お子さんの高校受験が初めての経験となる保護者の皆さん、不安や疑問を抱えていませんか?一般入試や推薦入試などの入試制度、受験の流れや日程、そして内申書についてなど、気になることがたくさんあると思います。
今回は、こうした基本的な『高校受験の仕組み』について、わかりやすく解説します。このガイドを読めば、高校受験の全体像をしっかりと理解することができるはずです。初めて高校受験を迎えるお子さんとその保護者の皆さん、そして高校受験の仕組みについて知りたい方はぜひご参考になさってください。
高校受験の仕組み① 受験までのおおまかな流れ
まずは高校受験が実施される時期、つまり入試が行われる時期を確認しておきましょう。そしてそれに向けての、中学3年生のおおまかな流れも頭に入れておくと便利です。
高校受験の時期
高校受験が行われる時期は、『中学3年生の1月上旬~3月上旬』にかけてです。時期に開きがあるのは、公立高校と私立高校で入試時期が異なるため、また、一般入試か推薦入試かの入試制度によっても時期が異なるためです。
【表1:一般的な高校受験の時期】
【注意事項】
受験の時期は次の3つで異なるため、志望校や住んでいる地域の入試概要を必ず確認しておく必要があります。
- 公立か私立か
- 住んでいる地域
- 各高校のやり方
特に公立はお住まいの地域で入試の仕組みが違うので、前もって確認するようにしましょう。
高校受験の流れ
高校受験までの1年間は、下記の表2のような流れで進みます。流れが把握できたら、志望校に応じた受験のスケジュールを立てておくことが大切です。
【表2:高校受験までの大まかな流れ(※一般的なスケジュールを基に作成)】
※上記は一般的な流れであり、詳細な日程は学校や地域によって異なります。
- 5月頃~8月頃
例年5月頃から入試の日程が発表され、早ければ6月の夏頃から、いわゆるオープンスクールと言われる学校見学会が行われます。
- 9月頃~12月頃
9月頃には志望校をいくつか選び、学校の説明会に参加します。説明会では一般的に、入学願書などの出願書類が配布される仕組みになっています。出願書類は郵送で請求できる場合も多いです。
志望校が決まったらなんらかの形で出願書類を入手し、出願方法や期日を必ず確認しておきましょう。11月頃に行われる三者面談では志望校を決定し、出願手続きに取り掛かります。
志望校が決まれば受験へのモチベーションも高くなるため、なるべく早めに決めておくのがおすすめです。志望校が決まったら「一般入試」か「推薦入試」のどちらで受験するかも決めておくと、入試対策などの学習計画を立てやすくなります。
※一般入試、推薦入試については後ほど「公立高校の入試制度」「私立高校の入試制度」の項目で詳しくお伝えします。
- 1月頃~3月頃
1月上旬から順次入試が始まり、3月にかけて「出願→入試→発表→手続き」のステップを踏みます。なお、合格発表は試験数日後に行われるケースが多いです。
【注意事項】
出願時や入学時には、必要書類や期日を必ず確認して、手続きは早めに済ませておきましょう。
- 出願書類の提出(入学願書、調査書、志望理由書、自己推薦書など)
- 受験料の金額・支払い期日
- 入学時の書類提出(入学手続き書類、住民票、卒業証明書など)
- 入学金等の金額・支払い期日
これらが遅れると、「受験できない」またはせっかく合格したのに「入学できない」といった状況になる恐れがあります。それはお子さんにとっても保護者の方にとっても辛いですよね。
受験時には「調査書」など、あらかじめ中学校へ依頼しなければならない書類もあります。また、合格後は入学金や施設費などの支払いもあるため、忘れないようにしましょう。
高校受験の仕組み② 高校の種類(公立高校・私立高校・国立高校)
先ほどお伝えしたように、高校受験の仕組みは公立高校と私立高校で異なるため、それぞれの仕組みを知っておく必要があります。
高校は運営している主体によって「公立高校・私立高校・国立高校」の3つに分けられ、各特徴は次の通りです。なお、国立高校は広義として公立高校に含まれるケースがほとんどです。
公立高校とは
