こんにちは家庭教師のガンバのTです。私は現役大学生で、大学1年生のときからガンバで家庭教師をやっています。現在は体験のスタッフという仕事で、これから家庭教師を始めたいと思っているご家庭を訪問し、体験授業をしています。体験授業を通じてさまざまな生徒とお話をしてきた経験や私自身の受験の経験に基づいて記事を書いていきます。

今回は、やる気が出ない・集中できない生徒さんをお持ちの親御さんに向けて書いてみました。参考になれば幸いです。

「勉強しなさい!」が不要になる?“家庭内ルール”のすすめ>>

 

多くの思春期の中学生が直面する「やる気が出ない」「集中できない」という悩み

多くの中学生、特に高校受験を意識し始める時期に差し掛かると、「勉強にやる気が出ない」「集中できない」といった悩みに直面すると思います。

この悩みは僕も体験授業をしていて、たくさん聞く悩みです。

実際、ベネッセさんの調査によると、中学2年生のおよそ7割が勉強が「嫌い」と答えており、多くの生徒が学習への意欲低下に悩んでいる実態が明らかになっています。

思春期は、脳が大きく発達する過渡期でもあり、注意力が散りやすかったり、感情のコントロールが難しい時期でもあります。高校受験という大きな目標を前にして、この時期に学習への集中やモチベーションの維持に苦しむのは、自然なことだと言えます。重要なのは、この悩みを「自分の子どもだけではない」と理解し、適切な原因分析と、一人ひとりに合った対策を講じることです。

 

中学生がやる気・集中力を失う主な理由とそのメカニズム

中学生が勉強への意欲や集中力を失う背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。これらを理解することが、適切なサポートへの第一歩となります。

1.学習内容への興味不足と目的の不明確さ

多くの中学生は、「なぜ勉強するのか」「将来何の役に立つのか」という勉強の目的を見失いがちです。学習内容が抽象的で難しく感じたり、自分自身の興味・関心と結びつかない場合、内発的な意欲(自ら進んで取り組む気持ち)は湧きません。目的が見えないままでは、いくら机に向かっても集中は続かず、「やらされ感」から勉強そのものが苦痛になってしまいます。

2. つまずきによる焦り・学習性無力感

特に苦手科目でつまずいた経験があると、「自分にはできない」「やっても意味がない」という学習性無力感に陥りやすくなります。小さな失敗体験の積み重ねは、自信を失わせ、最初から諦めムードを作ってしまいます。問題が解けない焦りや、過去の失敗の記憶が、いざ勉強を始めようとする時の大きなブレーキとなってしまいます。

3. 生活リズムの乱れと疲労の蓄積

部活動や友人関係からくるストレス、思春期特有のホルモンバランスの変化、そして夜更かしやスマートフォンの使い過ぎによる睡眠不足は、日中の集中力を著しく低下させます。特に、スマートフォンやゲームといった誘惑の多い現代では、脳が常に刺激に晒されている状態になりやすく、静かに机に向かうことに強い抵抗感を感じやすくなります。質の低い睡眠は、記憶の定着を妨げるだけでなく、感情のコントロールも難しくなってしまいます。

4. 思春期特有の心理と反発

多感な思春期は、親や先生からの「勉強しなさい」という命令口調に対して強い反発心を持つ時期です。自立心が芽生え始める中で、自分の行動を自分で決めたいという欲求が強まります。また、友人との人間関係や恋愛などが楽しく感じられる時期でもあり、自然と関心が外に向かい、勉強への気持ちが薄れてしまうことも多々あります。

これらの要因が重なると、勉強中にストレスや焦りを感じやすくなります。たとえば、ノートや教材が整理できず、「何をすればいいかわからない…」とイライラしたり、ただ時間を浪費するだけで自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。ただ、原因が分かってくれば対策は見えてきます。大切なのは、この状況をマイナスに捉えすぎず、原因を理解した上で一歩ずつ改善していくことです。

家庭教師だからできる個別アプローチ:やる気と自信を引き出す指導法

集団塾や学校では難しい、お子さん一人ひとりの個性やつまずきの原因に寄り添った個別対応こそが、家庭教師の最大の強みです。

1.「魔法の言葉かけ」による内発的動機づけ

命令口調は厳禁です。家庭教師は、子どもの興味や性格に合わせたポジティブな声掛けを心がけ、自らやる気を引き出すサポートをします。 –

「今日はここまでやってみる?」:一方的に指示するのではなく、本人に選ばせることで「自分で決めた」という自主性と責任感を育みます。

「どうしてそう考えたの?」:正解・不正解よりも、考えるプロセスを評価することで、思考力と学びへの楽しさを引き出します。

2. スモールステップでの成功体験の積み重ね

やる気を失っている状態では、大きな目標は逆効果です。家庭教師は、すぐに達成できる小さな目標を設定し、「できた!」という成功体験を意図的に味わせることを重視します。

「ついさっき覚えた漢字をノートに3回書いてみよう」「簡単な計算問題を3問だけ口頭で答えてみよう」 

「前の単元の練習問題を1ページだけ完璧に終わらせよう」

こうした小さな達成感の積み重ねが、自己肯定感と「やればできる」という自己効力感を高め、やがて大きな原動力へと変わっていきます。

3. 学習方法そのものの指導

多くの子どもは「何を」「どう」勉強すればいいかわかっていません。家庭教師は、効果的なノートの取り方、問題集の進め方、暗記の方法といった「勉強の進め方そのもの」を具体的に教えます。

