不登校のお子さんがいるご家庭では、きょうだいにもさまざまな影響が出ることがあります。
「下の子まで学校を嫌がるようになった…」
「我慢ばかりさせている気がする…」
と、不安を感じる保護者の方も多くいらっしゃいます。実際に、不登校のお子さんへの対応が家庭の中心になることで、きょうだいが寂しさや不公平感を抱えてしまうケースはよく見られます。また、親が頑張る姿を見て「自分がしっかりしなきゃ」と”いい子化”するお子さんも少なくはないのです。
そのような状態が続くと、心や体に負担が出てしまうこともあります。本音を言えなくなったり、問題行動として気持ちが表れたりするケースもあるため、十分な配慮が必要です。
とはいえ、不登校の支援だけでも精一杯な中で、「きょうだいにまで十分に寄り添えない…」と感じるのは自然なことだと思います。決して保護者の方が悪いわけではありません。大切なのは、完璧を目指すことではなく、きょうだいの気持ちにも少し意識を向けてみることではないでしょうか。
この記事では、不登校がきょうだいに与えやすい影響や、その理由、今日からできる関わり方についてわかりやすく解説していきます。
不登校は兄弟に影響することがある
不登校のお子さんがいるご家庭では、きょうだいにもさまざまな影響が見られることがあります。まずはその内容をまとめました。
きょうだいへの影響が出るのは珍しいことではない
不登校のお子さんがいるご家庭で、きょうだいに何らかの影響が出ることは決して珍しいことではありません。特に年齢が近かったり、普段から関わる時間が長かったりする場合は、影響を受けやすくなる傾向があります。
たとえば、「お兄ちゃん・お姉ちゃんだけ学校を休めてずるい」という気持ちが生まれたり、親御さんの関心が不登校のお子さんに向きやすくなることで、寂しさを感じるケースもあります。
親御さんは不登校のお子さんを支えようと必死です。だからこそ、結果的に家庭内のバランスが崩れてしまうこともあるのです。
ただし「必ず悪影響」になるわけではない
一方で、不登校のお子さんの存在が、きょうだいに良い影響を与えることもあります。たとえば、
・「学校だけがすべてではない」と知る
・相手の気持ちを考える力が育つ
・多様な価値観に触れる
といった経験につながることもあるからです。また、家庭で過ごす時間が増えることで、きょうだい同士の会話や関わりが深まり、絆が強くなるケースも見られます。
家庭全体のストレスが背景になることも多い
きょうだいへの影響は、「不登校そのもの」だけでなく、家庭全体のストレス状態が関係していることも多くあります。たとえば親御さんが疲れ切っていたり、家庭内に緊張感のある状態が続くと、きょうだいも無意識のうちに気を張りやすくなります。
特に、「自分はしっかりしなきゃ」と頑張りすぎるタイプのお子さんは注意が必要です。親に心配をかけまいとして本音を我慢したり、気持ちを抑え込んだりすることがあります。
不登校のきょうだいに見られやすい影響
では実際に、不登校のお子さんがいるご家庭では、きょうだいにどのような変化が見られやすいのでしょうか。
寂しさや孤独感を抱えやすくなる
親御さんの意識が不登校のお子さんに向きやすくなることで、きょうだいが寂しさを感じることがあります。本当は、「もっと自分を気にかけてほしい」と思っていても、親が大変な状況だからこそ、気持ちを言えなくなってしまうことも少なくありません。その結果、徐々に孤独感を深めてしまうことがあります。
また、安心して甘えられる感覚が減ってしまうと、心の負担が大きくなり、学校への不安や無気力感につながるケースもあります。
「迷惑をかけてはいけない」と我慢し“いい子”になりすぎる
不登校のお子さんがいるご家庭では、きょうだいが「自分は親に迷惑をかけてはいけない」と感じやすくなります。たとえば、「自分まで親を困らせないよう、しっかりしなきゃ」と考え、必要以上に頑張ってしまうのです。
その結果、つらくても「大丈夫」と本音を我慢したり、甘えることを避けたりと、“いい子”でいようとする状態が続くことがあります。もちろん、頑張れること自体が悪いわけではありません。ただ、感情を抑え込む状態が長く続くと、あとから大きなストレスとして表れてしまいがちです。
「学校に行かなくてもいい」と感じやすくなることもある
不登校のお子さんが身近にいることで、「学校は必ず行かなければならない場所」という感覚が変化することもあります。そのため、学校生活で強いストレスや不安を感じたときに、「自分も休みたい」と考えやすくなるケースもあります。
