「東京都の高校受験って、なんだか他県と違うらしい……?」
そんな疑問を持った保護者の方、あるいは受験生に向けて、今回は東京都の高校入試制度の特徴を詳しく解説します。
この記事では、「家庭教師のガンバ」代表・今村が東京都独自の高校受験制度を体系的にまとめました。志望校合格のために知っておくべきポイントが満載なので、ぜひ参考にして下さい。
東京都の高校受験は「中3の内申点だけ」で評価される
まず知っておくべき最大のポイントは、東京都では中学3年生の内申点(通知表の成績)だけが受験に使われるという点です。
これは全国的にも珍しく、東京都ならではの特徴です。
多くの道府県では、中学1〜3年生の3年間の成績をもとに内申点(調査書点)を算出します。たとえば、埼玉県や神奈川県などでは3年間の平均が評価対象です。
一方、東京都では中3の1年間だけで評価されます。これはつまり、仮に中1・中2で思うような成績が取れていなくても、中3でしっかり成績を取れば巻き返しが可能ということです。
この制度は、生徒によっては大きなメリットになり得ます。「中学生活に慣れてきた中3からエンジンをかけるタイプ」の子にとっては非常にありがたい制度です。ただし、逆に「中3で失速した」場合はそのまま不利になるリスクもあります。
重要なのは、中3が始まる前の春休み〜1学期のスタート時点で、しっかり目標と計画を立てておくこと。ご家庭内で準備できれば一番ですが、難しい場合は、個別指導・家庭教師などに頼ることも含め、検討してもいいと思います。
実技4教科は2倍評価!内申点の計算方法
内申点の仕組みにはもう1つ、知っておきたいポイントがあります。
それは、「音楽・美術・保健体育・技術家庭」といった実技教科が2倍の重みで評価されるということです。
具体的な計算方法を見てみましょう:
教科 | 評価 | 倍率 | 合計 |
国・数・英・理・社(主要5教科) | 各5点満点 | ×1 | 25点 |
音・美・保・技家(実技4教科) | 各5点満点 | ×2 | 40点 |
合計内申点 | 65点 |
この65点満点を、300点満点に換算して、入試の得点(700点)と合計して1000点で評価されます。
ポイント:
- 実技4教科の授業態度・提出物が非常に重要
- 「勉強はできるけど体育や音楽が苦手…」な生徒は要注意!
- 定期テストだけでなく、日頃の授業の取り組みも成績に反映されやすい
家庭教師や個別指導では、主要5教科に目が行きがちです。実技教科対策までカバーできるような塾や家庭教師はほとんどないので、意識して自力で準備をしましょう。定期テスト自体はそこまで難易度は高くないはずです。
提出物なども大切になってきます。忘れることがないようにしましょう。
入試と内申点の比率は「7:3」=当日の学力重視!
東京都の都立高校入試においては、「当日の入試点700点」「内申点300点(換算済)」で、合計1000点満点で合否が決まります。
つまり、比率としては入試:内申=7:3。これは他の都道府県と比べても、かなり「当日の試験重視」と言える設定です。
他県では「5:5」や、学校によっては「内申重視」になるケースもあります。
たとえば神奈川県では、内申と学力検査の比率が生徒に開示されないこともあり、東京都ほど明確な仕組みではありません。
東京都では「一発勝負で逆転を狙いやすい」システムとも言えます。
メリット:
- 模試や実力テストで力をつければ、本番で挽回可能
- 中学時代にやんちゃだった生徒も、受験でチャンスを掴める
- 内申点が不利でも諦めなくていい
ただし、この仕組みを活かすには、学力検査でしっかり点が取れる実力をつけることが必須です。入試までの時間を逆算して、戦略的に学習スケジュールを組みましょう。
英語スピーキングテスト「ESAT-J」の導入
2022年度から東京都で導入されたのが、英語のスピーキングテスト「ESAT-J(イーサット・ジェー)」です。
これは、従来のリスニングや筆記試験だけでは測れなかった**「話す力」**を評価するものです。
主な特徴:
- 実施時期:入試の数ヶ月前(11月頃)
- 対象:都立高校志願者
- 評価:A〜Fの6段階
- 最大20点が入試得点に加算される
つまり、ESAT-Jを受けてA評価を取れば、最大20点の加点が可能。これは実質、入試得点が720点になるということです。
受けるべきか?
受ける・受けないは自由ですが、志望校によっては受けることがほぼ前提になっている場合もあります。英語が得意な生徒にとっては、大きなアドバンテージです。
一方で、苦手意識のある生徒には対策が必要。個別指導やオンライン英会話を活用するご家庭も増えています。
自校作成問題に要注意!高難度の独自試験
東京都には、都立高校の中でもトップレベルの進学校が複数存在します。
それらの学校では「自校作成問題」という、独自の入試問題を実施しています。
自校作成問題を採用している主な高校:
- 日比谷高校
- 西高校
- 戸山高校
- 青山高校
- 国立高校 など
特徴:
- 難易度が非常に高い
- 出題形式・傾向が独特
- 基礎力だけでは太刀打ちできない
これらの高校を目指す場合は、学校別の過去問対策が必須です。通常の模試や教科書だけでは不十分であり、志望校ごとの傾向分析と、記述・応用問題への対応力が必要とされます。
こうした特殊な受験スタイルに合わせて塾や家庭教師を選びぶことも、視野に入れたほうがいいかもしれません。
都立トップ校を狙うなら、受験戦略に精通した人に相談するのがベストです。
面接・作文・実技が必要な学校もある
すべての都立高校が「学力検査と内申点だけ」で合否を決めるわけではありません。
中には、面接・作文(小論文)・実技試験などを課す学校も存在します。
例:
- 芸術系(音楽・美術)の高校 → 実技試験あり
- 国際系・総合学科 → 面接・作文あり
- 一部の普通科高校 → 学校独自の評価項目あり
これらの対策は、直前の練習では対応しきれないのが実情です。志望校が決まり次第、なるべく早く準備を始めることが重要です。

まとめ:東京都の高校受験は「仕組み理解×早期戦略」が鍵
ここまで、東京都の高校受験の仕組みについて詳しく解説してきました。
最後に、東京都の入試で成功するためのポイントをまとめます。
✅ 合格のための5つのカギ:
- 中3内申点の重要性(中1・2の成績は不問)
- 実技教科の内申は2倍評価!油断しない
- 入試重視(7:3)の配点。一発逆転も可能
- ESAT-Jの導入で英語スピーキングも評価対象
- 自校作成・作文・面接など、学校ごとの対策が必須
できるだけ早めに準備をして、万全な体制で受験に望んで下さい!
家庭教師のガンバ 今村
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