ある日突然、お子さんが「塾に行きたくない」「塾に行くのが怖い」と言い出したら、どう対応しますか?多くの保護者の方は、叱ってでも行かせるべきか、休ませるべきか、はたまた辞めさせるべきかと悩むのではないでしょうか。

今回の記事はそんな保護者の方のお悩みを解決すべく、お子さんが「塾に行きたくない」「塾が怖い」と言う時にとるべき対処法を、その理由とともに解説します。ひとつの例としてご参考になさってください。

 

まずは焦らず「心の回復」を最優先に

中学生のお子さんが「塾に行きたくない」と言うとき、一番大切なのは『無理に行かせることではなく、心の回復を支えること』だと思います。そのために効果的なのが、次の4ステップです。

聴く:否定せず、感情を受け止め、安心をつくる

理解する:なぜ行きたくないのか、なぜ怖いのか、理由を整理する

一緒に考える:お子さん自身が「どうしたいか」行動の方向性を見つける

整える:必要に応じて学習方法や環境を調整し、小さな成功体験を積ませる

お子さんの「塾に行きたくない」「塾が怖い」という言葉は、『甘え』ではなく、『何かに不安を感じているサイン』ではないでしょうか。

もちろん、「勉強が嫌いだから」「怠けたいから」という気持ちもあるかもしれません。ただ、それだけの単純な理由ではないことが多いです。

今の子どもたちは、情報過多や複雑な人間関係の中で想像以上に多くのストレスを抱えています。だからこそ、まずは話を聴く姿勢が何よりも大切です。

【Q&A】

Q1. 寄り添うだけで本当に大丈夫?

はい。まずは気持ちを受け止めるだけで、子どもは安心感を取り戻します。焦って行動させると逆効果になることが多いです。

Q2. どのタイミングで整えて学習を再開すべき?

お子さんが安心を感じ、少し前向きな気持ちになったら、無理のない範囲で学習を再開するのが良いと思います。

 

なぜ「塾に行きたくない」「怖い」となるの?

では、なぜお子さんが「塾に行きたくない」と言うのでしょうか。お子さんの発する「塾に行きたくない・怖い」という言葉には、勉強以外の心理的要因が隠れていることが多いです。

主な理由は次の4つです。

先生や授業の雰囲気が合わない

授業のスピードについていけない

周りの子と比べてプレッシャーを感じる

友達関係や環境で不安がある

こうした理由に保護者の方が共感し寄り添いながら、安心できる環境を整えてあげることが、塾への恐怖心を和らげる第一歩になります。ではについて、心理的な背景や寄り添い方のヒントを含めて深堀りしてみたいと思います。

 

先生や授業の雰囲気が合わない

塾の先生や、授業クラスの雰囲気になじめない、合わないといった点でお子さんがストレスを抱えていることがあります。

【例】

・先生が厳しく大きな声で叱ることが多く、緊張してしまう

・授業の進行が早く、わからないことを質問しづらい雰囲気

・教室の雰囲気が落ち着かず、集中できない

【心理背景】

・威圧的な雰囲気に弱い子は、授業自体がストレス源になる

・「怒られるかも」と常に緊張している状態が続くと、行きたくない感情が強まる

【親の寄り添い方のヒント】

「怖いと思うくらい緊張してるんだね」と共感する

「質問しやすい環境に変えられないか、一緒に考えようか」と提案する

 

授業のスピードについていけない

集団授業では、授業のスピード感についていけないことが、塾に行きたくない理由につながりがちです。

【例】

・授業内容が難しく、理解できないまま授業が進む

・ノートが追いつかず、板書が理解できない

・宿題が多すぎて、期限内に終えられない

【心理背景】

・自分だけ理解できていないと焦りや不安が増す

・「自分はダメかも」と自己評価が下がることで、塾を避けたくなる

【親の寄り添い方のヒント】

「わからないところを一緒に確認してみようか」と声かけ

「授業のスピードに合わせなくても大丈夫」と安心感を伝える

 

周りの子と比べてプレッシャーを感じる

塾によっては成績や志望校でクラス分けがなされています。その中では必然的に、お子さんが周りと競わなければならない環境になっています。

【例】

・「自分だけできていない」と焦る

・競争心が強く、他人の目が気になり緊張する

・成績表やテスト結果を気にしすぎて、ストレスが増す

・点数などの掲示があり、プレッシャーを感じる

【心理背景】

・比較されることによる自己否定感が強くなる

・失敗を避けるために塾を避ける行動につながる

【親の寄り添い方のヒント】

「比べなくて大丈夫だよ、あなたのペースでいいんだよ」と伝える

小さな成功体験を積ませ、自信を取り戻す支援をする

 

友達関係や環境で不安がある

授業や学力とは別に、塾内でも友人関係でつまずいている場合も、「塾に行きたくない」「塾が怖い」といった感情に陥りやすいです。

【例】

・グループで孤立してしまい、友達と話すのが怖い

・塾内で嫌な言葉をかけられたり、笑われた経験がある

【心理背景】

・学習以外の環境要因が不安の原因となり、塾が「怖い場所」に感じる

・安心できる人間関係や環境がないと、心理的に通塾が困難になる

【親の寄り添い方のヒント】

「その人と関わらない方法を一緒に考えようか」と共感し、具体的な対策を一緒に検討する

必要に応じて少人数クラスやオンラインなど、環境を柔軟に調整する

 

