「リビングでスマホばかりいじっている我が子を見て、ついイライラしてしまう…」 「『受験生』という自覚が、うちの子には全く見られない」 「よかれと思って言っているのに、すぐに『うるさい!』と反発され、親子関係がギスギスしている」 「迫る入試、上がらない成績…。親の私だけが焦っていて、もうどう声をかければいいのかわからない」

 

はじめまして。「家庭教師のガンバ」で体験スタッフをしているTです。私たちは日々、勉強が苦手なお子さんや、受験に向けて不安を抱えるご家庭に伺い、勉強の「やり方」から一緒に見直すお手伝いをしています。

勉強苦手な子の高校受験を成功に導く5つのステップ>>

その中で、私たちがお子さん本人と同じくらい、あるいはそれ以上にお話を伺うのが、保護者の皆様です。 特に中学3年生の保護者の方から、冒頭のような切実な悩みを伺わない日はありません。

大切なお子さんの人生がかかる高校受験。親が心配し、焦るのは当然のことです。 だからこそ、机に向かわない我が子を見ると、「勉強しなさい!」という言葉が、怒りや不安と共に口をついて出てしまう…。そのお気持ちは、痛いほどよくわかります。

しかし、もしその言葉がお子さんのやる気を奪い、むしろ逆効果になっているとしたら…?

この記事では、長年、受験生とそのご家族と向き合い続けてきた「家庭教師のガンバ」の視点から、なぜ「勉強しなさい!」が逆効果なのかという心理的な理由、そして、受験生の心を折ってしまう典型的な「NGワード」と、それをやる気に変える「魔法の言葉」への変換術を、具体的に徹底解説します。

この記事を読み終える頃には、お子さんへの声かけに対する不安が消え、「どうすれば我が子の最大の応援団になれるか」という明確なヒントが得られているはずです。

 

第1章:なぜ、言えば言うほど逆効果?「勉強しなさい!」が子どものやる気を奪う心理的メカニズム

「わかっているなら、なぜ言ってしまうのか」 それは、保護者の方ご自身が、受験というプレッシャーの中で不安でいっぱいだからです。 しかし、まずは冷静に、その言葉がなぜお子さんに届かないのか、その理由を知ることから始めましょう。

1. 心が反発する「心理的な抵抗」

これが最も大きな理由です。 人間は、他人から何かを強制されたり、自分の自由を奪われそうになったりすると、無意識に「反発」し、あえて逆の行動を取りたくなる心理が働きます。これを「心理的抵抗」と呼びます。

「勉強しなさい!」と言われると、たとえ「そろそろやろうかな」と思っていたとしても、 「今やろうと思ってたのに、言われたからやる気が失せた!」 「指図される筋合いはない!」 と、心が反発してしまうのです。これは、思春期で「自立したい」という欲求が強い中学生なら、なおさら強く表れます。

2. 「やらされ感」が「自主性」を殺す

「勉強しなさい!」という言葉は、「あなたは言われないとやらない子だ」というメッセージとして、お子さんには聞こえています。 毎日そう言われ続けると、「勉強は、親に言われてからやるものだ」という「やらされ感」が染み付いてしまいます。

これでは、「自分の将来のために、自分で計画して勉強する」という、受験で最も大切な「自主性」が育つはずもありません。お子さんは、親の「監視」から逃れることだけを考え、ウソをついたり、隠れて遊んだりするようになってしまう危険性すらあります。

3. 子どもも「わかっている」…逃げ場を失わせる言葉

保護者の皆様に知っておいてほしいのは、お子さん本人も、心の底では「このままじゃマズい」とわかっているということです。

勉強が苦手なお子さんほど、「やり方がわからない」「どこから手を付けていいかわからない」「やってもどうせできない」という不安と焦りを抱え、動けなくなっています。

そんな、自分でも自分を責めている状態の時に、親から「勉強しなさい!」という正論をぶつけられると、どうなるでしょうか? それは、逃げ場のない子どもを、崖っぷちからさらに突き落とすような行為です。「自分はダメな人間だ」「親は自分の気持ちなんてわかってくれない」と、心を閉ざしてしまいます。

