英語のリスニングやスピーキング力を効果的に高める学習法として、今注目されているのが「シャドーイング」です。聞こえてきた英語の音声を、ほぼ同時に声に出して真似ることで、英語のリズムや発音、自然な表現が体にしみ込んでいきます。

お子さんが「聞けるけど話せない」「何となく意味はわかるけれどスラスラ出てこない」と悩んでいる場合にも、シャドーイングは大きな助けになります。今回は、シャドーイングの基本的なやり方や、効果的な取り入れ方についてご紹介します。

 

1、シャドーイングとは何か

シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、すぐ後を追って声に出して真似するトレーニング方法です。ただ聞くだけでなく、話される英語の音のリズムや抑揚、発音の細かいニュアンスを体で覚えられるのが大きな特徴です。

お子さんが「英語を聞き流しているだけでは全然覚えられない」と感じている場合、シャドーイングは非常に効果的な学習方法となります。初めのうちはスピードについていけず、口がもつれてしまうこともあるかもしれませんが、何度も繰り返すことで耳も口も英語に慣れていきます。

リスニング力とスピーキング力の両方を高められる、まさに一石二鳥の練習です。シャドーイングの魅力は、文章の構造や単語の使い方、そして正しい発音を自然に身につけられるところです。たとえば、「I use a pen」という文章を何度も口にすることで、「use」を使った英文の型が頭に残ります。そして「a pen」を別の単語に置き換えることで、応用力も自然とついてくるのです。

これは、単なる暗記では得られない力です。ただし、せっかく練習した英文も、実際に使わなければすぐに忘れてしまいます。シャドーイングで覚えたフレーズや構文は、声に出して復習したり、英会話や英作文で意識的に使うようにすることが大切です。

学んだことをアウトプットすることで、お子さんの英語力は着実にレベルアップしていきます。

 

2、リスニング力が鍛えられる理由

シャドーイングを継続することで、お子さんの英語の「音を聞き取る力」が自然と高まります。英語独特の音のつながりや音の省略に慣れることができ、実際の会話に強くなっていきます。

また、ただ聞くだけでなく、自分でも声に出すことで、聞いた音がしっかりと頭に残るようになります。英語を聞くのが苦手なお子さんほど、その効果を実感しやすいトレーニングです。

 

3、発音やイントネーションの向上

ネイティブの音声を真似して声に出すシャドーイングは、発音の改善にも大きな効果があります。お子さんが英語を読むとき、カタカナ英語になってしまうことはありませんか?

シャドーイングを続けると、自然なアクセントやイントネーションが身につき、通じやすい英語に変わっていきます。最初は上手に真似できなくても、繰り返すうちに口の動きが慣れてきます。

 

4、音読との違いと併用の効果

音読は文章を見ながら読むトレーニング、シャドーイングは聞こえた音を追いかけて話すトレーニングです。どちらも英語力アップには役立ちますが、それぞれの特徴を理解して使い分けることで、より効果的に学習が進みます。

お子さんには、まず音読で文章に慣れてからシャドーイングを行うのがおすすめです。両方を取り入れることで、視覚・聴覚・発話の力がバランスよく育ちます。

 

5、初心者におすすめの教材の選び方

シャドーイングの教材は、お子さんのレベルに合ったものを選ぶことが大切です。難しすぎる音声では挫折してしまうので、まずは中学レベルの短い会話文や、スピードがゆっくりな教材から始めましょう。

英検や教科書準拠のCD付き参考書もおすすめです。また、好きなジャンル(映画、アニメ、ニュースなど)を選ぶことで、楽しみながら継続しやすくなります。

 

6、スクリプトの有無で変わる学習効果

シャドーイングには、スクリプト(台本)を使う方法と、使わずに耳だけで行う方法があります。初心者のお子さんには、まずスクリプトを見ながらの練習が効果的です。意味を理解しながら音を追うことで、内容も記憶に残りやすくなります。

慣れてきたらスクリプトなしで行うと、集中力やリスニング力がより鍛えられます。段階的にレベルを上げていくのがコツです。

 

7、具体的なコツ

シャドーイングを効果的に行うためには、いくつかのステップを押さえることが大切です。まずは何も見ずに音源を聞いてみましょう。この段階では「わからない部分」に注目します。再生速度を少し遅くしてみたり、何度か繰り返して聞いたりして、「なぜ聞き取れなかったのか」を考えることがポイントです。

例えば、単語そのものを知らなかった、イディオムが理解できなかった、文の切れ目がわからなかったなど、原因はさまざまです。次に、日本語訳を確認して、ざっくりと文の意味をつかんでから再度聞いてみましょう。ここで内容を理解することが、次のステップにつながります。

続いてスクリプト(台本)を用意し、スクリプトを見ながら音声を聞きます。その後、スクリプトを見ながら音声と一緒に声を出す「オーバーラッピング」に進みます。このオーバーラッピングの段階を繰り返すことで、音のリズムやイントネーションが体に染み込んできます。ここまできたら、いよいよスクリプトを見ずに、音声だけを頼りに発音する「シャドーイング」に挑戦します。

最初から完璧にこなそうとせず、1文ずつ、無理のないペースで進めることが大切です。お子さんが続けやすいように、1日5〜10分程度の短時間でも習慣化することが効果的です。タイマーを使って時間を区切ったり、練習後にカレンダーに印をつけたりすることで、達成感を得やすくなり、モチベーションの維持にもつながります。少しずつ「聞ける」「言える」が増えることで、自然と英語への自信も育まれていきます。

 

8、スキマ時間を活用する方法

忙しいお子さんには、待ち時間などのスキマ時間を活用するのがおすすめです。スマホに音声を入れてイヤホンで聞きながら、声に出せる場所ではシャドーイング、出せない場所では頭の中で声に出す「サイレントシャドーイング」も有効です。

1日数分でも積み重ねれば、大きな成果につながります。時間の使い方次第で、英語の伸び方も変わってきます。

 

9、自分の音声を録音して確認するメリット

お子さん自身のシャドーイング音声を録音して、聞き返す習慣をつけることで、発音やリズムの改善点が明確になります。最初は恥ずかしく感じるかもしれませんが、自分のクセに気づくことで上達が早くなります。また、成長を実感できる記録にもなり、モチベーションの維持にも役立ちます。スマホの録音機能で簡単に始められるので、ぜひ取り入れてみてください。

 

10、まとめ

シャドーイングは、英語を「聞く力」「話す力」の両方をバランスよく育てられる学習法です。最初は難しく感じるかもしれませんが、続けることでお子さん自身の耳や口が慣れ、英語を自然に使える感覚が身についていきます。

自分のペースで無理なく取り組めるよう、好きな教材や短い時間から始めるのもポイントです。毎日少しずつでも続けることが何よりの近道。シャドーイングを通じて、英語への苦手意識が減り、自信が持てるようになることを願っています。

 

【参考文献】「TOEICリスニング満点コーチが教える 3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング」(プチ・レトル/谷口 恵子著)



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