特に、日頃から我慢を重ねているお子さんほど、ある日突然エネルギーが切れたように学校へ行けなくなりがちです。
問題行動や赤ちゃん返りとして気持ちが表れることもある
寂しさや不安をうまく言葉にできない場合、気持ちが行動として表れることもあります。たとえば、
・イライラしやすくなる
・暴言や反抗的な態度が増える
などの変化が見られるケースも多くあります。特に小さいお子さんでは、赤ちゃん返りのような形で、「もっと見てほしい」という気持ちを表現することも少なくありません。
こうした行動を見ると、親御さんも戸惑いや疲れを感じやすいと思います。ただ、多くの場合は「困らせたい」のではなく、“気づいてほしい”という気持ちの表れです。
不登校がきょうだいに影響しやすくなる理由
不登校がきょうだいに影響しやすい背景には、いくつかの理由があります。理由を知っておくことで、「なぜこんな変化が起きているのか」が理解しやすくなり、関わり方も考えやすくなります。
家庭内の緊張感が続きやすい
不登校のお子さんがいるご家庭では、知らず知らずのうちに家庭全体が緊張状態になっていることがあります。不登校のお子さん自身は、学校へ行けない苦しさや不安などから、気分や体調が不安定になりやすいものです。親御さんも、その変化に寄り添いながら対応を続けるため、どうしても心に余裕がなくなります。
すると、きょうだいも家庭の空気を敏感に感じ取り、「ちゃんとしなきゃ」と必要以上に気を遣ってしまうのです。
親がかける時間や意識が偏りやすい
不登校のお子さんへの対応は、エネルギーが必要です。そのため、どうしても不登校のお子さん中心の生活になりやすく、きょうだいと向き合う時間が減ってしまうことがあります。お子さんからすると、「自分は見てもらえていない」と感じてしまうことがあります。
きょうだいにも不安やストレスが伝わりやすい
きょうだいは、日々の生活の中で不登校のお子さんの不安やストレスを身近に感じています。イライラや落ち込みを近くで見ているうちに、きょうだい自身も気持ちが不安定になることも少なくありません。
きょうだい間で「比較」が起きやすくなる
不登校のお子さんが家庭の中心になりやすいことで、きょうだい間で比較が生まれることもあります。
「自分だけ毎日学校へ行っている」
「きょうだいばかり気にかけてもらっている」
と感じ、不公平感を抱いてしまうのです。頭では「仕方ない」と理解していても、気持ちの面では納得できず、「自分は大切にされていないのかな?」と感じてしまうお子さんもいます。その結果、親の顔色を過剰に気にしたり、自信を失ったりすることがあります。
不登校のきょうだいへ親ができる関わり方
不登校のお子さんへの対応に追われる中で、きょうだいへの配慮まで十分に行うのは簡単なことではありません。それでも、日々の小さな声かけや関わり方によって、お子さんの気持ちは少しずつ変わっていきます。ここでは、家庭の中で意識したい関わり方をご紹介します。
「あなたのことも大切」と言葉で伝える
まず必要なのは、きょうだいにも「大切に思っているよ」という気持ちを言葉で伝えることです。きょうだいは不満や我慢があっても、その気持ちを口にできないことがあります。だからこそ、
「あなたのこともちゃんと見ているよ」
「大切に思っているよ」
と、意識して言葉にするのです。短い言葉でも、「気にかけてもらえている」という実感は、お子さんの安心感につながっていきます。
一対一で過ごす時間を少しでもつくる
可能であれば、きょうだいと一対一で過ごす時間を少しでもつくれると理想的です。一緒に買い物や散歩に行くのでも、好きなテレビを見るのでも構いません。大切なのは、「今は自分だけに向き合ってくれている」と感じられることです。
また、不登校のお子さんと少し距離を取ることで、家庭内の緊張感やストレスから一度離れられる場合もあります。
“いい子役”“我慢役”を背負わせすぎない
不登校のお子さんがいる家庭では、きょうだいが「自分はしっかりしなきゃ」と感じやすくなります。さらに、親御さん自身も余裕がなくなることで、無意識のうちに、「あなたは手がかからなくて助かる」と、“頑張れる子”としての期待をかけてしまうことがあります。
もちろん、褒めたい気持ちに悪気はありません。ただ、お子さんによっては、「弱音を吐いちゃいけない」と感じるきっかけになり、“いい子”を続けようとしてしまうことがあります。だからこそ、「我慢しなくていい」と伝えることも大切です。
感情を否定せず、まずは話を聞く
