お子さんの勉強や部活動など、日々の頑張りにどんな声をかけていますか?「すごいね!」「えらいね!」という成果への賞賛も嬉しいですが、それだけではお子さんは「結果を出さないと認めてもらえない」と感じてしまうことがあります。
大切なことは挑戦することや学び続ける姿勢ではないでしょうか。それを育てるには、「行動」や「努力の過程」に目を向けた声かけが大切になります。そこで、今回はお子さんの成長を支える声かけのポイントを、具体例とともにご紹介します。
1.結果ばかりをほめてしまうと…
親として「いい結果が出たらほめてあげたい」と思うのは、ごく自然なことだと思います。特にテストの点数や成績、試合の勝敗といった“目に見える成果”はわかりやすく、ついそこに注目してしまいがちです。良い結果を出したときに「すごいね!」「よくできたね!」と声をかけるのは、当然、お子さんの励みになります。ただ、それだけに偏ると「結果を出さなければ認めてもらえない」と感じてしまうこともあります。
実際には、成果の裏にはお子さんが積み重ねた努力や工夫、時には失敗を乗り越えてきたプロセスがあります。目に見える結果だけでなく、その過程にこそ価値があるという視点を持つことも大切です。「最後まであきらめなかったね」「どうやって工夫したの?」という声かけは、お子さんの内面の成長に気づいているというメッセージになります。
こうした言葉を日常的にかけてもらえることで、お子さんは「努力している自分が認められている」と感じ、自ら挑戦し続ける意欲が育ちます。親がどこを見ているか、何に価値を置いているかは、お子さんの自己評価に大きな影響を与えるもの。結果だけではなく、過程にも目を向ける姿勢が、豊かな成長につながっていくのではないでしょうか。
2.失敗したときの支え方
お子さんが失敗したとき、「次はがんばろうね」「大丈夫だよ」と励ます声かけは決して間違いではありません。ただ、それだけではお子さんの心に本当の意味で寄り添えていない場合もあります。そんなときこそ、「ここまでよく挑戦したね」「うまくいかなかった原因は何だったと思う?」といった、過程に目を向ける言葉が大きな支えになることがあります。
失敗は誰にでもあるもので、成長に欠かせない経験です。ただ、失敗をしたときに結果だけを見て叱責されたり、期待外れだと感じさせてしまうと、お子さんは失敗そのものを恐れるようになります。そうなると挑戦する意欲が失われ、「どうせできないからやめておこう」と思うようになってしまいます。
大切なのは、結果ではなく「行動したこと」「挑戦したこと」を認める姿勢ではないでしょうか。どんな結果でも、まずは「頑張ってやってみたこと」に目を向けることで、お子さんの中に「また挑戦してみよう」という前向きな気持ちが芽生えるはずです。失敗を“悪いこと”ではなく、“次につながる学び”と捉えられる価値観を、日々の言葉で伝えていくことが大切だと思います。
3.点数よりもプロセスに注目する
例えば、「何点だったの?」という声かけは、つい口にしてしまいがちだと思いますが、これはお子さんにプレッシャーを与えてしまう場合もあります。点数はわかりやすい指標ですが、そればかりに注目されると、お子さんは「結果が良くないと認めてもらえない」と感じてしまいかねません。そうではなく、「どこを工夫したの?」「どんなふうに勉強したの?」といったように、取り組み方や工夫した過程に目を向けた声かけが、お子さんの学びを深め、やる気を引き出すことが多いです。
結果が思わしくないときでも、「ここを自分なりに頑張ったんだね」「ちゃんと前より計画的にできていたね」と努力のプロセスを評価することで、お子さんは「見てくれている」と実感できます。それが自信につながり、失敗や壁を乗り越える力を育てていくのです。
目に見える点数だけでなく、日々の小さな積み重ねや工夫の過程にこそ、お子さんの成長があります。成果よりも“学び方”や“取り組む姿勢”に関心を持ち、そこに焦点を当てた声かけを意識することが、「学び続ける力」を育む大きな一歩になるのではないでしょうか。
4.昨日との違いを見つける視点
