中学校の通知表で初めて目にする「保護者からのコメント」欄。
「何を書けばよいのだろう?」
「変なことを書いてマイナスな印象を与えたらどうしよう…。」
「そもそも書かなければいけないの?」
と、戸惑う保護者の方は多いのではないでしょうか。通知表とは、『児童生徒の学習状況について保護者に対して伝えるもの』(出典:文部科学省HP「学習評価に関する法令等の規定、資料等」より)です。
主に中学校からの通知表で多くみられる『保護者からのコメント欄』は任意のケースが多いのですが、なるべく書いた方がよい欄でもあります。でもどんなことを書けばよいのか悩みますよね。
そこでこの記事では中学の通知表にある保護者コメント欄に注目し、書き方のマナーやポイントについて、中学1年生・2年生・3年生の学年別に例文を交えてまとめました。
どんなコメントが参考になるのか、先生側からの視点や避けた方がいい書き方なども紹介するので、ぜひご参考にしてください!
中学校|通知表の「保護者コメント欄」の目的
中学の通知表にある「保護者コメント欄」は、主に次の4つの目的があると考えられます。

お子さんの家庭での様子を知るため
通知表のコメント欄は、「家庭でお子さんがどんな風に過ごしているか」を知るための手掛かりのひとつにしています。先生はお子さんの「中学校での姿」を見ていますが、家庭での様子はわかりません。
一方で、保護者はお子さんの「家での姿」を見ています。保護者が通知表のコメント欄へお子さんの家での様子を書いた場合、先生はお子さんの日頃の過ごし方を知ることができます。
保護者の教育姿勢や子どもへの関わりを知るため
保護者のコメント欄は、保護者の教育姿勢や、普段どのようにお子さんへ関わっているのかを知るための、手だてのひとつでもあります。
たとえば保護者が書いたコメントの内容によって、先生は「しっかり見守られている家庭だな」と感じることもあります。
学校と家庭の連携を深めるため
通知表のコメント欄を通してお互いの情報を共有し、子どもを一緒に育てるチームとしての連携を深めることができます。
先ほどお伝えしましたが、保護者のコメントから家でお子さんをよく見ている様子が垣間見られるように、保護者も先生のコメントから、「よく見てくれている先生だな」と感じることもあるのではないでしょうか。
これだけでなく、コメント欄の内容から先生、保護者の双方がどのように感じているかをお互い知ることができます。
先生が書いたコメントに関する返事や感想を書くと、より連携感が生まれます。また、冒頭や文末に先生の感謝の言葉を添えるのも、信頼関係づくりに役立ちます。
お子さんの成長を言葉として残すため
保護者のコメント欄は、後でお子さんが読むときに「親はちゃんと見ていてくれているんだな」というのがわかるよう言葉として残す、という側面もあります。
先生からの評価だけでなく、保護者も通知表にお子さんの成長を言葉にして残すことで、お子さんは「自分の努力を大人がちゃんと見ていてくれた」と感じ、安心感や自信につながるはずです。
どんなコメントを書けばよいの?
