小中学生の英語教育が強化されました。都立高校受験にはスピーキングも導入されます。
授業を理解するだけでも大変なのに、不安ばかりで焦ってしまうこともありますよね。対策を立てるために、都立高受験のスピーキングがどんなものなのか説明します。
どうやって試験を実施するのか把握しておけば、対策も立てやすくなります。本番の試験で少しでもリラックスして臨めるように、テストのやり方を確認しておきましょう。
都立高校受験のスピーキングとは
都立高校受験にはスピーキングの試験結果が活用されることになりました。変更点を押さえたうえでの受験対策が必要になります。
スピーキング試験の導入
東京都立高校の受験内容にスピーキングが導入されるのは2023年度からで、評価のためにはESAT-Jの試験結果を活用します。
ESAT-Jとはベネッセコーポレーションが東京都教育委員会と共同で開発した試験のことです。2022年度から、都内の公立中学に通う全ての3年生に向けて実施されます。
ただ、新制度の導入には受験者や保護者の方からの不安の声があるのも事実です。都の教育委員会としても、安心して受験できる環境の整備を目指しています。それもふまえ、当日に受験できなかったお子さんへの配慮体制も整えています。
ESAT-J実施日に受験できなかった場合、活用されるのが仮のESAT-J結果です。各校で2月に実施される学力検査での英語の得点が利用されます。同試験で同じレベルだったお子さん約10名のESAT-J結果を、平均することで算定します。
試験の実施方法
東京都教育委員会とベネッセコーポレーションが共同で実施します。受験への導入は2023年度からですが、ESAT-Jの実施予定日は2022年11月27日です。
この試験結果を受験の点数に反映させます。本番の試験ではタブレット端末を使用し、イヤーマフとイヤホンマイクを使い英語で話して答えるための試験です。
評価はAからFまでの6段階。6段階の判定を調査書点に記し、それを高校側が入学者の選抜に利用します。都立高受験ではAからFまでの評価を20点満点に換算されます。
これまで都立高校受験の評価は、学力検査の結果と調査書点の合計1000点満点でしたが、2023年度からは、ここにスピーキングテストの20点満点が加わることになります。
スピーキングテストの内容
ESAT-Jは2021年にプレテストが実施されました。例えば、表示されたイラストのストーリーを英語で伝える内容があります。お店のお客さんと店員さんという設定で、買いたいものを英語で表現する方式もありました。
リスニングのテストの場合、聞き取った内容に合わせて答えを解答用紙に書きますが、スピーキングでは答えを考えたうえで、話すことによって解答しなければなりません。
英語による会話能力を高め、表現力も身につける必要があるのです。お子さんによっては喋ること自体にプレッシャーを感じるかもしれません。
正しい英文を考えたうえで話さなければならないので、事前の練習が大切になります。
近年の英語教育の変化
近年の小中学校の英語教育は大きな前進を目標にかかげて、2020年度からは小学校3・4年生から英語導入が実施されました。
英語に慣れるための教育で、「聞く・話す」が中心です。さらに小学5・6年生の英語は正式な授業となって成績にも反映されます。
これまでの英語教育のやり方を2年分前倒し、実用的な力を身につけることが目的です。これにより中学校でも2021年度から新しい英語教育の全面実施となりました。
グローバル人材育成を目指し、授業はオールイングリッシュ、つまり英語の授業を英語で行うのです。昔とは全く違いますね…。
文法の学習にも追加項目はありますが、全体的に話す能力に重点を置いています。日本では「いわゆる受験英語」はできても、実際の会話能力が伸びないなどの難点がありました。
ただ、時代の変化は早く、世界ではより多様性が求められてきています。そのため早い段階から英語によるコミュニケーション能力を高めようとしています。
英語の4技能5領域とは
英語教育の4技能とは、「書く」「読む」「聞く」「話す」です。日本の中学には「書く」「読む」能力が高いお子さんも少なくありません。
「聞く」能力を高めるリスニングの授業に力を入れている学校もありますが、これからは「話す」こと、つまりスピーキングの能力が必要不可欠となってきます。
話す技能はさらに2つの領域に区分され、「発表」と「会話」の力が試されます。発表はプレゼンテーションのように自分の意見や主張を伝えるための領域です。会話は相手とのやり取りの中で正確な内容表現をしなければなりません。
どちらも自分の言いたいことを英語できちんと伝えるための能力につながります。日本の英語教育では長い間、実用的な英会話能力が大きな課題となっていました。
そのため新しい英語教育では「話す」「聞く」に力を入れて、「実社会で使える英語」を身につけ、世界で活躍できる人材育成を目的とした教育方針です。
スピーキングテストの対策方法
新制度で不慣れなのはみんな同じです。英語に苦手意識を持たないためにも早い段階から対策に取り組みましょう。
学校の授業を無駄にしない
日本では英語で会話する機会はほとんどありません。ですので、オールイングリッシュが導入された英語の授業は貴重な体験になります。
ただ、説明も英語なのでちゃんと理解できず、やる気をなくしてしまうお子さんもいるかも知れません。でも、学校の授業で少しずつでも経験を積み、英語に慣れ、スキルを身につけていけば必ず成長できます。
まずは授業で英語をよく聞き、発音に耳を慣らしていきましょう。発言を求められた場合はなるべくためらわず、はっきり英語で話すように心がけてください。
授業ではお子さん同士の意見のやり取りも英語になるため、積極的に話しましょう。毎日の授業を大切に受けることは、そのまま受験のスピーキング対策にもつながります。
家庭教師の利用
英語の読み書きは得意でも、話すことは苦手なお子さんも多いです。なので、本番のテストで緊張してしまい、うまく話せなくなってしまうこともあります。元々英語に苦手意識が強いお子さんは、より一層不安は大きいと思います。
授業をしっかり活用しようと思っても、学校でのスピーキングでは周りの目が気になり緊張してしまう、他のお子さんと比べて何となく気後れしてしまう、ということもあるかも知れません。
そういった場合は塾や家庭教師、英会話スクールなどを検討してみるのもいいと思います。ワンツーマンのスピーキング授業を周りを気にせず体験できれば自信もつきます。
他の人の目もないからリラックスして英語を話す練習になります。また、英語専門の先生なら正確な発音も身につけやすくなります。
まとめ
都立高受験のスピーキングについて説明してみました。
まだまだ浸透していない制度で不安も大きいかもしれませんが、ご参考にしていただけましたでしょうか。
大人や中学校の先生も含め、日本人は英語を話すことに慣れていません。現在の教育はスピーキングで英語コミュニケーションの能力を身につけるチャンスだと思います。
お子さんに合った対策、勉強方法を身につけ、効果的な受験対策をしてください。
家庭教師のガンバ 今村 剛