公立高校は、都道府県や市町村が運営している高校です。基本的に、その地域に住む人が受験・通学をすることができます。
公立高校は「普通科」と、商業・工業などの「専門学科」に分けられますが、最近は多様な学びができる「総合学科」なども増えています。学費は私立高校と比べて安く、受験料や入学金は、国や自治体ごとに統一されています。
【公立高校の受験料・入学金】
◆受験料:一律2,200円(福岡県、佐賀県では2,100円)
◆入学金:一律5,650円(ただし福岡県と佐賀県、鳥取県、宮崎県は5,550円)
総合高校については次の記事もご参考にしてください。
<関連記事>【総合高校】うちの子に合う?特色から受験対策まで徹底解説【塾?家庭教師?】
国立高校とは
国立高校は、国立大学法人が運営している高校です。令和6年現在で、国立高校は義務教育学校、中等教育学校を除くと、日本に15校しかありません。
国立大学付属のため、ユニークなものから研究に関わるものなど充実した教育環境が整えられており、教育水準も高いです。学費も公立高校よりやや高い程度で、私立よりは安いです。
※義務教育学校とは小学校〜中学校の義務教育を一貫して行う学校、中等教育学校とはいわゆる中高一貫校のことです。
【国立高校の受験料・入学金】
◆受験料:一律9,800円
◆入学金:一律56,400円
私立高校とは
私立高校は、学校法人や株式会社などの民間が運営している高校です。進学のためのコースや指導体制が手厚い学校、クラブ活動に力を入れている学校、就職に強い学校など、学校によって教育方針や校風に独自の特色があるのが特徴です。
学費は公立高校と比べて高めですが、設備や施設が充実しているなどのメリットがあります。修学旅行などの費用も高額になりがちですが、学校によっても差があります。
私立高校の学費の目安として、文部科学省が隔年で実施している「令和3年度子供の学習費調査」の結果をご覧ください。
※「子供の学習費調査」とは、保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額(保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために支出した経費の総額)のことです。
【表3:学校種別の学習費総額(出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」を基に作成)】
学費は各学校の募集要項などで確認できる場合もあるので、大体の額を知っておくと安心です。
高校受験の仕組み③ 公立高校の入試制度
公立高校の入試には、一般入試や推薦入試があります。一般入試は、試験当日のテストの点数や内申点などによる「学力選抜」が中心となっています。
※学力選抜=「入学試験の点数」+「内申点」
公立高校の入試の仕組みは都道府県によって異なるため注意が必要です。お住まいの地域によっては、次のような入試制度があります。
【表4:公立高校の入試制度の仕組み】
最近は一般入試でも、筆記テストのほかに表現力や伝える力を見る「自己表現」が加えられているケースもあります。このように、制度や内容など入試の仕組みは地域によって大きな違いがあるので、公立高校を受験する場合は住んでいるところの要項をよく確認しましょう。その上で、お子さんに合った入試制度を上手に活用するのがおすすめです。
高校受験の仕組み④ 国立高校の入試制度
国立高校の入試の仕組みも、一般入試や推薦入試が基本となっています。公立高校と同じく試験当日のテストの点数や内申点などの「学力選抜」がメインです。学校によっては、次のような入試制度があります。
【表5:国立高校の入試制度の仕組み】
なお、国立高校では「連絡進学」とよばれる、いわゆる付属中学校からの内部進学者が多いです。そのため、付属中学校以外から受ける場合、学力水準や競争率が高い傾向にあります。国立高校も入試の仕組みは学校ごとに異なるため、募集要項などをチェックしておきましょう。
高校受験の仕組み⑤ 私立高校の入試制度
私立高校の入試の仕組みも、一般入試と推薦入試がベースとなっており、学力選抜が中心です。ただし私立高校の場合、一般入試の中でも単願(専願)と併願があったり、推薦入試の中でも単願(専願)、併願、スポーツや芸術などの特別推薦がある場合もあります。地域によっては併願優遇という入試方法もあります。