ではどのようなコメントを書けばよいのかというと、実は『正解』はありません。
ここまでお伝えしたような通知表を見ての感想や、家庭で感じていること、親としての思いなどを素直に書けばOKです。とはいえ、これでは何を書けばよいかの解決になりませんよね…。
先生が読んで参考になる内容としては、
・お子さんの頑張りや評価に対する家庭での受け止め方
・家庭での変化や悩みの共有
・今後の学習への意欲や目標
・先生のコメントに関する返事
などが挙げられます。特に、次のような内容は先生が読んで「良かった」とポジティブに捉えるようです。
・お子さんの頑張りを肯定している
・家庭での様子や、取り組みを伝えている
・今後の成長を応援している雰囲気がある
中学校|通知表の「保護者コメント欄」の基本マナー
次に、中学校の通知表の保護者コメント欄に書く際に押さえておきたい、基本的なマナーやNG表現と思われることについてお伝えします。
冒頭または文末で先生への感謝を伝える
どの学年でも共通して、やはり先生への感謝は伝えたいところです。以下に感謝の文言の例をいくつかお伝えします。
【冒頭】
いつもお世話になっております。
いつも丁寧なご指導をありがとうございます。
いつもありがとうございます。
【文末】
今学期もお世話になりました。
きめ細やかなご指導をありがとうございました。
引き続き来期もよろしくお願いいたします。
ポジティブで具体的な表現を用いる
コメント欄に書く内容は、『ポジティブ表現』+『具体的エピソード』を意識するとよいと思います。つまり「頑張っています」「少しずつ成長しています」など前向きな表現をしつつ、それだけでなく、「何をどう〇〇しているのか」といった具体的なエピソードを入れると先生もイメージしやすいです。
【例】
NG:本人も色々と頑張っているようです。
OK:夜型から朝型に切り替えようと、家族も協力しながら本人も生活リズムを見直すように頑張っています。
避けたい内容とNG例
中学の通知表のコメント欄には避けたい内容もあります。
・教師への不満や責める内容
・一方的な要求
・感情的な内容
・お子さんを責める内容
・ネガティブなだけの内容
こうした内容は、コメント欄には書かない方がよいと思います。なぜなら学校と家庭は、一緒にお子さんを育てる『チーム』だからです。
ですので、先生やお子さんを責めるのではなく『先生と協力する姿勢』が伝わると、今後の関係性にもひびが入りません。
また、通知表に書くとずっと記録として残ってしまうし、お子さんが目にしたときに複雑な気持ちになるかもしれません。
もしも先生への要望やネガティブな内容を伝えたい場合は、通知表に書く前に、直接話をする機会を持つとよいのではないでしょうか。
【NG例】
①教師への不満や責める内容:なぜ数学の評価が〇なのか納得がいきません。
②一方的な要求:もっと厳しく指導してください。
③感情的な内容:全然先生に褒められていない気がして悲しいです。
④お子さんを責める内容:うちの子は全くやる気がありません。
学年別|通知表の「保護者コメント欄」の例文と書き方のコツ
中学では1年生、2年生、3年生で抱えている課題や取り組み、保護者が伝えたいこと、悩みや学習目標なども異なると思います。
そこでここからは中学1年生から3年生までの学年別に、通知表の保護者コメント欄について、例文や書き方のポイントをお伝えしていきます。
中学1年生|通知表の保護者コメント欄|例文とポイント
中学1年生の場合、3学期制の学校であれば1学期、前期後期制であれば前期が中学に入って初めての通知表ということになります。
中学生という新しい環境に慣れたか、どのように適応していたかなどを中心に書くとよいでしょう。
【書く内容例】
・新しい環境に慣れるまでの家庭での様子
・中学校生活にどう適応していたか
・新しい教科への取り組み
・部活動への取り組み
・頑張っていたこと
・苦手なことへの取り組み
・成績だけでなく、姿勢や努力への評価
・家庭でのサポート
・先生への感謝
【例文】
①中学校という新しい環境に最初は戸惑いもありましたが、今では毎日楽しく通えています。家でも、自分から宿題に取り組む姿勢が見られ、成長を感じています。
②部活動と学業の両立に苦労していたようですが、最近は時間の使い方を工夫し始めました。引き続きサポートしていきたいです。
③新しい生活習慣にもすぐに慣れ、特に部活動は頑張って取り組んでいるようです。勉強面では大変な面も見られますが、家庭でも時間の使い方を一緒に考えています。
【ポイント】
「最初は〜だったけど、現在は〜」という書き方を用いると、成長を伝えるのに効果的です。結果だけでなく、過程を先生と共有すると、家庭との連携もスムーズになります。
中学2年生|通知表の保護者コメント欄|例文とポイント
中学2年生は、中学校生活にも慣れ、いわゆる『思春期』ど真ん中の時期にあたります。また、いわゆる『中だるみ』と呼ばれ、思春期と相まって勉強でも部活動等でもお子さんのやる気が低下しやすい時期でもあります。
