中学受験を目指していて、算数の成績が伸び悩んでいるお子さんは少なくありません。多くのご家庭では、進学塾以外に家庭で親御さんが手伝ったり、家庭教師や個別指導塾などを利用して勉強時間を増やし、問題集を解くことで成績を向上させようと考えているのではないでしょうか。しかし、それでも結果が出ない場合、お子さんの学習法に問題があるかもしれません。

本記事では、算数の成績が伸びない子供に共通する勉強法の問題点と、その改善策について詳しく解説します。

中学受験の進学塾に苦労しているお子さんは>>

  1. 低学年からの早すぎる先取り勉強のリスク

1.1 先取り学習が抱える落とし穴

低学年からの先取り学習は、特に都市部の親御さんの間で一般的なアプローチとなっており、年々受験に向けた準備をする学年が下がってきているような気がします。中学受験を視野に入れる場合、早めの準備をすることで有利になると考えられるからだと思いますが、これは必ずしも正しいわけではありません。

早すぎる段階での先取り学習は、お子さんが「自分で考える力」を育てる機会を失う原因となっているケースも多く見られるからです。つまり、表面的な知識に依存し、深い理解が伴わないまま学習が進むことで、後の学年でつまずく可能性が高くなるのです。

1.2 基礎学力の欠如が引き起こす問題

先取り学習を急ぐことで、基礎学力が不十分なまま進んでしまう危険性があります。例えば、小学校4年生や5年生になると学習内容が急に難しくなりますが、基礎力がしっかりしていないと、急に躓き、内容を理解することができないケースも出てきます。その結果、「わかっているつもり」になりがちで、他の生徒に簡単に追い抜かれてしまうケースも多々見受けられるのです。

1.3 先取り学習を行う際の注意点

先取り学習には確かに多くのメリットもありますが、それが逆効果にならないよう、慎重に計画的に取り組むことが求められます。お子さんの現在の理解度や学習ペースにしっかりと合わせ、基礎をしっかりと固めた上で進めることが大切です。先取り学習を進める際には、お子さんの成長を見守りつつ、適切なタイミングで深い理解を促す学習法を導入することが必要です。

  1. 千本ノック式の反復練習の問題点

2.1 千本ノック式勉強法とは?

千本ノック式の勉強法は、スポーツにおける反復練習のように、同じ問題を繰り返し解くことで成績を上げようとするもので、算数に苦手意識を持つお子さんに対してよく用いられる方法ですが、必ずしも効果的とは言えません。特に、問題の本質を理解せずにただ解き続けるだけでは、応用力や問題解決能力が育ちにくくなります。

2.2 反復練習の限界

反復練習すること自体は、計算力や基本的な問題解決能力を向上させるために有効ですが、それが目的化してしまうと、学習の質が低下する可能性があります。例えば、同じ問題を何度も解くことで「知っているつもり」になり、実際には理解が深まっていないことが多く、このような状況では成績は一時的に向上しても、長期的には伸び悩む可能性があるのです。

2.3 効果的な反復練習の取り入れ方

反復練習を効果的に取り入れるためには、問題の本質を理解することを重視していく必要があります。例えば、基本的な計算問題を繰り返す際にも、なぜその計算が成り立つのか、どのような状況でその知識が役立つのかを考えながら進めることで、応用力が身につきます。重要なことは、反復練習は単なる作業ではなく、理解を深める手段として活用するべきということです。

  1. 宿題と予習復習の形骸化

3.1 宿題や予習復習が形骸化する理由

宿題や予習復習は、お子さんの学習において欠かせない要素です。しかし、これらが形骸化してしまうと、期待した効果が得られなくなってしまいます。例えば、宿題をただ「やること」だけが目的になり、内容の理解度や学習の質が低下してしまうことがあります。これは、特に算数においては結構重大な問題だと思います。

