不登校のお子さんを支えていると、保護者の方が「親の自分まで疲れた…」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
「子どもの現状を受け止めてあげたい」
「焦らせず、ゆっくり休ませることが大切」
そう頭ではわかっていても、実際には不安や心配が尽きないというお話もよく聞きます。特に引きこもりの状態が長引いていたり、なかなか変化が見えなかったりすると、「この先どうなるんだろう」と終わりの見えない苦しさに押しつぶされそうになることもあるかもしれません。
心に余裕がなくなると、つい「自分の育て方が悪かったのでは…」と責めてしまう方も少なくありません。ですが、不登校は家庭だけが原因で起こるものではありません。
大切なのは、保護者の方も無理をしすぎず、お子さんと関わっていくことです。また、必要に応じて学校や専門機関など周囲の力を借りることも、とても大事な支援のひとつです。
この記事では、不登校のお子さんを支える中で保護者の方が疲れてしまう理由や、お子さんへの接し方、頼れる相談先についてわかりやすく解説します。少しでも気持ちが軽くなるきっかけになれば幸いです。
不登校のお子さんを支援していて親が疲れたと感じる理由
お子さんを支えるためには、保護者の方が心に余裕を持つことがとても大切です。そのためには、まず「どうして疲れてしまうのか」を整理してみることが重要になります。
お子さんの状況が改善せず終わりが見えない
不登校のお子さんは、家でゆっくり休みながら、少しずつ傷ついた心や身体をリセットしていきます。ただ、そのペースは人それぞれで、長い時間が必要になるお子さんもいます。
保護者の方にとっては、なかなか変化が見えず、不安になることもあると思います。特に学校復帰や進路について真剣に考えているほど、「何とかしなければ」という気持ちが強くなり、心が疲れやすくなります。
お子さんが心を開かない
不登校のお子さんは、心の中にさまざまな葛藤や苦しさを抱えていることがあります。そして、その不安から自分を守るために、周囲との距離を取ろうとすることも少なくありません。
お子さんの反応が薄かったり、会話を避けられたりすると、「どう接したらいいかわからない」とつらく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
お子さんの将来や進路に強い不安を覚える
不登校になると、将来への不安も大きくなります。特に中学生・高校生の場合は、受験や進学、就職などが現実的な問題として近づいているため、保護者の方も焦りを感じがちです。
「早く何とかしなければ」と思うほど、気持ちに余裕がなくなり、疲れにつながってしまうのです。
周囲の目を気にしてしまう
不登校になると、周囲の視線や言葉が気になることもあります。以前より不登校への理解は広がってきていますが、まだまだ「学校に通うのが当たり前」という考え方が根強い場面も少なくありません。
特に兄弟姉妹や同年代のお子さんと比べてしまう環境にいると、「うちだけがうまくいかないのでは…」とつらくなることもあるかもしれません。
不登校は育て方に問題があると考えてしまう
「自分の育て方が悪かったのでは…」と悩んでしまう保護者の方も少なくありません。特にお子さんが反抗的になっていたり、会話がうまくできなかったりすると、自分を責めてしまいやすくなります。
ですが、不登校はひとつの原因だけで起こるものではありません。お子さんを大切に思うからこそ悩み、苦しくなってしまうのです。まずは、保護者の方が一人で抱え込みすぎないことも大切です。
不登校が親のせいではない理由
不登校のお子さんを前に、自分を責めてしまう保護者の方は少なくありません。ですが、不登校は親だけの責任で起こるものではありません。ここでは、「親のせいではない」と言える理由について整理してお伝えします。
不登校は家庭だけが原因で起こるものではない
不登校は、心や身体のエネルギーが大きく消耗し、「今は休みたい」というサインが出ている状態です。その背景には、
・学校生活でのさまざまなストレス
・環境の変化
・本人の気質や特性
といった、さまざまな要因が関わっています。文部科学省の調査でも、不登校の背景には友人関係や学業不振、環境変化など複数の要因が関係するとされています。いくつもの負担が積み重なった結果として、不登校につながるケースが多いのです。
そのため、「全部親のせいだ」と過度に自分を責める必要はありません。
(参照:不登校の要因分析に関する調査研究 報告書 p.17 | 公益社団法人 子どもの発達科学研究所、浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター)
不登校は「甘え」「怠け」と単純には言えない