思春期特有の自分自身に対する葛藤や交友関係の悩み、親への反抗心なども出てきます。こうした時期であることをふまえ、コメント欄には反抗期に現れやすい親とのかかわり方や人間関係の悩み、学習面でのムラなど、思春期ならではの内容を先生と共有する形で書くとよいのではないでしょうか。
【書く内容】
・思春期特有の変化にどう向き合っているか
・自主性や責任感について
・反抗期(特に親子関係)の家での親との関わり方や様子
・思春期特有の人間関係に関する様子
・学習面でのやる気の波
(以下、1年生と同じ)
・勉強や部活動への取り組み
・頑張っていたこと
・苦手なことへの取り組み
・成績だけでなく、姿勢や努力への評価
・家庭でのサポート
・先生への感謝
【例文】
①反抗期で親の言葉に耳を貸さないことも増えましたが、先生や友人からの影響を受けながら少しずつ自立心が芽生えてきているようです。今後も見守っていきたいと思います。
②得意・不得意がはっきりしてきた中で、苦手教科にも少しずつ取り組む姿が見られています。家庭でも応援していきたいです。
③やる気にムラがある様子が見られますが、家でも声掛けをして取り組んでいます。人間関係に悩むことがありつつも、前を向いて解決しようとしてるようです。家庭でも見守りつつ、話す機会を増やそうと思います。
【ポイント】
中学2年生で見られがちな反抗や思春期の揺れは順調に成長している証でもあります。
保護者がそのように捉えられていること、そしてお子さんが自分を確立しようと頑張っている様子や、揺れ動く気持ちに対して保護者が「受け止めている」という姿勢がコメント欄から伝われば、先生も安心すると思います。
中学3年生|通知表の保護者コメント欄|例文とポイント
中学3年生はいよいよ受験が目前になる時期です。
やはり高校受験を意識した内容を通知表のコメント欄にも入れておきたいところです。お子さんや家庭の希望、受験に向けたお子さんの努力や家庭でのサポートなどを中心に書くとよいと思います。
また、特に1学期や前期では、中学3年生は学校でのリーダーを担っているケースも多いです。そうした事でお子さんが頑張っている様子があれば、記しておくのも良いのではないでしょうか。
【書く内容】
・高校受験に向けての意識や行動
・お子さんの将来に対する姿勢
・お子さんや保護者の今後の希望
・学校生活で頑張って取り組んでいる内容や家での様子
・お子さんの希望を支える保護者の姿勢
・家庭での学習サポート・声かけ
(以下、1・2年生と同じ)
・勉強や部活動への取り組み
・苦手なことへの取り組み
・成績だけでなく、姿勢や努力への評価
・先生への感謝
【例文】
①志望校に向けて自分なりのスケジュールを立て、取り組む姿勢が見られています。時には不安そうな様子もありますが、家族で支えていきたいと思います。
②進路に関して本人の意志を尊重しながら、情報収集や学習習慣の見直しを家庭でも進めています。今後ともよろしくお願いいたします。
③部活動では部長を任せられ、家でも家族に相談しながら真剣に取り組んでいる様子が見られました。受験に関してはこれからオープンスクール等に参加し、志望校を固めていこうと話しているところです。
【ポイント】
高校受験という大きな節目でもある中学3年生は、お子さんも希望や不安が入り混じっています。お子さんと保護者の方が一緒に頑張っている姿勢が伝わると、先生にも気持ちが伝わると思います。
通知表のコメント欄に悩んだらどうする?
それでも通知表の保護者コメント欄に悩んだ場合、どうすれば良いのでしょうか。解決策として、次の4つが挙げられます。
・先生に直接相談してみる
・子どもと一緒に振り返りながら書く
・前回のコメントと比較して書いてみる
・短くてもよいので一言だけでも添える
冒頭でもお伝えしたように、中学校の通知表にある保護者コメント欄はほとんどの場合で任意です。ですので、必ず書かなければならない訳ではありませんが、やはり書いた方が印象がよいものです。
「ちゃんとお子さんを見てくれているんだな」
と先生が感じられるような内容があると、やはりうれしいし、安心するものです。
どうしても思い浮かばない場合は、先生に「どんなことを書けばよいですか?」と聞いてみたり、前回書いた内容に対してどんな成長が見られたかなど、上記の4つのいずれかを試してみるとよいと思います。
まとめ
今回は中学校の通知表にある保護者コメント欄についてお伝えしました。
通知表のコメント欄は先生との連携や信頼を築くためだけでなく、お子さんへの応援の言葉にもなります。作文評価の場ではないので、長々と気負って書く必要はありません。
ほんの数行でも、「見守っている」「応援している」という気持ちが込められていれば、きっと先生にもお子さんにも伝わります。
初めて保護者コメント欄を書く方も、今まで書かれたことのない方も、参考にしていただけると幸いです。
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家庭教師のガンバ 編集チーム ありま
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