高校受験を控え、個別指導塾の選択を検討する保護者の方は多いのではないでしょうか。個別指導塾には「一人ひとりに合わせた指導」「苦手を克服できる」などのメリットがある一方で、実際に通い始めてから「思っていたのと違う」と感じる方も少なくありません。
今回の記事では、個別指導塾の現状や実態、入塾前には分からないポイントについて掘り下げ、効果的な学習環境とはどのようなものかをお話していきたいと思います。お子様にとって最適な学習環境を見つけるための参考にしていただければ幸いです。
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個別指導塾の現状と背景
ここ数年で個別指導塾がとても増えています。今までは集団塾が主流で、特に進学塾では学力上位の生徒向けに厳しい指導を行っていましたが、今では個別指導塾が「一人ひとりに合わせた指導」を前面に打ち出して人気を集めています。
しかし、個別指導塾に対する期待が高まる一方で、実際には学力向上に直結しないケースもあります。特に、集団授業での指導が難しい生徒や、自宅での自学習が苦手な生徒が個別指導塾を選ぶ傾向がありますが、そうした生徒に対するサポートが十分に機能していないことが課題となっているのです。この背景には、「1対1」や「1対2」などの指導形態や、講師のスキルに差があることも影響しています。
さらに、保護者が持つ「個別指導ならではの効果的な学習」という期待と、塾側の実際の提供内容にギャップが生じている点も問題の一因です。このコラムでは、そうしたギャップを埋めるべく、個別指導塾の「本当の姿」を明らかにしていきます。
個別指導塾選びで必ずチェックすべき3つのポイント
個別指導塾を選ぶ際に、必ず確認して欲しいというポイントを書き出してみます。
指導形態
個別指導塾には、「1対1」や「1対2」といった指導形態がありますが、ここで注目すべきなのは、実際の指導時間です。「1対1」だとしても、その時間内でどれだけ効率的な指導が行われているかは大切ですが、「1対2」や「1対3」の場合、指導の時間が限られるため講師のスキルに頼る部分も大きくなります。実際に指導を受けてみて、どのように時間が使われているかを確認することが大切です。
カリキュラムの柔軟性
個別指導塾での学習内容が、どれだけ生徒に合わせてカスタマイズされているかは重要なポイントです。教科書や教材の内容をそのまま進めるだけではなく、生徒の理解度や弱点に合わせて調整されているかを確認しましょう。特に1対2や1対3の場合、個々の苦手分野に重点を置いたり、戻り学習をしたりすることが難しい場合があります。
講師の質と経験
講師の質は、学習効果に大きな影響を与えます。大手の個別指導塾でも、経験の浅いアルバイト講師が指導することもあり、特に1対2や1対3の授業の場合は経験や指導力の差が大きくなります。生徒の学力向上に向けて、講師がどれだけ適切にサポートできるかを見極めることが意外と重要だと思います。
個別指導塾の「1対1」と「1対2」の違いとその影響
個別指導塾では、「1対1」「1対2」などの指導形態が選択できますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
1対1の指導
1対1指導は、講師が1人の生徒に集中できるため、非常に細かいサポートが期待できます。生徒の理解度に合わせてスピーディに進められるため、苦手克服には最適です。しかし、費用が高額になる傾向があり、家庭教師の方が費用対効果が良い場合もあります。
1対2の指導
1対2指導では、講師が2人の生徒を同時に担当するため、1人あたりの指導時間が短くなります。一般的に、60分授業であれば1人30分ずつの指導となり、残りは自習時間となります。自分で問題を解くことが得意な生徒には適していますが、自学習が苦手な生徒には効果が薄くなることが多いようです。
個別指導塾における「自習時間」の実態と課題
個別指導塾では、「自習時間」が設けられていることが多いですが、これが生徒にとって有効に機能していない場合があります。
自習時間の意義
個別指導塾での自習時間は、指導のない時間を使って自分で学習を進めるものです。しかし、指導がない時間の活用ができない生徒も多く、せっかくの時間が「放置」されていることが少なくありません。自習時間が十分に活用できないと、せっかくの塾通いが無駄になってしまいます。
自習の監督不足
一部の個別指導塾では、自習時間中に監督者が不在となることもあります。特に学習意欲が低い生徒や、勉強が苦手な生徒にとっては、自習時間がただの「待機時間」となりかねません。しっかりとした監督がある自習環境を整えることが重要です。
保護者と指導者とのコミュニケーションの現状と影響
