「不登校ってずるいよね」―そんな言葉を耳にして、ショックを受けたことがある方もいるのではないでしょうか。クラスメイトから見れば、教室に来ていない分「自由に過ごしている」「別室登校が許されて羨ましい」と感じることもあるのかもしれません。
でも、不登校のお子さんが楽をしているわけではありません。多くの場合は、強い不安やストレスで「行きたいのに行けない」状態です。安易に「ずるい」と言われると心を深く傷つけてしまい、学校に戻るきっかけさえ失われる恐れもあります。大切なのは、見えない背景を理解しようとする気持ちです。
そこでこの記事では、
・不登校が「ずるい」と言われてしまう背景
・不登校が本当は「ずるくない」理由
・周囲からそう言われたときの解決策や向き合い方
などをやさしく丁寧に解説します。「不登校=ずるい」という誤解が少しでもなくなり、一人ひとりが安心して過ごせる環境づくりのヒントになれば幸いです。
不登校が「ずるい」と言われてしまうのはなぜ?その背景をやさしく解説
「不登校はずるい」と思われてしまう背景には、周囲の思い込みや学生ならではの価値観が影響しています。ここでは、そう感じられてしまう主な理由をわかりやすく見ていきます。
「学校に行くのは当たり前」という固定観念がある
多くのお子さんは毎日学校に通っていますし、保護者の方にとっても「登校するのが普通」という感覚が根強くあります。そのため、「学校へ行けない=甘えている」「不登校はずるい」という誤解につながってしまうことがあるのです。
でも、教室の雰囲気や人間関係がどうしても合わない場合、学校は“当たり前に通える場所”ではなくなってしまいます。不登校には、外からは見えない理由があることを理解することが大切です。
目の前の現実から逃げているように見える
不登校になると、「嫌なことから逃げているだけ」「向き合う努力をしていない」と考えられることもあります。特に、過去に苦労や困難を乗り越えてきた人ほど「私だって頑張ったのに」と感じやすいかもしれません。
ですが、心の強さやキャパシティは人それぞれです。つらさから身を守るために距離を取ることは、怠けではなく“自分を守るための選択”。むしろ勇気が必要な行動といえる場合もあります。
「学校を休めていいな」という羨ましさ
学生目線では、「私は嫌でも行っているのに、あの子だけ休めてずるい」と感じてしまうことがあります。特に思春期のお子さんにとっては、「公平さ」が気になる時期でもあります。
しかし、不登校の多くは“好きで休んでいる”わけではありません。「どうにかしたいのに体も心も動かない」「自分が嫌になってしまう」―そんな葛藤を抱えています。
「不登校はずるい」と思われやすい具体的なケース
では、周囲の人がどんな場面で「不登校=ずるい」と感じやすいのでしょうか?ここでは代表的な例を紹介します。
不登校でもテストや行事だけ来る場合
不登校のお子さんが、定期テストや学校行事のときだけ登校することがあります。事情を知らない人からすると、要領が良さそうに見えてしまうことも…。
でも、実際は不安や緊張と闘いながら、精一杯の勇気を振り絞って登校しています。テストを受けないと通知表の評価がつかなかったり、行事に出ないと周囲とのつながりがなくなる不安があったりするからです。学校復帰に向けて「授業のない日」から挑戦するケースもあります。
外部機関で「出席扱い制度」を使っている場合
フリースクールや教育支援センターなどで学びながら、学校と連携して“出席扱い”を認めてもらう制度があります。この特例に対して「不公平」「ずるい」と感じる人もいるようです。
しかし、学ぶ場所が違うだけで、そのお子さんたちも進学や将来に向けて真剣に努力しています。不登校の解決策を模索しながら前に進んでいるのが、実際の姿なのです。
別室登校など特別な配慮を受けている場合
学校に戻るステップとして、保健室登校や別室登校から始めるお子さんもいます。この配慮に対して「特別扱いでずるい」と思われることもあります。
ですが、これは優遇ではなく“再スタートのための支援”です。急に教室に戻れば、勉強の遅れや人間関係で大きな壁にぶつかり、再び不登校になる恐れもあります。段階的な支援は、再登校を成功させるための大切なサポートです。
不登校は「ずるい」ことではない3つの理由
