ここ数年、急激に増えだし、よく家庭教師と比較される”個別指導塾”。
増えた理由は、生徒さんのニーズが多様化し市場的に個別指導のニーズが強くなっていることと、その塾経営の形式によるところが大きいと思います。ほとんどの個別指導塾がフランチャイズ形式をとり、本部から経営ノウハウを学び小規模から経営していけるという、集団塾に比べ塾経営がしやすいことがメリットなんですよね。
授業内容については、まず、個別指導塾と家庭教師はどちらも「個別対応」を売りにしていますが、指導の方法や内容には大きな違いがあります。個別指導塾は主に教室で1対2や1対3の形式が多いのに対し、家庭教師は1対1で完全にマンツーマン指導が基本です。(個別指導塾も1対1はありますがコスト面で高くなりがちです)
どちらが効果的かはお子さんの学力状況や目標によって異なりますが、今回は個別指導塾の「よくある誤解」に注目しながら家庭教師との比較を通じて、それぞれのメリット・デメリットをお話していきたいと思います。
このブログでは、30年以上【勉強が苦手な子】に向けて家庭教師を紹介している「家庭教師のガンバ」が、その経験を基に情報を発信しています。ご興味のある方は公式サイトをご覧下さい。
個別指導塾の誤解その1:「勉強が苦手な子向け」
個別指導塾は「勉強が苦手なお子さん向け」と思われがちですが、これは一概には言えません。
個別指導塾
個別指導塾では学年に応じたカリキュラムや教材が用意されており、基本的には今の学年内容に沿った授業が行われます。そのため、特定の学年に遡って復習が必要な場合、その対応に制限がかかることが多いようです。また、個別指導塾の指導形式では、先生が2~3人の生徒を相手にするケースが一般的なため、勉強が苦手なお子さんが理解に時間がかかる場合には、指導のペースについていけないこともあります。
家庭教師
一方、家庭教師は1対1の指導なので、学年に関係なく、必要な内容に遡って指導をすることが可能です。例えば、中学2年生でも、小学校レベルの復習を行いながら中学の内容に進むなど、お子さんに最適なカリキュラムを組むことができます。家庭教師は苦手克服に特化した指導がしやすく、お子さんのペースに合わせて理解を深めることができるため、学年を問わず基礎力の養成をしたい場合には特に有効だと思います。
個別指導塾の誤解その2:「手取り足取りつきっきりで教えてくれる」
「個別指導だから、つきっきりで手取り足取り教えてもらえる」というイメージも多いですが、これも実際は違う場合がほとんどです。
個別指導塾
多くの個別指導塾は1対2や1対3といった形式で授業が行われています。つまり、先生1人が複数の生徒を同時に見るため、指導時間が限られています。
例えば1対2の60分授業だった場合、生徒1人あたり30分程度の指導が限界です。残りの30分は自習時間となり、自分で勉強を進める必要があります。勉強が苦手なお子さんは自習のやり方がわからず、効率的な学習ができないことが多いため、せっかくの塾時間が実質的には半分になってしまう可能性もあります。
家庭教師
家庭教師は完全に1対1で指導を行うため、すべての時間をお子さんに費やすことができます。お子さんがわからないポイントがあればすぐにフォローできるし、質問しやすい環境を提供するため、理解が深まります。さらに、家庭教師はその場で宿題の進捗確認や学習の振り返りも可能で、指導の密度が高くなります。勉強が苦手なお子さんにも適したサポートを提供できるので、効率的に理解力を高めることができます。
個別指導塾の誤解その3:「家庭教師より安い」
個別指導塾は家庭教師に比べて「コストパフォーマンスが良い」と思われがちですが、実はそうとも限りません。
個別指導塾
個別指導塾は、指導の回数や科目ごとに料金が変わることが多く、例えば、週1回で英語のみの指導を受ける場合と、週2回で英語と数学の指導を受ける場合では料金が倍近くになることもあります。また、夏期講習や冬期講習などの講習会などは絶対参加になることが多く、その場合追加料金が発生し、費用が予想以上にかさむことも・・・長期休みのたびに講習費用がかかるため、結果的に予算を超えてしまうことが多いです。
家庭教師
家庭教師は1回の指導時間内で複数科目をカバーできるため、科目ごとに追加料金が発生することはありません。また、長期休み中の講習費用も必ず行われるものではなく、あくまで個人のスケジュールで相談して決まることなので多くの負担をかけることはありません。家庭教師は1対1なのでコストがかかるように感じられますが、トータルで比較的に個別指導塾より安価に抑えられる場合が多く(もちろん会社によって変わりますが)、結果として家庭教師の方が費用対効果が良いこともあります。