個別指導塾では、保護者と講師とのコミュニケーションが限られる場合が多く、指導の進捗状況や学習内容が見えづらいことがあります。
コミュニケーション不足による問題
保護者が指導内容や進捗を把握できないと、家庭でのサポートが難しくなるだけでなく、生徒の学習意欲やモチベーションに影響することもあります。特にアルバイト講師が担当している場合、報告が曖昧になることがあり、保護者が不安を感じる原因となります。
講師の変更のリスク
個別指導塾では講師が変わることも珍しくありません。頻繁に講師が変わると、生徒がせっかく築いた信頼関係が崩れてしまい、学習へのモチベーションが低下するリスクが生じます。できるだけ、長期間同じ講師が担当できる塾を選ぶことが望ましいでしょう。
成績が上がる生徒と上がらない生徒の違いとその理由
個別指導塾だけではありませんが、同じ指導を受けていても成績が上がる生徒と上がらない生徒がいます。
成績が上がる生徒の特徴
- 自主的に質問できる: 分からない箇所を積極的に質問できる生徒は成績が上がりやすいと思います。ただ、わからない箇所を質問することは、自分で勉強しているからわからない所が明確になり、はじめてできることなので、自分で勉強する習慣を持つことが重要です。
- 自習時間を活用できる: 自学習ができる生徒は、自習時間を有効活用し、成績向上につながりやすいです。
成績が上がらない生徒の特徴
- 指導時間外で勉強しない: 1対2や1対3だと質問しやすいと考える方も多いと思いますが、質問ができない原因は人数の問題だけではありません。質問できない生徒は自分一人で勉強ができていないため、わからない所もわからないまま「何を質問したらいいのかわからない状態」であることが多いのです。
- 自習の時間を活かせない:普段から自分一人の学習を行っていないと、自習の時間の効率はかなり落ちてしまいます。
家庭教師との比較
家庭教師には、個別指導塾にはない以下のメリットがあります。
- 完全な1対1指導: 生徒との理解度に合わせたピンポイントのサポートが可能。
- 柔軟なカリキュラム: 学習進度や理解度に応じた柔軟な指導ができます。
- 保護者との密なコミュニケーション: 保護者が直接進捗状況を確認できるため、安心感があります。
まとめと具体的な提案
個別指導塾には、「一人ひとりに目が行き届く」「細かいサポートが受けられる」などのメリットがある一方で、指導形態や講師の質、カリキュラムの柔軟性などに課題も多くあります。特に、「1対2」や「1対3」という指導形態の場合、授業の効率や学習効果は生徒に依存してしまう部分が大きいという点には注意が必要です。
個別指導塾の効果を大きくしていくために、次の点を検討してみてください。
塾選びの具体的な提案
- 指導形態を事前に確認
「1対1」の指導か、それとも「1対2」や「1対3」の指導かを確認し、その指導形態が自分の生徒に適しているかを見極めることが大切です。 - 自習環境と監督体制の確認
塾内での自習時間がしっかりと監督されているか、自習時間が「放置」状態になっていないかをチェックしましょう。特に、学習意欲や集中力に課題のある生徒には監督者が必要です。 - 講師の質と経験に注目
1対2や1対3の指導の場合、講師の経験やスキルが大きく影響します。できれば、講師の経験や指導方針を確認する機会を持ちましょう。 - 保護者とのコミュニケーションの機会
保護者との面談や進捗報告の頻度も重要です。保護者が生徒の学習状況を把握し、家庭でのサポートができるよう、適切なフィードバックがある塾を選ぶことをおすすめします。
個別指導塾と家庭教師の選択基準
個別指導塾と家庭教師のどちらが向いているかは、以下の基準で判断できます。
- 自己管理ができる生徒
個別指導塾の1対2指導でも、自習時間を有効活用できる生徒であれば、個別指導塾が効果的です。講師に頼ることなく自ら学習を進められる生徒にとっては、個別指導塾が適しています。 - 学習の苦手意識が強い生徒
自習時間をうまく活用できない、一人で勉強ができない、または苦手科目が多く指導のサポートが必要な生徒には、家庭教師のような完全な1対1の指導が向いています。個別指導塾で1対2の指導を受けても効果が薄い場合は、家庭教師を検討することも一案です。
最後に
個別指導塾が持つメリットとデメリットを理解した上で、生徒にとって最も適した学習環境を見極めることが大切です。個別指導塾には一定のサポート体制が整っていますが、その内容が生徒の学習状況に合っているかをしっかり確認し、必要であれば家庭教師も選択肢に加えてもいいと思います。
学習は、塾だけでなく家庭での学習もあって初めて効果を発揮します。生徒が勉強に向き合いやすい環境を整え、個別指導塾の効果を最大限に引き出していきましょう。
家庭教師のガンバ 今村 剛