不登校から学校復帰後、「また行き渋りが始まった…」と不安になる保護者の方は少なくありません。
「また不登校になったらどうしよう…」
「どう声をかけたらいいんだろう…」
と悩んでしまうと思います。ただ、復帰後の揺り戻しは珍しいことではありません。前へ進もうとする中で起こる自然な反応で、必ずしも逆戻りを意味するわけではないのです。
大切なのは、無理に元の登校ペースへ戻そうとせず、お子さんの状態に合わせて段階的に支えることです。この記事では、揺り戻しの原因や保護者の方の対応、段階的登校の考え方を解説します。
不登校から復帰後の「揺り戻し」とは?
まずは、不登校から復帰後に見られる「揺り戻し」とはどのような状態なのか、またなぜ起こるのかについて見ていきます。
揺り戻しが起こることは珍しくない
揺り戻しとは、不登校からの回復期に、再び学校を休みたくなったり、学校への行き渋りが見られたりする状態のことです。不登校からの回復過程でよく見られる自然な反応のひとつです。
学校へ戻ることは、お子さんにとって想像以上にエネルギーを使うものです。教室では「ちゃんと頑張らなきゃ」と気を張ったり、「また休んではいけない」と自分を奮い立たせたりしていることもあります。
そうした緊張やプレッシャーが続くことで、心や体に疲れがたまり、再び不調や行き渋りが見られることがあるのです。不登校からの回復は一直線に進むものではありません。
行き渋りは「失敗」ではない
回復が一直線に進まないからこそ、学校への行き渋りが起こっても、それを「失敗」と捉える必要はありません。
大切なのは、無理に学校へ向かわせたり、強く背中を押したりすることではなく、今のお子さんの状態や努力を受け止めることです。少し長い目で見守っていく姿勢が、お子さんの安心感につながることもあります。
不登校から復帰後に行き渋りが起こる理由
行き渋りは、さまざまな理由が重なって起こることがあります。ここでは、学校復帰後に行き渋りにつながりやすい主な要因を見ていきます。
久しぶりの学校で心身が疲れてしまう
久しぶりに登校したときに感じやすいのが、大きな疲れです。不登校期間中は家でゆっくり過ごすことが多いため、久しぶりの学校は想像以上に刺激が多く感じられます。
教室のにぎやかな声、クラスメイトの視線、先生から次々と伝えられる情報など、一つひとつに気を使ってしまうことも少なくありません。
その結果、脳が情報を処理しきれず、帰宅する頃にはぐったり疲れてしまうことがあります。すると、せっかく整い始めていた心身のバランスが崩れ、「また学校に行くのがつらい」と感じやすくなってしまうのです。
人間関係への不安
久しぶりの登校では、人間関係への不安も大きな負担になりやすいものです。
「クラスのみんなはどう思うだろう」
「前と同じように話せるかな」
と緊張し、周囲に気を使いすぎて疲れてしまうお子さんもいます。その結果、「また明日も行けるかな…」と不安が強くなることがあります。
勉強への不安
不登校期間中は、勉強よりも心身の回復を優先するお子さんも少なくありません。そのため、久しぶりに授業へ参加したときに、
「何をやっているのかわからない…」
「周りについていけない…」
と感じてしまうことがあります。今の授業への不安は、やがてテストや受験への心配にもつながり、「学校へ行くのが不安」という気持ちを強めてしまうこともあるのです。
「また休みたくない」というプレッシャーがある
不登校のお子さんは、「せっかく登校できたのだから、もう休みたくない」と強く思っていることも少なくありません。
その気持ちから、無理をして頑張りすぎてしまい、結果として心や体が疲れ切ってしまうときもあります。また、一度休んでしまうと、「また行けなくなってしまった…」と自分を責めてしまい、不安がさらに強くなることもあります。
親や学校の期待に応えようとして頑張りすぎる
不登校のお子さんの多くは、保護者の方や学校の先生が支えてくれていることを感じています。だからこそ、
「頑張って学校へ行かなきゃ」
「期待に応えたい」
という気持ちが強くなり、必要以上に無理をしてしまうことがあります。そうして頑張り続けた結果、心や体に疲れがたまり、行き渋りにつながってしまうこともあるのです。
不登校からの復帰後に行き渋りがあるときの親の対応
不登校から学校へ復帰したお子さんが、再び行き渋る様子を見せると、「どう対応すればいいのだろう…」と戸惑ってしまうと思います。
行き渋りがあるときは、「責めない・無理に登校を促しすぎない・学校と相談する」が基本です。ここでは、お子さんの気持ちに寄り添いながら、無理なく前へ進んでいくための対応方法をご紹介します。
