「不登校でも高校受験で焦らなくていいのか…」

そう不安に感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。「このままで高校に進学できるのだろうか…」「少しでも早く学校に戻した方がいいのでは…」

日々お子さんのことを考えていると、そんな気持ちも強くわいてきてしまうと思います。

ですが、不登校だからといって高校に進学できないわけではありません。実際には、出席日数や学力面についても今からできる対策はありますし、入試の中で不登校に配慮している学校も増えてきています

大切なのは、必要な知識を知ったうえで、今できることから無理のないペースで進めていくことです。この記事では、不登校でも高校受験で焦らなくてよい理由を、受験の仕組みや制度とあわせてわかりやすく解説します。

また、受験に向けて「今取り組めること」も具体的にご紹介していきます。お子さんが自分らしい進路を選べるように、少しでもご参考にしていただければ嬉しく思います。

 

不登校だと高校受験で焦ってしまう理由

不登校でも高校受験で焦る必要はない―そう聞いても、「本当に大丈夫なのだろうか」と不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。そこでまずは、不登校のお子さんや保護者の方が、なぜ受験に対して焦りを感じやすいのかを整理していきます。

 

調査書の影響

高校受験では、多くの学校で調査書(内申書)が合否に影響します。調査書に記載される内申点は、通知表の成績をもとに算出されます。不登校の期間があると定期テストを受けていないケースも多いため、「内申点の加点が見込みにくいのではないか」と不安に感じる方も少なくありません。

また、調査書の内容によっては、合否を慎重に判断するための「審議」の対象となる可能性もあります。さらに、学校によっては欠席日数も確認されます。一般的には、年間30日以上、3年間で90日以上が一つの目安とされることが多く、この点を気にされる方もいらっしゃると思います。

 

受験するための学力に自信がない

学力面に対する不安も、焦りにつながる大きな要因です。特に、お家で過ごす時間が長くなると、学習の進み具合にばらつきが出やすくなります。学校の授業に触れる機会が減ることで、習っていない単元が出てきたり、勉強の習慣が途切れてしまうこともあるでしょう。

また定期テストを受けていない場合、自分の現在の学力を把握する機会が少なく、不安が生まれやすくなります。こうしたさまざまな理由が重なり、受験に対して強い焦りを感じてしまうケースは決して珍しくありません。

 

不登校でも高校に受かる理由

不登校だと受験に強い焦りを感じるかもしれませんが、高校に進学できる理由がいくつもあります。実際に、不登校の経験があっても、希望の高校へ進学しているケースは珍しくありません。その仕組みを知ることで、「不登校=不利とは限らない」と少しずつ感じられるはずです。

 

公立高校でも調査書の点数化割合はさまざま

公立高校の入試では、調査書(内申点)も含めて合否が判断されるのが一般的です。ただし、調査書をどのくらい重視するかは学校ごとに大きく異なります

中には「当日点9:内申点1」といったように、学力試験を重視する配点の高校もあります。このような学校であれば、調査書の影響は比較的小さく、当日の試験でしっかり力を発揮できれば合格を目指すことができます。学校の選び方次第で可能性が広がることは覚えておきたいポイントです。

 

私立高校は当日点のみで判断する入試方式も多い

私立高校の一般入試では、当日のテスト結果のみで合否を判断する「オープン入試」を実施している学校も多くあります。オープン入試では、内申点が合否に影響しないため、「今の学力」で勝負できるのが特徴です。

一発勝負という面はありますが、その分、入試本番に向けて計画的に準備を進めやすいメリットもあります。「これから頑張りたい」と考えているお子さんにとっては、前向きに挑戦しやすい入試方式ではないでしょうか。

 

「通信制高校」や「定時制高校」という選択肢も

全日制高校にこだわらなければ、進学の選択肢はさらに広がります。自宅でのレポートやオンライン授業を中心に学ぶ通信制高校では、学力試験を課さない学校も多く、面接を中心に合否が判断されるケースが一般的です。調査書も参考資料として扱われることが多い傾向にあります。

