はじめに

こんにちは。家庭教師のガンバ代表、今村です。
私は30年以上、これまで小学生から高校生まで、勉強が苦手なお子さんや受験を控えた生徒さんなど、本当にさまざまな子どもたちと接してきました。

最近、お問い合わせをくださる保護者の方と話していると、必ずと言っていいほど出てくるのが「タブレット学習」の話題です。特に多いのが「チャレンジタッチ」と「スマイルゼミ」。

  • 「周りのお友だちがやっているから…」
  • 「タブレットならうちの子も興味を持ってくれるかも」
  • 「紙の教材よりラクそうだし、続くかなと思って…」

こうした理由で始めるご家庭が多いようです。
では、この2つのタブレット教材、本当に成績アップにつながるのでしょうか?

今日は、家庭教師としての現場経験や実際の生徒さんの様子を交えながら、

  • チャレンジタッチとスマイルゼミの違い
  • 成績が上がらないケースとその理由
  • 上手に活用する方法
  • 個別指導や家庭教師との組み合わせ方

を説明していきたいと思います。

チャレンジタッチとスマイルゼミ、どう違う?

1-1. それぞれの概要

チャレンジタッチはベネッセの展開するタブレット学習コースです。紙のテキスト学習から発展し、専用タブレットを使って問題演習や動画解説を行えます。長年の通信教育のノウハウを生かし、赤ペン先生や添削システムなども導入されています。

スマイルゼミはジャストシステムが提供するタブレット学習サービスで、全教科を網羅。イラストやアニメーションを多く使い、直感的な操作で理解を促す設計が特徴です。

1-2. 市場での印象と利用率

私の感覚では、小学生ではかなりの割合でどちらかを利用しています。
家庭教師のガンバにお問い合わせをいただくご家庭のうち、6〜7割は「過去にやっていた」または「今もやっている」という状態です。

ちなみに、先にサービスを始めたのはスマイルゼミ。ただし、今のシェアはチャレンジタッチの方が大きい印象です。これはベネッセが長年積み上げてきた知名度とブランド力が影響しているのでしょう。

1-3. 似ているようで似ていない部分

両者とも全教科対応、映像授業や自動採点機能は共通ですが、

  • チャレンジタッチ:進研ゼミの学習カリキュラムに沿った構成
  • スマイルゼミ:視覚的な演出やタッチ操作の快適さに力を入れている

といった方向性の違いがあります。

成績が伸びにくいケースとその理由

2-1. 実際の保護者の声

ここが少し意外かもしれませんが、私は保護者から「チャレンジタッチやスマイルゼミで劇的に成績が上がった」という声を、ほとんど聞いたことがありません。
もちろん「悪くなった」という声も少ないのですが、「ものすごく伸びた」という報告は本当に稀です。

2-2. 最大の理由:「書く」機会が減る

学校のテストは手で書くことが前提です。
タブレットでの学習は、画面をタップする・選択肢を選ぶ・簡単な書き込みをする程度なので、

  • 漢字の形や細かい部分を覚える機会が減る
  • 文章をまとめる力が育ちにくい
  • ケアレスミスの修正経験が減る

という影響が出やすいのです。

実際、「漢字は読めるけど書けない」という生徒は年々増えている印象です。これは普段から文章を手で書く習慣が減っていることも大きな原因です。

2-3. 繰り返し学習の不足

紙のドリルであれば、間違えた問題に印を付けて何度もやり直すことができますが、タブレットだとどうしても「一度やって終わり」になりがちです。
反復練習が少ないと、記憶が定着せず、テスト本番で思い出せないということが起きます。

 

海外で広がる「紙教材回帰」の流れ

海外の一部地域では、タブレット学習から紙と鉛筆に戻す動きが出ています。理由はシンプルで、「学習効果が紙の方が高い」というデータが出ているからです。

もちろん、タブレットには

  • 図や映像で直感的に理解できる
  • 音声や動画で説明が聞ける
    というメリットがあります。

ですが、基礎学力の定着という面では、紙の演習問題と手書きが強いと考えられています。

 

タブレット教材を効果的に使う方法

では、チャレンジタッチやスマイルゼミは意味がないのか?
そんなことはありません。
ポイントは「使い方」です。

4-1. 画像や動画で理解を補う

理科や社会など、図解や写真が重要な科目ではタブレットは大きな力を発揮します。
植物の構造や地理の地形、歴史の年表などは、紙よりもタブレットの方がわかりやすい場合があります。

4-2. スキマ時間の活用

通学時間やちょっとした待ち時間に、タブレットでクイズ形式の復習をするのもおすすめです。短時間で気軽に取り組めるため、学習習慣の維持に役立ちます。

4-3. 手書きとセットで使う

タブレットで学んだ後は、必ず紙に書いてアウトプットする習慣を作る。これだけでも定着度は大きく変わります。
例えば、漢字はタブレットで確認したら紙に3回ずつ書く、数学の計算はノートに解く、といったルールです。

1人で勉強が進まない子は家庭教師はどうですか?>>

 

