東京都をはじめとした関東圏では、高校受験の方法のひとつに「併願優遇」があります。今回は高校受験における「併願優遇」に注目し、次の点について解説します。
・併願優遇とはどのような受験方法なのか
・利用するにはどんな流れになるのか
・「併願」や「併願推薦」との違い
・どんなメリットや注意点があるのか
・併願優遇に向いているお子さん
・併願優遇を利用する場合の受験対策とは
高校受験を控えているお子さんや保護者の方、併願受験について知りたい方はぜひご参考にしてください。
高校受験における「併願優遇」とは
まずは「併願優遇」の特徴について解説していきます。
「併願優遇」とは?
併願優遇とは、私立高校において「一定の基準に達した生徒の合格を保証する制度のこと」で、東京都や関東の一部の都道府県を中心に実施されている受験方法です。
【併願優遇を利用した例】
第一志望:都立〇〇高校
第二志望:私立△△高校(併願優遇を利用)
第一志望の都立〇〇高校に合格 → 都立〇〇高校へ進学
第一志望の都立〇〇高校に不合格 → 私立△△高校へ必ず進学
併願優遇を利用する流れ
併願優遇を利用したい場合の大まかな流れは次の通りです。
①生徒(もしくは保護者)が高校の説明会へ参加する
②中学の担任の先生へ併願優遇を利用したい旨を伝える
③中学の担任の先生が高校と約束を取り付ける
利用基準は都道府県や学校によって異なりますが、通常は高校側が設けている内申点や出席日数などの基準を満たしていれば利用できます。
これらは高校の説明会や相談会へ参加することで知ることができます。そして、中学校の担任の先生に「併願優遇を利用したい」旨を伝えることで、担任の先生が高校との間で約束を取り付けてくれます。
併願優遇は推薦とは異なるため、一般入試と同じ日程で筆記試験も受けることがほとんどです。また、併願優遇では公立高校との併願が可能です。
公立高校に合格すれば、併願優遇の制度を利用した私立高校は辞退して、公立高校へ進学することができます。公立高校が不合格となった場合は、併願優遇を利用した私立高校に進学することになります。
「併願」や「併願推薦」との違い
次に、混同しがちな「併願」や「併願推薦」との違いを確認しておきましょう。
通常の「併願」とはどう違う?
通常の「併願」とは「複数の学校を受験すること」を指します。
お伝えしたように、併願優遇を利用すると、第一志望に落ちた場合は併願優遇を利用した学校へ必ず進学することになります。
一方、通常の併願では特に縛りはなく、複数の高校を受験した後に合否が出てからどこへ進学するかを決めます。志願している公立高校を万が一不合格になってしまった場合の保険として、私立高校も受験しておくといった、いわゆる「滑り止め」を受けておくケースが併願受験に当たります。
「併願推薦」とはどう違う?
併願優遇や併願と似た言葉に「併願推薦」があります。
高校受験における「推薦」とは、学校推薦・保護者推薦・自己推薦など何らかの形での「推薦」が必要な入試のことを表します。
推薦の制度には「単願推薦」と「併願推薦」とがあり、ざっくりとした違いは次の通りです。
◆単願推薦:合格したらその高校に入学することが条件
◆併願推薦:他の高校(主に公立高校など)を受験することが可能
併願推薦では基本的に中学校の推薦が必要であり、推薦してもらうには中学校で定められた成績基準等を超える成績を修めておく必要があります。
また、併願優遇は一般入試の日程で筆記試験を受けるのに対し、推薦は筆記試験がなく面接などである場合が多く、試験日程も1か月程度早くなります。
併願優遇を利用するメリット
併願優遇を利用するメリットは、大きく分けて3つあります。
合格の可能性がかなり高い
併願優遇を利用した場合、ほとんどの場合で合格が確約されているという点はとても大きなメリットです。そのため、具体的には次の点で恩恵を受けることができます。
・第一志望校の受験対策に専念しやすい
・「どこにも合格しなかった」というケースを回避しやすい
合格がほぼ確約されている状態であれば、併願した私立高校の受験対策にも追われることなく、第一志望である公立の高校受験対策に集中することができます。
また、「すべての高校に落ちてしまい行くところがない…」といった最悪のケースも避けることができます。ただし、学校によっては合格を確約していないケースもあります。
詳しくは後述の「併願優遇の注意点」の項目をご参照ください。
私立の入学金納付を第一志望校の発表まで待ってくれるケースが多い
通常の併願等であれば、第一志望校の合否が分かる前に、先に合格した私立高校へ入学金などを期日までに納付しなければなりません。
しかし併願優遇を利用した場合、第一志望校の合否が出るまで払い込みを待ってくれるケースが多くあります。私立高校の入学金などはまとまった金額になるため、経済面でも大きなメリットとなります。
推薦より基準が易しいケースが多い
繰り返しになりますが、高校受験でなんらかの推薦を利用する場合、中学校で定められた基準を満たさなければ推薦してもらうことができません。