毎日の生活の中で、お子さんは少しずつ着実に成長しています。しかしその変化は、とても小さく、当たり前のように見えてしまうため、大人が意識して見ていないと見過ごされてしまいがちです。だからこそ、「昨日との違い」に目を向ける視点が大切です。たとえば「昨日より早く準備できたね」「前より落ち着いて話を聞けてたね」といった声かけは、お子さんが“昨日の自分”と比べて進歩していることを実感できる機会になります。
他のお子さんと比較するのではなく、お子さん自身のペースや変化に注目することで、「自分はちゃんと成長しているんだ」と感じられるようになり、それが自己肯定感ややる気の源になります。大人にとっては些細な違いでも、お子さんにとっては大きな一歩であることも多いです。
「結果」だけではなく、「過程の中での変化」に気づき、それを言葉にして伝えることは、親子の信頼関係を深めるうえでもとても効果的だと思います。今日のがんばりを昨日と比べて認める、その積み重ねが、お子さんの前向きな姿勢と挑戦する力を育てていくはずです。
5.お子さんが話したくなる問いかけ
一方的な評価やアドバイスだけでは、お子さんは「どうせ話しても否定される」と感じ、次第に心を閉ざしてしまいます。大人にとっては励ましやアドバイスのつもりでも、お子さんには押しつけや決めつけのように受け取られてしまうことがあります。そんなとき大切なのは、お子さんが自分の言葉で思いや考えを語れるような問いかけを意識することだと思います。
たとえば、「どこが難しかった?」「どう感じた?」「自分ではどう思ってるの?」といったオープンな質問は、お子さんが自分の気持ちや経験を言葉にしやすくなります。問いかけを通して、自分の気持ちを整理したり、考えを深めたりする機会にもなります。また、話す内容に正解を求めず、うなずきながら聞く姿勢を見せることで、お子さんは「話していいんだ」と安心できます。
親が聞き役に回ることで、お子さんとの対話は一方通行ではなくなり、自然と信頼関係が育っていきます。お子さんが自由に話せる雰囲気をつくることは、心の成長にもつながる大切な土台。問いかけは単なる会話ではなく、自己理解や成長のきっかけにもつながります。
6.勉強以外の成長にも目を向ける
成績やテスト結果だけが成長ではありません。例えば、友だちとの関わり方が変わった、苦手なことに挑戦した、毎日続けていることがある──そんな日常の中の変化にも注目してみてください。「友だちに優しくできたね」「毎日続けていてえらいね」といった声かけが、お子さん自身の中に「大切にされている」という実感を生み出すと思います。
7.自身の価値観を見直す
親御さん自身が「いい点数を取ることが良いこと」「結果を出す子が立派」といった価値観を無意識のうちに持っていることがあります。これは社会や自分の育ってきた環境から自然と身についた“価値観”ではないでしょうか。もちろん、それが悪いということはありません。ただ、その価値観が強く影響すると、お子さんの本質的な努力や成長に目が向きにくくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
まずは、「自分の中にはどんな価値観があるのか?」に気づくことから始めてみてください。「自分が子どもだったら、どんなふうに声をかけてほしかっただろう?」と立ち止まって考える時間を持つことで、自然と点数や成果だけにとらわれない視点が育つと思います。そして、お子さんの行動や気持ちの変化、努力の過程に目が向くようになります。
まとめ
成果ばかりを評価する声かけは、知らず知らずのうちにお子さんの挑戦意欲や自己肯定感を低下させてしまうことがあります。一方で、「頑張ってたね」「工夫したんだね」など、成長に目を向けた声かけは、結果に左右されず努力を続ける力を育むのではないでしょうか。
大切なのは、完璧さではなく、日々の小さな変化や前進を見逃さずに伝えること。親の一言が、お子さんの「またやってみよう」を引き出すきっかけになるはずです。ぜひ今日から、成長に目を向ける視点を取り入れてみてください。
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