不登校特例校(学びの多様化学校)とフリースクールの違いをご存じでしょうか。

どちらも、不登校のお子さんを支える場として知られているため、進路を考える際に「どちらを選べばいいのだろう」と迷ってしまう方は少なくありません。

ここでは、不登校特例校(学びの多様化学校)とフリースクールの違いがひと目でわかるよう、比較表を交えながら、次の4つの視点で整理していきます。

  • 学籍・出席扱い・卒業資格
  • 学習面
  • 費用・利便性
  • 進路や将来の選択肢

あわせて、「どのようなお子さんに向いているか」についても具体例を挙げながら解説します。進路選択に悩んだ時の参考として、ぜひ最後まで読んでみてください。

なお、不登校特例校は文部科学省により、2023年から「学びの多様化学校」という名称に整理されています。ここでは、正式名称である「学びの多様化学校」を基本としつつ、検索で多く使われている「不登校特例校」という呼称も併記して解説します。

 

<参照一覧>

学びの多様化学校解説資料 | 文部科学省

不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要 | 文部科学省

学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧 | 文部科学省

日本におけるフリースクールの歴史と活動に関する質的研究 | 斎藤富由起,吉森丹衣子(千里金蘭大学紀要2017)

※他に参照したサイトがある場合は、各節や項に別途記載します。

 

不登校特例校とフリースクールの違い① 学籍・出席扱い・卒業資格

まずは、学籍の扱いや出席扱い、卒業資格といった「制度面の違い」を見てみましょう。

 

学びの多様化学校(不登校特例校)の概要

学びの多様化学校は、文部科学省が指定する、不登校のお子さんのための学校です。都道府県の教育委員会や市町村、学校法人などが設置・運営を行い、一般の学校とは異なる、特別な教育課程が組まれています。

入学要件は、「不登校だと認められている」ことです。一般的には年間30日以上の欠席が一つの目安とされていますが、最終的な判断は学校ごとに異なります。

そのため、断続的に欠席が続いている場合や、不登校の兆候が見られる段階であっても、対象となるケースがあります。

入学が決まると、在籍校から転校・編入する形になります。登校した日は原則として出席扱いとなり、課程を修了すれば卒業資格を得ることができます。

 

フリースクールの概要

フリースクールは、民間団体が運営する、学校に通いづらさを感じているお子さんのための居場所・学習支援の場です。学校教育法上の「学校」ではないため、教育内容や活動はスクールごとに大きく異なります

多くの場合、現在の学校に在籍したまま、任意でフリースクールに通う形をとります。このため、フリースクールに通っているだけでは卒業資格を得ることはできない点に注意が必要です。卒業の判断を行うのは、あくまでも在籍校や提携している学校になります。

なお、小中学校では、フリースクールでの活動を在籍校の「出席」や「評価」として認めてもらえる、「出席扱い制度」を利用できる場合があります。制度が適用されるかどうかは、在籍校や自治体の判断に委ねられていますので、まずは在籍校に確認するようにしましょう。

(参照:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)令和元年10月25日 | 文部科学省)

 

不登校特例校とフリースクールの違い② 学習面

次に、学習の進め方や授業スタイルなど、「日々の学び方」の違いを見ていきましょう。

 

学びの多様化学校(不登校特例校)における学習の特徴

学びの多様化学校では、学習指導要領に基づいたカリキュラムが組まれています。ただし、その運用方法は学校ごとの裁量に委ねられており、不登校のお子さんに配慮した柔軟な設計が基本です。たとえば、

・毎日登校する必要がない

・登校時間が遅め

・授業時間数が少なめ

といった工夫により、お子さんの負担をできる限り抑えながら、無理なく学習を続けられる環境が整えられています。通学が難しいお子さんに向けては、オンライン授業を実施している学校もあります

授業内容は教科学習だけでなく、「キャリア教育」や「探究的な学び」「体験活動」なども重視しているのが特徴です。学力の定着に加えて、自立心や社会性を育てることも大切にしています。

 

フリースクールにおける学習の特徴

フリースクールでの学習内容は、お子さんの興味・関心や、スクールごとの方針によって大きく異なります。学習を中心に支援を行うスクールもあれば、「心の回復」を重視するスクールも多く見られます。