3.2 形骸化が招く学習効果の低下

形骸化した学習法は、お子さんのやる気を削ぐだけでなく、学習成果が低下してしまいます。算数の場合、問題をただ解くだけでなく理解を深めるためのプロセスが絶対に必要ですが、宿題や予習復習が形骸化してしまうとこのプロセスが省略され、結果として成績が伸びない原因に繋がります。

3.3 宿題や予習復習の効果的な進め方

宿題や予習復習を効果的に進めるためには、お子さんが理解しやすい形で進めることが大切です。例えば、予習では授業内容の範囲を事前に確認し、難しい部分を把握させることで、授業中の理解が深まります。また、復習では間違えた問題に再度取り組むことで、理解を定着させることが重要です。このように意識することで、宿題や予習復習が単なる作業ではなく、成績向上のための効果的な手段になると思います。

  1. 楽しさ優先の学習の落とし穴

4.1 楽しさを重視しすぎることの問題点

低学年のお子さんたちにとって、学習が楽しいものであることは重要です。しかし、楽しさを優先しすぎると、学習の質が低下するリスクが出てしまいます。特に中学受験を考える家庭では、学習の楽しさと真剣さをバランスよく取り入れることが必要になります。楽しさだけでなく、深い学びを促すための指導が必要です。

4.2 メリハリのある指導が必要な理由

現実的な問題として、学習が楽しいだけでは深い学びを促すことは難しいと思います。特に算数では、応用力や問題解決能力を身につけるために、厳しさも必要です。楽しい学習と厳しい学習のメリハリをつけて、バランスよく取り入れることで、お子さんたちの集中力や理解力を高めることができます。楽しいだけでなく、しっかりと学びを深めるための時間を設けることが重要です。

4.3 成績向上に繋がる楽しい学習法の実践

楽しさと学習効果を両立させるためには、工夫が必要です。

例えば、ゲーム感覚で学べる教材や、小さな目標毎にご褒美を与えるなどを取り入れるなどの方法を取り入れることで、お子さんたちの興味を引きつけながら深い学びを促すことができます。そして、このように取り入れる際も、同じように理解度を確認しながら進めるようにしましょう。

  1. 先取り学習による「知っているつもり」現象

5.1 先取り学習のリスク

先取り学習は、実はお子さんが「知っているつもり」になりやすいリスクがあります。この現象は、実際の理解が伴わないまま進んでしまうことが原因です。特に中学受験を控えた高学年の生徒では、先取り学習を行うことで、授業内容を軽視しがちになり、結果的に深い理解が得られないまま学習が進んでしまいます。

5.2 成績の停滞を招く原因

「知っているつもり」現象がもたらす最大の問題は、成績の停滞です。算数の問題解決には、表面的な知識だけでなく、深い理解が必要ですが、先取り学習を行っている生徒が、応用問題や難問に対応できないのは、この理解が欠如しているからです。これが原因で、成績が伸び悩むことが多く見られます。

5.3 先取り学習の効果を高める方法

先取り学習を効果的に行うためには、常にお子さんの理解度を確認し、適切なフィードバックを行うことが必要です。例えば、授業後にお子さんに学んだ内容を説明させることで、理解の深さを確認することができます。

また、先取り学習を進める際には、授業内容の復習を徹底し、理解を補完することが大切で、これにより先取り学習が「知っているつもり」ではなく、実際に役立つ学びとなります。

まとめ

算数の成績が伸び悩んでいるお子さんにとって、正しい学習法を見つけることは非常に重要だと思います。今回のお話で紹介した問題点と改善策を参考に、一度お子さんの学習方法を見直してみてはいかがでしょうか?

勉強方法の正解は1つではありませんが、新しく効果的な学習法を取り入れることができるかもしれません。

また、それらがご家庭内で難しいようなら家庭教師などの経験者に指導を受けてみるのもいいかもしれません。お困りのときは、ぜひお気軽にご相談下さい。

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家庭教師のガンバ  今村 剛