お子さんが不登校だと、親として心配になるのは当たり前のことです。どうして学校に行けないのか毎日気がかりで仕方ないでしょうし、親である自分に問題があったのかと、不安になることもありますよね。しかし、ここで保護者の方が焦ってしまうと解決は遠のいてしまいますので、お子さんに対してできることや、ふさわしい接し方を考えていきましょう。それが適切なサポートの第1歩になります。
不登校の捉え方
不登校とは怠けているわけでも甘えているわけでもなく、悩みやストレスなど、多くは精神的な理由が背景にあります。教室内やクラブ活動での不安が原因かもしれませんし、家庭内のトラブルが元となって学校生活に影響が出ていることもあります。勉強について行けなかったり、クラスに馴染めなかったりすることもあるでしょう。このように不登校には様々なパターンがあり、同じようなケースに見えても、状況は全く異なる場合もあります。
不登校の原因
多くの保護者の方にとって気になるのは不登校の原因でしょう。原因を知りたくなるのは、解決の糸口となることを期待しているためです。
感情面の原因が多い
感情は表からは見えません。本人が痛がっていても、傷が見えるわけではないため軽視されてしまうこともありますし、内面の問題や身体的な問題など、様々な理由が複雑に絡んでいる場合もあります。不登校の原因は一概にこうであると結論付けられる状態ではないのです。また、生徒自身もどうして自分が学校に行けないのか分からないこともあるでしょう。そのため行けない理由を問いただすのは良くありません。話し合うことで解決につながることもケースによってはありますが、原因を究明しようとする親の意識が、本人にとって負担になることも考えられます。
いじめが原因の場合
いじめの場合は家庭内だけでどうにか解決しようとしても限界があるため、外部との連携が必要です。担任やカウンセラーなどとのやり取りが、お子さんへの理解につながることもあり、親御さん1人で抱え込まず、家庭外への協力を仰ぎましょう。
原因の把握と解決はイコールではない
お子さんのために原因を追究したくなる気持ちは分かりますが、仮に原因を突き止められたとしても、すぐさま学校に行けるようにはなりません。学校復帰を目指すためには地道なケアが求められ、お子さんにとってもご両親にとっても、じっくり向き合う時間が必要でしょう。解決することばかりを目的とはせず、ゆとりを持った接し方が重要です。
保護者がすべき接し方
お子さんとよく話し、コミュニケーションを欠かさないようにするのが大事であり、このときの注意点としては、急かさないことを念頭に置いておきましょう。学校に行きたくても行けない子に向かって「行きなさい」は禁句的なワードであり、より深刻な場合にはご両親への不信感につながってしまうリスクも考えられます。「どうして行かないの」という問いかけもお子さんを追い詰めるかもしれないので、「行かなくても大丈夫」という気持ちを示し、安心感を与えることがまずは大事です。
自分を受け入れ、味方でいてくれる両親にお子さんは信頼の気持ちを向けるため、保護者の方の心の在り方も重要です。不登校を人とは違うこと、不自然なことと考えていると、それはお子さんにも伝わってしまうので、不登校を特別なこととは思わず、お子さんのペースに合わせてゆっくり進みましょう。学校はつらいのを我慢してまで行かせるべき場所ではありませんので、「行きたくなければ行かなくてもいい」という、精神的な余裕が保護者の方にも必要です。勉強の遅れが心配なら学習面のサポートをつけることもできますし、不登校生のためのフリースクールや、家庭教師などを活用すると良いでしょう。
不登校生のために保護者ができること
不登校生への接し方には丁寧で根気強いコミュニケーションが求められます。はれもの扱いではなく、お子さんに寄り添いながら時間を共有しましょう。
本人のペースを尊重する
無理やり何かをやらせたり、急かしたりするのは禁物であり、これは学校に行かせることだけではありません。たとえば、不登校中にも社会とのつながりを保つことは重要ですが、本人が参加したくないイベントや地域活動に無理やり連れ出してはいけません。また、お子さんによってはカウンセリングが有効なケースもありますが、これも同様に、本人が嫌がっているならいったん様子を見てあげるべきです。お子さんのペースを大事にしていると、ある日何かを自分からやりたがるかもしれませんし、本人が意欲を見せた物事ならば優しく背中を押してあげましょう。このように1つずつ積み重ねていくことが、学校復帰につながる場合もあります。
外部との連携
万が一いじめがあった場合には学校側との連携が必要であり、場合によっては転校なども視野に入れながら、担任と連絡を取り合わなければなりません。また、いじめのような状況がなくても学校とのやり取りは継続しておきましょう。担任やスクールカウンセラーとの情報交換は大切であり、本人が再登校にチャレンジしたくなったとき、スムーズなサポートがしやすくなります。トラブルや悩みを察知するためには日々の適切なコミュニケーションが欠かせませんので、問い詰めたり答えを急かしたりはせず、なるべくゆっくり話せる時間を作りましょう。ただしお子さんが話すことに負担を感じるなら1歩引いた態度が重要であり、タイミングを見計らいながら丁寧に見守りましょう。
両親そろってサポートする
日本では父親の子育て参加に関する問題が度々話題になります。不登校生には家庭内でのサポートが欠かせませんが、お母さんだけでは効果も半減します。父親が子供への対応に参加していないと、母親のストレスはお子さんにも伝わるでしょうし、母親の負担が増えすぎてしまい、子供へのサポートどころではなくなるリスクもあります。両親が一丸となって対応しようとする姿勢はお子さんの安心感を高め、カウンセリングを受ける場合にも、家族でそろっていた方が効果も出やすくなります。
社会とのかかわりのためのサポート
もしもお子さんの興味のあることが分かったら、イベントなどを利用してみましょう。他者や地域社会との交流をつくるきっかけにもなります。
フリースクール
フリースクールでは学校に行けない生徒が勉強するために設けられた場所です。学習だけではなく、家族以外との交流の場としても利用でき、事情や悩みを持った子が多いため、学校よりも通いやすいかもしれません。学校に行けないことが原因で孤立してしまうことを防ぐメリットもあるため、本人が嫌がらず、お子さんに合っていると思えた場合には検討してみる価値があります。
習い事やボランティア活動
自発的に何かをするという行動は人間のメンタルに大きな影響を及ぼします。様々な意欲につながる場合もあり、好奇心を高め、自分のやりたいことを見つけるきっかけになるかもしれません。大切なのはお子さん自身がやりたいと思うかどうかですが、興味のある何かを見つけたとすれば、チャレンジできるようサポートしてあげましょう。
家庭教師
学業面の遅れや、お子さんの将来を心配している親御さんは多いですが、学校に行けなくても、せめて勉強だけはさせてあげたいと思うこともあるでしょう。しかし、フリースクールや塾では、通うということ自体がハードルになる場合もあり、自主学習だと理解できない部分を解説してくれる先生がいません。そんなときは家庭教師に指導を頼むのも1つの手段です。慣れている場所で1対1の授業ができるので、気兼ねなく勉強できるようになりますし、分からないところはその場で直接質問できるので効率的です。不登校生は勉強の遅れを気にしてしまうことで余計に再登校できなくなる場合があるので、勉強だけでも補っておけば、お子さんも自信を感じやすくなるでしょう。
まとめ
不登校生に対して保護者ができる接し方を解説しました。非常にデリケートな問題であり、答えも1つではありません。保護者の方もいろいろな悩みを抱えがちですが、参考になる部分はあったでしょうか。焦らずゆっくりコミュニケーションを取りながら、本人の意思を尊重しましょう。
家庭教師のガンバ 今村 剛