「テストどうだった?」と聞いても、
「べつに」「ふつう」と答えるだけで、成績表や答案を見せてくれない…。
そんなお悩みを抱えている保護者の方は、とても多いと思います。
「隠すなんて、何かやましいことがあるのかな」
「もしかして、私(親)が怖いのかな…」
「信頼されていないのかも」と落ち込んでしまう
こんなふうに感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
でも、子どもが成績を見せてくれないのは、親を困らせたいからではありません。
その裏側にはたいてい、
怒られるのが怖い
がっかりされたくない
自分でもショックで、まだ見せる心の準備ができていない
といった、繊細で揺れ動く気持ちが隠れています。
特に小学生・中学生の時期は、自己肯定感が育つとても大切な時期です。
ここで成績のことで親子関係がギクシャクしてしまうと、勉強そのものが嫌いになってしまうきっかけにもなりかねません。
この記事では、
子どもが成績を見せてくれない主な理由
そんなときに親はどう接したらいいのか
今日から使える、具体的な声かけの工夫
を、わかりやすくお伝えしていきます。
「成績を見せない子どもへの対処法」を知っておくことで、親子の関係を守りながら、勉強への前向きさも取り戻していきましょう。
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1.まずは「見せない」という選択を、責めずに受け止める
子どもが成績表やテスト結果を見せてくれないとき、
つい、
「なんで隠すの!」
「見せなさいって言ってるでしょ!」
と強く言ってしまいたくなるかもしれません。
でも、小中学生にとって成績は、
**「自分の価値が数字で評価されるもの」**のように感じられやすいものです。
●子どもの頭の中には、こんな不安が…
「こんな点数、絶対怒られる」
「がっかりされたくない」
「自分でもショックだから、見せたくない」
つまり、「見せない」は“反抗”というより、
自分を守ろうとする防衛反応であることが多いのです。
ここで保護者が感情的になってしまうと、子どもは
「やっぱり怒られた」
「わかってもらえない」
と感じて、ますます心を閉ざしてしまいます。
●最初にかけたい言葉の例
「見せたくないくらい、ショックだったんだね」
「今はまだ見せたくない気持ちもわかるよ」
「落ち着いたら、一緒に見てみようか」
成績よりも、まず子どもの気持ちを優先してあげること。
この“受け止める姿勢”が、後々「自分から見せてもいいかも」と思える安心感につながります。
2.「どうだった?」よりも「どんなところ頑張った?」と聞いてみる
成績を見せてくれない子どもに対して、つい口にしがちなのが
「で、何点だったの?」
「前より上がった?下がった?」
という“結果を直接たずねる質問”です。
もちろん親として気になるポイントではありますが、子どもからすると
「点数でしか判断されないんだ…」
とプレッシャーを感じてしまうことも少なくありません。
●質問の仕方を少し変えてみる
たとえば、こんな聞き方に変えてみると、一気に空気がやわらぎます。
「今回は、どんなところを頑張った?」
「テスト前、何か工夫したことあった?」
「難しかったところはどのあたりだった?」
結果ではなく“過程”に関心を向ける質問をすることで、
「見せても怒られないかも」
「話を聞いてもらえるかも」
と、子どもが少しずつ心を開きやすくなります。
●子ども自身の振り返りにもつながる
頑張ったところを言葉にすることは、
子ども自身にとっても「自分なりにやったこと」を確かめる作業です。
結果が悪かったとしても、
「ここはちゃんとやった」「ここはまだ甘かった」と、自分で整理できるようになります。
3.「成績より努力」を“口だけ”で終わらせない
「結果より頑張りが大事だよ」と口では言っていても、
実際には点数や順位ばかりを見てしまっていないでしょうか。