【表6:私立高校の入試制度の仕組み】
では次から、それぞれをもう少し詳しく見てみましょう。
一般入試とは
私立高校の一般入試は通常、学力選抜がメインのごく一般的な受験方法です。ただし学校によっては、「単願」と「併願」を設けているところがあります。なお、単願と同じ意味合いのことを地域によっては「専願」と呼んでいるところもあります。
- 一般入試:誰でも受けられる一般的な受験。
- 一般入試(単願):合格したら必ず入学することが条件。学校によって基準が設けられている場合もある。
- 一般入試(併願):合格した場合、その学校への入学資格を得る(必ず入学しなくてもよい)。合格しても他の高校を受験することが可能。
推薦入試とは
私立高校の推薦入試は公立高校と同じく、中学校の推薦を受けた生徒が受験できる入試方法で、次の3つが基本となっています。
- 推薦入試(単願):合格したら必ず入学することが条件。合格した場合は他の高校への出願・受験ができない。
- 推薦入試(併願):合格した場合、その学校への入学資格を得る(必ず入学しなくてもよい)。他の学校を受験することも可能。
- 特別推薦(スポーツ、語学、芸術など):スポーツや芸術など特定の分野で優れた実績を持つ生徒が対象。合格後はその分野での実績や継続した活動が求められる。
なお、推薦入試(併願)は、公立高校を第一志望とする受験生の、いわゆる滑り止めとして合格を確保したい場合によく活用されています。併願推薦の場合、学校によっては「公立高校の合格発表まで入学費用の納入期限を待つ」などの制度があるからです。
併願優遇とは
併願優遇とは、「私立高校が設ける基準に達した生徒の合格を保証する制度」のことで、東京都や関東の一部の都道府県を中心に実施されている受験方法です。
併願優遇では公立高校との併願が可能です。第一志望の公立高校に合格すれば、併願優遇で合格した私立高校は辞退し、公立高校へ進学することができます。公立高校が不合格となった場合は、併願優遇で合格した私立高校に進学することになります。
併願推薦との違いは、併願推薦は中学校の推薦が必要である点、そして併願推薦は合格してもほかの学校へ進学することができますが、併願優遇では公立高校が不合格の場合、他の私立高校へ進学することができない点です。
「併願優遇」については次の記事もご参考にしてください。
<関連記事>高校受験の「併願優遇」とは?特徴・メリット・注意点|利用方法から受験対策まで解説
高校受験の仕組み⑥ 内申点とは?
内申点とは、「内申書(調査書)に書かれる各教科の成績」です。高校受験において、内申点はとても大事です。先にお伝えしたように、公立高校、国立高校では学力選抜(入学試験の点数+内申点)で合否を判定するからです。
私立高校でも、推薦や併願優遇を利用する場合は内申点が重要になってきます。いつからいつまでの成績が内申点として利用されるのか、また、学力選抜における内申点の比重は都道府県によっても異なります。
たとえば神奈川県の場合、内申点は中2~中3の成績が利用されると言われています。ですので、内申点への対策は早めに行っておくことをおすすめします。
内申点に関しては、次の記事もご参考にしてください。
<関連記事>内申点ってどれくらい取れば行きたい高校にいけるの?理想の進学先を目指すために
まとめ
今回は初めて高校受験を迎えるお子さんや保護者の方へ向けて、高校受験の仕組みを解説しました。入試の時期から年間の流れ、入試の仕組みについても大筋をご理解いただけたのではないでしょうか。
高校受験はお子さんにとって大切なステップです。適切に情報収集し、手落ちがないようにご注意ください。お住まいの地域の公立高校の入試の仕組みや、気になる高校の募集要項などをチェックして、内容を確認しておきましょう。今回の記事が皆さんの高校受験に、少しでもお役に立てるとうれしいです!
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監修:家庭教師のガンバ 有馬