「不登校=ずるい・甘えている」と思われることがありますが、実際はそうではありません。ここでは、不登校が“ずるさ”ではないといえる3つの根拠をわかりやすく紹介します。
①不登校の背景には心理的・環境的な理由がある
不登校には、学校生活や家庭環境など、目に見えにくい事情が関係していることがほとんどです。外から判断できないからこそ、「ずるい」と決めつけるのはとても危険です。
学校では、友人関係の悩みや勉強のプレッシャーなど、思春期特有のストレスが大きくのしかかります。自己肯定感が下がったり、心が疲れ切ってしまうこともあります。
家庭での変化も影響します。引っ越し、家族との不仲、身近な人との別れなどは、お子さんの心を大きく揺さぶるでしょう。こうした積み重ねによって心や体が限界を迎え、登校が難しくなるのです。
②「行きたいのに行けない」ケースも多い
「本当は学校に戻りたい」と思っているお子さんもたくさんいます。文部科学省の調査でも、「もっと登校すればよかった」と感じている不登校経験者が一番多いという結果が出ています。
ですが、気持ちだけでは動けない現実もあります。生活リズムの乱れから「起立性調節障害」を発症し、朝になると体がだるくて起きられないケースもあります。気力があっても体がついてこないことは、誰にでも起こり得ることです。
(参照:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要 p.9 | 文部科学省)
③学校に行くことが“最善”とは限らない
教育の場として学校が合わないお子さんもいます。人間関係や授業の雰囲気に馴染めないまま無理を続けると、心へのダメージが深くなり逆効果になることもあります。
また、ギフテッドや独自の感性を持っているお子さんの中には、学校という枠組みそのものが合わないケースもあります。「意味を感じられないまま通うより、自分に合った学び方を選んだほうが成長できる」という場合もあるのです。不登校は逃げではなく、「自分に合う環境を探すステップ」と捉えられます。
「不登校はずるい」という考え方が抱える問題
では、「不登校=ずるい」という思い込みを持ち続けると、どのような影響があるのでしょうか?ここからは、その問題点を解説します。
不登校のお子さんの心に深いストレスを与える
「ずるい」という言葉を浴びると、不登校のお子さんは強く傷つきます。本人は楽をしているつもりもありませんし、現状を変えようと悩み続けていることがほとんどです。
特に、学校に戻りたいと思っているお子さんにとっては大きなブレーキになります。実際、文科省の調査では、多くの子どもが「同級生がどう思っているか不安だった」と回答しています。
(参照:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要 p.8 | 文部科学省)
「不登校は誰にでも起こり得る」という理解が欠ける
「ずるい」と思ってしまう背景には、「自分は不登校にはならない」という思い込みがあります。でも、不登校は特別な出来事ではなく、誰にでも起こり得るものです。
不登校のきっかけは、学習のつまずき、友人関係の変化など身近なものばかり。特に中学生は、心も人間関係も揺れやすい時期です。小さな変化がきっかけで「もう行きたくない」と感じることは、決して珍しくありません。だからこそ否定したり線を引いたりするのではなく、「理解しようとする姿勢」が大切です。
多様な学び方を認められなくなる
「学校に通うのが正解」という価値観だけにとらわれてしまうと、それ以外の道を認めづらくなってしまいます。大人の生き方が多様であるように、学び方や育ち方にもいろいろな形があっていいはずです。学校以外の環境で力を伸ばすお子さんもいますし、別の道を選ぶことで自信を取り戻すお子さんもいます。
自分と違う選択をしているからといって、否定したり羨んだりする必要はないのです。
「不登校はずるい」と言われたときの解決策【お子さんの場合】
「不登校はずるい」と言われたときの対処法を、お子さんと保護者の方それぞれの立場からご紹介します。1つの例としてご参考になさってください。まずはお子さん向けの対応から見ていきます。
親や先生など、気持ちを分かってくれる人に相談する
つらい言葉をひとりで抱え込む必要はありません。親や先生など、安心して話せる大人に頼ってくださいね。自分を理解してくれる人がそばにいるだけで、心はぐっと軽くなります。
