不登校のお子さんに昼夜逆転が見られることは、決して珍しいことではありません。多くの場合、ストレスや生活リズムの乱れ、回復過程の中で起こる自然な変化です。

「状態がかなり悪いのでは…」

「このまま学校生活に戻れなくなったらどうしよう…」

と、不安や焦りを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。実際に、不登校になると生活リズムが乱れやすく、日中の活動量も低下しがちです。また、学校へのストレスの影響で、夜のほうが過ごしやすくなるお子さんもいます。

大切なのは、無理に元に戻そうとするのではなく、少しずつ整えていくことです。急に生活リズムを変えようとすると、かえって負担になってしまうこともあります。

この記事では、不登校のお子さんを支える保護者の方に向けて、昼夜逆転が起こる理由や影響、家庭でできる生活リズムの整え方、親の関わり方をわかりやすく解説します。お子さんへの向き合い方や、今できるサポートのポイントなどをつかんでいただければ嬉しく思います。

不登校からの回復にはいくつかの段階があります。昼夜逆転もその一つの過程と捉え、焦らずお子さんに寄り添っていきましょう。

 

不登校になると昼夜逆転するのはなぜ?

不登校で昼夜逆転が起きる背景には、ストレスや生活リズムの乱れなど、いくつかの要因があります。

 

学校へのストレス

学校へのストレスによって、無意識のうちに昼夜逆転してしまうことがあります。学校に強いストレスを感じているお子さんは、自分では意識していなくても朝を避ける傾向があります。朝は本来登校する時間のため、「学校に行く=つらい場所に行く」というイメージが結びつきやすいのです。

その結果、朝起きることを避けるようになり、生活リズムが夜型へと変わっていくことがあります。

 

日中の活動量の低下

学校へ行かなくなると、日中の活動量が大きく減ります。身体が十分に疲れないため、夜になっても眠りにくくなり、昼夜逆転につながるケースも少なくありません。

睡眠には、日中の活動で消耗した体力や脳を回復させる役割があります。しかし家で過ごす時間が長いと、身体が十分に休息を必要としない状態になります。

また外に出て日光を浴びる機会が減ると、睡眠に関わる「メラトニン」というホルモンの分泌も少なくなります。日中に分泌される「セロトニン」が、夜になるとメラトニンに変化するためです。

このように、日中の過ごし方が睡眠に影響し、昼夜逆転のきっかけになることがあります。

 

スマホやゲームの影響

夜は周囲が静かで自由な時間をとりやすいため、ゲームや動画、SNSを長時間続けてしまうこともあります。こうした習慣が、昼夜逆転につながることがあります。

スマホやパソコンから出るブルーライトは、脳に「昼間だ」と錯覚させ、睡眠に必要な「メラトニン」の分泌を抑えてしまいます。そのため寝つきが悪くなり、生活リズムが乱れやすくなります。

また、刺激の強い内容を見ることで脳が興奮し、なかなかリラックスできない状態になることもあります。こうした状態が続くと、夜遅くまで起きる習慣がつき、昼夜逆転が進みやすくなります。

 

体内時計(睡眠リズム)の乱れ

体内時計の乱れも、昼夜逆転の大きな要因の一つです。体内時計は、睡眠や覚醒、ホルモン分泌などを約24時間のリズムで整える仕組みです。このリズムは、朝日を浴びたり朝食をとることでリセットされます。

しかし朝に起きられない状態が続くと、このリセットがうまく働かず、少しずつ生活リズムが後ろにずれていきます。その結果、寝る時間が遅くなり、気づかないうちに昼夜逆転の状態になってしまうことがあります。

 

不登校の昼夜逆転はよくあること?

不登校のお子さんに昼夜逆転が起きることは、決して珍しいことではありません。実際の調査データをもとに、その現状を見ていきましょう。

 

不登校の中学生における昼夜逆転割合は約3割

文部科学省が令和3年に公表した「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」によると、不登校の中学生のうち、昼夜逆転が「よくあった」と答えた生徒は30.9%、「ときどきあった」まで含めると56.2%と半数を超えています。

このことからも、昼夜逆転は不登校のお子さんにとって決して特別なものではなく、多くの家庭で見られる状態だといえます。

また同調査では、保護者の困りごとの一つとしても昼夜逆転が挙げられており、対応に悩むご家庭が多いこともうかがえます。(参照:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書 p.58,81 | 文部科学省)

 