子どもはとても敏感なので、
口では「努力が大事」と言うのに、
実際には点数が悪いときだけ強く叱られる
という経験が重なると、
「どうせ結果しか見てくれていない」
と感じてしまいます。
●努力や過程を“具体的に”ほめる
たとえばこんな言葉を、意識して増やしてみてください。
「テスト前、ちゃんと机に向かってたね」
「苦手な計算、あきらめずにやってたの見てたよ」
「前より見直しの時間を取っていたね」
行動レベルでほめられると、子どもは「見てくれている」と感じやすくなります。
結果がうまくいかなかったときほど、
「前より集中できてたと思うよ」
「今回はここまでできたね。次はここにチャレンジしてみようか」
と、“小さな成長”を言葉にしてあげることが大事です。
4.「見せるのが怖い」気持ちに気づいてあげる
成績を隠す子どもの多くは、ただの“反抗期”ではありません。
その心の中には、
失敗する自分を見せるのが怖い
親にがっかりされたくない
自分でも落ち込んでいるから、触れられたくない
といった不安や自信のなさが渦巻いています。
●こんな言葉をかけてみよう
「点数が悪かったら、怒られるって思ってる?」
「がっかりさせちゃうかもって、心配してる?」
と、そっとたずねてみるのもひとつです。
そのうえで、
「どんな点数でも、一緒に考えていこうね」
「悪い結果でも、どうすれば良くなるか一緒に作戦立てれば大丈夫だよ」
と伝えてあげると、子どもは
「見せても大丈夫かもしれない」
と感じやすくなります。
●自分の頑張りを評価させる質問も効果的
「頑張った自分のこと、どう思う?」
「今回は、自分的に何点くらいあげたい?」
こうした質問は、子どもに**“自己評価の軸”**を育てる助けになります。
5.親の「最初のひと言」が、次に見せてくれるかどうかを決める
子どもが勇気を出して成績を見せてくれたとき、
保護者の“最初のリアクション”は本当に大きな意味を持ちます。
「えっ、こんな点数だったの?」
「なんでこんなに悪いの?」
たとえ無意識でも、驚いた顔やため息が出てしまうと、子どもは
「やっぱり見せなきゃよかった」
「次はもう見せたくない」
と感じてしまいます。
●最初に伝えたいのは「評価」ではなく「ねぎらい」
「まずは、ちゃんと最後まで受けてきてえらいね」
「テスト、お疲れさま」
「見せてくれてありがとうね」
この“ワンクッション”があるだけで、子どもの心の受け止め方は大きく変わります。
改善点を話すのは、ねぎらいのあとで十分です。
「ここはよくできているね」
「この教科は伸びてきたね」
と良いところを先に見つけてから、
「ここは次、一緒に対策考えようか」
と続けると、子どもは素直に話を聞きやすくなります。
6.「次どうする?」を一緒に考える時間にする
成績を見せてもらえたら、
そこから先は“ダメ出しの時間”ではなく、**「次の作戦会議の時間」**に変えていきましょう。
●目標は親ではなく、子どもに決めさせる
「次はどこを頑張りたい?」
「どの教科からテコ入れすると良さそう?」
「無理なくできそうなことって、どんなことかな?」
と問いかけて、お子さん自身に考えてもらうことが大切です。
保護者は、
「これはどう?」「こういうやり方もあるよ」
と**選択肢を提案する“アドバイザー役”**にまわるイメージです。
●小さくていいので、具体的な目標にする
「漢字テストで次は80点を目指す」
「毎日10分だけ、計算ドリルをやる」
「英単語を1日5個だけ覚える」
など、“ちょっと頑張れば届きそう”な目標が理想です。
達成できたら、
「本当に続けられたね」
「約束を守れたの、すごいよ」
としっかり認めてあげることで、次への自信とやる気につながっていきます。
7.成績を見せる時間を「怖い時間」から「安心の時間」に変える
子どもにとって、「成績を見せる時間」が
怒られる時間
比べられる時間
になってしまうと、当然ながら見せたくなくなります。
逆に、その時間が
「頑張りをわかってもらえる時間」
