音読は、「ただ声に出して文章を読むこと」と思われがちですが、授業を理解することやテストの点数を上げることに関しても、とても重要な勉強法です。文章を正しく理解する力がつくだけでなく、語彙力がついたり、読むスピードが速くなったり、記憶力が向上したりするなど、多くのメリットがあります。
さらに、音読を続けることで話す力もアップし、自信をもって発表できるようになるなど、学校生活や将来の仕事でも役立つスキルを身につけることができます。なぜ音読がこれほど大切なのか、どのような力がつくのかを6つのポイントに分けて詳しく解説していきます。
1.文章の意味がよく分かるようになる
文章を読んでいて、「何が書いてあるのかよく分からない」「読んでも内容が頭に入ってこない」と感じることはありませんか? それは、文章をただ目で追っているだけで、しっかりと理解できていないからかもしれません。
音読をすると、目で見るだけでなく、口を動かし、耳で聞くことで、文章をより深く理解できるようになります。文章を黙読していると、流し読みになってしまったり、途中で意識が途切れてしまったりすることがあります。しかし、音読をすると、文章の構造や流れを意識しながら読むため、自然と「この部分が重要なんだな」と気づくことができるのです。
特に、物語文を読むときには、登場人物の気持ちを考えながら音読することで、物語の世界に入り込みやすくなります。例えば、「悲しそうに言った」という文を、声のトーンを落として読んでみると、登場人物の気持ちをよりリアルに感じることができます。こうした経験を積み重ねることで、読解力が向上し、テストの問題を解くときにも役立つようになります。
また、説明文や論説文のような難しい文章も、音読すると理解しやすくなります。特に、長い文章は、どこで区切ればよいのかが分かりにくいことがありますが、音読をすると自然と文の切れ目が分かるようになり、文章の構造を理解しやすくなります。こうした力は、国語の読解問題だけでなく、社会や理科の文章を読むときにも役立ちます。
2.言葉の知識が増える(語彙力がつく)
国語の力を伸ばすためには、「語彙力」をつけることがとても大切です。語彙とは、簡単に言えば知っている言葉の数のこと、とも言えます。語彙が豊富な人ほど、文章を読んだときにすぐに意味を理解することができます。逆に、知らない言葉が多いと、文章の内容が分からなくなってしまいます。
音読をすると、新しい言葉や漢字の読み方を自然と覚えることができます。普段の会話ではあまり使わない難しい言葉でも、何度も口に出して読むことで意味や使い方が身につきます。例えば、「雰囲気(ふんいき)」「感慨深い(かんがいぶかい)」「意図的(いとてき)」といった言葉は、日常会話ではあまり使われないかもしれません。しかし、教科書を音読することで、これらの言葉を自然と覚え、実際に使えるようになります。
また、音読をすると、言葉の「響き」や「リズム」も感じ取ることができます。同じ意味の言葉でも、使い方によって印象が変わることがあります。例えば、「楽しい」と「愉快(ゆかい)」は似た意味ですが、「楽しい」は日常的な表現で、「愉快」は少し硬い表現になります。音読をすることで、こうした言葉のニュアンスの違いも理解しやすくなります。
さらに、音読を続けると、難しい言葉でもスムーズに読めるようになります。最初は読みにくかった漢字や表現も、何度も声に出して読むことで自然と身につきます。これは、読解問題を解くときにも役立ちますし、作文やスピーチなど、自分で文章を作るときにも役に立ちます。
3.読むスピードが速くなる(速読力がつく)
「国語のテストで時間が足りない…」「長い文章を読むのに時間がかかる…」と感じたことはありませんか? そんな人にも、音読はとても効果的です。
音読を続けると、文章を読むスピードが自然と速くなります。音読をすると、文章のリズムや流れを意識しながら読むことになるため、スムーズに言葉を処理できるようになるからです。例えば、最初はつっかえながら読んでいた文章でも、何度も音読するうちにスラスラ読めるようになります。この練習を続けると、他の文章を読むときも速く読めるようになり、テストの長文問題を解くときにも役立ちます。
読むスピードが速くなると、国語だけでなく、社会や理科の教科書を読むときにも役立ちます。特に、理科や社会の記述問題では、問題文を素早く読み取り、必要な情報をすぐに見つける力が求められます。音読を続けることで、このような力も自然と身につくことが期待できます。
また、速く読むことができると、読書の時間も短縮できます。読書が苦手な人も、音読を続けることで自然と読むスピードが上がり、本を読むのが楽しくなります。
4.記憶に残りやすくなる(記憶力アップ)
「せっかく勉強したのに、すぐに忘れてしまう…」ということはありませんか? 特に、歴史の年号や理科の公式、国語の文章の内容を覚えようとすると、なかなか定着しないことがありますよね。そんなときに役立つのが音読です。
音読をすると、「目で読む」「口で読む」「耳で聞く」という 3つの方法で情報を取り入れる ことができます。これは、ただ黙読するよりも 記憶に残りやすくなる方法として、多くの学者の方も推奨しています。例えば、歴史の教科書を黙読するだけだと、「覚えたつもり」になってしまい、すぐに忘れてしまうことがあります。しかし、同じ内容を音読しながら読んでみると、リズムや流れが記憶に残りやすくなり、長期間覚えていられるようになります。これは、古文や漢文の暗記にも有効です。