志望する高校にもよりますが、基本的に学校推薦を得るための競争率は高くなりがちです。一方で併願優遇の場合、志望校の定める基準を満たしていれば希望することができます。
一般的に推薦より易しいケースが多い傾向にあるため、利用へのハードルはそう高くない場合が多いです。
併願優遇の注意点
魅力の多い併願優遇の制度ですが、注意点もいくつかあります。
100%合格とは限らないケースがある
「併願優遇のメリット」でもお伝えしたように、併願優遇を利用しても合格が確約されていないケースがあります。例えば学校によっては、併願優遇を利用した生徒に対して、筆記試験の点数に「加点する」という形で優遇しているケースもあります。
この場合、併願優遇を利用していても、点数が定められた基準に達していなければ合格することができません。 どのような優遇としているのかを確認するには、利用したい高校の説明会や相談会へ参加しておくことが必須です。
また、併願優遇を利用していながら筆記試験を白紙で提出したり、面接や試験の日にあまりにもひどい態度で臨めば、不合格となる可能性もあります。
受験できる学校が限られる
併願優遇の制度を取り入れている学校は、東京都をはじめとする千葉県、埼玉県などの一部の私立高校であり、すべての私立高校で実施されているわけではありません。また、次の理由から受験できる学校が限られる可能性があります。
・すべての私立高校が導入しているわけではないため選択肢が限られる
・他の私立高校の受験を制限されるケースが多い
・人気や成績水準が高めの高校ではあまり導入されていない傾向にある
ですので、併願優遇を利用する場合は、第一志望の公立高校とのレベル感などを十分に考慮し、トータルでバランスを見て、併願優遇を利用するかどうかを選択する必要があると思います。
併願優遇に向いているお子さんとは?
ではどんなお子さんやどんな場合に併願優遇を選択すればよいのでしょうか?併願優遇がおすすめなお子さんの特徴をまとめてみました。
①「どこにも受からなかったらどうしよう」という強い不安がある
②第一志望の公立高校に見合ったレベル感・内容の高校が併願優遇を実施している
③公立高校が第一志望で、受験費用をできるだけ抑えたい
④平均的な内申点を出せている
こういったお子さんやケースの場合、併願優遇の利用を検討する余地は十分にあると言えます。
併願優遇を利用するための受験対策は?
繰り返しになりますが、併願優遇を利用するには高校等が定めた内申点や出席日数などの基準を満たしておかなければなりません。
そこまで厳しい基準ではないケースが多い傾向にはありますが、内申点を上げておくと有利に働くことは言うまでもありません。
併願優遇では、ほとんどの場合で2学期に出される「仮内申」を用いて、高校の基準を満たしているかどうかを判断します。つまり、中学3年の2学期までの内申点をある程度出しておく必要があるというわけです。通常、高校受験対策では、主に次の方法があります。
・塾
・家庭教師
・通信講座
・独学
ここで多くのご家庭では、高校受験対策に塾を選択されているのではないでしょうか。ただ、受験生が通う塾は、過去問や予想問題などの受験対策に重きを置いているところが多いと思います。
特に中学3年生となると、ある程度志望校に狙いを定めた対策に入るところではないでしょうか。内申点を上げるには、定期テストの結果が大きく作用します。
つまり通常の授業に沿った定期テスト対策が大切ということです。そこで、授業内容や定期テスト対策としておすすめなのが、家庭教師です。
家庭教師は『完全個別指導』ですので、一人ひとりの得意・不得意に合わせた指導が可能です。定期テストで点数アップを狙うには、家庭教師はピッタリの勉強方法と言えるかも知れません。
家庭教師と高校受験対策については、次の記事もご参考ください。
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家庭教師で高校受験対策は可能?向いているお子さんとは|活用方法や費用・回数等の相場もご紹介
また、内申点を上げる方法には様々あります。副教科に注目した内申点については次の記事もご参照ください。
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副教科で高校受験の内申点に差をつけよう!家庭教師の活用方法も解説
まとめ
併願優遇をはじめ、高校受験の方法は多様化していて選択肢がたくさんあります。
お子さんが目指す志望校の分野はもちろん、お子さんの成績や性格に合った方法を選ぶことでお子さんの負担を軽減し、高校受験を成功へ導くことができます。
高校受験で併願優遇の利用をご検討中の方や併願優遇に興味のあるかたは、今回ご紹介した併願優遇の特徴や利用の流れ、メリットや注意点、向いているお子さんや受験対策などをぜひご参考にしてください。
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