テストや発表会、試合など「ここ一番」という場面で緊張して力を発揮できない…そんなお子さんの姿に心配をされている保護者の方も多いのではないでしょうか。緊張自体は誰にでも起こる自然な反応ですが、度が過ぎると本来の実力が発揮できず、自己肯定感にも影響してしまいます。
大切なのは「緊張をなくす」ことではなく、「緊張とうまく付き合える方法」を一緒に身につけることです。普段の家庭での声かけや習慣づけで、少しずつお子さんが本番に安心感を持って臨めるように支えていくことができます。
今回は、緊張しやすいお子さんをサポートするために保護者の方ができる工夫や具体的な方法をご紹介します。
1、緊張は悪いことではないと伝える
緊張すると「失敗したらどうしよう」と不安が強まり、ネガティブに捉えてしまうお子さんも多いものです。ただ、緊張は決して悪いものではなく、体と心が「頑張ろう」と準備している証拠です。保護者の方が「緊張するのは自然なことだよ」「それだけ真剣に取り組んでいる証だね」と声をかけてあげるだけで、お子さんは安心しやすくなります。
緊張を敵にするのではなく、エネルギーとして活かすことを意識させると、本番でも前向きに臨めるようになります。「緊張=悪いこと」という思い込みを取り払うことが、第一歩になります。
2、小さな成功体験を積み重ねる
大きな舞台にいきなり自信を持って臨むのは難しいため、日常の中で小さな成功体験を積ませることが効果的です。例えば、家族の前で暗唱を披露する、友達に自分の意見を言う、ちょっとしたテストで結果を出すなど、達成しやすい場面を意識的に用意してあげましょう。
うまくいった経験を繰り返すことで「自分にもできる」という気持ちが育ちます。保護者の方が「やったね」「頑張ったね」と具体的に認めて、ねぎらうことも大切です。小さな積み重ねが、お子さんを本番でも落ち着かせる大きな力となります。
3、本番を想定した練習を取り入れる
緊張に慣れるためには「本番を想定した練習」が効果的です。例えば、模擬テストを時間を計って解く、発表を家族や友達の前で実際に声に出して練習する、試合形式で練習するなど、できる限り本番に近い状況を作ります。
こうした練習を繰り返すことで「本番特有の雰囲気」に少しずつ慣れ、緊張感を和らげることができます。家庭でのちょっとした工夫でも、本番の不安を減らす準備は十分可能です。緊張は経験を重ねるほどコントロールしやすくなるので、シミュレーションの習慣を意識しましょう。
4、深呼吸やストレッチを習慣づける
緊張すると呼吸が浅くなり、心臓がドキドキして頭が真っ白になりがちです。そこで役立つのが深呼吸や軽いストレッチです。例えば、鼻からゆっくり息を吸って口から吐く腹式呼吸は、自律神経を整え、心を落ち着ける効果があります。
また、肩を回したり体を伸ばしたりするストレッチも緊張を和らげます。普段から家庭で練習しておくと、本番でも自然と取り入れられるようになります。「緊張しても大丈夫、落ち着ける方法がある」と思えるだけで、お子さんの安心感は大きく高まります。
5、「失敗しても大丈夫」と安心させる言葉がけ
多くのお子さんが本番で緊張してしまう背景には、「失敗したらどうしよう」という強い恐れがあります。この不安は「失敗=すべてが終わる」という思い込みにつながり、挑戦そのものを怖がらせてしまうこともあります。
そこで保護者の方ができる大切なサポートは、「失敗してもいいんだよ」「挑戦したこと自体がすごいよ」と安心させる言葉をかけてあげることです。失敗を否定せずに受け入れる姿勢を示すことで、お子さんの心は次第に軽くなり、「思い切ってやってみよう」と前向きな気持ちを持てるようになります。
また、結果だけではなく努力や過程に目を向けることも欠かせません。「練習を続けたことが素晴らしい」「最後までやり切ったね」と具体的に声をかけると、お子さんは「自分は認めてもらえている」という安心感を持てます。
保護者の方が失敗を恐れずに挑戦する姿勢を肯定することで、お子さんは「失敗=成長のチャンス」と捉えられるようになり、次の挑戦にもつながっていくのです。安心感は心の支えとなり、本番でも自然体で力を発揮しやすくなります。
6、本番当日の流れをシミュレーションしておく
