「模擬試験」と言われてイメージするのは、高校3年生の大学受験だと思います。中学生には関係がないと思っているお子さんや保護者の方も多いのではないでしょうか?

 でも、意外かもしれませんが、「高校受験のために中学生が利用する模擬試験」にも大きなメリットがあります。

 ここでは、「高校受験のための模試活用」について考えてみます。

模擬試験はなんのために受けるの?

模擬試験を受けることは、現段階の自分の学力を知る意味で役に立ちます。

中学校でも定期テストや実力テストは実施されますが、ここで分かるのはあくまで校内の順位です。高校受験は他校の中学生も大勢受けるので、通っている中学校の中だけの順位と志望高校の受験の時の順位は同じ位とは限りません。

ですので、受験対策としては、学内のテストだけでは不足する部分もあると思います。ただ、模試は塾や予備校をはじめとした民間の企業が実施する試験です。

・自分自身の実力を数値で見られる

・同じ志望校を目指すお子さんたちの中で、どのくらいの順位にいるか把握できる

など、模擬試験には様々なメリットがあります。

「志望校合格の可能性」や「あとどれくらい学力を伸ばす必要があるか」を、客観的に見つめ直せるはずです。

 

模擬試験の注意点

メリットばかりのように感じる模試ですが、試験が終わった後の結果を見るときには注意点もあります。

高校生が受ける模擬試験の場合、学校のスケジュールの中に模試受験が組み込まれていることが多いです。つまり、同じ志望先を目指すお子さん多くが、同じ試験を一斉に受けています。

試験を受ける人数が多ければ多いほど、正確なデータが集まります。そのため大学受験のための模試では、今の自分の学力レベルがどのくらいの位置にあるのか、ある程度正確に分かると思います。

でも、高校受験のための模試は、まだまだ受験人数が多くはありません。学校の年間スケジュールにも模擬試験は組み込まれていないので、受験したければ個人的に申し込むことになります。ですので、注意しなければならないのは、試験結果の使い方です。

たとえば「受験人数が100人の試験で10位になった」場合と、「受験人数が200人の試験で10位になった」場合とでは、同じ「10位」という順位でも合格可能性の高さはそれぞれで異なります。

そのため、受験人数が少ない模試を受けたときは、順位などの見方に注意するようにしましょう。なるべく規模の大きな模擬試験を受けることで、正確なデータが手に入りやすくなると思います。

それから、この他にもう1つ大事な注意点があます。

高校受験のための模擬試験は全国的な実施体制ではありません。都道府県単位で細かく実施されるケースが多くなっているので、どの地域に対応した試験なのか確認してから申し込むようにしましょう。

その地域にある高校の入試問題を元に作成されているため、もしも別の地域に対応した模試を受けてしまうと、偏差値などのデータが使いにくくなってしまうと思います。

模試を受けるメリットは?

「高校受験のための模試受験は少数派なのに、本当に受ける意味なんてあるのかな…?」

こんな疑問を持っているお子さんもいると思います。

模試を活用するメリットを理解したうえで検討してみてはいかがでしょうか?

 

偏差値が分かる

試験で90点を取ったとしても、問題が簡単だった場合は周りの人も高得点かもしれません。点数が良かっただけでは、「自分の今の学力」は正確には分からないはずです。

偏差値はこの部分をカバーするために計算されます。平均点をふまえて考えるので、「70点を取って偏差値が60」のこともあれば、「80点を取ったのに偏差値は50」のこともあります。

「どの程度の学力レベルの人が、どれくらいの人数受けているか」が偏差値を上下させるので、大勢の人が受けるメジャーな模擬試験の方が正確なデータになると思います。

偏差値が分かると、「その高校の志望者全体の中で、自分の得点がどの位置にあるか」が見えてきます。これが、模試を受けると自分の学力レベルを客観視できる理由です。

 

本番の受験の予行演習になる

受験対策をどれだけ頑張ったとしても、入試本番のプレッシャーや、時間配分のミスによって実力を発揮できない場合もあります。

模擬試験の内容や形式は、実際の入試問題に沿っています。「試験問題を解くこと」に慣れるという意味はもちろんですが、外部試験なので学校の定期テストとは雰囲気も全く異なるはずです。

どれくらい緊張するものなのかを事前に体験しておくと、焦りによる思わぬミスを受験本番で防ぎやすくなると思います。

模試の結果から分かる「偏差値」の活用方法

模擬試験を受けることも大切ですが、もっと重要なのは受け終わった後です。成績表から実力を客観的に見極め、苦手克服のための教材として活用してみてはいかがでしょうか。

志望高校の検討材料

現在の実力を数値的に客観視できるということは、「志望先の高校に受かりそうかどうか」が分かるということです。

・「志望高校の偏差値をすでに超えているから、もうちょっと上の高校も目指してみようかな」

・「この高校に行きたいけれど、今のままだと全然レベルが届いていないからもっと勉強をがんばらないと…」

このように、「さらに上を目指す」「実力不足を知って今よりもっと頑張る」など、お子さん自身の意欲を高めるきっかけになるかもしれません。

ただ、模擬試験で分かるのはあくまで受験した時点の順位や実力です。受験結果がどうなるかは試験当日まで分かりません。

「今の偏差値が良い・悪い」だけで、一喜一憂しないように気をつけ、(公立高校なら内申点も活用されるので)毎日の授業も含めて、最後まで気を抜かないようにしましょう。

 

得意・不得意を知って学習プランを立てる

模試の結果から分かるのは偏差値だけではありません。「数学のこの分野が高得点だった」「社会のこの科目ではあまり得点ができなかった」という判断が成績表から分かるので、苦手分野や得意な分野を細かく把握できると思います。

得意・不得意を自覚している通りの結果だったとしても、苦手教科のうちどの点が特に弱点なのか客観的に理解できるはずです。それだけではなく、「スラスラ解答したつもりなのに、意外と得点に結びついていないな…」という発見があるかもしれません。

「得意なことを伸ばし、苦手なことは克服する」と、最終的には実力が伸びで試験での得点力も高まっていきます。そのとき正確なデータを手に入れておけば、「今どんな勉強が必要なのか可視化できる」ため、学習プランを立てやすくなるのではないでしょうか。

「理解度を数値的に判断できている」かどうかは、勉強の効率性を左右すると思います。志望校合格を目指して、効果のある対策を立てられるはずです。

受け終わった模擬試験の問題も復習のための教材になるので、模範解答を確認しながら繰り返し解き直して、理解力を高めていきましょう。

まとめ

中学生が模擬試験を受ける意味を考え、偏差値の活用方法をご紹介してみました。早い段階から模試に慣れておけば、受験当日も実力を発揮しやすくなるのではないでしょうか。

緊張感に慣れるだけではなく、「今後の進路の考え方」や、「苦手克服のための勉強法」など、模擬試験は様々な目的で活用できると思います。お子さんの受験対策にとって意義のあるものになると思うので、規模の大きな模擬試験を1度受けてみてはいかがでしょうか。

家庭教師のガンバ   今村 剛

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