近年の中学、高校英語では、扱う英単語数が大幅に増えています。大学入試改革やグローバル化の影響もあり、「覚えればOK」という学習法では対応しきれないほどの量になっています。実際、共通テストで必要とされる単語数は、およそ4000〜5000語とも言われています。これに加えて、リスニングやスピーキング重視の傾向から、「使える単語力」も求められるようになりました。
「量が多すぎて覚えきれない…」と悩むお子さんも多いのではないでしょうか。そんな今だからこそ、英単語の覚え方を見直すことが大切です。スマホアプリや音声学習など、便利なツールを上手に使えば、効率よく記憶に定着させることができます。今回は「英単語を楽しく・確実に覚える」ための方法をお伝えします。
1、なぜ今、英単語数が増えているのか?教育改革の背景を知る
ここ数年で、中高生が学ぶ英単語の数は大きく増えました。文部科学省の学習指導要領が改訂され、小学校から英語が本格的に教科化されたこと、そして高校・大学入試で「読む・書く・聞く・話す」の4技能が重視されるようになったことが背景にあります。
特に中学生では、以前の約1,200語から約1,600〜1,800語へ、高校生では大学入試で4,000〜5,000語レベルが必要とされています。これは単に「量」が増えたというより、「使える英語力」を育てる方向にシフトしているためです。つまり、「単語を知っている」だけでなく、「文脈で使える」ことが求められているのです。時代の変化に合わせた学び方を取り入れることが、今後の英語力アップのカギになります。
2、複数の意味を持つ単語は要チェック!
英語には、ひとつの単語が複数の意味を持つものがたくさんあります。たとえば「run」は「走る」だけでなく、「経営する(run a company)」や「動く(run a machine)」など、実に30以上の意味を持ちます。こうした多義語は、単語テストだけでなく読解やリスニングでも頻出です。文脈によって意味が変わるため、「単語=1つの意味」で覚えると、実際の英文で混乱してしまうことも。
中学生はまず、教科書に出てくる多義語を意識して整理することから始めましょう。高校生は、長文読解や英検の過去問の中で「どんな使われ方をしているか」をチェックするのがおすすめです。単語帳を使う際も、例文をしっかり読み、意味の使い分けを確認することが大切です。
多義語を意識して学ぶことで、読解力と表現力の両方がアップします。「知っている単語なのに意味がわからない」を防ぎ、英語の理解が一段と深まるはずです。
3、短時間でも効果的!スキマ時間学習の活用法
部活や習い事などで忙しい中高生にとって、「まとまった勉強時間を確保する」のは簡単ではありません。そんなときこそ力を発揮するのが「スキマ時間学習」です。通学の電車内や寝る前の10分など、ちょっとした時間を積み重ねることで、大きな差が生まれます。
コツは「小分けにして、繰り返す」こと。1回の勉強で50単語を詰め込むより、1日10単語を5回復習する方が記憶に残りやすいとされています。スマホの単語アプリを活用すれば、手軽に単語チェックが可能。さらに、朝の5分を「昨日の復習」に使うだけで、記憶定着率が大きく上がります。忙しい毎日でも「細切れ学習」を意識することで、英単語習得が無理なく続けられます。
4、スマホアプリで学ぶ時代
紙の単語帳も良いですが、現代の中高生には「スマホ学習」も効果的です。電車で移動中や待ち時間にさっと開けるアプリは、継続力の強い味方。ただし、注意したいのは「SNSと同じ端末」で学ぶ誘惑。通知オフ機能や時間制限機能をうまく活用し、集中できる環境を整えましょう。紙とデジタルを組み合わせた“ハイブリッド学習”が、令和世代のお子さんには抵抗なく始められる英単語勉強法ではないでしょうか。
5、「五感で覚える」音声・映像を使った記憶法