続かない原因と対策

5-1. 「やりなさい」だけでは続かない

親が「やりなさい」と言っても、子どもが主体的にやらなければすぐにやめてしまいます。
興味本位で始めても、飽きれば手が止まります。

5-2. 継続のコツ

  • 学習時間を固定する(毎日19時〜はタブレット学習など)
  • 親が一緒にチェックする(達成感を共有する)
  • 小さな目標を設定(1日3ページ、1教科だけなど)

 

個別指導・家庭教師との組み合わせ方

タブレットだけでは不足しがちな部分を、家庭教師や個別指導で補うのは非常に効果的です。
特に、

  • 記述問題の添削
  • 苦手科目の深掘り
  • モチベーション維持

といった面は、人が関わる指導にしかできません。

 

 

まとめ

  • チャレンジタッチもスマイルゼミも、使い方次第で役立つ
  • ただし「書く力」「反復練習」の不足は大きな弱点
  • 手書きとの併用が成績アップのカギ
  • 継続には習慣化と親の関与が不可欠

 

実際の生徒の体験談

ここからは、私が家庭教師として関わった生徒さんの中で、チャレンジタッチやスマイルゼミを利用していた事例を紹介します。

8-1. 小学5年生・Aくんの場合

Aくんは算数が苦手で、文章問題になると全く手が動かないタイプ。お母さんが「少しでも楽しく学べれば」とチャレンジタッチを導入しました。
最初の1か月は、ゲーム感覚で毎日取り組んでいましたが、2か月目からは興味が薄れ、やる日とやらない日が混ざるように…。

理由を聞くと、「同じ問題ばかりで飽きた」「書くのがないから、わかった気になるだけ」とのこと。
そこで私は提案しました。

「じゃあ、タブレットでやった問題の中から3問だけ選んで、紙に解いてみよう」

すると、計算式の途中でミスがあることがわかり、そこから「書く練習」の必要性を本人も納得。最終的に、タブレットは導入部として理解の助けに、紙学習で定着を図るスタイルが定着しました。

8-2. 中学2年生・Bさんの場合

Bさんはスマイルゼミを2年間利用していました。教科書に沿ったカリキュラムがあるため、学校の授業進度とリンクして学べるのは便利でしたが、テスト前になると結局紙のワークに頼ることが多かったそうです。

特に英語の長文読解は、タブレットでは読みやすくても「書き取り」の練習が足りず、単語のスペルミスが頻発。家庭教師の指導で、「単語練習ノート」を作って毎日手で書く習慣を付けたところ、英語の点数は20点以上アップしました。

 

 

科目別・効果的な活用法

タブレット教材のメリットは、科目によって異なります。

9-1. 理科・社会

  • 図解・写真・動画が豊富で、視覚的理解がしやすい
  • 実験や歴史の流れなど、映像で見せると記憶に残りやすい
    タブレットの強みが最大限活きる科目です。

9-2. 国語

  • 読解問題は画面でも可能だが、記述力をつけるには紙が必須
  • 漢字練習は紙ノート併用がおすすめ

9-3. 算数・数学

  • 計算の途中式を省きがちになるので注意
  • 「解き方を動画で確認 → 紙に解く」流れがベスト

9-4. 英語

  • リスニングや発音練習はタブレットが便利
  • 単語の書き取り・文法問題は紙で定着させる

年齢別の使い方の工夫

小学生

  • ゲーム感覚で学べるのは大きな魅力
  • ただし高学年では「書く力」を意識的に補う必要あり
  • 親が一緒に進捗をチェックする習慣をつける

中学生

  • 部活動やスマホ利用で時間が限られるため、スキマ時間活用がカギ
  • テスト対策は必ず紙ベースで行う
  • 苦手単元の導入や解説理解にタブレットを使うと効果的

高校生

  • タブレット単独では不足しがち
  • 動画授業や参考資料の閲覧など、補助ツールとして活用する

 

 

よくある質問と回答

Q1. タブレット学習だけで受験対策はできますか?
A. 基礎固めは可能ですが、記述問題や応用問題対策は不十分です。必ず紙の問題集や過去問演習を組み合わせましょう。

Q2. どちらの方が成績が上がりますか?
A. チャレンジタッチとスマイルゼミに優劣はありません。お子さんの性格や好みに合っている方を選びましょう。

Q3. 続けるコツはありますか?
A. 学習時間の固定、親のチェック、小さな達成目標の設定が大切です。

 

個別指導との併用で最大効果

チャレンジタッチやスマイルゼミの最大の弱点は「柔軟な対応ができないこと」です。
例えば、同じ間違いを繰り返しても、自動採点だけでは原因分析まではしてくれません。

家庭教師や個別指導を併用すれば、

  • 苦手の根本原因を特定
  • 正しい学習方法の提案
  • モチベーション維持

が可能になります。

 

まとめ

  • タブレット教材は「導入・理解」に向いているが、「定着」には紙が必須
  • 書く力と反復練習を意識すれば、成績アップの可能性は高まる
  • 継続には親の関与と習慣化が重要
  • 個別指導と組み合わせることで、弱点補強ができる

最後に

もしチャレンジタッチやスマイルゼミを利用していて、「もっと効果的に使いたい」と思っている方は、ぜひ一度ご相談ください。