 

保護者ができる対処法|4ステップ(フェーズ14

では記事のはじめにお伝えした対処法の「聴く」「理解する」「一緒に考える」「整える」について、それぞれをフェーズ14として具体的にご紹介します。

 

フェーズ1:聴く(寄り添い、安心をつくる)

まずは「話を聴くこと」。保護者の方ができる一番のサポートは、安心できる場所をつくることだと思います。お子さんの不安や怖さを否定せず受け止め、共感することで安心感をつくります。

お子さんが「行きたくない」「怖い」と言えるだけでも、心の準備ができている証拠です。話してくれたら、お子さんが気持ちを言えた勇気を認めてあげましょう。

【声掛けの例】

「無理に行かなくても大丈夫だよ」

「怖いって思うのは自然なことだから、話してくれてありがとう」

「今は休んでいいよ、でも一緒に考えようね」

【ポイント】

・お子さんの感情を否定せず、共感することが最優先

・具体的な解決策やアドバイスはこの段階では控える

・表情や声のトーンも柔らかく、安心できる雰囲気を意識

 

フェーズ2:理解する(理由の整理・背景理解)

気持ちが少し落ち着いたら、次は「なぜ行きたくないのか」を整理します。授業のスピードや先生・友達関係など、少しずつ選択肢を提示してあげると、お子さんは自分の気持ちを言葉にしやすくなります。

ここで理由がわかれば、行動のきっかけがつかめます。

【声掛けの例】

「どうして塾に行きたくないと思ったのかな?」

「授業のスピードが速いのが嫌なのかな、それとも先生の言い方が怖い?」

「先生や友達関係で困っていることがある?」

「焦らなくていいよ、ゆっくり話していいからね」

【ポイント】

・「そんなことで怖がるなんて」などのような否定語を使わない

・お子さんに考えさせるような問いかけを意識

・一度に多く聞きすぎない

 

フェーズ3:一緒に考える(行動の方向性を見つける)

ここまで整理できたら、お子さん自身が「どうしたいか」を考えるサポートに入ります。親子で「これからどうするか」を一緒に考えることが大切ではないでしょうか。

重要なのは、お子さん自身が選ぶ感覚を持てるようにすることです。

【声掛けの例】

「じゃあ、どうしたら少し楽になりそう?」

「授業が速すぎるなら、家庭で復習してみる?」

「オンライン授業なら気楽にできるかもしれないね」

【ポイント】

・提案ではなく、選択肢を示すことが大切

・お子さんが自分で決めることで、自己効力感を育てる

・「あなたの意見を尊重するよ」と伝え、安心感を高める

 

フェーズ4:整える(行動調整・成功体験)

行動の方向性が見えたら、フェーズ4は小さな成功体験を積ませる段階です。お子さんと一緒に考えた行動の方向性を基に、今の塾の教材を整理してみたり、他の塾を検討したり、自主学習に切り替えるなど、学習方法や環境を調整していきます。

いきなり「また通おう」ではなく、少しずつ再スタートを切る準備をすることで小さな成功体験を積ませ、お子さんの自信回復を促します。

【声掛けの例】

「(塾の教材を整理できたら)きちんと整理したら気持ちがいいね」

「今日は15分だけでも復習してみよう。できたらすごいよ。」

「オンライン授業に参加してみようか」

「今日できたことを明日も続けてみよう」

【ポイント】

・保護者の方が具体的に「一歩」を提示し、成功体験を積ませる

・行動への促しは、具体的に、取り組みやすい小さなステップを提示

 

学習方法や環境整理の具体例

ここまで4つのステップをお伝えしましたが、実際にお子さんが「塾に行きたくない」「塾が怖い」と言ったとき、学習方法や環境整理にはどのような選択肢があるのか整理してみましょう。

塾と相談して環境を変える:クラス変更、時間帯変更、少人数クラスなど

一時休塾:短期間の休塾で心と体を休める

学習形式を変える:オンライン授業、家庭教師、通信教材など

先生に相談:塾の先生と面談、学校の担任の先生、カウンセラーなど

お子さんの様子を見て、必要に応じて塾との連携を図るのも大切だと思います。塾の先生に「最近こんな様子です」と共有するだけでも、対応が柔らかくなることがあります。

また、どうしても合わない場合は、塾の切り替えも選択肢のひとつです。

 

まとめ

中学生のお子さんが「塾に行きたくない」「塾が怖い」と言うとき、それはサボりや甘えではなく、心が疲れているサインです。

保護者の方がここでお伝えした4ステップで関わることで、お子さんの中に少しずつ変化が生まれるはずです。

聴く(寄り添い、安心をつくる)

理解する(理由の整理・背景理解)

一緒に考える(行動の方向性を見つける)

整える(行動調整・成功体験)

少し環境が変わることで、お子さんの表情が明るくなるケースも少なくありません。大切なのは、「今のお子さんに合う方法」を選ぶことだと思います。



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