はじめに:タブレットを導入したのに成績が伸びないご家庭へ

こんにちは。「家庭教師のガンバ」代表の今村です。私は30年以上にわたり、延べ1,200人以上の小中高生の学習をサポートしてきました。

この数年で急増しているご相談があります。

それは――

「タブレット教材をやっているのに成績が上がらない」

というものです。

いまや教育現場は「デジタル化の波」の真っただ中。GIGAスクール構想で1人1台端末が配られ、学校でもタブレットを使う授業が当たり前になりました。ご家庭でも「最新の学習法だから安心」と考えて導入する方が増えています。

でも実際にはこんな声が多く寄せられています。

「毎日やらせているのに効果を感じられない」

「勉強していると思ったらゲームや動画ばかり」「便利だけど身についている気がしない」

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?この記事では、教育現場で見えてきた「タブレット学習の落とし穴」と「紙教材の強み」を徹底的に掘り下げ、さらに効果的な活用法までご紹介します。

第1章 タブレット学習が急速に広まった理由

1-1. GIGAスクール構想の影響

2020年から始まったGIGAスクール構想により、日本の小中学校では「1人1台端末」が配布されました。授業でタブレットを使うのが当たり前になると、当然「家庭でもタブレットで勉強させよう」と考える保護者が増えます。

1-2. コスト面の魅力

タブレット教材は月額数千円〜1万円程度。たくさんありますが、代表的なサービスは以下です。

スマイルゼミ

スタディサプリ

チャレンジタッチ

塾や家庭教師に比べて圧倒的に安いため、「これで十分」と思えるのは当然です。

1-3. 子どもがやりたがる「ゲーム感覚」

タブレットはカラフルで音声やアニメーションが入り、ゲーム感覚で取り組める設計です。最初の数週間は夢中になる子も多く、保護者からすると「自分から机に向かってくれる!」と期待できます。

しかし、その熱は長続きしません。実際には…

・「3カ月もたたないで飽きてしまった」

・「気づいたらYouTubeや動画ばかり」

といった声多いのが事実です。

 


第2章 タブレット学習で成績が伸びない5つの理由

2-1. 書く機会が圧倒的に少ない

小6男子のケース:スマイルゼミを毎日続けていたものの、漢字テストでは「読みはできるけど書けない」状態でした。

タブレットは選択式で答えられるため、「書いて覚える」プロセスが欠けてしまうのです。文部科学省の調査でも「書いた方が記憶に定着する」ことが実証されています。

2-2. 集中力が続かない

タブレットは勉強だけの道具ではありません。通知やゲーム、動画アプリが簡単に開けるため「勉強中に気が散る」ことが頻発します。

中学生男子が「宿題やったよ」と言っていたのに、実際は2時間YouTubeを見ていた――こんな話は珍しくありません。

2-3. 紙テストとのギャップ

入試や学校の定期テストは「理由を記述せよ」「途中式を書け」といった出題が中心です。タブレットに慣れすぎていると「自分で書く力」が育たず、本番で手が止まってしまいます。

2-4. 気づきを残せない

紙ノートなら「大事だと思ったこと」や「自分の疑問」を余白にメモできます。これが“思考の痕跡”となり復習時に役立ちます。しかしタブレットでは情報が流れていくだけで、学びの積み重ねが見えにくいのです。

2-5. 学習が浅くなる

ノルウェーやスタンフォード大学の研究では、紙で学習した方が理解度・記憶保持率が高いと報告されています。実際の指導現場でも「タブレット中心の子は知識が表面的で、応用が効かない」ケースが多く見られます。

 


第3章 海外では「紙に戻る」動きが活発

・アメリカ:ニューヨークの一部の学校で、紙教材を再導入。

・フランス:小学校でスマホ使用を禁止。

・フィンランド:ICT教育を進めた結果、基礎学力の低下が見られたとして見直し。

スタンフォード大学の研究では「デジタルは短期理解には効果的だが、長期的な記憶定着には紙が優位」と結論づけています。

つまり、世界では「タブレット一辺倒」から「紙とのバランス重視」へシフトしているのです。

 


第4章 タブレットを正しく活用するためのポイント

タブレットが無駄というわけではありません。大切なのは 「紙との役割分担」 です。

以下は具体的な例です。

4-1. 紙とタブレットの役割分担

・暗記・基礎練習 → 紙

・確認テスト・スキマ時間活用 → タブレット

4-2. 科目別おすすめの使い方

・理科:映像で理解(タブレット)+記述練習(紙)

・社会:地図や画像で覚える(タブレット)+年表まとめ(紙)

・英語:リスニング(タブレット)+単語・作文は紙

4-3. 保護者の関わり方

「今日やった問題を3つだけ紙に書いてみよう」と声をかけるだけで、学習の深まりが格段に違います。

 


第5章 家庭教師・塾の現場からの実例

・事例1:中1女子
スマイルゼミを2年間続けたが成績横ばい → 紙ノートを徹底 → 偏差値+7

・事例2:高2男子
スタディサプリを独学で利用 → 模試で伸び悩む → 「間違いノート」を紙で作成 → 英語模試+50点

教育業界の裏話として、広告でよくある「タブレットだけで合格!」は、実際には塾や家庭教師を併用しているケースが大半です。

 


第6章 家庭でできる実践ルーティン

朝:脳のゴールデンタイムは「紙」

・漢字・英単語の書き取り(10分)

・計算練習(5分)

実際に中1男子がこの習慣を続けた結果、漢字テストが20点台から80点台に急上昇しました。

放課後:整理は紙、確認はタブレット

・紙ノートに授業の要点をまとめる

・その後タブレットで確認テスト

この順序で定着が一気に高まります。

夜:タブレットは弱点発見用

・英単語100問テスト(タブレット)

・間違えた10問だけを紙に書いて練習

このサイクルを3か月続けた高1女子は、英語模試の偏差値が10以上アップしました。

 


第7章 心理学・脳科学が示す「紙の強さ」

デュアルコーディング理論

記憶は「視覚+聴覚+運動感覚」で強化されます。紙に書くと「運動感覚」が加わり、記憶の結びつきが強くなります。

世代効果

「自分で答えを生み出す」紙の学習は、選択肢を選ぶだけのタブレットより記憶に残ります。

注意の分散

デジタル機器を使う学生は集中力が散漫になりやすい、という研究もあります。通知やアプリの存在が無意識のうちに集中力を奪うのです。

 


第8章 まとめと保護者へのアドバイス

タブレットは補助教材
 紙で基礎を固め、タブレットで効率よく確認するのが王道です。

保護者ができる3つのチェックポイント

タブレットで終わらせていないか?紙に書いているか?間違いを紙にまとめているか?

成績が伸びる子と伸びない子の違い

・伸びる子:タブレットは「確認用」。本気の勉強は紙。

・伸びない子:タブレットに丸投げ。紙を使わない。

教育の本質は「考える・書く・間違いを修正する」の繰り返しです。これをやってないお子さんが成果を出すことは難しいのです。
未来の学習スタイルは “紙とデジタルのハイブリッド” だと言えます。

 

おわりに

もし今、お子さんがタブレット学習をしているのに成績が伸び悩んでいるなら――まずは一度「紙に戻す」ことから始めてみてください。

タブレットも紙も、正しく組み合わせれば最高の相棒になります。ご家庭での学習デザインにぜひ活かしていただければ嬉しいです。

 

家庭教師のガンバ 今村

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