家庭教師と個別指導塾のメリット・デメリット比較
項目 | 家庭教師のメリット | 個別指導塾のメリット |
指導方法 | 1対1のマンツーマンで丁寧な指導 | 教室での学習環境でモチベーション向上が期待できる |
カリキュラム柔軟性 | 学年に関係なく苦手分野や基礎の復習が可能 | 学校の学年に応じたカリキュラムに従って進めやすい |
費用 | トータル費用が抑えられやすい | 特定科目のみの短期受講に向いている |
指導の一貫性 | 1人の先生が長期にわたって担当しやすい | 複数の先生から指導を受けることで多角的な学習が可能 |
個別指導塾を選ぶときのポイント
個別指導塾を検討する際には、以下のポイントを確認することをおススメします。
- 指導形態
1対1なのか、1対2なのかなど、具体的な指導形態を確認し、指導時間の割合もチェックしましょう。 - 指導カリキュラム どんな教材を使うのか、どこまで復習してもらえるのか、個々に合わせてやってもらえることを確認して下さい。
- 講師の質と経験
個別指導塾では、講師の質も成績向上に関係します。特に、お子さんが苦手な分野に対してどれだけ適切な指導ができるかを確認することが重要です。講師は学生が多いと思いますが、経歴や実績なども確認して下さい。
- 自習環境の整備
自習時間が多い個別指導塾では、自習時間をどのように過ごすかが大切です。静かで集中できるスペースが整っているか、また、質問したいときにすぐに対応してもらえる環境があるかを確認してください。 - 口コミや評判
家庭教師に比べ塾の場合、講師が少なく同じ講師に教えてもらうことが多いので、他の保護者や生徒からの口コミは非常に参考になります。実際に通っている人たちの意見を聞き、特に指導内容や費用について確認しましょう。
家庭教師を選ぶ際のチェックポイント
参考までに、家庭教師を選ぶ場合も同様に、以下のポイントを確認すると良いと思います。
- 講師との相性
家庭教師は1対1のため、講師との相性が成績に大きく影響します。お子さんが質問しやすい雰囲気を作れる講師を選ぶことが大切です。 - 柔軟な指導内容
家庭教師はお子さんの状況に合わせたカリキュラムを提供できるため、定期的に進捗を確認し、必要に応じて内容を変更することが可能です。講師と相談しながら最適な学習プランを立てましょう。 - 費用の透明性
家庭教師は科目を追加しても指導時間内であれば追加料金が発生しない場合が多いですが、契約内容を事前にしっかり確認することが大切です。また、教材費や交通費などの追加費用がかかる場合もあるため、契約時に明確にしておきましょう。
個別指導塾と家庭教師、どちらがベスト?
どちらの選択肢が適しているかは、お子さんの性格や学習状況、そして目指す目標によって異なると思います。
- 自主的に勉強を進められる子
自習時間を有効に活用できるお子さんであれば、個別指導塾が適している場合があります。特に、学校のカリキュラムと連動した指導を受けられる点がメリットです。 - 苦手分野を徹底的に克服したい子
苦手科目が明確であり、そこに集中して取り組みたい場合は、家庭教師が適していると思います。1対1の指導でピンポイントにサポートを受けられるため、振り返り学習などが可能で、勉強のペースもお子さんに合わせて指導ができます。 - コストを重視する保護者
長期的に見ると、家庭教師は複数科目を1回の指導時間内で教えることができるため、コストパフォーマンスが良い場合がありますが、プロ講師に頼む場合と学生に頼む場合とでは大きな差があります。一方、短期集中で特定の科目を強化したい場合は、個別指導塾の季節ごとの講習会などを活用するのも一つの方法かもしれません。
まとめ:入塾前にしっかり比較検討を
個別指導塾と家庭教師にはそれぞれ独自のメリットとデメリットがあります。入塾や家庭教師の契約を決める前に、今回ご紹介したポイントを参考に、お子さんに最適な学習環境を見つけてください。特に重要なのは、指導内容やカリキュラムが期待に沿っているか、費用が予算内に収まるか、そしてお子さんが無理なく学べる環境が整っているかを確認することだと思います。
成績向上のために始めたはずの個別指導塾や家庭教師でも、お子さんに合わず成果に結びつかない、時間とお金を無駄にしてしまったという相談をたくさん受けます。
お子さんにベストな学習サポートができるように、検討する部分を明確にして最善の選択をして下さい。
家庭教師のガンバ 今村 剛