苦手科目には、理解しやすい図解や別のアプローチの解説を用意し、「わかった!」という瞬間を増やします。 

学習の記録の付け方を指導し、努力が目に見える化されることで、モチベーションの維持をサポートします。

このように家庭教師は、お子さんのつまずきポイントや性格に合わせて柔軟に対応し、勉強が「やらされるもの」から「楽しいもの」に変わるきっかけを提供します

今すぐ実践しやすい!集中力を高める勉強法の具体例

「やる気が出ない」「集中できない」状況を打開するためには、勉強の進め方にメリハリをつける工夫が効果的です。最新の研究に基づいた、自宅で簡単に取り組める具体的な方法を紹介します。

1. ポモドーロ・テクニック

この時間管理術は、集中力が続かない苦手な中学生に特に有効です。 –

25分間:時計やタイマーをセットし、完全に集中して勉強に取り組みます。この間はスマホやゲームの通知を完全にオフにします。 –

5分間:短い休憩を挟み、脳の疲労をリセットします。ストレッチをしたり、窓の外を眺めたりして脳を休ませます。 –

これを1セットとし、何セットか繰り返すことで、短い時間で脳をフル活用し、集中力を持続させやすくします。

2.学習記録による「努力の可視化」

自分がどれだけ勉強に取り組んだかを目に見える形にすることは、モチベーション維持に非常に有効です。 

その日の勉強内容、時間、達成度をノートやアプリに書き留めます。 –

「数学を1時間、漢字を20個」といった具体的な記録は、「自分は成長している」という実感を与え、次の学習への意欲につながります。 

3.ミニテスト・自己採点(テスト効果の活用)

最新の認知科学の研究では、ただ覚えるだけでなく、テスト形式で思い出す過程そのものが学習効果を劇的に高める(いわゆる「テスト効果」って言われてるらしいです)ことが証明されています。

・覚えたい内容を自分で小テスト形式にして繰り返し解きます。 –

単語や年号などの暗記部分を赤シートで隠しながら何度も繰り返す方法も効果的です。 –

間違えた問題にチェックをつけ、「間違えた問題だけ」を優先的に復習することで、学習効率が格段に上がります。

これらの勉強法は、難しい教材を使わなくても自宅で簡単に取り組めます。進め方にメリハリをつけ、達成感を味わいながら学習することで、「やる気が出ない」「集中できない」という状況を少しずつ変えていくことができます。

家庭でできるサポート:環境と声かけで「勉強に向かう気持ち」を育む

お子さんのやる気を引き出すためには、家庭環境と保護者の方の「声かけ」が非常に重要です。

学習環境の徹底的な整備

集中力を妨げる要因を徹底的に遠ざけることが、勉強への第一歩となります。 –

整理整頓:机の上を整理し、漫画、ゲーム、スマートフォンといった集中を妨げる誘惑は、別の部屋や目の届かない場所に置きます。 –

温度と換気:室温は少し低めの22度前後が集中しやすいとされ、適度に換気して新鮮な空気を保ちましょう。難しい言葉ですが、頭寒足熱(頭側は寒く足元は暖かく)がいいみたいです!!←おばあちゃんが言っていました。

場所の工夫:自分の部屋だけでなく、リビング、図書館、自習室など、集中しやすい場所を一緒に探すことも効果的です。環境を変えるだけで気分がリフレッシュされることもあります。

2. ポジティブな「声かけの工夫」

「勉強しなさい」という強制的な言葉は、反抗期のお子さんにとって反発心を生むだけです。お子さんの自主性を尊重し、小さな努力を具体的に褒めることが大切です。

目標設定を促す質問:「今日はどこまでやろうか?」「苦手な数学を1問だけやってみない?」と本人に目標を設定させることで、自発的な行動を促します。

努力の過程を肯定的に褒める:「よく頑張ったね」と抽象的に褒めるのではなく、「前より計算が早くなったね」「難しい問題、最後まで粘って考えたね」といった具体的な努力の過程を褒めます。これが自己肯定感と学習意欲に直結します。

気持ちに寄り添う:「大変だよね、でもその頑張りは絶対力になっているよ」と**共感の姿勢**を見せることで、安心感を与えます。

3.「学習タイム」の習慣づくり

勉強を毎日のルーチンに組み込むことで、「やる気」に依存しない学習習慣が身につきます。 

決まった時間に決まった行動:たとえば「夕食後やお風呂上がりの15分間を必ず勉強タイムにする」と決め、毎日同じタイミングで机に向かう習慣をつけます。

最初は短時間から:最初は15分といった短時間からスタートし、「机に向かうこと」そのものを習慣化させ、徐々に勉強時間を延ばしていきましょう。

これらのことを根気よく続けていけば、お子さんは少しずつ「勉強に向かう気持ち」や環境づくりが習慣化し、自力で集中力をコントロールできるようになっていきます。

まとめ:正しい方法と継続的なサポートが「どんな子でも伸びる」希望となる

「どうせうちの子には無理…」と諦める必要は全くありません。最新の学習研究が示しているように、正しい方法と、子どもに合ったサポートを継続すれば、どんな子でも学習意欲を高め、成績を伸ばすことができます。

大切なのは、以下の3点です。

つまずきの原因を個別に見極める:興味の不足、失敗による無力感、生活リズムの乱れなど、お子さんの最も大きな原因を特定すること。

 スモールステップで成功体験を積ませる:「できた!」という実感を味わせ、自己肯定感を回復させること。

 「自分で思い出す」機会を増やす:ポモドーロ法やミニテストなど、アウトプットを重視した効率的な勉強法を実践すること。

受験勉強は長いマラソンですが、家庭教師と保護者が上記の工夫を理解し、一丸となってサポートを続ければ、勉強が苦手な子ほど、ほんの少しのきっかけで大きく変われます。伸び代が大きいことは変われるチャンスも大きいということです!!

どんな子でも高校受験合格に向けて着実に伸びていける希望は、必ずあります。