子供が急に「学校に行きたくない」と言い出したとき、親はどんな反応をするでしょうか。
気が動転し、子供に好ましくない言葉を使ってしまうかもしれません。
「みんな行っているのにどうして行かないの?」「サボりじゃないの?」と…。
学校に行けない子供にとっては、これほど苦しく、心をつぶされる言葉はないでしょう。
でも、親も同じくらい驚き、悩みを抱えてしまうのです。
対岸の火事だと思っていた不登校が、あるときから自分たち家族の問題になったとしたら、親はいったい、どんな対応をすればいいのでしょうか。
不登校とは?
そもそも不登校とは、何でしょうか。
学校に行かないこと、学校に行けないこと、原因や理由はさまざまですが、どんなときでも起こりうることです。
そして、不登校は文部科学省がこう定義しています。
“「不登校」とは,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く。)”
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説」より引用(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/yougo/1267642.htm)
とは言っても、その要因はさまざまでしょう。
どんな子供でも、不登校になってしまう可能性はあります。
「学校に行きたい、行かなければいけない」と思っていても、どうしても体が動かなくなってしまいます。
それは、子供自身も辛く、自分を責めかねないこと。
さらに、それを見守らければいけない親としても、とても苦しく、歯がゆいことでしょう。
無気力になって行けなくなってしまう子、非行に走って行かなくなってしまう子、どうして行けないのか理由がわからず、不登校になってしまう子。
その原因は、子供それぞれで違うのです。
不登校の子供への正しい対応
子供が不登校になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
親としては、言葉にできない不安と悩み、困惑に押しつぶされそうになるでしょう。
子供を叱ればいいのか、そっとしておくべきか、どんな対応が正解なのかもわからず、親の不安は増すばかりかもしれません。
でも、大切なのは、子供の気持ちに寄り添うことです。
原因を追究すべく、子供に現状を分析させることは避けたほうがいいでしょう。
子供自身、自分の心の中で何が起きているのか、わからないことだらけなのです。
学校に行けない自分を責めかねません。
まずは、原因究明ではなく、現状を受け入れ、子供の様子をしっかり見守ってあげてください。
必要ならば、しっかりと記録を取るのも大切。
どんな発言をしたか、どんな行動を取ったのかを記録しておくと、専門的に対応する場合、とても重要な資料となりますよ。
そして、父親と母親の意見の一致、しっかりとしたコミュニケーションを意識しましょう。
ようやく相談できたと思ったら、父親と母親の意見が違っていたり、正反対のことを言ったりするようでは、子供は混乱するばかりです。
ますます、迷走してしまうでしょう。
父母の連携をしっかりとしておくことは、最低限大事なこと。
家族で見守る姿勢をしっかりと作り上げておきたいところです。
さらに、家の中で子供に何か役割を与えましょう。
学校の中に入っていけなくなってしまった子供は、自分の今を実感しきれません。
そんな子供に、家庭内で果たすべく役割を与えてあげることで、自分の存在理由を認識できるでしょう。
どんなことでもいいのです。料理の手伝いをする、洗濯物をたたむ……。
少しでも、家庭の中での役割を果たせたら、しっかりとした言葉で、明るく「ありがとう」と言ってあげてください。
そんな些細なことが、家の中での居場所を見つけ、エネルギーとなるのです。
そして、勉強する環境を整えるも忘れないこと。
これは、学校に行けるようになってからのためのものです。
学校に行かないのですから、学力の低下は否めません。
そのため、せっかく学校に行けるようになっても、学業不振で再び後ろ向きになってしまう可能性も大きいのです。
少しずつ前向きになれるように、学校へ行ったときに授業についていけないのではないかと不安にならないように、少しずつ進めていけるといいですね。
子供が不登校になったからといって、動揺したり、子供を問い詰めたりする前に、できることはたくさんあります。
親も無理せず、子供と向き合いたいものです。
不登校の対応で教師にはどんなことを求めるべき?
子供が不登校になったとき、最初の相談は学校の教師にする場合が多いでしょう。
でも、どれだけ任せればいいのか、何をどう托したらいいのかは、親のほうもわからないことが多いものです。
そのためにも、すぐに解決を求めるのではなく、まずは現状を報告することが大事です。
そして、話し合いを重ねましょう。
そして、じっくりと時間をかけて学校へ行けるようになることを、共通の目標とするのです。
不登校から再び登校できるようになるには、学校と家庭の連携が不可欠です。
学校の不登校に対する考えや対策も、しっかりと聞いておきましょう。
学校との連携は大切ですが、教師の過度なかかわりが子供にはプレッシャーになることがあります。
教師が良かれと思って掛けた言葉が、思いのほか、子供の心に響き過ぎてしまうこともあるのです。
そのためにも、親が子供の現状を把握して、学校に報告すること。
子供に適切なかかわりをしてもらうためにも、親が怠ってはいけないことですね。
まとめ
不登校が悪いことかと言ったら、決してそんなことはありません。
子供の心は、敏感で繊細です。
どんなことがきっかけで、立ち止まってしまうかわからないのです。
でも、それはその子の成長において、無駄なものではないと思いましょう。
子供が成長する過程で起きたことは、すべてに意味があり、子供の成長の糧となります。
「今は少しだけ遠回りしているだけ」そう思って、子供の心にしっかりと寄り添い、伴走してあげてください。辛い気持ち、苦しい気持ちを乗り越えた子供は、人の痛みのわかる人間になれますよ。
ガンバ 今村 剛