まずは責めずにお子さんの状態を確認する
まず大切なのは、行き渋りを責めないことです。せっかく学校へ行けるようになったからこそ、「頑張って行ってほしい…」と思ってしまうこともあるかもしれません。ただ、ここで強く責められると、お子さんは、
「親の期待に応えられなかった」
「やっぱり自分はダメなんだ…」
と感じ、学校へ行けないことを「失敗」と受け止めやすくなってしまいます。その結果、気持ちがさらに落ち込んだり、再び家にこもりがちになったりすることもあります。
まずは責めるのではなく、「今はどんなサポートが必要かな?」という視点で、お子さんの状態を見ていくことが大切です。
無理に背中を押しすぎない
行き渋りに不安を感じたとしても、無理に背中を押して頑張らせすぎることが、かえってお子さんの負担になる場合もあります。行き渋りが起きているときは、お子さんの心や体が少し疲れているサインかもしれません。
そのため、「毎日登校」「1日フル登校」にこだわりすぎず、状態に合わせて休息を取り入れたり、登校ペースを調整したりすることも大切です。
学校と情報共有し登校ペースを相談する
お子さんの行き渋りが続く場合は、無理に完全登校を目指しすぎないことも大切です。担任の先生や学年主任、必要に応じてスクールカウンセラーとも情報共有しながら、
「今のお子さんに合う登校ペースはどのくらいか」
を相談してみましょう。登校時間や頻度を調整することで、お子さんが安心して学校との関わりを続けやすくなる場合もあります。具体的な方法については、後に紹介する「段階的登校」も参考にしてみてください。
不登校から復帰後の行き渋りでやってはいけない親の対応
不登校からの復帰後に行き渋りが見られると、保護者の方は、「何とか支えなきゃ」と心配になることも多いと思います。ただ、その思いから良かれと思ってかけた言葉や行動が、かえってお子さんの負担につながってしまうこともあります。ここでは、できるだけ避けたい保護者の方の対応について見ていきます。
「前は行けたのに」と比較する
お子さんが行き渋る様子を見ていると、
「あの頃は通えていたのに、どうして今は行けないの?」
と思ってしまうこともあるかもしれません。ただ、元気に登校できていた頃と、不登校からの復帰後では、お子さんの心や体の状態は大きく異なります。過去の姿と比べすぎると、お子さん自身も、
「前みたいにできない自分はダメなんだ…」
と感じ、焦りや自己否定につながってしまうことがあります。まずは「今の状態」を基準に、お子さんのペースを見守ることが大切です。
焦って完全登校を求める
「せっかく復帰できたのだから、このまま毎日通ってほしい」
そう願うのは、とても自然な気持ちです。ただ、回復途中のお子さんにとっては、毎日・1日フルで登校することがまだ大きな負担になっている場合もあります。
頑張りすぎた結果、心や体の疲れが強くなり、行き渋りにつながるケースも少なくありません。焦らず、お子さんのペースに合わせながら、必要に応じて登校頻度や時間を調整していくことが大切です。
親の不安をぶつけてしまう
行き渋りが続くと、保護者の方も不安や焦りを感じると思います。ただ、その不安をそのままお子さんにぶつけてしまうと、回復のペースに影響することがあります。たとえば、
「また休むの?」
「このままで大丈夫なの?」
と責めるような言葉が増えると、お子さんはさらにプレッシャーを感じやすくなります。「期待に応えなきゃ」と無理をしてしまうこともあるため、まずは落ち着いて状態を見守る姿勢が大切です。
不登校復帰後の行き渋りには「段階的登校」を考えよう
行き渋りが見られるお子さんには、「段階的登校」という考え方が役立つことがあります。段階的登校とは、登校ペースを少し落としながら、今のお子さんにとって無理のない範囲で学校との関わりを続けていく方法です。たとえば、以下のような形があります。
<段階的登校の例>
・午前だけ・午後だけなどの短時間登校
・保健室登校や別室登校
・好きな授業や行事だけ参加する
・週1〜2回など登校頻度を調整する
こうした方法を取り入れることで、お子さんが少しずつ学校生活に慣れ、自分のペースで学校との関わりを取り戻していける場合があります。
ここからは、それぞれの方法について詳しく見ていきます。
午前だけ・午後だけなど短時間登校をする
1日まるごと登校するのではなく、午前中だけ・午後だけなど、時間を決めて登校する方法です。無理のない時間から始めることで、集団生活への不安や教室での緊張を少しずつ和らげていける可能性があります。
最初は、お子さんの体力や気持ちの状態を見ながら、1時間程度から始めるケースもあります。慣れてきたら、少しずつ学校にいる時間を増やしていくとよいでしょう。