さらに、音読を繰り返すことで、文章の 「リズム」 や 「構造」 を記憶しやすくなります。特に、古文の暗記に音読はとても効果的です。例えば、「徒然草」や「枕草子」などの文章を何度も音読すると、自然とその文の流れが頭に残るため、テストのときにもスラスラ書けるようになります。
また、英単語や熟語を覚えるときも、音読はとても効果的です。英語の教科書の文章を何度も音読すると、自然とフレーズが身につく ようになります。リスニングの勉強にも役立つため、英語の成績向上にもつながります。
音読が記憶力アップに役立つ理由
✅目・口・耳を使うことで、記憶に残りやすい
✅文章の流れやリズムが頭に残る
✅暗記が必要な科目(国語・英語・社会)にも有効
✅英単語や古文の暗記にも効果的
このように、音読は「覚えるのが苦手」という人にこそおすすめの勉強法なのです。
5.自信をもって話せるようになる(スピーキング力向上)
音読は、文章を読む力をつけるだけでなく、「話す力」も伸ばしてくれます。特に、人前で話すのが苦手な人にとって、音読は 「スピーチ練習」 の役割を果たします。
例えば、学校の授業で発表をするとき、「緊張してうまく話せなかった…」という経験をしたことはありませんか?でも、普段から音読をしていると、スムーズに言葉を発することができるようになります。音読をすることで 「発音」「イントネーション」「抑揚」 を意識する習慣がつくからです。
また、音読を繰り返すと「どこを強調すればいいのか?」 が分かるようになります。文章には、重要なポイントや強調すべき言葉がありますが、音読することでその部分を自然と意識できるようになります。
例えば、次の2つの文章を比べてみましょう。
1️⃣「私は学校の授業がとても楽しかったです。」
2️⃣「私は学校の授業がとても楽しかったです!」
2つ目のほうが、強調すべき部分がはっきりしていて、相手に伝わりやすいですよね。このように、音読をすると「どの部分に力を入れて読むべきか?」を考えながら話す力が身につくのです。
また、音読は「早口を防ぐ」効果もあります。発表やスピーチで緊張すると、つい早口になってしまう ことがありますが、音読を繰り返すことでゆっくり、はっきり話す練習になります。
音読がスピーキング力を伸ばす理由
✅発音・イントネーションがよくなる
✅話すスピードが安定する(早口にならない)
✅強調すべき部分を意識できるようになる
✅スピーチや発表で自信をもてるようになる
スピーチや発表の場面で緊張しがちな人は、毎日5分でもいいので音読を習慣にすると、驚くほど 話す力が向上します。
6.漢字の読み書きが得意になる(漢字力向上)
「国語のテストで、読めない漢字があった…」「漢字の書き取りが苦手…」という人も、音読を習慣にすると漢字が得意になります。音読をすると、目で見た漢字を「口に出す」ことになるため、正しい読み方を覚えやすくなります。また、漢字を何度も音読していると、自然と書くときにも思い出しやすくなる というメリットがあります。
例えば、「挑戦(ちょうせん)」という漢字を音読すると、その発音と漢字の形が結びつくため、テストのときに「どう書くんだっけ?」と悩むことが少なくなります。また、音読をすると、熟語の意味も覚えやすくなります。さらに、漢字の送り仮名や間違えやすい読み方を正しく覚えられるというメリットもあります。例えば、「確率(かくりつ)」と「確立(かくりつ)」のように、似た漢字でも意味が違うものがありますよね。音読をすると、実際に口に出して読むことで、正しい使い方を意識しやすくなるのです。
音読が漢字力を伸ばす理由
・漢字の読み方を自然に覚えられる
・送り仮名の間違いを防げる
・熟語の意味が定着しやすくなる
・テストのときに漢字を書きやすくなる
漢字が苦手な人こそ、音読を取り入れて楽しく漢字を覚える習慣をつけるのが効果的です。
音読をすることの大切さ ~まとめ~
音読は、国語の勉強だけでなく、あらゆる学習の基礎となる大切な習慣です。ただ文章を声に出して読むだけのように思えますが、実は 「読む」「聞く」「話す」 という3つの力を同時に鍛えることができる、とても効果的な勉強法なのです。
今回、音読をすることで得られる 6つのメリットを詳しく説明しましたが、ここで改めてその重要性をまとめます。
音読をすると得られる6つの力
- 文章の意味がよく分かる → 読解力がアップする
- 言葉の知識が増える → 語彙力が豊かになる
- 読むスピードが速くなる → テストの時間配分がうまくなる
- 記憶に残りやすくなる → 暗記が得意になる
- 自信をもって話せるようになる → スピーチや発表に強くなる
- 漢字の読み書きが得意になる → 漢字テストの点数アップ
音読を続けることで、これらの力が自然と身につき、結果として国語の成績アップはもちろん、他の教科の学習効率の向上も期待できます。
【参考文献】
国語が得意科目になる「印つけ」読解法(ディスカヴァー・トゥエンティワン 藤岡 豪志著)
1日10分の「音読」で国語の成績は必ず上がる!(あさ出版 齋藤 達也著)
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