きょうだいが反抗的になったり、問題行動が見られたりすると、親御さんも戸惑いや疲れを感じやすくなります。ただ、その背景には、寂しさや不公平感、我慢の積み重ねなどが隠れていることも少なくありません。まずは気持ちを受け止めながら話を聞くことが大切です。
もし親を責めるような言葉が出たとしても、すぐに否定しなくて大丈夫です。「寂しい思いをさせていたよね」と気持ちに寄り添うだけで、お子さんは「自分の方を見てもらえた」と感じ、気持ちが楽になります。
完璧を目指さず、一人で抱え込まない
不登校のお子さんへの支援だけでも、親御さんの負担はとても大きいものです。そのうえ、きょうだいへのケアまで“完璧”に行おうとすると、親自身が限界を迎えてしまうこともあります。だからこそ、「全部を一人で頑張らなきゃ」と抱え込みすぎないことも大切です。頼れる部分は外部のサポートを頼ることで、家庭の負担が少し軽くなる場合があります。
また、きょうだいにも家庭以外の安心できる居場所があると、気持ちを切り替えやすくなります。習い事やスポーツ、友人との関わりなどを通して、「自分らしく過ごせる時間」を持てることは、お子さんにとって大きな支えになります。
不登校でも、きょうだいへの影響を過度に恐れなくて大丈夫
不登校のお子さんがいることで、きょうだいにさまざまな影響が出ることはあります。ただ、その影響がすべて「悪いもの」になるわけではありません。
家庭での経験が、思いやりにつながることもある
不登校のお子さんがいるご家庭では、きょうだいも日常の中でさまざまな気持ちに触れています。不登校の苦しみや、親御さんの頑張りを感じながら過ごすことで、自然と「相手の気持ちを考える力」が育っていくことがあります。
親御さんが適度に気持ちを受け止めながら関わっていくことで、思いやりのある優しいお子さんへ成長していくケースも少なくありません。
お子さんは環境に合わせながら成長していく
どんなお子さんにも、その環境の中で少しずつ順応しながら成長していく力があります。大人から見ると、「無理をさせていないかな」と心配になることもありますが、本人は意外と自然体で過ごしているケースもあります。
もちろん、困りごとが続いていたり、強いストレスサインが出ていたりする場合には配慮が必要です。ただ、お子さんが笑顔で過ごせていたり、自分らしく生活できていたりするなら、必要以上に不安を抱え込みすぎなくても大丈夫だと思います。
不登校のきょうだいに関するよくある質問
最後に、不登校のきょうだいについて、保護者の方からよくいただく質問をまとめました。
Q. 不登校はきょうだいに悪影響ですか?
A. 必ずしも悪影響になるわけではありません。多様な価値観に触れられることや、思いやりや柔軟性が身につくことなど、長い目で見ると良い経験につながるケースもあります。
Q. 下の子まで不登校になることはありますか?
A. 可能性はあります。不登校のお子さんが身近にいることで、不安やストレスが伝わり、きょうだいまで学校へ行きづらくなるケースがあります。
Q. きょうだい差別と思われないためにはどうすればいいですか?
A. 「あなたのことも大切に思っている」と、日頃から伝えていくことが重要です。また一対一で過ごす時間をつくったり、話を聞く時間を意識することも大切だと思います。
Q. “いい子”になってしまうきょうだいにはどう接しますか?
A. 「頑張りすぎなくて大丈夫」と伝えていくことが大切です。きょうだいは無意識に頑張りすぎてしまうことがあります。だからこそ、意識的に言葉をかけていくよう心がけます。
まとめ | 不登校のきょうだいへの影響が心配なときは、“安心感”を意識することが大切
不登校のお子さんがいることで、きょうだいに影響が出ることは決して珍しくありません。ただし、その影響が必ず深刻な問題につながるわけではなく、早めに気持ちへ目を向けることで、負担を軽くしていくことは十分に可能です。
だからこそ大切なのは、きょうだいの小さなサインに気づき、“安心できる関わり”を少しずつ増やしていくことです。「あなたのことも大切だよ」と伝えたり、一対一で過ごす時間をつくるなど、日々の小さな声かけや関わりが、お子さんにとって大きな安心感につながっていきます。
不登校のお子さんへの支援だけでも大変な中で、きょうだいへの配慮まで行うのは簡単なことではありません。頼れる人や支援先にも少しずつ頼りながら、できることから取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。
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