英単語は「目で見る」だけでなく、「耳で聞く」「口で言う」「手で書く」を組み合わせることで定着力が格段に上がります。特に中高生は、発音と綴りを同時に学ぶことが大切です。CD付きの単語帳や音声アプリを使い、声に出して発音練習をすると、リスニング力も同時に鍛えられます。
YouTubeや英語学習アプリでネイティブの発音を真似するのも効果的です。また、映像を通じて単語とイメージを結びつけると、記憶が長続きします。たとえば「ocean(海)」という単語を、実際の海の映像と一緒に覚えると、感覚的に理解できます。見る・聞く・話す・書く―この4つを同時に使うことが、“忘れない英単語学習”の秘訣です。
6、復習タイミングがカギ!忘れにくくする間隔反復法
せっかく覚えた英単語も、復習しないとすぐに忘れてしまいます。人の記憶は「エビングハウスの忘却曲線」で知られるように、1日後には約70%忘れるといわれます。そこで効果的なのが「間隔反復法」。1日後、3日後、1週間後、1か月後と、少しずつ間隔を空けながら復習する方法です。
復習を前提にしたスケジュールを組むことで、覚えた単語が「短期記憶」から「長期記憶」に変わり、テストでもしっかり思い出せるようになります。
7、例文ごと覚えることで長期記憶に変えるコツ
単語を単独で覚えるより、例文の中で覚える方が圧倒的に定着します。たとえば“success(成功)”を「success=成功」と暗記するより、“He worked hard and got success.”と文で覚えた方が、意味・使い方・文構造まで自然に身につきます。
例文を声に出して読んだり、自分の生活に置き換えて言い換えたりするのもおすすめです。たとえば“I studied hard and got success on my test!”など、自分の体験に結びつけることで記憶が強化されます。中学生は教科書の本文、高校生は英検や共通テストの過去問を素材にして、文脈で語彙を増やすのがポイントです。「単語+文」で覚えることは、英語を“使える知識”へと変える方法にもなり得ます。
8、英単語を覚える目的を持つ
英単語を効率的に覚えるには、目的をもつことが重要です。特におすすめなのが「英検対策」と並行して学ぶ方法です。英検では級ごとに明確な出題単語レベルが設定されており、合格を目標にすれば自然と語彙力が伸びます。
中学生なら3級〜準2級、高校生なら2級〜準1級を目指すのが一般的です。英検の過去問やリスニング教材を使えば、単語が実際にどう使われるかも学べます。「単語を覚えるための勉強」ではなく、「英検合格のための勉強」の中で「単語を覚える」という意識を持つと、自然にモチベーションが続きます。
9、モチベーション維持の秘訣〜続けるための環境づくり〜
英単語学習で一番大切なのは「続けること」です。短期間で一気に詰め込むより、毎日コツコツ継続する方が圧倒的に効果的です。モチベーションを保つには、達成感を感じられる仕組みを作りましょう。たとえば「1日10単語」「1週間で100単語」といった小さな目標を立て、達成したらカレンダーに印をつけるのもおすすめです。
スマホアプリなら進捗がグラフで見えるので、やる気が続きやすくなります。さらに、家族や友達と「単語テスト」を出し合うなど、楽しく続ける工夫も効果的です。学ぶ環境を整えることで、お子さんが「英単語=苦手」から「英単語=得意」へと変わるきっかけになります。継続が、最強の学習法です。
まとめ
英単語を覚えることは、英語力の土台を作る大切なステップです。ただ、中学、高校英語では「ただの暗記」では通用しません。聞く・話す・読む・書くのすべてにおいて、単語を「使いこなす力」が求められています。
また、勉強は「続けること」が一番の近道。スキマ時間の活用や友達との共有、目標設定など、モチベーションを保つ工夫も忘れずに。今回ご紹介した方法を通して、お子さんが「英単語=苦手」から「英単語=できる!」へと変わるきっかけになれば嬉しいです。
参考文献:学習指導要領 文部科学省
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