「勉強しなさい!」は、百害あって一利なし。親子関係を悪化させ、お子さんのやる気を奪う呪いの言葉になってしまうのです。

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第2章:今すぐやめて!受験生の心を折る「最悪のNGワード」集

「勉強しなさい!」以外にも、私たちがご家庭で「それは絶対に言わないでください」とお願いしている言葉があります。良かれと思って言った一言が、お子さんの自己肯定感をズタズタにしているかもしれません。

NGワード1:【他人との比較】「〇〇ちゃんは、もう過去問を5年分も解いたらしいよ」

  • (例)「お兄ちゃんの時は、もっと頑張っていたのに」
  • (例)「A君は、塾のSクラスに上がったんだって?」

【なぜダメか?】 これは、子どもにとって「親は、自分自身ではなく、他人より優れた自分しか見てくれないんだ」という強烈な不信感につながります。 思春期の子どもにとって、親は「無条件で自分の味方でいてくれる」最後の砦です。その親から他人と比較され続けると、自己肯定感は完全に崩壊します。親に本音を話さなくなり、孤独な戦いを強いられることになるのです。

NGワード2:【過去・人格の否定】「だから、あなたはいつもダメなのよ」

  • (例)「どうせまた三日坊主でしょ」
  • (例)「小学生の時から、ちっとも成長してない」

【なぜダメか?】 これは「言葉の暴力」です。 テストの点数が悪かったという「出来事」を叱るのではなく、その子の「人格」や「過去のすべて」を否定するこの言葉は、お子さんの逃げ場をすべて奪います。 「どうせ自分は何をやってもダメなんだ」と、努力すること自体を諦めてしまいます。

NGワード3:【結果だけを追求】「次の模試でA判定じゃなかったら、志望校変えなさい」

  • (例)「こんな点数のために、高い塾代払ってるんじゃないんだけど」
  • (例)「『頑張った』じゃなくて、『結果』を出して」

【なぜダメか?】 もちろん結果は大事です。しかし、保護者までが結果「だけ」を追求すると、お子さんは「プロセス(努力)を見てもらえない」と感じ、膨大なプレッシャーに押しつぶされます。 努力しているのに結果が出ない時、一番悔しいのはお子さん本人です。そこを責められると、「もう頑張るのが怖い」と、挑戦すること自体を避けるようになってしまいます。

NGワード4:【突き放す・脅す】「そんなんじゃ、高校行けるところないよ」

  • (例)「もう勝手にしなさい! お母さん知らないから」
  • (例)「スマホ、解約するからね」

【なぜダメか?】 これらは、親御さんの「本心」ではないはずです。「知らない」と言いつつ、誰よりも心配しているはずです。 しかし、子どもは言葉を額面通りに受け取ります。「本当に見捨てられた」「どうでもいいと思われている」と感じ、絶望的な孤独感に陥ります。 また、「スマホ解約」などの「脅し」は、一時的に効果があるように見えても、根本的なやる気を引き出すものではなく、「罰を避ける」ために行動するだけなので、長続きしません。

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第3章:NGワードを変換!受験生のやる気を引き出す親の「魔法の言葉」

では、NGワードの代わりに、どんな言葉をかければいいのでしょうか? 大切なのは、子どもを「操作・管理」しようとする言葉ではなく、子どもを「信頼・サポート」する言葉を選ぶことです。

同じ場面でも、言葉一つで、お子さんの受け取り方は180度変わります。

1. 「勉強しなさい!」(指示・強制)

↓ 【魔法の変換】 ↓ 「いつも遅くまで頑張ってるね。何か手伝えることある?」(承認・サポートの提案)

