他責になりやすく、自立の妨げにもなります。保護者の方がサポートすべきは「正しい方向に導くこと」だけではなく、「お子さんが自分で考え、決断できる環境を整えること」でもあると思います。意見の違いをきっかけに、親子で将来への対話を深める機会にしていただければと思います。

 

参考文献:子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる(根本裕幸著/実務教育出版)



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