机に向かっている時間は長いのに、なかなか成果が出ない…。そんなとき、よくよく見てみると「音楽を聴きながら」「スマホを手元に置きながら」といった“ながら勉強”になっているケースがあります。お子さんからすれば「リラックスして勉強できる」「飽きずに続けられる」というメリットがあるように感じるかもしれません。

しかし、同時に脳が複数の情報処理を並行して行うため、集中力が分散してしまうというデメリットもあります。では、ながら勉強は完全にNGなのでしょうか?実は「何と組み合わせるか」「どの科目で取り入れるか」によって、プラスにもマイナスにもなり得るのです。

ここでは、ながら勉強のメリットと注意点を整理し、効果的な学習につなげるヒントを考えていきます。

 

1、どうして“ながら勉強”をするのか?

お子さんが“ながら勉強”をしてしまう背景には、いくつかの要因があると思います。まず大きいのは「勉強が退屈に感じる」という心理。長時間机に向かうこと自体が苦痛で、その気持ちを紛らわせるために音楽やスマホに手を伸ばすのです。

また「机に向かっている=勉強している」という安心感から、学習効率よりも「勉強時間を確保していること」に満足してしまうケースもあります。さらに、周囲に誘惑が多い環境も影響します。例えばリビングで家族がテレビを見ている、手の届くところにゲームやスマホがある、といった状況です。

ながら勉強は「集中力が途切れやすい環境」と「勉強への心理的ハードル」が重なった結果として生まれることが多いのです。

 

2、音楽を聴きながらの学習は効果的?

音楽を聴きながらの勉強には賛否があります。単調な暗記や単純作業では、軽い音楽が集中を助けることがあります。特にクラシックや環境音など歌詞のない音楽は、気持ちを落ち着け、学習を続けやすくする効果が期待できます。

一方で、歌詞のある曲やリズムの強い音楽は、脳が無意識に歌詞を処理してしまうため、注意力が分散しやすくなります。これは特に国語や英語の読解、数学の応用問題など「思考力」が必要な学習では大きなマイナスになります。

音楽の影響はお子さんによって異なるため、一度「音楽あり・なし」で勉強を試し、どちらが集中できるかを比較することが大切だと思います。

 

3、スマホがそばにあると集中はどう変わる?

スマホを手元に置きながら勉強すると、通知が気になって何度も確認してしまったり、無意識にSNSや動画に触れてしまったりと、集中が途切れがちになります。実際の研究でも、机の上にスマホがあるだけで集中力が下がることがわかっています。

お子さん自身は「ちょっと見ただけ」と思っていても、再度勉強に集中するまでには数分のロスが生じると言われています。つまり「ながら勉強」の中でも、スマホを伴う勉強は特に効率を下げやすいのです。

対策としては、勉強中はスマホを別の部屋に置く、保護者に預ける、アプリの通知をオフにするなど、物理的に誘惑を遠ざける工夫が必要だと思います。環境を整えることが集中の第一歩です。

 

4、単純作業と応用問題で効果の違いを知る

ながら勉強の影響は、学習内容によっても大きく異なります。例えば英単語の暗記や漢字練習、計算ドリルのような「単純作業」では、軽い音楽や環境音がむしろ作業をスムーズにする場合があります。ただ、読解問題や数学の応用問題のように「考える力」が必要な学習では、ながら勉強は明らかに効率を落とします。

脳が同時に複数の情報処理をすることで、思考が浅くなり、解答の質も下がってしまうのです。つまり「ながら勉強=全部ダメ」ではなく「どの勉強なら許容されるか」を見極めることが重要です。保護者の方が一緒に科目ごとの相性を考えてあげると良いのではないでしょうか。

 

5、気分転換と集中力維持のバランスを考える

ながら勉強が生まれるのは、勉強時間の中で「疲れを感じる瞬間」があるからです。長時間集中し続けるのは大人でも難しいため、気分転換の要素をうまく取り入れることが大切です。ただし、その方法が「ながらスマホ」や「動画視聴」になってしまうと、勉強から完全に気持ちが離れてしまいます。