不登校の昼夜逆転は回復過程で起こりやすい

不登校のお子さんに見られる昼夜逆転は、必ずしも悪い変化とは限りません。心や身体を休める過程の中で、一時的に生活リズムが乱れることもあります。不登校の回復は、一般的に次のような段階をたどるといわれています。

<不登校のステージ>

不登校開始期:不安や自己否定が強い時期 

引きこもり期:無気力になりやすく、休息が必要な時期 

回復期:前向きな活動が少しずつ増える時期

この中で、昼夜逆転が起こりやすいのが「引きこもり期」です。この時期は、ストレスや疲れがピークに達し、心身をしっかり休ませる必要があります。

そのため外に出るエネルギーが少なく、日中の活動量が低下しやすくなります。結果として体内時計も乱れやすく、夜に眠れず昼夜逆転につながることがあります。

 

不登校の昼夜逆転は直したほうがいい?

昼夜逆転はできる範囲で整えていくことが大切です。ここでは昼夜逆転がもたらす影響から、段階的に生活リズムを整えていく重要性を説明します。

 

体調への影響

睡眠不足が続くと、体調を崩しやすくなることがあります。免疫の働きは深い睡眠と関係しているため、眠りの質が下がると、風邪や感染症にかかりやすくなることもあります。

昼夜逆転の状態では体内時計が乱れやすく、十分な睡眠がとりにくくなります。その結果、体調面への影響が出やすくなることがあります。

 

学習リズムへの影響

昼夜逆転になると、勉強する時間も不規則になりがちです。これは集中力の面でも影響が出やすくなります。本来、勉強は毎日ある程度決まった時間に行うほうが、無理なく習慣化しやすいものです。食事やお風呂のように「自然と取り組める状態」をつくることで、やる気に左右されずに続けやすくなります。

生活リズムが乱れていると、勉強するタイミングが安定せず、集中しにくくなることもあります。特に中学生・高校生はテストや受験もあるため、長い目で見ると影響が出やすいといえるでしょう。

 

親にできる昼夜逆転を整える5つの支援方法

生活リズムはすぐに変わるものではありませんが、回復を後押しする方法はあります。

<昼夜逆転を整える方法>

■引きこもり期に取り組むこと 

1.家庭が安心できる場所になる

■回復期に取り組むこと 

2.起きる時間だけ決める 

3.朝日を浴びる 

4.日中に少し体を動かす 

5.夜のゲームやスマホの時間を減らす

これらを一つずつ試していくことで、お子さんの状態が少しずつ整いやすくなります。

 

1.家庭が安心できる場所になる

昼夜逆転を整えていくためには、まず引きこもり期から抜け出すことが大切です。そのためには、家庭が安心できる場所であることが何より重要になります。

不登校のお子さんは、学校に行けないことへの罪悪感や将来への不安など、さまざまな気持ちを抱えています。親がそばで見守り続けることが、お子さんの自己肯定感の回復につながり、次の一歩へのきっかけになります。

 

2.起きる時間だけ決める

回復期に入ったら、無理のない範囲で生活リズムを整えていきます。ただし、急に早寝早起きを目指すのは負担になりやすいため注意が必要です。そこでおすすめなのが、朝起きる時間だけを決める方法です。

決まった時間に起きることで、少しずつ「眠い」という感覚が戻りやすくなります。最初は現在の起床時間より15〜30分ほど早めるところから始め、無理のないペースで調整していきましょう。

また、日中に強い眠気があっても、できる範囲で昼寝を控えることもポイントです。夜に自然な眠気が出やすくなります。

 

3.朝日を浴びる

朝起きたら、カーテンを開けて朝日を浴びる習慣をつけましょう。睡眠に関わるホルモン「メラトニン」は、朝の光を浴びてから14〜16時間後に分泌されるといわれています。そのため、朝の過ごし方が夜の眠りに大きく影響します。

また、朝日には体内時計をリセットする働きもあります。生活リズムを整えるうえで、とても大切な習慣です。

 

4.日中に少し体を動かす

日中は無理のない範囲で、少し体を動かすことも大切です。近所を散歩したり、買い物に出かけたり、家で簡単な手伝いをするだけでも十分です。体を動かして軽い疲労を感じることで、夜に自然な眠気が生まれやすくなります。

 

5.夜のゲームやスマホの時間を減らす

寝る前は、できるだけゲームやスマホの使用を控えることも大切です。電子機器から出るブルーライトは、メラトニンの分泌を抑え、眠りにくくしてしまいます。

また、刺激によって脳が興奮し、リラックスしにくくなることもあります。寝る前はゆったりと過ごす時間を意識し、少しずつ習慣を整えていきましょう。

 

