自閉症スペクトラムは集中がなかなか持続できず、散漫になってしまうという傾向があります。

学校の授業もじっくり聞くことができないので、まわりと比べ成績も伸びにくく、自信がなくなってしまうことがあると思いますが、特性に応じた学習対策をすると解決できることはたくさんあります。

まずは、効果的な勉強の方法を考えながら、徐々にステップアップを目指していきましょう。

今回は、その勉強方法のお話です。

自閉症スペクトラムの特性

自閉症スペクトラムの特性については、いくつかの傾向があります。

その1つに、周囲とのコミュニケーションを苦手としやすいことが上げられます。友達同士の冗談として言われたことを、言葉通りに受け取ってしまったり、相手からすると「話の通じない人」といった認識を受けやすくなることもあります。他には、周囲に物事を伝えるのが苦手だったり、一方的に喋りすぎてしまったり、全体的に意思疎通が上手くいかないことが多く、対人関係に支障をきたしがちであるため、社会に出てからも戸惑うケースがあります。

また、自分自身の強いこだわりを見せることも少なくなく、自分のやり方を変えることができず、状況に応じた行動をとるのが苦手です。あらかじめ決まっている物事にこだわり、変化や変更に対応できないという傾向もあります。

効果的な学習対策

自閉症スペクトラムの場合、学習能力そのものには問題のないケースも多く、教科によっては、高い記憶力や集中力を発揮できることもあります。

ただ、その対象となる科目は限定的なことも多く、勉強の仕方に悩みがある場合はその人に合った学習方法を探していく必要があります。

学習を習慣化させる

たくさんの勉強を1日に何時間もやろうとするのは難しいかもしれません。「やろうとしてもできない」ということが積み重なると、自己否定や劣等感にもつながります。そのため、無理に多くを詰め込むのではなく、できるところから少しずつ始めましょう。問題となるのは勉強への苦手意識が定着してしまうことです。「自分にはできない」と思い込むと、なおさら勉強に身が入らなくなります。

また、自閉症スペクトラムの特性の一つには、興味のあることへの高い集中力を発揮することがあるので、好きな教科があり、集中もしやすいなら、まずは得意教科の学習の定着を目指しましょう。

適した勉強方法を見つける

学校指定の教科書やテキストも誰にでも適しているとは限りません。もし、教科書が好みに合わない場合、その教科自体に苦手意識を抱きやすくなるかもしれません。一般的な形にこだわる必要はありません。英単語のテキストだと集中できなくても、英単語アプリなら気に入ることがあるかもしれませんし、歴史の教科書は嫌いでも、マンガにしてまとめられた歴史本なら好きということもあります。

一番重要なのは、自分自身がどれくらい集中して勉強できるかです。好きな教材を見つけることによって、勉強がスムーズに進む場合もありますよ。

学習しやすい環境作り

自閉症スペクトラムの特性の中には、感覚的な刺激に敏感というものがあります。

たとえば、クラスメイトの喋り声が気になったり、教室の照明が眩しかったりすることですが、自宅でも特性に合わせた環境を作らないと、学習効率は上がりにくくなります。感覚や心を乱して気が散る状況を防ぐことで、集中力がアップする可能性があるでしょう。

逆にその一方で、多少の雑音が入る程度の環境が合うという人もいます。自分の部屋で勉強するより、家族のいる部屋の方が集中できる場合もあるので、その子に合わせて勉強に集中できる環境を考える必要もあります。机の前でじっとしているのが苦痛に感じるのであれば、無理に座りっぱなしにするのではなく、時々体を動かすなどの工夫もしましょう。

家族のサポート

本人の頑張りを認め、褒め言葉や励ましを送ることも家族には求められますが、ただし過剰なエールは本人へのストレスになる場合もあります。

まずは、本人が努力しているという事実を認めて下さい。努力しようとしているところに、勉強しなさいと迫るのも良くないので、お子さんのペースを見守りながら支えていくようにしましょう。

また、クラスメイトや同学年の子供たちとの比較はしないように注意するべきですね。自己肯定感の低下を招き、勉強への集中を阻害してしまう恐れがあります。

外部機関との連携や協力

本人と家族だけで学習対策を施すのは難しいケースも多く、ご両親が「正しいサポートができているのか」と、不安を抱えることもあるはずです。

家庭での学習や、学校での人間関係が上手くいかないことはストレスにもなりますし、己肯定感が低下したことをきっかけに、不登校となってしまうリスクもあります。そのため医療機関での相談や、学校との連携積極的に行ってください。学習対策の面ではもちろんのこと、生活のあらゆる面で相談できる対象が必要ですし、学校の場合、少なくとも担任の先生には特性を伝えておくべきです。また、校内にスクールカウンセラーがいる学校であれば、学校生活や学習面など、困ったら相談できる環境があれば積極的に使っていきましょう。自閉症スペクトラムは、一般的に病気というよりも特性としてとらえられていますが、それでもやはり、医療機関や専門家との連携については重要性が高いです。

学校生活だけではなく、その後の社会生活をするためには本人の自立が必要となるので、学習対策をしながら、社会性も身につけなければなりません。それによってストレスの少ない環境を作りやすくなるのです。

学習塾や家庭教師の利用

学習面に特化したサポートとなると、学校の授業や自習だけでは足りないことがあります。

なぜなら、学校の場合、教師はクラス全体を指導しなければならないため、生徒1人ずつの細かい指導を行うにも限界があります。個人に適した学習が必要なら、状況に応じて塾や家庭教師を利用することも一つの手だと思います。中には特性を持った生徒に特化した学習を提案し、サポートしてくれるところもありますし、効率よく勉強を進められる可能性もあるでしょう。

まとめ

今回は、自閉症スペクトラムと学習対策についてご紹介しました。

本人にもご家族にも悩みの多い部分かもしれませんが、家庭内でもできる限りの対応をしながら、学習対策を施していきましょう。そして、ご家庭内での解決に限界を感じたら、学校や専門機関、学習塾や家庭教師など積極的に相談して抱え込まないようにしましょう。その方が、保護者の方も本人も変なストレスを感じず、良い方へ向かうことができると思います。

お悩みの方はお気軽にご相談下さい。

ご相談のある方は家庭教師のガンバ

家庭教師のガンバ  今村 剛