また、働きながら学ぶこともできる定時制高校でも、面接を重視する学校が多く、試験がある場合でも基礎的な内容が中心です。

こうした学校は、不登校のお子さんにとって無理なく通いやすい環境が整えられており、入試でも背中を押してもらえます。

 

高校受験における不登校への配慮

高校入試では、「できるだけ不利にならないようにするための仕組み」も少しずつ整えられています。ここでは、その代表的な内容を確認しておきます。

 

自己申告書などにより事情を伝えられる仕組みがある

高校入試では、不登校の背景や思いを学校側に伝えられる仕組みが用意されているケースがあります。その一つが「自己申告書」です。

たとえば東京都立高校では、生徒本人や保護者が「高校に理解してほしいこと」を事前に記入して提出できるようになっています。こうした書類を通して、不登校になった背景やこれからの意欲を伝えることで、学校側に事情を理解してもらいやすくなります。

その結果、調査書の内容だけで判断されるのではなく、より総合的に見てもらえる可能性が高まるといえると思います。

(参照:「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」に基づき志願者が提出する様式について | 東京都教育委員会)

 

不登校経験者が通いやすい学校も増えている

近年では、不登校を経験したお子さんが無理なく通えるように配慮された学校も増えてきています。その代表例が「学びの多様化学校(不登校特例校)」です。

こうした学校では、少人数での授業や、体験活動を取り入れたカリキュラムなど、一人ひとりのペースに合わせた学びが大切にされています。

現在は小中学校が中心ですが、高校段階でも設置が進んでおり、進学先の一つとして検討できる選択肢になっています。

入試も、面接や作文、提出書類を中心に評価されるケースが多く、「これから頑張りたい」という気持ちをしっかり伝えられることが大切です。

(参照:学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧 | 文部科学省)

 

調査書で不利にならないためにできること

受験への焦りをやわらげるためには、知識を知るだけでなく、「今できること」を少しずつ実践していくことが大切です。

ここでは、調査書による不利をできるだけ抑えるために、無理のない範囲で取り組めるポイントをご紹介します。すべてを完璧にやろうとするのではなく、できそうなことから一つずつ取り入れてみてください。

 

出席扱い制度を活用する

お子さんがフリースクールや教育支援センターに通っていたり、ご家庭でオンライン教材に取り組んでいる場合は、「出席扱い制度」の活用を検討してみましょう。出席扱い制度とは、学校以外での学習や活動を、出席として認めてもらえる制度です。場合によっては、学習の様子が成績に反映されることもあります。

利用するには、在籍している学校の校長先生の許可が必要となるため、まずは担任の先生に相談してみると安心です。この制度を利用できれば、学校に通えていない期間も「欠席」として扱われない可能性があり、調査書への影響をやわらげることにつながります。

 

課題を提出できる仕組みをつくる

通知表の成績は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態度」といった観点から総合的に評価されます。そのため、課題に取り組み、提出することで評価につながる可能性があります。

最近ではオンラインで課題の受け取りや提出ができる学校も増えています。人と直接会うことに不安がある場合でも、無理のない形でやり取りができるケースもあります。

紙の課題についても、受け取りや提出の方法を工夫できる場合がありますので、学校と相談しながら「続けやすい形」を一緒に考えていけるとよいと思います。

 

定期テストをできる範囲で受ける

定期テストは、通知表の評価に大きく関わる大切な要素です。可能であれば、無理のない形で受験する機会を持てると安心です。

教室での受験が難しい場合は、保健室や相談室などでの別室受験をお願いできることもあります。また、教育支援センターやフリースクールを利用している場合、そこでテストを受けられるケースもあります。

お子さんの体調や気持ちを大切にしながら、「できそうな方法はないか」を学校と相談してみてください。

 

学力面の不安を減らすための勉強の進め方

次に学力面の不安をやわらげるための勉強の進め方についてご紹介します。こちらも焦って一気に進める、というよりは、少しずつでも前に進めていくことが大切だと思います。

 

生活リズムを整え、少しずつ勉強の習慣をつける

勉強に取り組むためには、まず生活リズムを整えることが土台になります。お家で過ごす時間が長くなると、どうしても昼夜が逆転しやすくなります。日中に光を浴びる時間が減ると体内時計が整いにくくなり、眠りのリズムも乱れやすくなります。