お子さんの昼夜逆転に対し親がやってはいけない対応

昼夜逆転は回復の過程で見られることもあるため、無理にやめさせようとすると、かえって回復が遅れてしまうことがあります。ここでは、親として気をつけたいNG対応についてお伝えします。

 

無理に朝起こす

急に生活リズムを戻そうとすると、お子さんに強い負担がかかることがあります。不登校のお子さんは、心身ともにエネルギーが低下していることも多く、起きること自体が大きなストレスになる場合もあります。

無理に朝起こそうとすると、かえって負担が増え、回復が遅れてしまうこともあります。結果として、引きこもりの状態に戻ってしまう可能性もあるため注意が必要です。

 

怠けていると叱る

昼夜逆転は、心や体が休息を求める中で起こることが多く、不登校から回復に向かう過程で見られる変化の一つです。

その状態で叱ってしまうと、「わかってもらえない」という気持ちが強まり、お子さんが心を閉ざしてしまうことがあります。自己肯定感が下がり、回復への一歩が踏み出しにくくなることもあるため、注意が必要です。

 

ゲームやスマホを取り上げる

ゲームやスマホは、不登校のお子さんにとって気持ちを落ち着かせる大切な役割を持つこともあります。もちろん使いすぎには注意が必要ですが、無理に取り上げてしまうと、安心できる時間を奪ってしまうことにもつながります。

まずは「寝る前2時間は使わない」など、無理のないルールを一緒に考え、理由を伝えながら少しずつ調整していくことが大切です。

 

不登校の昼夜逆転はいつ治る?

昼夜逆転が整い始める時期は、一般的に物事に前向きになってくる「回復期」に入った頃といわれています。お子さんに次のような変化が見られたら、回復期に入っているサインと考えられます。

<回復期のサイン>

・毎日の生活で退屈を訴えるようになった

・外出に前向きになる

・将来について話すことが増える

・友達と連絡を取りたがる

この時期になると、昼間の活動時間が少しずつ増えていきます。睡眠に関わるホルモンが働きやすくなり、自然と夜に眠りやすくなっていきます。その結果、生活リズムも徐々に整っていくことが期待できます。

 

不登校の昼夜逆転に関するよくある質問(FAQ)

最後に、不登校の昼夜逆転についてよくある質問をまとめました。

 

Q、昼夜逆転のまま学校復帰できますか?

A、長く通い続けるためには、生活リズムを整えることが大切です。昼夜逆転の状態が続くと、心身への負担が大きくなりやすいため、少しずつ整えていくことが大切だと思います。

 

Q、親は朝起こしたほうがいいですか?

A、お子さんが回復期に入ってきた様子があれば、段階的に起きる時間を早めていく方法がおすすめです。最初から朝起こそうとするのではなく、「いつもより15分早く起きる」など、無理のない範囲から始めていくのが良いと思います。

 

Q、昼夜逆転でも勉強できますか?

A、理想は規則正しい生活の中で学習することですが、昼夜逆転の状態でも勉強を進めることは可能です。静かで集中しやすい夜の時間を活用し、短時間から取り組むと続けやすくなります。

 

Q、昼夜逆転はどれくらいで治りますか?

A、数週間で整う場合もあれば、数ヶ月以上かかることもあり、お子さんの状態によって大きく異なります。  焦らず見守ることが大切です。

 

まとめ | 昼夜逆転は無理せず少しずつ整えていこう

不登校のお子さんに昼夜逆転が見られることは、決して珍しいことではありません。回復に向かう過程で、多くのお子さんが経験する変化の一つです。

原因は学校へのストレスや生活リズムの乱れなどさまざまで、特に引きこもり期には起こりやすく、保護者の方にとっても悩みやすいポイントだと思います。

ただし、無理に生活リズムを戻そうとすると、お子さんにとって大きな負担となり、回復を遅らせてしまうこともあります。大切なのは、焦らず少しずつ整えていくことです。そのためには、

・起きる時間を決めて段階的に早める

・朝日を浴びる

・日中に体を動かす

・寝る前はデジタル機器を控える

といった習慣を、無理のない範囲で取り入れていくことが効果的です。焦らず「少しずつ」を意識しながら、お子さんのペースに寄り添っていくことが大切ではないでしょうか。



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