登校頻度についても決まりはなく、お子さんの状態に合わせて、無理のないペースでスタートするのが基本です。

フリースクールには、通知表や成績評価といった制度は基本的にありません。その分、評価に縛られず、のびのびと過ごせる環境が整っています。異年齢のお子さんとも一緒に過ごしながら、自分らしい学びを少しずつ深めていけます。

 

不登校特例校とフリースクールの違い③ 費用・利便性

次に、「費用」と「通いやすさ」の違いについて見ていきましょう。

 

学びの多様化学校(不登校特例校)における費用・利便性

学びの多様化学校の学費は、一般の学校と同じ扱いになります。小・中学校は義務教育のため、公立であれば基本的に授業料はかかりません。

高校についても、「高等学校等就学支援金制度」により、令和8年度以降は公立・私立を問わず、一定の条件を満たせば学費負担が大きく軽減されます。

一方で、利便性の面では注意が必要です。学びの多様化学校の設置数は、令和7年11月時点で全国59校と、まだ多いとは言えません。

学校が都市部に集中する傾向もあり、地域によっては遠距離通学になる可能性があります。「通える距離かどうか」を慎重に見極める必要があるでしょう。

また、定員が少なく、希望しても必ず入学できるとは限らない点も、あらかじめ知っておきたいポイントです。

(参照:高等学校等就学支援金等 | 文部科学省)

 

フリースクールにおける費用・利便性

フリースクールは民間団体が運営しているため、基本的に月謝が必要です。費用はスクールや利用頻度によって異なりますが、一般的には月1万円〜5万円程度が目安とされています。個別支援や専門プログラムを利用する場合は、さらに高くなることもあります。

費用がかかる一方で、お子さんの特性に合わせた専門的な支援を受けられる点は、大きなメリットといえるでしょう。ただし、近隣にお子さんの希望や状態に合ったスクールがあるかどうかは、地域差が大きいのが実情です。

希望するスクールが近くにない場合は、遠方への通学や、オンライン型のフリースクールを検討することになります。

 

不登校特例校とフリースクールの違い④ 進路や将来の面

最後に、将来に直結しやすい「進路」の違いについて見ていきましょう。

 

学びの多様化学校(不登校特例校)の進路や支援体制

学びの多様化学校は、進路面でも一定の実績を残しています。文部科学省が令和5年に実施した、学びの多様化学校24校を対象としたアンケート調査によると、以下のような結果が報告されています。

・高校進学率:約94%

・四年制大学進学率:約27%

・短期大学・専門学校を含めた進学率:約77%

不登校を経験したお子さんでも、多くが次の道へ進んでいることがわかります。進学率の高さの背景としては、

・登校への心理的ハードルを下げる工夫

・無理のない教育課程

・一人ひとりに合わせた進路指導

といった点が挙げられています。「将来的に進学できるのか不安」と感じている保護者の方にとって、安心材料になる結果といえるでしょう。

(参照:学びの多様化学校の設置に向けて手引き | 文部科学省)

 

フリースクールの進路や支援体制

フリースクールから高校へ進学する場合は、いくつかのルートがあります。主な方法としては、

・在籍校に復帰し、卒業を目指す

・「出席扱い制度」を活用しながら進級・卒業する

・通信制高校へ進学する

といった選択肢が挙げられます。中でも在籍校復帰を段階的に目指しやすい点は、フリースクールの大きな特徴です。「まずは学校に戻ることを目標にしたい」というお子さんには、安心できる環境といえるでしょう。

 

不登校特例校(学びの多様化学校)に向いているお子さんの特徴

これまで見てきた違いを踏まえると、それぞれに向いているお子さんの特徴が少しずつ見えてきます。まずは、学びの多様化学校が合いやすいケースから整理していきましょう。

 

生活習慣を改善している途中である

回復期に入り、生活を改善している途中のお子さんにとっては、学びの多様化学校が良い選択肢になることがあります。

多くの学校では授業の開始時刻が遅めに設定されており、在籍校へ戻るよりも、登校のハードルをぐっと下げられるのが特徴です。

また少人数制のため、一人ひとりの様子に目が行き届きやすく、きめ細かく配慮してもらえる点も安心材料といえるでしょう。

 

授業で長時間の集中が難しい

長時間椅子に座って授業を受けることが負担なお子さんでも、学びの多様化学校であれば比較的取り組みやすい環境が整っています。

授業時間は短縮されていることが多く、「まずはできる範囲から学習に戻る」という段階的な対応が可能です。「無理をしなくていい場所がある」という安心感は、お子さんの心を支えてくれます。

