「今日も部活でヘトヘト…」
「宿題やらなきゃいけないのに、気力が残ってない…」
中学生や高校生のお子さんから、こうした声をよく聞きます。特に最近の子どもたちは、授業に加えて塾や部活動など、平日の大半を「スケジュールに追われる生活」で過ごしています。
真面目でがんばり屋のお子さんほど、「やらなきゃいけないことはわかっているのに、どうしても手がつかない…」というジレンマに苦しんでしまいがちです。
でも、「疲れて勉強できない」ことは決して甘えではありません。動き続ければ当然エネルギーは消耗します。そこで重要なのは、無理に自分を追い込むのではなく、「疲れていても少しだけ進めるための工夫」を身につけることではないでしょうか。
この記事では、「部活や授業で疲れて勉強できない…」という悩みを抱える中高生とその保護者の方に向け、すぐにできる具体的な方法をご紹介します。
どれも今日から取り入れられるものばかりです。「完璧にできること」よりも、「少しずつ続けられること」をテーマにしてみました。
1. 疲労の「種類」を理解して、正しく対処する
疲れているからといって、すぐに横になってしまうのはもったいないかもしれません。まず大切なのは、「何に疲れているのか」を冷静に見つめ直すことです。
身体的疲労の場合
- 部活動で走ったり筋トレをしたりしたことで、体がだるい・重いと感じる状態。
- 教室の移動や授業中に座っている時でも意外と体力を消耗しています。
この場合は、15〜20分の仮眠やストレッチ、ぬるめのシャワーなどが効果的。いったん体を休めることで、意外とスッキリして頭が冴えることがあります。
精神的疲労の場合
- 授業中のプレッシャーや緊張、人間関係のストレスなど、心が疲れている状態。
- 「今日もミスした…」「先生に当てられて焦った…」といった出来事が心に残って集中できないこともあります。
新学期にはこういった精神的な疲労がある可能性が高いです。今までと違う環境に慣れるには時間がかかります。この場合は、深呼吸・好きな音楽を聴く・散歩・ゲームや動画などの趣味など、気分をリセットする行動が有効です。
上記のように、疲れの種類に合った回復法を実践することで、気分がリセットされて効率的な勉強に繋がります。
2. 勉強への「入り口のハードル」を下げる
疲れているときに「1時間勉強しよう」と思っても、なかなか始められません。それならば、最初から「5分だけでいい」「1ページだけでもいい」と、超短時間目標を設定しましょう。
■具体例:
- 教科書の要点だけ読み返す
- 英単語を5個だけ覚える
- 漢字練習を1行だけやる
勉強に取りかかるまでのハードルが低ければ、行動に移すまでの“ためらい”が減り、取りかかるスピードが上がります。そして、勉強を始めると少しずつやる気が出てきて「もう少し頑張ってみよう」ということもよくあります。
つまり、「疲れている時は、最初の一歩は小さく」でOKなのです。
3. スキマ時間の“積み重ね”を大切にする
「今日は疲れたから勉強ゼロでいいや…」と考える前に、5分、10分のスキマ時間をどう使うかを考えてみましょう。
■スキマ時間の活用例
- 歯みがき中に社会の暗記カードをチラ見
- お風呂の中で音読(英語の教科書など)
- 休み時間に友達と一問一答ゲームをする
これらの行動は1回では効果が薄いかもしれませんが、毎日続けることで数か月後には大きな差になるはずです。スキマ時間を活用するためには、単語帳や要点がまとまったノートや教科書は効果的です。
4. 勉強の順番は「ウォームアップ→本番」で
疲れている状態で、いきなり英語の長文読解や難しい数学の応用問題に挑もうとすると、拒否反応を起こしてしまいませんか?そこで効果的なのが、「勉強の順番を工夫する」ことです。
▷おすすめの流れ
1.【準備運動】5分だけ単語暗記やノート読み返し
2.【軽めの問題】漢字・計算・暗記確認テストなど
3.【本番モード】読解問題・記述問題・数学の応用
こんな感じで徐々に脳を慣らすことで、疲れていても集中力が上がりやすくなります。つまり、やる気は最初から必要なのではなく、「勉強をやっているうちに徐々に出てくる」ことを意識しましょう。
5. 勉強モードに入る「環境スイッチ」をつくろう
人の集中力は「環境」に大きく左右されます。疲れているときは特に、誘惑を遠ざけて勉強に集中できる環境をつくることが効果的です。
▷集中モードに入るための工夫
- 勉強机の上を整理整頓する
- 電気スタンドの光で明るくする
- スマホは物理的に遠ざける
また、「この音楽を聴いたら勉強する」「この椅子に座ったら勉強する」といった『習慣づけのスイッチ』をつくると、スムーズに集中状態に入れるようになります。
6. 勉強計画は“ゆるく・柔軟”に
毎日「今日はこのページまで絶対に終わらせる」と決めていると、疲れて実行できなかった日に自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。
▷柔軟な計画の立て方
- 「Aが終わったらB(任意)」という“もしできたら”リストをつくる
- やれたことに〇をつける形式にして、達成感を得る
- できなかったことは翌日に回すのではなく、「週末に調整日を設ける」
疲れている日は「最低限の復習だけ」と割り切ることも大切。勉強の質と継続を重視するなら、量にこだわりすぎない柔軟なスケジューリングが有効です。ただどんどんたまってしまうとやる気がなくなってしまいます。全くできないときは最低限できそうな計画を再度立ててみましょう。
7. 質の高い睡眠が、翌日の勉強効率を決める
「眠くて集中できない…」「授業中にうとうとしてしまう…」こういった悩みの背景には、“睡眠の質”の低下があるケースも多いです。部活で疲れていても、つい夜遅くまでスマホを見てしまうと、翌日に疲れを持ち越すことになります。
▷睡眠の質を上げるための習慣
- 就寝の1時間前はスマホ・テレビをオフ
- 毎日同じ時間に寝起きする(体内リズムを安定させる)
- 寝る前に湯船につかる、軽い読書などでリラックスする
ぐっすり眠れることは、単なる「体力回復」だけでなく、記憶の定着にも深く関係しています。睡眠も勉強の一部と考えるのも良いのではないでしょうか。
最後に:大切なのは“がんばり方”を工夫すること
部活や学校の授業で毎日クタクタになって帰ってくる中で、「勉強もちゃんとやらなきゃ」と思い続けるのは、本当に大変なことです。多くのお子さんが、やる気がないのではなく、「疲れて動けない」「どこから手をつければいいのかわからない」ことで、勉強に取り組めない日々を過ごしているのではないでしょうか。
でも、今回ご紹介したような小さな工夫——たとえば「5分だけやる」「疲労に合った休み方をする」「スマホを別の部屋に置く」——を取り入れることで、「疲れていても勉強ができる自分」に少しずつ近づいていくことができるはずです。
大切なのは、「今日すべてできたか」ではなく、「昨日より少し進めたかどうか」です。毎日ほんの少しずつでも積み重ねることが、1週間、1か月後には大きな自信と成果につながります。
保護者の方も、ぜひ「やった?まだ?」ではなく、「今日少しでもやれてすごいね!」などと声をかけてあげてください。そうした言葉が、お子さんの心を支える大きな力になります。
今すぐすべてを変える必要はありません。今日からできる一つの工夫を、ぜひ始めてみてください。
【参考文献】「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる!続ける思考(井上新八著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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