不登校のお子さんを持つ保護者にとって、学習に関する不安は、多くの方が感じられているのではないでしょうか。不登校における学習の不安を解消するには「自宅学習」が効果的です。
不登校であっても自宅学習を続けることで少しずつ自信が蓄積され、学校復帰へのハードルが下がったり、受験の選択肢を広げることができるためです。
とはいえ、自宅学習でどのような教材を選べばよいのかわからず、さらに悩みますよね。そこで本記事では、不登校のお子さんを持つ保護者の方に向けて、
- 自宅学習の主な5つの教材
- 目的別・自宅学習教材の選び方
- 自宅学習に関する公的支援や制度の確認
- 教材選びのポイントチェックリスト
についてお伝えします。不登校のお子さんをお持ちの保護者の方にとって、自宅学習の教材を選ぶ際に、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
【この記事を読むことでわかること】
■不登校のお子さんに合った自宅学習教材の種類
■それぞれの教材の特徴・メリット・デメリット
■学習目的別に向いている教材
■公的支援制度等、教材選びと合わせておさえておきたいポイント
自宅学習の主な5つの教材
不登校の中学生におすすめな自宅学習の教材として、下の5つがあります。
①紙教材(ワーク・参考書)
②映像教材(タブレット・PC)
③オンライン塾の教材
④家庭教師(対面・オンライン)の教材
⑤無料教材(公的教材・無料配布教材)
それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
自宅学習教材①|紙教材(問題集・参考書)
紙教材とは保護者の方にもなじみの深い、問題集やドリル、参考書といった紙の教材のことです。本屋さんやネットで購入できるため、不登校のお子さんにとっても取り入れやすい教材です。
紙教材は読み書きといった作業によって記憶に残りやすく、進み具合も目に見えやすいといった特徴があります。
【メリット】
・学習の進み具合が目に見えやすく管理しやすい
・書くことで記憶に残りやすい
・費用が比較的抑えられる
・保護者がサポートしやすい
【デメリット】
・自発的な学習意欲がないと進めにくい
・映像や音声教材に比べて単調に感じることがある
・親のサポートや声かけが必要な場合が多い
自宅学習教材②|映像教材(タブレット・PC)
映像教材とは、歴史や理科の実験映像といった授業用動画や、教育用YouTube、eラーニング教材、DVDなどのことで、主にタブレットやPCで学習する教材です。ゲーム感覚で学習できるものもあり、飽きずに続けやすいのが特徴です。
教育企業が提供しているタブレットには、学習の進み具合を自動で管理する機能が付いている場合もあります。
【メリット】
・視覚・聴覚で理解しやすい
・自動進捗管理機能付きの教材が多い
・楽しく飽きずに学習が続けやすい
【デメリット】
・画面を長時間見ることによる健康面の心配
・機器の操作に慣れるまで時間がかかる場合がある
・ネット環境の整備が必要
・取り組まずに放置していても、費用が掛かる場合がある
自宅学習教材③|オンライン塾の教材
オンライン形式の塾が用意した教材も、自宅学習の教材としておすすめです。オンライン塾ではほとんどの場合、問題集やプリントなどの紙ベースやオンライン上で取り組める課題が出されます。
塾のカリキュラムに沿っているため、学校の授業に対応したものから受験対策まで、ある程度希望に沿った内容を体系的に学ぶことができます。
【メリット】
・授業内容~受験対策まで学習が体系的にできる
・添削課題や小テストなど、課題を活用した学習内容が組み立てられている
・決められたスケジュールに沿うことで生活リズムを作りやすい
・オンライン塾との併用で、外部とのつながりが持てる
・場合によって学校へ出席扱いとなる(※学校との確認が必要)
【デメリット】
・教材の難易度や量が合わないと、途中でつまずきやすい
・オンライン塾が個別でない場合、お子さんのストレスになる場合もある
・塾と合わせて費用が高くなりがちである
自宅学習教材④|家庭教師の教材(対面・オンライン)
家庭教師が用意する教材は、主に問題集やテキスト、プリント等が中心となります。依頼する家庭教師会社によっては、独自の動画教材やオンラインで取り組める教材がある場合もあります。
家庭教師は基本的に1対1の個別指導なので、お子さんの学力や学びたい内容(授業対応、受験対策など)に沿って、オーダーメイドに近い形でお子さんに合った教材で取り組めます。教師による自宅学習の進捗管理なども可能です。
【メリット】
・お子さんに合わせて教材を調整できる(フルカスタマイズ)
・教師による進捗管理で、自宅学習の定着が期待できる
・決められたスケジュールに沿うことで生活リズムを作りやすい
・家庭教師という、外部とのつながりが持てる
・場合によって学校へ出席扱いとなる(※学校との確認が必要)
【デメリット】
・教材の選定が教師の力量に左右されやすい
・教材費とは別に、家庭教師の費用が必要となる