保健室や別室登校を活用する
保健室登校や別室登校を活用することで、教室よりも安心できる環境で学校に慣れていく方法もあります。人との距離を保ちやすく、周囲の目が気になりにくいため、
「まずは学校へ行くこと自体に慣れたい」
というお子さんに合う場合があります。クラスでの人間関係など、不安が大きいテーマを少し脇に置きながら、安心できる環境で学校とのつながりを保てる方法です。
好きな授業や行事だけ参加してみる
勉強や人間関係への不安が強いお子さんには、好きな授業や行事だけ参加する方法もあります。たとえば、得意な教科や好きな活動であれば、自信を取り戻すきっかけになることがあります。また、学校行事は友達との関係を少しずつ取り戻す機会になるかもしれません。
まずは参加しやすい場面から始めながら、少しずつ学校で過ごす時間を増やしていきます。
週に1〜2回など登校頻度を調整する
心や身体の負担が大きいときは、毎日登校にこだわりすぎない方法もあります。行き渋りが強い場合は、思い切って休息を取りながら、週1〜2回程度の登校から始めるケースもあります。
疲れが強くなる前に適度に休息を入れることで、気持ちや体調を整えながら、無理なく学校との関わりを続けられる環境をつくっていきます。通っていく中で、お子さんに合ったリズムを見つけていくことが大切です。
復帰後に支援の見直しを考えたいサイン
行き渋りが続く場合、今の支援方法や登校ペースがお子さんに合っていない可能性もあります。無理を続けてしまうと、心や体の負担が大きくなることもあるため、「少し立ち止まって見直すサイン」に気づくことが大切です。ここでは、支援方法を見直したほうがよい可能性があるサインについて解説します。
心身の状態が悪化し続ける
学校復帰後、一時的に疲れや不安が強くなることは珍しくありません。ただ、何日か休んでも回復が見られなかったり、以前より状態が悪くなっていたりする場合は、今の登校スタイルがお子さんに合っていない可能性があります。
そんなときは、お子さん本人の気持ちを確認しながら、学校の先生やスクールカウンセラーにも相談してみましょう。必要に応じて、段階的登校へ切り替えたり、学校以外の支援機関を利用したりするなど、「今のお子さんに合った支援」を一緒に考えていくことが大切です。
腹痛・頭痛など身体症状が現れる
学校へ行こうとすると、腹痛や頭痛などの身体症状が出ることがあります。これは強い不安や緊張によって心や体に負担がかかり、自律神経が乱れているサインかもしれません。
症状が強い場合や続いている場合は、無理に登校を続けるのではなく、一度休息を取ることも大切です。また日常生活にも影響が出ている場合は、小児科や心療内科など専門機関への相談も検討しましょう。
体調が少し落ち着いてきたら、登校時間を短くしたり、段階的登校を取り入れたりしながら、無理のない形を探していきます。
家でも疲れ切ってしまう状態が続く
学校には通えていても、家に帰るとぐったりして何もできない、休日もずっと寝ているといった状態が続く場合は、注意が必要です。表面上は通えているように見えても、お子さんの中では大きな負担を抱えている可能性があります。
この状態が続くと、心や体の疲れが積み重なり、ある日突然「もう行けない…」となってしまうこともあります。無理を続ける前に、登校時間や頻度を見直すなど、お子さんの負担を少し軽くできる方法がないか考えてみましょう。
まとめ | 不登校から復帰後の揺り戻しは焦らず段階的に支える
不登校からの復帰後、学校への行き渋りが見られることは決して珍しくありません。ですので、お子さんの行き渋りを「支援がうまくいかなかった」と捉える必要はありません。
大切なのは、今のお子さんの状態を丁寧に見ながら、学校とも相談しつつ、無理のない形を考えていくことです。
たとえば、短時間登校や別室登校などの「段階的登校」を取り入れることで、お子さんに合ったペースで学校との関わりを続けやすくなる場合もあります。もし学校復帰後に心身の不調が強くなっている場合は、無理を続ける前に支援方法を見直してみることも大切です。
段階的な対応は、一見すると遠回りに感じるかもしれません。ただ、お子さんの安心感を大切にしながら進めることが、結果として前へ進む力につながることもあります。焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、一歩ずつ支えていくことが大切ではないでしょうか。
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