本番で強い緊張を感じる大きな要因のひとつに、「何が起こるかわからない」という不安があります。人は未知の状況に直面すると心拍数が上がり、普段よりも緊張しやすくなるためです。そこで効果的なのが、あらかじめ本番当日の流れをシミュレーションしておくことです。
例えば試験であれば、前日の持ち物チェック、会場までの行き方、試験前の待ち時間の過ごし方、休憩時間の水分補給やトイレのタイミングまで、細かく想定しておくと安心できます。発表や試合の場合も、当日の集合時間、準備の流れ、本番直前にするルーティンなどを事前に確認しておくと、当日の混乱がぐっと減ります。
さらに、自宅で「試験開始!」と合図を出して模擬的に解答する、発表を人前で通し練習するなど、イメージトレーニングを取り入れるのも効果的です。こうしたシミュレーションによって「未知の出来事」だったものが「知っている流れ」へと変わり、不安が和らぎます。
事前に予行演習を重ねることで、本番を安心して迎えられ、緊張に振り回されずに実力を発揮できるようになるのです。
7、自分に合ったお守りやルーティンを持つ
ルーティンは心を落ち着かせる強い味方です。例えば「本番前に深呼吸を3回する」「試験前にお気に入りの鉛筆を握る」など、自分に合った習慣を持つことで安心感が得られます。
また、お守りやラッキーアイテムも効果的です。心理的に「これがあるから大丈夫」と思えるものがあると、気持ちが落ち着きやすくなります。ルーティンやお守りは科学的根拠以上に、お子さん自身の心の支えになるものです。自分なりの方法を一緒に見つけてあげましょう。
8、睡眠など生活リズムを整える
緊張しやすいお子さんは、睡眠不足や不規則な生活でさらに不安を感じやすくなります。本番前は特に、十分な睡眠とバランスの良い食事が大切です。夜更かしを避け、規則正しい生活リズムを整えることで心身が安定し、緊張に強くなります。
また、朝型の生活に整えておくと試験や発表当日も頭が働きやすくなります。生活習慣の土台がしっかりしていると、多少の緊張があっても心身が乱れにくくなり、実力を発揮できる状態を保てます。
9、保護者自身が落ち着いた態度で接する
お子さんは保護者の感情に敏感です。保護者の方が不安げな様子を見せると「自分も失敗するかも」と感じて緊張が高まります。逆に、保護者が落ち着いた態度で「大丈夫、見守っているよ」と示すことで、お子さんは安心しやすくなります。
本番当日に過度な声かけをするよりも、普段通りの接し方を心がけることが効果的です。保護者の方の姿勢が穏やかであることは、お子さんにとって何よりの支えとなり、緊張を和らげる大きな要素となります。
10、挑戦を褒めて、結果だけに注目しない
緊張しやすいお子さんは「失敗したらどうしよう」と結果ばかりに目が向きがちです。保護者の方が「挑戦したこと自体が素晴らしい」と伝えることで、お子さんは失敗を恐れずに取り組めるようになります。
点数や順位だけでなく「最後まで頑張ったね」「前より堂々としていたよ」と過程を認めることが大切です。挑戦が認められる経験を積むことで、お子さんは「次も頑張ろう」と前向きに思えるようになります。結果ではなく挑戦そのものを褒める習慣が、緊張を乗り越える力を育てていきます。
さいごに
緊張は誰にでも起こる自然な反応で、それを「悪いこと」と決めつけると余計にお子さんを追い詰めてしまいます。大切なのは、緊張をうまくコントロールし、自分の力を発揮できる状態に近づけることです。
家庭での声かけや日常の習慣づけは、お子さんが本番に安心して臨むための大きな助けになります。小さな成功を積み重ねて「できた!」という経験を増やすことで、お子さんの自信も育っていきます。
保護者の方が「失敗しても大丈夫」という姿勢を示すことで、挑戦する勇気を持ち続けられるでしょう。お子さんが緊張と上手につき合いながら成長していけるよう、温かいサポートを続けていくためのご参考にしていただければ嬉しく思います。
参考文献:「メンタルトレーニングの教科書~本番に強くなる!自信をつける!」(石津貴代著/技術評論社)
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