【ポイント】 「勉強しなさい」という「Do(行動)」を要求するのではなく、まずはお子さんの「Be(存在・状態)」を認めてあげます。 「頑張っている(ように見えなくても、本人は葛藤している)」という前提で接するのです。 また、「手伝えることある?」という問いかけは、「あなたは一人じゃない」「私も一緒に戦っているよ」という強力なメッセージになります。

(その他の変換例)

  • 「疲れてない? ココアでも淹れようか?」
  • 「(親も隣で読書や仕事をしつつ)一緒に頑張る時間にしよっか」
  • 「今日の夜食、何がいいかリクエストある?」

2. 「〇〇ちゃんはすごいね」(他人との比較)

↓ 【魔法の変換】 ↓ 「前より計算スピード、速くなったんじゃない?」(過去の本人との比較)

【ポイント】 比べる相手は、他人ではなく「過去のお子さん本人」です。 私たち家庭教師が、勉強が苦手なお子さんを指導する際、最も重視するテクニックです。 「1ヶ月前は解けなかった問題が、解けるようになった」「昨日より10分長く机に向かえた」 どんなに小さな成長でも、親が見つけて具体的に褒めてあげることで、お子さんは「自分もやればできるんだ」という自己効力感」を取り戻します。

(その他の変換例)

  • 「英単語、こんなに覚えたの! すごい集中力だね」
  • 「この問題集、最後までやりきったじゃん! 継続できるのがあなたの強みだね」

3. 「なんでこんな点数なの!」(結果の否定)

↓ 【魔法の変換】 ↓ 「そっか、悔しいね。答案見せて。どこでつまずいたのか、一緒に見てみようか」(結果への共感・次への行動)

【ポイント】 結果が出なかった時こそ、親の腕の見せ所です。 まず、お子さんの「悔しい」「悲しい」という気持ちに「共感」します。(「あなたならもっとできたはず」という期待の裏返しでもあります) そして、感情的に叱るのではなく、「どうすれば次はできるか」という「建設的な次の行動」を一緒に考える「コーチ」になってあげてください。

(その他の変換例)

  • 「テストお疲れさま。結果は残念だったけど、あなたが一番頑張ってたのは知ってるよ」
  • 「わからなかった問題は、今度の家庭教師の先生に聞けるように、印つけておこうか」

4. 「もう知らないからね!」(突き放し)

↓ 【魔法の変換】 ↓ 「お母さん(お父さん)は、あなたがどんな結果になっても、世界で一番の味方だからね」(無条件の信頼)

【ポイント】 これこそが、お子さんが心の底から求めている言葉です。 受験生は、「もし落ちたらどうしよう」「親をがっかりさせたらどうしよう」という恐怖と常に戦っています。 親の愛が「条件付き(=良い子にして、良い成績を取るなら愛してあげる)」ではないと伝えること。 「結果がどうであれ、あなたの価値は変わらない」というメッセージが、お子さんに「失敗を恐れずに挑戦する勇気」を与えます。

(その他の変換例)

  • 「疲れたら、いつでも言いなさいね。全部溜め込まなくていいんだよ」
  • 「あなたが選んだ道なら、どこへ行っても応援するから、安心して頑張りなさい」

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第4章:親の本当の役割は「コーチ」であり「安全基地」であること

ここまで、具体的な言葉についてお話ししてきました。 最後に、受験生の親として、最も大切な心構えについてお伝えします。

あなたは「先生」や「監督」にならなくていい

お子さんの成績が上がらないと、つい親が「先生」役になって勉強を教えようとしたり、「監督」役になって1日のスケジュールを監視しようとしたりしがちです。 しかし、多くの場合、これはうまくいきません。

親子という関係性があまりに近すぎるため、お互いに感情的になり、教える側も教わる側も冷静でいられなくなるからです。 「なんでこんなことがわからないの!」 「お母さんの教え方、わかりにくい!」 こんな親子喧嘩を、私たちもたくさん見てきました。