気持ちに寄り添ってくれる人なら、「これからどうしたいか」についても一緒に考えてくれるはずです。友達との関係を大事にしたいなら、先生にサポートをお願いすることもできますし、「気にしないでおく」という選択ももちろんアリです。
不登校の理由や今の気持ちを先生に伝えてもらう
友達との関係を取り戻したい場合は、先生に間を取り持ってもらいましょう。もしクラスで誤解が広がっているようなら、全体に説明してもらうこともできます。
その際、無理に反論する必要はありません。ありのままの気持ちや、これまで感じてきた不安・つらさ・「行きたくても行けなかった苦しさ」などを丁寧に伝えてもらうだけで大丈夫です。それだけで「ずるい」という見方は薄れていくのではないでしょうか。
つらいときは距離をとったり逃げてもOK
立ち向かうこと自体が苦しいときは、無理をせず距離をとっても構いません。誰に何を言われても、あなたはあなたのままでいて良いんです。心ない言葉に傷つく必要もありません。
ただし、「不登校の状態をこのままにしておくのはイヤだな」という気持ちは大切にしてください。ゆっくりでいいので、自分のペースで前に進んでいきましょう。
「不登校はずるい」と言われたときの解決策【保護者の場合】
ここからは、お子さんを支える保護者の方が「ずるいと言われた」「相談を受けた」などの場面でどう対応すればよいかをお伝えします。
まずはご自身を責めないことから
お子さんが不登校になると、「育て方が悪かったのかな…」と自分を責めてしまう親御さんは少なくありません。でも、不登校は性格やしつけだけで起こるものではなく、心理・環境・人間関係などさまざまな要因が関係しています。
保護者の方が落ち込んでしまうと、お子さんの気持ちを受け止める余裕もなくなってしまいます。どうかご自身を責めないでください。
お子さんの味方になり、気持ちを受け止める
「ずるい」という言葉は、お子さんの心に深く刺さります。そんなとき一番近くにいる親御さんが、お子さんの味方でいてあげることが何よりの支えになります。
「あなたはあなたのままで大丈夫だよ」と伝えてあげてください。頑張るのは、心が立ち直ってからで大丈夫。まずは傷ついた気持ちを癒すことを優先しましょう。
家庭の中や外に、学校以外の居場所をつくる
学校での人間関係に苦しさを感じている様子があるなら、家庭の中を安心できる場所にするのはもちろん、外部にも居場所を用意してあげましょう。家庭教師や習い事など、大人との関わりも心の安定につながります。
教育支援センター・フリースクールなどの力を借りる
「どこに居場所を作ればいいかわからない」「安心できるサポートがほしい」という場合は、教育支援センターやフリースクールなど外部機関を頼るのも良い選択です。
教育支援センター(適応指導教室)
自治体が運営しており、専門の相談員や心理士が学習・メンタル面をサポートしてくれます。友達関係についての相談や学校復帰へのステップづくりもできます。
フリースクール
学校とは違う環境で、自分のペースで過ごせる学びの場です。通学型からオンライン型までさまざまなスタイルがあり、「学校は無理でもここなら行ける」というお子さんも多くいます。
不登校の問題を家族だけで抱えるのはとても大変です。外部の力を借りることは、決して逃げではなく「前向きな一歩」ではないでしょうか。
最後に | 不登校はずるくない!あなたらしさを大切にしよう
不登校には、心理的・環境的な要因が大きく関わっています。学校に行きたくても行けないお子さんは多く、決して「ずるい」と言える状態ではありません。心ない言葉を耳にしても、必要以上に傷つくことはありません。
大切なのは、今の状況を少しずつでも変えていこうとする気持ちです。学校に戻ることだけが正解ではありません。自分に合った学びや居場所を見つけ、自分らしい選択をしていくことが何より大事です。
親御さんや先生はもちろん、必要なら家庭教師や教育支援センターなどの支援を受けながら、自分のペースで少しずつ前に進んでいきましょう。
家庭教師のガンバでは年間100人以上の不登校のお子さんの家庭教師をお任せいただいています。
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