お子さんが急に泣きわめいたり怒ったりすると、保護者としては心配になりますよね。

感情のコントロールが難しい子を前にして、親である自分までイライラしてしまうこともあります。

腹を立てて叫んでいる子に、感情的に言い返してしまって罪悪感を抱える日もあるでしょう。

人間の感情はとても複雑にできています。

安定的な感情表現ができるようになるためには、どういった対処が必要なのでしょうか。

感情のコントロールができない子供の増加

ここ近年、感情のコントロールが苦手な子が増えてきています。

小学生や中学生になっても起伏が激しかったり、攻撃的な態度が目立ったりして心配になる保護者も多いです。

 

感情の発達

乳児期から5、6歳にかけて、お子さんの感情は爆発的に大きな発達を見せます。

生まれたばかりの頃の子供は、お腹が減ったりオムツがぬれたりすることで不機嫌になって泣きますが、これは泣くことで感情を表現し、周囲の大人にケアを求めているのです。

反対にお腹がいっぱいになったり動くものを見たりして、機嫌よく笑うこともあります。

 

笑うということは人間特有の行動でもあります。

生まれたばかりでも少しずつ感情は発達していくので、お父さんお母さんを日々喜ばせてくれるはず。

3歳くらいになるとさらに活発な感情表現をし始め、怒ったりイライラしたりする姿も見せるようになります。

早い子だと5歳くらいにもなれば、自分の感情を言葉で的確に表現し始めます。

大人とのコミュニケーションも成立するようになるので、おしゃべりが上手な子に驚く保護者が増えてくる時期ではないでしょうか。

さらに小学校に入学すると、大勢の人と関わることによってますます感情を発達させます。

これらは自然と身についていくものですが、発達段階での周囲との関係は大きな影響を及ぼすもの。特に親子関係は最も重要なポイントと言えます。

この時期に親子間での適切なコミュニケーションがとれていないと、お子さんの精神的・感情的な成長を妨げることになるかもしれません。

 

親子のコミュニケーションの影響

小学校に入学してまだ間もない頃は、慣れない環境に戸惑いや怖れを見せ、不安感をあらわにさせる子もいます。

ですが基本的にはそこまで心配しなくても大丈夫です。

同い年の周りの子を見ながら学習していくので、少しずつ学校生活を楽しめるようになります。

しかしその一方で、常に不安や怒りを持ち続けてしまう子もいます。

なぜそのようなことが起きてしまうのかというと、原因はいくつかありますが、そこに親子関係も含まれます。

いつでも親に話を聞いてもらえる子の場合、学校で起こった楽しいことや嫌なことを自分の言葉で日々表現できます。

それが起きた時にどんな気持ちだったのか、ご両親に聞いてもらいたくて一生懸命に話すでしょう。

「楽しさ」の表現ももちろん大事ですが、特に「悲しさ」「イライラ」などのネガティブな感情を言葉にする意義は大きく、心の中のモヤモヤをその都度表に出すことになるので、ストレスをため込む心配がありません。

保護者と話していく中で、自分の感情との折り合いの付け方も少しずつ学んでいきます。

反対にこのようなコミュニケーションがとれていないと、自分の感情の意味を理解しにくくなります。

ストレスが「かんしゃく」や「攻撃」に代わってしまい、感情のコントロールが難しくなっていくのです。

喜怒哀楽のバランスの重要性

いつも笑っている子や、物事を素直に受け止める小中学生も世の中には大勢います。

喜びの表現が活発で得意な子は、周りの大人としても見ていて楽しいものです。

しかし、人間にはプラスの感情表現だけではなく、マイナスの感情も不可欠です。

喜怒哀楽という言葉がある通り、生き物である以上は恐れや不安という感情が必要になるのです。

例えば目の前に大きなハチがいた時、もしも「怖い」という感情が出てこなかったらとても危険ですよね。

攻撃してくる生き物からは逃げなければならないという、当然の反応ができなくなってしまいます。

あるいは誰かから嫌なことをされた時、「悲しい」「つらい」「イライラする」といった気持ちの意味が分からなかったらどうなるでしょうか。

本来だったら感情的に泣いてもいいような場面で泣くことができず、心の中のモヤモヤを自分自身で処理できなくなるかもしれません。プラスとマイナスの感情の両方が備わっていることにより、私たちの気持ちや行動は安定します。