不登校を「甘え」や「怠け」と捉えてしまうと、
「しつけが悪かったのでは」
「育て方を間違えたのでは」
と考えてしまいやすくなります。ですが、学校に行けない背景には、お子さん自身の大きな苦しみや疲れが隠れていることも少なくありません。たとえ部屋で過ごす時間が長かったとしても、それは心や身体を守るために必要な時間なのかもしれません。
不登校を単純に「甘え」と決めつけることはできませんし、保護者の方だけが責任を抱え込む必要もないのです。
お子さんが部屋に閉じこもるのは自然な反応
不登校のお子さんが部屋に閉じこもるのは、決して珍しいことではありません。強い不安やストレスを抱えた状態では、人との関わりを避け、自分を守ろうとする反応が見られることがあります。
お子さん自身も、自室で気持ちを整理しながら、少しずつ心を落ち着かせようとしているのです。まずは安心して過ごせる環境を整えながら、焦らず見守っていくことが大切です。
不登校のお子さんが抱えている気持ち
では、保護者の方はどのようにお子さんと関わっていけばよいのでしょうか。そのためにはまず、お子さん自身がどのような気持ちを抱えているのかを知ることが大切です。
学校に行けない罪悪感と親への申し訳なさ
不登校のお子さんは、身体が動かなかったり、気持ちが追いつかなかったりして、思うように行動できず、自分自身を責めてしまうことがあります。そのため、
「学校に行けない自分はダメだ」
「親に迷惑をかけている」
と、強い罪悪感を抱えやすいのです。特に、保護者の方が一生懸命支えようとする姿を見るほど、「期待に応えられない自分」に苦しくなってしまうことがあります。
誰からも受け入れられない孤独感
不登校のお子さんは、「もう傷つきたくない」という思いから、自分から人との距離を取ろうとすることがあります。特に友人関係のトラブルやいじめなどがきっかけになっている場合、人と関わること自体に強い不安を感じてしまうことも少なくありません。
また、家族に対しても、「今の自分を受け入れてもらえないかもしれない」という気持ちから、うまく心を開けなくなることがあります。その結果、「誰にもわかってもらえない」と孤独を感じてしまうのです。
不登校のお子さんに親が無理なくできる対応
では、保護者の方は不登校のお子さんとどのように関わっていけばよいのでしょうか。ここでは、お子さんの気持ちを尊重しながら、無理をしすぎずに実践できる対応についてお伝えします。
現状を受け入れ十分に休ませる
不登校のお子さんは、「学校に行けない自分」を責めていることがあります。だからこそ、まずは現状を否定せず、「今は休む時期なんだ」と受け止めてあげることが大切です。「親が受け入れてくれる」と感じることで、お子さんにとって家庭が安心できる居場所になっていきます。
お子さんと話すときはアドバイスよりも傾聴
不登校の初期は、お子さん自身も自分の感情を整理しきれていないことが多く、苦しさや不安をうまく言葉にできない場合があります。ですので、無理に答えを出そうとするよりも、まずは気持ちを受け止める姿勢を意識してみてください。
「話したくなったら、いつでも聞くよ」と伝えておくだけでも、お子さんにとっては安心感につながります。
幅広い進路についての知識をつけておく
保護者の方に必要なのは、「今すぐ学校へ戻すこと」ではなく、お子さんが前を向き始めたときに支えになることではないでしょうか。
そのためにも、通信制高校やフリースクールなども含め、進路について幅広く知っておくと安心です。「在籍校に戻る」だけが進路ではないと知ることで、保護者の方の不安も少し軽くなるかもしれません。
外出や家事など一緒にできる活動をつくる
お子さんが少しずつ前向きになってくると、「退屈だな」「何かしてみようかな」という気持ちが見えてくることがあります。
そんなときは、無理のない範囲で一緒にできる活動に誘ってみるのもおすすめです。家の手伝いや散歩など、小さなことからで十分です。少し身体を動かしたり、人と関わったりする経験が、お子さんの自信につながっていくことがあります。
家庭以外と安心して関われる環境をつくる
不登校が続くと、勉強や人との関わりに不安を感じることも多くなります。そんなときは、家族以外にも安心して関われる場所を少しずつ増やしていくことが大切です。
学校復帰を急がず、教育支援センターなどの外部施設を利用したり、家庭教師やオンライン学習など、「家で安心して学習できる環境」から始める方法もあります。外部の力を借りることで、保護者の方の気持ちが少し楽になることも少なくありません。
疲れたと感じたら…親自身がするべき3つのこと
不登校のお子さんを支えるには、保護者の方の心や身体を守ることもとても大切です。ここでは、「疲れた…」と感じたときに、ぜひ意識してほしいことを3つご紹介します。
不登校への対応を一人で抱え込みすぎない