そこでおすすめなのは「区切りをつけた気分転換」です。5分休憩を挟んだり、休憩中に軽く体を動かしたりして、頭をリフレッシュできる工夫が効果的です。勉強と気分転換をわけることで、ながら勉強を避けつつ集中を維持することができます。

 

6、勉強に合う音楽・合わない音楽の違い

音楽を聴きながら勉強する場合、曲の選び方がとても重要です。クラシックやジャズ、自然音など、歌詞のない音楽は集中を助ける効果が期待できます。ただ、歌詞のある曲やテンポの速いポップスは、言葉を無意識に処理してしまうため、文章読解や思考力を要する学習には不向きです。

また、勉強用に同じ曲を繰り返し流すと「勉強のスイッチ」として機能しやすくなることもあります。逆に、流行りの曲やお気に入りの曲を聴くと気が散ってしまう場合が多いので注意が必要です。

つまり「音楽を取り入れるなら何でも良い」わけではなく、学習との相性を考えて選ぶことが大切です。

 

7、「ながら読書」や「ながら動画学習」の落とし穴

最近は勉強しながら動画を流したり、片手間で参考書を眺めたりする「ながら読書・ながら動画学習」も増えています。ただこれは、ほとんどの場合効率を大きく下げてしまいます。動画や映像は視覚と聴覚を同時に刺激するため、脳が強く引きつけられ、勉強内容よりも動画に意識が向いてしまうのです。

また「耳だけで聞いているから大丈夫」と思っても、実際には集中力が削がれていることが多いです。こうした学習は「やったつもり」になりやすく、内容が頭に残らないリスクが高いのです。動画や読書は勉強の補助にはなりますが、あくまで「勉強時間」と「休憩時間」をわけて活用することが効果的です。

 

8、保護者ができる観察と声かけの工夫

ながら勉強をしているかどうかは、お子さん本人では気づきにくいものです。そのため保護者の方が「机にスマホが出ていないか」「BGMが集中を妨げていないか」など、さりげなく観察することが大切だと思います。

ただ、頭ごなしに「やめなさい」と注意すると反発を招きかねません。「音楽があると暗記は進むみたいだけど、読解のときはどう?」など、対話を意識した声かけが効果的だと思います。

お子さん自身が「確かに効率が違う」と気づければ、自分で習慣を調整する意欲につながります。保護者の方は“監視者”ではなく“伴走者”として、ながら勉強との付き合い方を一緒に考えていく姿勢が望ましいのではないでしょうか。

 

さいごに~自分に合った学習スタイルを見つけることの大切さ~

ながら勉強は一概に悪いと決めつけるのではなく、「お子さんにとって最も集中できるスタイル」を探ることが大切です。例えば暗記は音楽と相性が良いが、読解は静かな環境が良いといったケースもあります。

大切なのは「どんな状況だと勉強がはかどるか」を一緒に検証することです。その過程で「自分はこの方法だと集中できる」と自覚できれば、学習への自主性も高まります。また、科目や学習内容によってスタイルを使いわける柔軟さも身につきます。保護者の方が「一緒に試そう」という姿勢を見せることで、お子さんは安心して最適な学習法を模索できると思います。



参考サイト:

https://kozu-osaka.jp/glhs/study/lc3-2022 (001より)

https://www.hokudai.ac.jp/news/170104_pr_2.pdf

 

家庭教師のガンバでは無料の体験授業をやっています。家庭教師をやる・やらないは全く別ですので、お気軽にお試しください。

家庭教師のガンバ無料の体験授業について詳しくはコチラ≫

 

また、受験対策をはじめとした、お子さんと保護者の方に役立つ様々な情報を発信しています。ご興味のある方はぜひ、ご参考にしてください。

受験対策・入試について