 

新たな学校でも学生らしい体験をしたい

「新しい環境でも、友達と学校生活を送りたい」そんな気持ちを持つお子さんにとっても、学びの多様化学校は相性の良い選択です。

体験学習や探究型の授業に少人数で一緒に取り組むことで、自然と仲間意識が育ち、「学校の一員として過ごしている」という実感を得やすくなります。人との関わりを重ねるうちに、「毎日通うこと」が当たり前になっていくケースも少なくありません。

 

確実に卒業資格を得て進学もしたい

学びの多様化学校は、通学すれば出席扱いとなり、卒業資格も得られます。在籍校へ「出席扱い制度」を申請したり、卒業の可否を個別に調整したりする必要がない点は、大きな安心材料です。

特に高校では、フリースクールから「出席扱い制度」を利用することが難しいケースも多いとされています。進学までの道筋をできるだけシンプルにしたい場合、学びの多様化学校は、安心感のある現実的な選択肢といえるでしょう。

 

フリースクールに向いているお子さんの特徴

学びの多様化学校だけでなく、フリースクールの方が合いやすいお子さんも、もちろんいます。ここでは、フリースクールが力を発揮しやすいケースを整理してみましょう。

 

心身の回復を一番の目的にしたい

不登校の状態が長引いていたり、「今はまだ学習よりも、安心して過ごせる居場所がほしい」という段階のお子さんには、フリースクールが向いています。

フリースクールには学習指導要領がないため、自分のペースで心と体を休ませながら、回復を待つことができます。スクールによっては、カウンセラーや心理士が常駐していたり、医療機関と連携しているところもあり、その時々の状態を相談しながら通える点も大きな魅力です。

 

一律のカリキュラムに合わせるのが難しい

フリースクールなら、一律のカリキュラムに強い負担を感じるお子さんでも、安心して過ごせます。学校で勉強すること自体に違和感があったり、「今は学習よりも、自分の興味や関心を深めたい」と感じているお子さんにとっては、選択肢が広がる場所といえるでしょう。

自分のことを自分で決められることが、自己肯定感の回復につながるケースも少なくありません。

 

こんなお子さんにはどっち?一問一答

最後に、学びの多様化学校(不登校特例校)とフリースクールの選択について、保護者の方からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

 

Q、部屋に引きこもった状態が続いている

A、フリースクールが向いています。

外出そのものが負担になっている段階では、安心できる環境を優先することが大切です。フリースクールの中には、カウンセリングや心理的支援を得意とする施設もあり、お子さんの状態に合わせて、段階的な回復プログラムを提案してもらえることがあります。

 

Q、高校受験での調査書への影響を防ぎたい

A、学びの多様化学校が安心です。

学びの多様化学校では、一般の学校と同じように、出席の記録や成績評価がつきます。フリースクールでも「出席扱い制度」を利用できる場合はありますが、どこまで調査書に反映されるかは、在籍校の判断に左右されます。制度面が整っている学びの多様化学校を選ぶ方が、安心といえるでしょう。

 

Q、将来的には在籍校復帰を目指したい

A、フリースクールが向いています

学びの多様化学校は「転校」という扱いになるため、在籍校へ戻ることを前提とした利用は想定されていません。その点フリースクールであれば、在籍校に籍を置いたまま「出席扱い制度」を利用しつつ、復帰のタイミングをゆっくり見極めることができます。

 

まとめ | お子さんに合った選択をすることが何より大切

学びの多様化学校(不登校特例校)とフリースクールで迷ったときは、「どちらがお子さんに合っているか」を基準に考えることが大切です。

少人数で落ち着いた新たな環境の中、確実に卒業や進学を目指したい場合は、学びの多様化学校が向いているでしょう。

一方で、訓練やカウンセリングを受けながら、在籍校への復帰を視野に入れたいお子さんには、フリースクールが心強い選択肢になります。

どちらを選ぶにしても、いちばん大切なのはお子さん自身の気持ちです。まずは体験や見学に参加し、「ここなら通えそう」と感じられるかどうかを、一緒に確かめてみてください。

お子さんが納得して選んだ居場所は、回復への大きな一歩となり、次の進路へとつながっていきます。

 

 

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