・オンライン家庭教師の場合、教材共有に時間がかかることがある
自宅学習教材⑤|公的・無料教材
公的な教材やネット上などで配布されている無料教材は、不登校になった時の自宅学習の「最初の一歩」や「学習の補助」として適しています。学校の学習に即した基礎固めや、負担の少ない学び直しにおすすめです。公的な教材や無料教材の一例は以下の通りです。
※ 教科書に準拠した動画など、タブレット等を活用して学習できるコンテンツ集
※各学年ごとに教科に対応した映像教材
・各自治体が発信しているデジタル教材
※自治体によってはタブレットやPC上で活用できるデジタルコンテンツを発信している
【メリット】
・無料で利用できる
・教科書や学習指導要領に準拠しているため安心
・自分のペースで取り組める
・信頼性が高く、保護者も安心して利用させやすい
【デメリット】
・サポート(質問・添削・進捗管理)が基本的にない
・教材が断片的で、体系的な学習設計がしづらい
・学習習慣の定着は本人の意欲や家庭の関わりに左右される
・これだけでは学習が完結できない
目的別・自宅学習教材の選び方
このように、不登校になった時に活用できる自宅学習教材は多種多様です。ではどのように選べばよいのでしょうか。ポイントとして「何のために学ぶのか」を明確にすると、教材選びがスムーズになります。
学習の目的と、各目的に向いている教材を表にまとめたのでご覧ください。
【表1:不登校児の自宅学習の目的と向いている教材】
自宅学習に関する公的支援や制度の確認
不登校のお子さんが自宅学習で使う教材を考えるうえで、もう一つ確認しておきたい大切なポイントとして、「公的支援や制度の確認」があります。
文部科学省は一定の要件を満たす自宅学習を、学校と連携し、ICT教材や支援機関を活用することで、出席日数として認められる(出席扱い)ケースがあるとしています。
出席扱いの要件(一部抜粋)
・学校の指導要領に準拠した教材
・教師が学習の進捗や内容を把握できる仕組みがある
・保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている
・訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とする
など
つまり不登校となった場合でも、指定された要件を満たしていれば、自宅学習をすることで出席扱いになるケースがあるということです。
特に中学受験を考えている不登校の小学生や、高校受験のある不登校の中学生にとって、出席扱いは内申点の部分で大きな意味を持ちます。
不登校児の支援制度や機関はいくつかありますが、教材を選ぶ際も、こうした制度に当てはまるかどうかを確認してみましょう。
詳しくは、文部科学省のHPを参考後、学校や教育委員会へご確認してください。
参考:文部科学省 誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について(通知)
教材選びのポイントチェックリスト
最後に、不登校のお子さんが自宅学習の教材選びの際に押さえておきたいポイントを、チェックリストにしてまとめました。ぜひご参考にしてください。
【お子さんの学習状況や性格に関するチェック】
□ 基礎から学び直したい
□ 学習の遅れを取り戻したい
□ 受験(中学、高校)対策をしたい
□ 自分のペースで学習したい
□ 一人で学習できる または 一人ではなかなか勉強が続かない
□ 人と話すのがあまり得意ではない または 話すことでモチベーションが上がる
□ タブレットなどのデジタル機器に抵抗がない
【保護者のサポート体制や環境】
□ 学習の様子を保護者が見守れる
□ 通信教材のサポートに対応できる時間がある
□ 家庭以外のサポート体制は必要か/必要ならば揃っているか
□ 自宅にWi-Fiなどの通信環境がある
□ タブレットやパソコンなど学習に使える端末がある
□ 学習費用に対する予算を明確にしている
【教材・サービスの選定ポイント】
□ お子さんの得意・不得意科目に対応しているか
□ 不登校時に出席扱いとなり得る教材か(※学校等にも要確認)
□ 解説はわかりやすいか
□ 途中で辞めても負担にならない契約形態か
□ サンプルや体験版はあるか
□ 資料請求は可能か
□ 無理なく続けられそうな教材の量・形式か
まとめ
冒頭でお伝えしたように不登校のお子さんにとって、自宅学習は学力の維持や向上だけでなく、
「自信の回復」
「将来への選択肢を広げる」
といった意味でも大切なステップとなります。不登校という状況は、決して失敗ではありません。また、教材選びもどれが正解というわけではありません。
今のお子さんに合った学び方を見つけることができれば、お子さんは必ず前へ進むことができます。そのためにも、色々試しながら、焦らずゆったりと選んでみてはいかがでしょうか。
お子さんの自宅学習教材選びに、この記事が少しでもお役に立てられれば幸いです。
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