不登校への対応を、保護者の方だけで抱え込む必要はありません。「自分が何とかしなければ」と思い続けていると、心も身体も限界に近づいてしまいます。
まず相談先として考えたいのが学校です。最近では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、専門職と連携しながら支援を行う学校も増えています。
また、学校に相談しづらい場合は、外部の支援機関を頼る方法もあります。専門家に相談することで気持ちが整理され、心が軽くなることも多いと思います。
発想の転換で現状を肯定的に捉える
お子さんの様子を見ていると、つい“できていない部分”ばかりに目が向いてしまうことがあります。ですが、その状態が「前を向くために必要な時間」である場合も少なくありません。
たとえば、部屋でゆっくり過ごしている時間も、お子さんなりにエネルギーを溜めようとしている過程だと考えることができます。見方を少し変えるだけでも、保護者の方の心の負担が和らぐことがあります。
自分一人の時間を十分に確保する
不登校のお子さんを支えていると、どうしても気持ちがお子さん中心になりがちです。だからこそ、意識的に「自分のための時間」を作ることも大切ではないでしょうか。少し休むだけでも、心身をリフレッシュできることがあります。
そのためには、学校や支援機関など周囲の力を借りながら、保護者の方が休める環境を作っていくことも重要です。
不登校の支援に疲れたときに頼れる専門機関
不登校の支援は、保護者の方だけで抱え込む必要はありません。学校以外にも、不登校のお子さんや保護者を支えてくれる専門機関がたくさんあります。
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
多くの学校では、教員だけでなく専門スタッフとも連携しながら不登校支援を行っています。スクールカウンセラーは、心理面のケアを行う専門職です。お子さんだけでなく、保護者の方の悩みについて相談できることもあります。
一方、スクールソーシャルワーカーは福祉の専門職で、学校以外の支援機関との橋渡し役を担っています。どちらも学校の先生とは少し違う立場だからこそ、話しやすいと感じる保護者の方も少なくありません。
教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センターは、市区町村の教育委員会が設置している公的な支援機関です。不登校に関する相談だけでなく、お子さんが通所して学習支援や集団活動を受けられるところもあります。「いきなり学校復帰は難しい」というお子さんにとって、最初のステップにもなってくれる場所です。
また、学校と連携しながら利用することで、「出席扱い制度」の対象になるケースもあります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、心の健康について相談できる公的機関です。精神科医や心理士、精神保健福祉士などの専門家が対応しており、必要に応じて医療機関につないでもらえることもあります。心や発達面について気になることがある場合に、相談先のひとつになります。
フリースクール
フリースクールは、不登校のお子さんが自分のペースで通える民間の支援施設です。学習支援だけでなく、体験活動やコミュニケーション支援などを行っているところも多く、お子さんに合った形で利用できます。
条件を満たせば学校で出席扱いになる場合もあるため、事前に学校へ確認しておくと安心です。
医療機関(小児精神科・心療内科など)
不登校の背景に、強い不安や抑うつ状態などが関わっているケースもあります。そのような場合は、小児精神科や心療内科などの医療機関に相談することも選択肢のひとつです。専門的な視点から状態を整理してもらうことで、お子さん本人や保護者の方の安心につながることもあります。
まとめ | 不登校支援には親の健康も大切
不登校のお子さんを支える中で、「疲れた…」と感じてしまうのは、それだけ真剣にお子さんと向き合っているからではないでしょうか。ですが、不登校を「親のせい」と考えて、自分を責めすぎる必要はありません。
大切なのは、保護者の方も無理をしすぎず、お子さんと向き合っていくことです。一人で抱え込まないことや、現状を肯定的に捉えること、自分自身を休ませることなどが、親子双方の安心につながっていきます。
また、学校だけでなく、頼れる専門機関もたくさんあります。困ったときは、周囲の力を借りながら進んでいくことも大切です。お子さんを支えるためには、保護者の方の心の健康も欠かせません。無理をしすぎず、少しずつできることから進めていくことが大切だと思います。
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