これは大人でも子供でも同じこと。

お子さんが適切な感情コントロールをできるようになるためには、喜怒哀楽のバランスがとれていなければなりません。

感情をコントロールするために

親子間のやり取りは子供の感情が発達するのを助けます。

では一体どういったコミュニケーションが必要になるのでしょうか。

 

自分の気持ちを伝えさせる

忙しい時は難しいかもしれませんが、1日のうちの少しの時間でもお子さんとは必ずその日のことを話すことをおすすめします。

ただ出来事を話すだけではなく、それによって何を感じたか伝えさせることが大切です。

もし自分で表現できないようなら、「怖かった」のか「悲しかった」のか、言葉をチョイスできるよう親御さんから選択肢を与えてみてはいかがでしょうか。

しかし、それでも話したくないほど嫌な出来事が起こる日もありますよね。

そういうときはノートに気持ちを書かせてみてはいかがでしょうか。

日記のように丁寧に書かなくても、嫌だと思ったこと、そのときの気持ちを、単語だけで表しても良いです。

 

感情の言語化

「嬉しい」や「悲しい」など、感情を表す言葉は色々あります。

感情の様々な側面を表すために、数多くの複雑な単語を持っているのは日本語の特徴です。

「悲しい」という表現だけでも、「悲嘆」や「悲痛」、「切ない」や「悔やむ」など膨大な数の言葉があります。

まずは簡単な言葉からで良いので、少しずつ身につけていくと、お子さんは自分の気持ちを伝える手段を増やしていくことにつながります。

ただ「悲しい」だけなのか、それとも「怒り」と「悲しみ」が混じった感情なのか、自分の気持ちを丁寧に考えられるようになるでしょう。

感情語をまとめた子供向けの本もあるので、上手く使えると効果的です。

 

否定や無視は厳禁

感情がコントロールできない子に手を焼き、困惑している保護者の方もいらっしゃると思います。

つらい日もあるかもしれませんが、お子さんの話を無視したり、怒ったりするのは厳禁です。

不安を見せる子に対して、心配事から目を逸らすようなアドバイスもいけません。

重要なのはお子さんが自分の感情を受け入れ、きちんと適応できるようにすることです。

また、ストレスから過剰な要求などのワガママを言い出す子もいますが、望みどおりにすることだけが親の務めではありません。

望みが簡単に叶ってしまうと、それは少しずつエスカレートしていく可能性があります。

お子さんが気持ちと向き合えるように、親御さんもお子さんの感情を受け入れることから始めましょう。

塾や家庭教師にできること

塾や家庭教師は勉強の指導者ですが、学習のプロが身近にいることで感情の発達の手助けにもなります。

情緒が安定していて感情表現がうまくできる子の多くは、言語能力や読解力が高いことに気づく人もいるかもしれません。

読解力がある子は、状況や言葉から人の気持ちを適切に読み解くことができます。

言語のスキルが高ければ、学習の中で身につけた様々な感情の表現を自分の状況にあてはめて考えられるでしょう。

こういった考え方や、物事のとらえかたを、塾や家庭教師は生徒に合わせて指導できます。

感情語を学べるテキストの中から、その子に相応しい教材がどれなのか一緒に選ぶこともできるので安心です。

まとめ

感情がコントロールできない小中学生の対処法や解決法を解説しました。

大人でも感情的になってしまうことはあるはずなので、親子でコミュニケーションをとりながら一緒に学んでいくスタンスを持ちましょう。

塾や家庭教師のように言語指導の得意なプロがいると、感情表現のスキルもアップします。

気持ちと向き合って言葉に表すことで、感情は少しずつ安定していきますよ。

家庭教師のガンバ  今村 剛

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