2021年度から大学入試は大きく変わりました。制度を把握するだけでも困惑してしまう人も多いと思います。

保護者の方にとっても心配や不安が大きいのではないでしょうか。自分たちの時代とは傾向が異なるので、適切なアドバイスが難しく、悩むこともありますよね。

試験本番に向けて勉強に集中するためにも、ここでは新制度の確認をしてみます。教科ごとの傾向などを知ることで、最適な試験対策もしやすくなります。

大学受験共通テストとは

大学受験共通テストは、センター試験と呼ばれていた受験の新制度ですが、教科や日程など基本部分はセンター試験とほとんど変わりません。

変更になった箇所をきちんと把握し、適切な対策をとれるようにしましょう。

大学受験共通テストの概要

センター試験と同じく、共通テストは1月中旬から下旬に実施されます。土曜日と日曜日の2日間です。

教科は国語、数学、外国語、理科、地歴、公民の6教科30科目です。受験できるのはこのうち基本的に8科目で、詳細は志望先の指定によって選択します。

大学受験共通テストで求められる学力の3要素

センター試験との大きな違いは、受験生に求められる能力です。大学受験共通テストでは知識のほかに、3つの要素が重要視されます。

1つ目は問題を解くための知識と技能です。これはセンター試験のときと基本的に変わりません。

2つ目は思考力、判断力、表現力です。見たことのない問題に直面しても解決できる力が試されます。

3つ目は主体性、多様性、共同性です。すぐには答えが出ない問題でも、様々な解決策を導き出していく力になります。

変化が早くグローバルな価値観が求められる現代で、生きる力となる要素なのです。

教科別の傾向

共通テストは判断力や表現力などを重視した試験になっているため、知識を応用する力が求められます。論理的な思考も鍛えなければなりません。

国語

センター試験と同じく、古文と漢文は得点につなげやすい分野です。また、古文の語彙や文法を理解できれば点数も取りやすく、読解問題にも強くなります。

漢文は一見すると難解ですが、基本的な漢字や解釈を覚えれば得点力が上がります。レ点や一二点のように、漢文独自の句法もしっかり身につけておきましょう。

現代文については論理的思考が重視され、日常会話の中から答えを見つける問題も出ます。正しく解答するには、まず何を問われているのかを冷静に見極めなければなりません。文章中から事実を抜き出すのか、筆者の主張を読み解くのかなど、正確に対応していきます。

文章に限らず、図や表などを使った出題があるのも特徴です。文章題も複数出されるため、膨大な情報の中から適切な箇所を選んで読み取っていきます。

時間にも制限があるので、本文や資料を見る前に問題文を把握するといいと思います。聞かれていることを理解したうえで本文の中から答えを探すのがコツです。

数学

数学は問題文の読み解きから難易度が上がっています。数学1Aの試験は70分でセンター試験より伸びています。問題文の把握に読解力が求められるので、10分長くなっても余裕はありません。

2Bについては60分間でセンター試験と変わりませんが、こちらも問題文自体の理解が難しいため、時間配分には十分注意しましょう。

計算式を知っているだけでは共通テストの対策にはなりません。自分で考えて工夫する力が必要なので、基本的な公式を知っていることは大前提になります。「この計算式を使う理由はなぜか」といった、根底から理解しておく必要もあります。

そのためには過去問やテキストの演習をくり返すことが重要です。何度も演習を重ねていくうちに考える力は少しずつ高まります。

英語

英語は他の教科と比べても文章量が多いため、単語や熟語をマスターし、素早く英文を読み込む訓練が必須になります。

大学受験共通テストに文法問題は出題されません。ただ、出題文を正しく理解するためにも文法の基礎は確実に固めておきましょう。英文の解釈が正確にできないと、和訳問題も得点につながらないためです。

テキストを活用しながら、早いうちから長文に慣れておく必要もあります。共通テストは過去問の量が多くないため、英検の問題なども有効活用するのもいいと思います。

理科

物理ではエレキギターや石鹸など、身近なものを題材とした出題があります。データの読み取りのように、知識があるだけでは答えられない問題も特徴的です。

公式の使い方は試験までに完全に覚え、暗記箇所も取りこぼさないようにしましょう。

化学でも図や表を使った読み解き問題が出されます。学校で習う範囲外の内容も出題されますが、これは応用力を試すためです。

知らない化合物が急に出てきたとしても、今まで身に付いているはずの知識を冷静に使えば、必ず解ける問題です。

社会

社会は知識だけでは通用しない出題があります。世界史には史資料の読み解き問題が多く、読解力はもちろんですが、原因などを導き出す力が試されます。

「なぜそうなったのか?」という背景にまで着目しながら出来事を理解する必要があります。日本史も同様で思考力が必要です。

知識も当然必須ですが、歴史的な出来事の深堀をする勉強を心がけるといいと思います。「なぜこの仏閣が建ったのか」、「なぜ争いが生じたのか」、細かく考えながら覚えるようにしましょう。

大学受験共通テストの対策方法

共通テスト対策には3要素を鍛える必要があります。合格点獲得を目指すための力を早い段階で身に付けておきましょう。

暗記は大前提

思考力や応用力を重視されるとはいえ、知識がなければ問題に挑めません。そのため覚えておくべき内容の暗記は大前提の課題となります。

漢字、英単語、数学の公式など、何度もくり返し記憶に定着させましょう。知識がきちんと備わっていれば、試験本番に実力を発揮できます。

学習の継続

覚えたことを基にして、思考力を高めるには問題集をやり込むことが理想です。「この問題はこう解く」と、問題文を読んですぐに気づくための判断力が身につきます。

難しい問題にも取り組む習慣ができていれば、本番で慌てずにすみます。途中で投げ出さないで自力で解決するためには、毎日の学習サイクルの定着が大切です。

グループ学習

多様な考えを大事にしながら他の人と協力し、主体的に動ける能力も必須です。そのためには学校や塾の友人たちとのグループ学習が効果的です。

自分の意見を述べながら人の考えも聞くことで、様々な解決策を見つける力が身に付きます。1人での勉強に行き詰まったら、周りと考えを出し合ってみるのもいいと思います。

家庭教師の利用

共通テストの3要素は抽象的な能力という側面もあるので、思考力や表現力と言われても、どうすれば良いのかピンとこないこともあるのではないでしょうか。

また、強みのある部分や足りない部分は人それぞれ違うので自分の強みや弱みがどこにあるのか、自覚するのは難しいですよね。

ですので、3要素を効率的に伸ばしていくための1つの手段として塾や家庭教師などを利用し、既に経験のある人に指導してもらう手段もあります。

自分1人では見えづらいこと、どこに重点を置くか、補うべき能力は何か、などを一緒に見つけ、最適な学習プランを一緒に立てることが出来るかも知れません。

大学受験を家庭教師と一緒に

まとめ

大学受験共通テストの傾向と対策について解説してみました。受験までにやるべきことはたくさんありますが、ご参考にしていただけましたでしょうか。

現在の大学受験は暗記だけで乗り切るのは難しく、記憶の定着はもちろん、知識を基にして理解力を高めていく必要があります。

出題文章を少し変えられただけで分からなくなってしまうことが無いように、考える力や応用力を試験本番までに高めていくことが大切だと思います。

ガンバ  今村 剛