不登校には様々な原因があり、解決を急ぐと逆効果になることもありますが、登校日数に不安を抱え、進学を諦めてしまう子供も多いです。自己肯定感がどんどん低くなり、毎日がつらいと思うこともあるでしょうし、生徒自身も保護者の方も、この先どうすべきか心配で焦りを感じてしまいますよね。不登校の生徒のために、「出席扱い制度」という公的な制度が認定されていて、制度をうまく活用できれば、再登校するための後押しになるかもしれません。

 

不登校の定義

不登校とは年間30日以上の欠席者に当てはまります。ただし骨折などの怪我や、病気による欠席は病欠となるため該当せず、家庭の経済的な理由で学校に来られない場合も不登校とは異なります。不登校とは主にいじめや人間関係の悩みによって学校や教室に入れない状態のことです。このほかにも無気力感や、集団行動の苦手意識などが原因となることもあるでしょうし、授業についていけないなど、学習面の不安などでの欠席も該当します。

不登校によるデメリット

学校に行けず悩んでいる生徒をサポートするのは簡単とは言えません。現在でも不登校に悩んでいる生徒や保護者は大勢いて、不登校が原因で、将来的な社会生活が困難となる場合もあり、社会的にも生徒自身の精神的にも、不登校によるデメリットは多いです。学校に行けないということは、本人の自己嫌悪や劣等感にもつながってしまい、自分を責めすぎると余計に学校復帰のハードルが上がり、負のスパイラルとなるのです。しかし不登校になったからと言って解決が不可能なわけではありませんので、保護者や学校をはじめ周囲の適切な支援により、苦しんでいる子を助けられます。

不登校生の「出席扱い制度」とは

出席扱い制度は2005年に開始しましたが、認知度はあまり高くありません。近年になってようやく注目されてきた制度でもあり、利用率は低いのが現状ですが、制度自体は自宅学習を認めて意欲を高め、復帰しやすい状況を作るためにあります。「不登校」に該当する小中学生を対象としており、利用のためには条件もあります。

 

「出席扱い」が認められるためには

不登校でも勉強しているなら誰でも出席扱いになるわけではありません。出席扱いとして認められるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

 

学校復帰を目的としている

学校の性質として、生徒が毎日登校してくるかどうかは大きな着目点ですので、出席扱いを認めるためには、復帰が目的であることが不可欠となります。復帰したいという気持ちを前提に、学校は出席扱いのサポート体制を敷くので、不登校中に自宅でどれだけ勉強していたか、記録を提示するのも効果的でしょう。

 

保護者と学校側の協力関係ができている

学校復帰が最終目標となっているので、学校との連携は欠かせず、これは出席扱いを認められるための要件としてももちろん重要です。この点は生徒自身のサポートを充実させるためにも必要となり、本人の現状や学習の進み具合など、細かく連絡を取り合っていると復帰後にも役立ちます。

 

指導内容が適切

出席扱いで基本的に利用されるのは教育支援センターをはじめとした公的機関ですが、このような通学教育が難しい場合、民間の業者でも認められることがあります。出席扱いにできる可能性のある指導機関はいくつかのタイプがあり、民間フリースクールや塾、家庭教師などがその例です。通学や対面が困難でも、IT活用などの自宅学習でも認められるケースがありますが、フリースクールに通っている場合、出席扱いできるかどうかはスクールによります。家庭教師やオンライン授業なども同様にそれぞれ要件を満たさなければならず、制度化されたプログラムであり、適切な指導であると認められている必要があるのです。

 

学校長が出席扱いを認めている

適切な指導内容を施せる民間業者であっても、出席扱いを認めるのは学校長です。制度利用のためには教育委員会などもかかわってくるため、フリースクールに通っていているからと言って必ず出席にできるわけではありません。家庭教師の指導で自宅学習に励んでいても、出席扱いのためには校長の許可が大前提なので、民間業者側の定期報告や面談などをはじめ、両機関の連携も必要となります。また、認知度や利用率も少しずつ高まっていますが現状は未経験の学校が大多数であるため、担任への相談からはじまり、要件の確認やルール作りも必要です。前提となるのは学校復帰の目的なので、学校との細やかな連携はやはり重要になります。

「出席扱い制度」のメリット

なかなか利用数が増えない出席扱い制度ですが、ここには重要なメリットがあり、お子さんのサポートをする保護者の方にとっても見過ごせない部分です。

 

精神面の安定化

学校以外の場所で勉強を頑張ることで「出席した」と認められるメリットは大きいです。生徒自身のモチベーションを高め、維持するための好材料になりますし、背負っているハンデが小さくなればなるほど学校にも復帰しやすくなるでしょう。不登校生の多くは自分を責めながら毎日を過ごしているため、「出席」という事実があることによって、自己肯定感を高める支えにもなるはずです。内面の調子が整えば、学校復帰を含めた様々なチャレンジに意欲を持てます。

 

内申点を確保しやすくなる

高校進学を目指す中学生にとって内申点はとても気になる部分であり、不登校だからもう高校には行けないと諦めている生徒も中にはいるかもしれません。出席扱いの内申点の評価については、まだまだ制度内で改善の余地があり、自宅学習はどんなに頑張っても、もらえる評定は「1」まで、「2」や「3」を目指すには別室登校でのテスト実施が必要です。しかし、たとえ1点でも、生徒自身のモチベーションには影響を及ぼすかもしれませんし、学校復帰を叶えるために、内申付与が足がかりになることもあるでしょう。出席扱いを認められれば、内申点を少しでも上げられる可能性があるのは事実であり、お子さんの不安を小さくするためにも、制度利用を学校に相談してみる価値はあります。

 

家庭教師で「出席扱い」になるためには

学校に行けない生徒にとって社会とのつながりを保つのは大事なことです。そのため教育センターやフリースクールなどでの勉強は適度な刺激にもなるでしょうが、本人にとってどこかに通うということ自体が苦しい場合に無理は禁物です。勉強はしたいという意欲があっても大勢と接するのがつらいこともある場合は、家庭教師でのマンツーマン授業が適しているケースもあります。1対1の指導形態であれば、教師もその生徒と深く向き合えますので、まずは不登校生に対して指導できる家庭教師を探しましょう。利用できる民間業者としてふさわしいかどうか、学校側の許可を待つことになりますが、制度利用が認められれば、学校側とのルールに沿って指導がはじまります。生徒の学習履歴を個別に把握できる家庭教師なら、学校との面談もスムーズです。


 

まとめ

不登校生に対しての文部科学省認定「出席扱い制度」について解説しました。あまり知られていない制度なので初めて聞いた方も多いかもしれません。生徒のサポートにはメリットも大きいですが、参考になったでしょうか。不登校の子供のサポートは、保健室登校やフリースクール利用などいくつかありますが、お子さんのやりやすさに応じて、家庭教師利用も検討してみると良いでしょう。家庭教師での自主学習が出席扱いになる可能性もあるので、学校ともよく相談しましょう。

 

家庭教師のガンバ  今村 剛

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