「これからどうするかを一緒に考える時間」
になれば、子どもは少しずつ“成績を共有すること”に安心感を持てるようになります。
●ちょっとした工夫で、空気は変えられる
食後など、比較的リラックスしている時間に話す
いきなり成績表を見るのではなく、「今日はどうだった?」と雑談から入る
最初に“ほめ言葉”からスタートする
たとえば、
「まず、この科目よく頑張ったね」
「ここ、前より上がってるのうれしいね」
など、プラスの部分を先に伝えることを習慣にすると、子どもも少しずつ表情がやわらいできます。
8.成績が悪いときほど「信じているよ」を伝える
点数が悪かったとき、
子どもは一番「自分自身にがっかり」していることが多いです。
そんなときこそ、保護者の
「それでも、あなたのことはちゃんと信じているよ」
という一言が、何よりの支えになります。
●こんな言葉が子どもの心を支えます
「今回はうまくいかなかったかもしれないけど、あなたならまた頑張れると思うよ」
「結果はともかく、ちゃんと向き合っていること知ってるからね」
「失敗しても、何回でもやり直せるから大丈夫だよ」
「次は頑張ろうね」よりも、
**「あなたなら大丈夫」「信頼しているよ」**のメッセージのほうが、長い目で見たときのやる気につながります。
9.家庭では「比べない」「競わせない」をルールに
子どもが成績を見せたくない理由の一つに、
**「他の人と比べられるのが怖い」**というものがあります。
「お兄ちゃんはもっとできたのに」
「〇〇ちゃんは90点取ったらしいよ」
つい言ってしまいがちな言葉ですが、
これは子どもの自己肯定感を大きく下げてしまいます。
●比べるのは「他人」ではなく「過去の自分」
家庭の中では、
「前回よりどうだった?」
「自分で成長したと思うところはどこ?」
と、“他人”ではなく“本人の変化”に注目してあげてください。
家庭が「失敗しても安心できる場所」になっていると、
子どもは自分から成績やテストについて話しやすくなります。
10.今は見せてくれなくても「関心を持ち続ける」
成績をなかなか見せてくれない時期が続くと、
保護者の側も疲れてしまいますよね。
だからといって、
「もういい。好きにしなさい」
と突き放してしまうと、子どもは
「もう自分のことなんてどうでもいいんだ」
「話しても意味がない」
と感じてしまうことがあります。
●見せてくれなくても、できることはたくさんある
「最近の勉強で、ちょっと頑張れたところある?」
「次のテスト、どんな気持ちでのぞみたい?」
と、成績そのものではなく“日々の気持ち”や“努力”について話せる関係を保っておくことが大切です。
「点数を見せなくても、あなたのことをずっと気にかけているよ」
というメッセージが伝わると、子どもは時間はかかっても、少しずつ心を開いてくれるようになります。

まとめ|「見せない」の裏側にある気持ちを想像してあげよう
子どもが成績を見せてくれないのは、
決して「親を困らせたいから」でも、「反抗したいから」でもありません。
その多くは、
見せるのが怖い
がっかりされたくない
自分でもショックで、まだ向き合えない
といった、**不安や自信のなさからくる“自己防衛”**です。
だからこそ保護者の方には、
成績を「結果報告」ではなく「成長の途中経過」として受け止めること
まずは子どもの気持ちに寄り添い、努力や過程をしっかり認めてあげること
他の子と比べるのではなく、「その子なりのペース」を大切にすること
を意識していただけたらと思います。
成績を見せない時期は、一時的なものです。
親が落ち着いて寄り添い続けることで、
「次は見せても大丈夫かもしれない」
と、子どもは少しずつ勇気を出せるようになります。
成績表をきっかけに親子関係がギクシャクするのではなく、
「一緒に成長を振り返る時間」に変えていくこと。
それが、長い目で見たときに、学力と自己肯定感の両方を育てるいちばんの近道ではないでしょうか。