まずは「朝起きて、日中に少し活動する」といった生活を意識していきましょう。その中で、最初は10分でも大丈夫なので、無理のない範囲で勉強の時間を取り入れていくと、少しずつ習慣につながっていきます。

 

短期と長期に分けて、無理のない学習計画を立てる

勉強を続けていくためには、見通しを持てるようにすることも大切です。たとえば「入試までにどこまで進めるか」といった長期的な目標だけでなく、「今週はここまでやる」といった短い期間の目標もあわせて考えていきます。

やることがはっきりすると、「今日は何をすればいいのか」がわかりやすくなり、お子さん自身でも取り組みやすくなります

ただし、いきなり大きな目標を立てると、かえって負担になってしまうこともあるため、「昨日より少しできた」を積み重ねていくイメージで、無理のないペースを大切にしていきましょう。

 

必要に応じて外部のサポートも取り入れる

勉強を進めていく中で、「どこから手をつければいいのかわからない」「自分では理解できているつもりでも点数につながらない」と感じることもあるかもしれません。

そのようなときは、教育支援センターやフリースクール、塾、家庭教師などの外部のサポートを取り入れることも一つの方法です。一人で進めるのが難しい部分も、第三者のサポートが入ることで整理され、理解しやすくなることがあります。

 

不登校のお子さんが受験で焦らないために、保護者の方にできること

最後に、不登校のお子さんの高校受験を支えていくうえで、保護者の方にできる関わり方についてお伝えします。できることから少しずつで大丈夫です。ご参考になさってください。

 

お子さんに寄り添いながら、目標を一緒に考える

中学生は、自分なりの考えや意思をしっかり持ち始める時期です。進路についても、お子さん自身の思いを大切にしながら、一緒に考えていけると安心です。

そのためには、あらかじめさまざまな選択肢を知っておくことも役立ちます。保護者の方が情報を集めておくことで、お子さんが視野を広げやすくなります。

お子さんから進路の話が出てきたときは、無理に結論を出そうとせず、「どんな道が合いそうか」を一緒に考えていく姿勢が大切だと思います。

 

情報収集は学校や支援機関と連携しながら進める

受験に関する情報をすべてご家庭だけで集めるのは、負担が大きく感じられることもあると思います。そんなときは、学校の先生やスクールカウンセラーなど、普段からお子さんを見ている方に相談してみましょう。お子さんの状況を踏まえた、現実的なアドバイスをもらえることがあります。

また、教育支援センターやフリースクール、家庭教師などを利用している場合は、そうした外部のサポート先も心強い相談相手になります。一人で抱え込まず、頼れるところに少しずつ頼っていくことも大切ではないでしょうか。

 

安心して取り組める環境を整える

お子さんが勉強に向かいやすくなるためには、「ここなら安心して過ごせる」と感じられる環境が何より大切です。

不登校の状況を受け止めてもらえること、そして見守ってくれる存在がいることは、お子さんにとって大きな支えになります。

そのうえで、集中しやすい環境を整えていくことも効果的です。お子さんの様子に合わせて、机まわりをシンプルにしたり、光や音の刺激を調整したりと、無理のない範囲で工夫してみましょう。

ご家庭での環境づくりが難しい場合は、教育支援センターやフリースクールなど、外で安心して学べる場所を探してみるのも一つの方法です。

 

まとめ | 不登校からの高校受験は焦らず着実に進めていきましょう

不登校でも高校受験で焦らず進めていくためには、今必要な知識を知ったうえで、少しずつ進めていくことが大切です。

お子さんが選べる進路は一つではなく、自分に合った道を選べる時代になってきています。不登校だからといって必ずしも入試で不利になるわけではありません。それでも不安を感じる場合は、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。

調査書で不利にならないよう、出席扱い制度を利用したり、課題を提出する仕組みづくりを進めていければ、入試への安心感が高まります。

また生活リズムを整え、目標を持って少しずつ勉強する習慣を付けていくことで、自信もついていきます。焦りはすぐに消えるものではありませんが、小さな前進を重ねていく中で、少しずつやわらいでいくはずです。




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