親にしかできない「3つのサポート」に徹しよう

保護者の皆様の役割は、勉強を教えることではありません。 お子さんが安心して受験という戦いに臨めるよう、環境を整える「コーチ」であり、疲れた時にいつでも帰ってこられる「安全基地」でいることです。

1. 環境整備のサポート(食事・睡眠・健康管理)

  • バランスの取れた食事、脳のエネルギーになる朝ごはん、胃もたれしない夜食を用意する。
  • 「夜更かししすぎじゃない?」と声をかけ、睡眠時間を確保させる。
  • 体調が悪い時は、無理させず休ませる。 これらは、お子さん本人には管理できない、親にしかできない最強のサポートです。

2. 情報収集のサポート(学校選び・手続き)

  • お子さんが勉強に集中できるよう、面倒な出願手続きやスケジュール管理は親が引き受ける。
  • 志望校や併願校の情報を一緒に調べ、客観的なアドバイスをする。 (※ただし、最後は本人の意思を尊重する)

3. 精神的なサポート(聴き役・味方)

  • 「勉強」の話ではなく、「学校どうだった?」「部活どう?」という他愛もない雑談の時間を大切にする。
  • お子さんが話し始めたら、絶対に途中で遮らず、アドバイスもせず、まずは「そうなんだ」「大変だったね」と最後まで聴き役に徹する。

「ナナメの関係(家庭教師)」をうまく使う

とはいえ、親子だけで受験を乗り切るのは本当に大変です。 そこで、私たち「家庭教師のガンバ」のような「ナナメの関係」の存在が活きてきます。

親(タテの関係)でも、友達(ヨコの関係)でもない、少し年上のお兄さん・お姉さんのような家庭教師(ナナメの関係)は、お子さんにとっても本音を話しやすい存在です。

  • 親に言えない勉強の悩みを相談できる。
  • 親が言うと角が立つ「計画を立てろ」「提出物を出せ」という指導も、第三者から言われれば素直に聞ける。
  • 保護者の方にとっても、私たちに「勉強のことは任せた」と役割分担することで、ご自身は「安全基地」でいることに専念できます。

「勉強のことは先生に任せて、お母さんはあなたの健康管理を頑張るね」 このように、チームとして受験に臨むことで、親子の無用な衝突は驚くほど減っていきます。

 

おわりに:受験は、親子の絆を試す「最大のイベント」

高校受験は、お子さんの人生にとって最初の大きな試練であると同時に、親子の関係性を、良くも悪くも大きく変える「最大のイベント」です。

「勉強しなさい!」と「うるさい!」の応酬で、お互いに傷つけ合い、最悪の関係で受験期を終えてしまう家族もいます。 一方で、今回ご紹介した「魔法の言葉」を意識し、「どうサポートすればいいか」を一緒に悩み、励まし合うことで、それまで以上に強い絆で結ばれる家族もいます。

お子さんは、親が思う以上に、親の顔色を見ています。 親が不安そうに、イライラしていれば、その不安はお子さんにも伝染します。 親御さんこそが、どっしりと構え、「あなたなら大丈夫」という信頼のオーラを放つこと。 それが、お子さんにとって何よりの「やる気の源」になるのです。

もし今、お子さんへの声かけに悩み、親子関係がうまくいっていないと感じていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。 私たち「家庭教師のガンバ」は、勉強を教えるプロであると同時に、勉強が苦手なお子さんやそのご家族の悩みに寄り添うプロでもあります。

無料の体験授業では、お子さんの学力診断だけでなく、保護者の皆様のお悩み相談にもじっくりと時間をかけて乗らせていただいています。 「うちの子には、どう声をかければいい?」 その答えを、私たちと一緒に見つけてみませんか?

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、お子さんとの関係をより良いものにする一助となれば、これほど嬉しいことはありません。応援しています!

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